マンサクの花が満開になりました。マンサクの仲間は花が咲く3月頃には葉がなく、葉が出はじめる頃には花はありません。花と葉を同時に観察することはできません。
名前の由来は、まだ雪の残る頃に「まず咲く」からマンサクという説、多数の花が咲き「満作」だからマンサクという説があります。
日野郡に自生する2種類のマンサクをご紹介します。
アテツマンサク:主に中国地方と愛媛県に自生しています。牧野富太郎博士※が最初に岡山県阿哲地方で発見して、新種としてアテツマンサクの名前がつきました。
希少性、環境省:準絶滅危惧種(NT)、鳥取県:その他の重要種(OT)
アテツマンサクの咲き始め:花弁(かべん:花びら)がゼンマイのように巻いています。ここから徐々に花弁がリボン状に広がっていきます。
アテツマンサクの花:花弁と萼片(がくへん)、雄しべは4個あります。雌しべは1個で、先端が2裂しています。萼片が黄色いのが特徴です。
アテツマンサクの葉:若葉には毛がたくさん生えています。成葉になっても、葉柄や葉脈に毛が残っています。
マルバマンサク:マンサクの変種で北海道から鳥取県までの日本海側に自生しています。
マルバマンサクの花:花弁、萼片、雄しべは4個あります。萼片は赤紫色で、反り返っています。雄しべも赤紫色をしています。雌しべは1個で先端が2裂しています。
マルバマンサクの葉:上半分が半円形で、先端は円形またはへこむ。上面は無毛、裏面は葉脈、脈腋に毛が生えています。
マンサクの枝は粘り強く、枝をねじって筏や合掌造りの骨組みを結わえると強靭で緩まないそうです。
※[牧野富太郎博士]
高知県出身の植物学者(1862年~1957年)。「日本の植物学の父」といわれ日本の植物分類学の基礎を築いた一人として知られている。多数の新種を発見し命名も行った近代植物学の権威。
「牧野植物図鑑」「日本植物志図篇」など。
日野振興センター 2018/03/01