茶色の美しい果実がたくさんなっています。あれは何でしょうか?
ヘクソカズラ(屁糞葛)といい、全草に悪臭があることからこの名前がついたといわれています。悪臭の元凶は「メルカプタン」というガす。
葉がちぎれたりして傷つくと、昆虫が嫌う匂い成分の「メルカプタン」をまき散らします。昆虫に食べられないための植物の知恵です。
万葉集には「クソカズラ」として詠まれており、奈良時代に既に匂いのある植物として知られていたようです。いつから今の呼び名になったのか不明ですが、江戸時代の「草木図説」では現在の「ヘクソカズラ」という呼称となっています。
茶色に熟した果実は、その美しさからリースを作るのがお薦めです。
散歩している時に見つけたら、果実を集めて作ってみませんか?(秋頃になると、葉や茎はあまり匂いがしません。果実も匂いません。)
ヘクソカズラの若い果実、熟した果実を搾って天然100%の保湿剤、または、しもやけ、あかぎれ、ひび割れに用いる。美肌効果もあるといわれ、化粧品にも利用できます。(匂い消しの薬剤を使用する。)
ヘクソカズラは、8~9月にまばらについた多数の花を咲かせます。
気の毒な名前がついていますが、とてもかわいい花で、花の真ん中がお灸の痕に似ているので灸花(やいとばな)、筒状の小花を早乙女の花笠に見立早乙女花、早乙女葛とも呼ばれています。
来年の夏に見かけたら、じっくりと観察してみてください。内面に腺毛(せんもう。植物の表皮に生じる毛のような突起物で、特殊な液体を分泌するもの)がたくさん見られます。
薬草として、全草を煎じて脚気や腎臓病に、利尿目的、下痢、黄疸に効果があるようです。
日野振興センター 2017/12/04