梅雨に入ったかのような空模様のもと平野部でも田植えや代掻きが進められています。
夜ともなると水の張られた田んぼからにぎやかなカエルの鳴き声が聞こえてくるようになりました。
人工的な音であれば相当気になるレベルの「深夜騒音」なのでしょうが、どちらかというと癒されるように感じます。メスにアピールする恋の唄と思うとなおさらです。
この時期、田んぼで鳴くのはアマガエルやトノサマガエルが多いと聞きましたが、外を歩いていると彼らの様々な生態を観察することができます。
カエルといえばこのトノサマガエルがその代表。足の短い少しメタボ体型のダルマガエルというよく似た別の種類もいるそうです。
体にイボのあるヌマガエル。よく似たものにツチガエルがいます。子供の頃は区別せずにイボガエルと呼んでいました。
カジカガエルの鳴き声は涼やかな笛の音のよう。清流の三徳川には数多く生息しており、地元では保護活動も盛んです。
倉吉市中の中国自然歩道の誘導標識。板を止めたボルトの穴が広がり、その中になにかいるようです。
近づいてみると小さなアマガエル。緑色のものはよく見かけますが、これは見事な迷彩色。兵隊さんも顔負け。
中国自然歩道のシンボルはカエル。標識にはこのプレートがはめ込まれています。ちなみに近畿自然歩道はトンボとのこと。
ひと頃、外国でカエルの病気「ツボカビ病」が蔓延し、国内に入れば日本のカエルに絶滅のおそれ、との報道がありました。
大量に虫を食べるカエルがいなくなれば、田んぼの害虫が増える、カエルを餌にしている他の動物にも大きな影響を与える、生態系が混乱する、というものでした。
代掻きが始まると、目ざとく集まってきたチュウサギ、アマサギ。カエルや昆虫など小動物の豊富な田んぼは鳥類の格好な餌場です。湯梨浜町原にて。
ヘビに睨まれたカエル、カエルの天敵はヘビと決まっています。大きなトノサマガエルを頭から飲み込むアオダイショウには迫力がありました。
食べたり食べられたり、生き物は人間も含めて単独で生きていくことはできません。
5月22日は「国際生物多様性の日」でした。また、今年は10月に名古屋で「生物多様性条約第10回締約国会議」が開かれます。
多様な生き物が生息できる環境の大切さが、世界的に広く認識され始めた証です。そう思って鳴き声を聞くと、ケロケロゲコゲコもますますいとおしく感じるようになりました。(自然保護監視員 浜辺正篤)