2018年7月4日
鮮やかな青紫色のシデシャジンが咲き始めました。県内では日野郡にのみ自生が確認され、絶滅危惧1類の植物です。大体7月頃に咲きます。 名前の由来は、四手沙参(しでしゃじん)の意味で、花冠裂片が細裂する形を神前に供える紙の四手(しで:神前に供える玉ぐしやしめ縄などに垂れ下げるもの)に例えたものです。 今回は、花の開き方もユニークなこの植物をご紹介します。 山地の日当たりのよい林縁などに生える多年生草本(たねんせいほうほん:少なくとも地下部は2年以上生存し、成熟後は2回以上、原則として毎年開花、結実する草本をいう)です。 全体に粗毛(あらげ)があり、高さ50~100cmくらいになります。 たくさんの蕾(つぼみ)がついています。この蕾から、どのように開花していくのか観察してみましょう。 だんだん花冠(かかん:萼より内側の花葉を花冠といい、花冠をつくる一つ一つの花葉が花弁です)が裂けて広がっていきます。 その後、花弁(かべん:花びら)が展開し、花柱(かちゅう:雌しべは柱頭、花柱、子房の3つの部分からなる雌しべの、柱頭と子房をつなぐ柱状の部分が現れます。 開花して花柱がはっきりと見えるようになりました。花柱に絡みついているのは花糸(かし)といい、雄しべを構成する一部分です。花弁が反り返るので花柱が突き出しているように見えますが、花弁はほぼ同じ長さです。花弁は反り返るので、花柱が突き出しているように見えます。 やがて花柱の先端は3つに分かれます。 基部の青紫色のふくらんだ部分から蜜が出るようで、昆虫がやってきます。 花弁は深く裂けているので、離弁花(りべんか:花弁が互いに離れている状態)のように見えますが、合弁花(ごうべんか:花弁が互いに合着した花冠を持つ状態)です。
参考までに、同じシャジンの名前が付く日野郡内に自生する花を紹介します。 ツリガネニンジン(写真上)とフクシマシャジン(写真下:絶滅危惧11類、県内では日野郡にのみ自生)はツリガネニンジン属で、シデシャジンはシデシャジン属です。シャジンとシデシャジンの花の形の違いがよくわかります。
日野振興センター 2018/07/04
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