2018年6月20日
白っぽい長い尾状花序がたくさんぶら下がっています。昆虫を呼び寄せているのでしょうか、特有の臭いが周囲に広がっていました。クリの属するブナ科の植物の多くは花が地味な風媒花(風により受粉する花)が多いのですが、クリやシイは花が目立ち、虫を呼び寄せる虫媒花(虫により受粉する花)のようです。 ツキノワグマが一番好きなのは、クリの花の蜂蜜だと言われています。
白い花がたくさん咲いていますが、花序(かじょ:花のついた枝全体および花のつき方を合わせたもの)につく花はほとんどが雄花です。基部に雌花が数個つきます。下の写真中央には雌花が見えます。
雄花が段々と落ちていき、やがて雌花だけが残ります。 成長を始めたばかりの様子です。雌花は殻斗(かくと:椀状の総苞)の中に3個入っています。花柱(かちゅう:雌しべを構成する部分で、柱頭と子房をつなぐ部分)は長さ3mmくらいの針状で、9~10個あり、殻斗の外に飛び出ています。 クリの実はその年の秋に熟します。殻斗は球形で、外側に長さ1cmくらいのイガが密生します。 成熟すると、殻斗は4つに割れます。中にはふつう2~3個のクリの実が入っています。 クリの実は、古代から重要な食糧として利用されていたようです。青森県山内丸山遺跡(4,000~5,000年前)では大規模なクリ栽培の跡が見つかっています。 材はタンニンを含むことから耐久性があり、昔は家の土台材や線路の枕木、彫刻用材、漆器木地などに利用されたそうです。 葉や樹皮、イガはタンニンを含み、消炎作用があり、あせも、かぶれ等の薬に利用されるようです。 クリの葉は天蚕(ヤママユ)の飼養に使い、天蚕はクヌギやコナラの葉も食べるそうです。写真左は天蚕の繭で、高級シルクの原料になります。写真右は、ヤママユの成虫です。
日野振興センター 2018/06/20
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