2010年6月30日
倉吉市の関金から地蔵峠を経て琴浦町の一向平へ中国自然歩道が通じています。 そのルート上に「日本の溜池100選」のひとつ、風光明媚な大山池(だいせんいけ)があります。 大山池の正式名称は狼谷溜池(おおかみだにためいけ)といいますが、湖面に大山が逆さに映ることから大山池と呼ばれるようになりました。 大山池のほとりには遊歩道や東屋が整備され、野鳥観察などの絶好のポイントとなっています。この遊歩道を奥に進むと倉庫のような古臭い建物がひっそりと立っていました。
晴れていれば大山や蒜山の姿がくっきりと写るのでしょうが、この日は梅雨空でどんよりと曇っていました。ウイークデイで静かな佇まい。
池の右側に付けられた遊歩道を数百メートル、古い建物がありました。何だろうと近づくとうなるような音がします。
窓が開けられており、のぞき込んでみると発電機が勢いよく回っています。改めて外を見ると建物の裏に導水管がありました。 中国自然歩道を野添地区方面に更に進むと、同じような小水力発電所に出会います。
山守発電所。少し上流から引いてきた水はコンクリートの水道橋から一気に落下、落差を利用して発電します。「近代歴史遺産」のような外観ですが、立派な現役。
普段は鍵がかけられて中が見えない建物。当日は故障したとのことで、現場の点検に来ていた職員さんに見せていただきました。
発電所の来歴説明板。電力網のない時代、地元が苦労して建設したとあります。今は地元での運営が困難となり、少し前からJA鳥取中央さんが管理しています。
新エネルギーとして太陽光発電や風力発電が脚光を浴びています。 北条砂丘に林立する巨大な風車や新築住宅の屋根のきらびやかな太陽光発電装置は、今、スターのように光輝いて見えます。 水力発電というと最近とみに評判の悪いダムを連想しますが、小水力はダムを必要としません。水力発電は本来優れた自然エネルギーなのです。 山の中で人知れず働き続ける古い発電所。脇役のような地味な存在ですが、大きなエールを送りたいと思います。(自然保護監視員 浜辺正篤)
中部総合事務所環境建築局 2010/06/30 in 県立自然公園,国立公園,植物,中国自然歩道,野鳥
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