防災・危機管理情報


新春座談会

  コロナ禍での社会変容や価値観の変化によって、人々の生き方・働き方が多様化し、地方の魅力や可能性に注目が集まっています。このような潮流は鳥取県にとって飛躍のチャンス。コロナ後の未来に向け、鳥取県知事とさまざまな分野で活躍される方々が展望を語り合いました。

鳥取砂丘の夜明けの写真
鳥取砂丘の夜明け
価値観の転換生かし、輝く地域へ
平井(ひらい)伸治(しんじ)

平井知事の写真
鳥取県知事

自ら行動し、ムーブメント起こす
面谷(おもだに)斗夢(とむ)さん

面谷斗夢さんの写真
株式会社アンドローカル ファウンダー
東京で鳥取県産品を共同購入する事業を発案。地域経済の活性化に取り組む

自然満喫するサウナで魅力発信を
五塔(ごとう)熱子(ねつこ)さん

五塔熱子さんの写真
熱波師、とっとりサウナCEA、琴浦町地域おこし協力隊
日本を代表するプロ熱波師。サウナを通じた鳥取の魅力発信に取り組む

新しいワークスタイルで皆が輝く
佐々木(ささき)よしみさん

佐々木よしみさんの写真
合同会社cocoto(ココト) 代表社員
ワークスペースを備えた子育て世代向けショップを運営。多様な働き方を広く支援

感染症に強い社会築くチャンスに
荒川(あらかわ)満枝(みつえ)さん

荒川満枝さんの写真
鳥取看護大学看護学部教授、医学博士
県新型コロナ対策専門家チーム構成員。県民生活における感染予防対策を推進

新春座談会出席者の写真
(新春座談会)左から鳥取看護大学看護学部教授 荒川満枝さん、株式会社アンドローカル ファウンダー 面谷斗夢さん、 鳥取県知事 平井伸治、熱波師 五塔熱子さん、 合同会社cocoto代表社員 佐々木よしみさん

新春座談会の様子
面谷さんと五塔さんはリモートで参加

知事  皆さん、明けましておめでとうございます。今年は、新型コロナを克服して新しいスタートを切る、経済や社会を取り戻す年になればと念願しています。コロナ禍を乗り越え、もう一度幸せを作り上げていく。それが今年のテーマであると思っています。

面谷  境港市出身で、現在は東京のIT企業に勤務しています。コロナ禍を機に、ふるさとの力になればと、都内で鳥取県産品の共同購入を広げる取り組みを行っています。

五塔  熱波師(アウフギーサーのこと。熱したサウナストーンにアロマ水をかけて高温の蒸気を発生させ、バスタオルやうちわなどで室内の空気を攪拌し熱風を送ることをアウフグースといい、こうしたサービスを行うスタッフをアウフギーサーという)として活動しています。昨年5月に地域おこし協力隊として琴浦町へ移住。「とっとりサウナCEA」(とっとりサウナCEA=CEAとは、Chief Executive Aufgusser( 最高経営アウフギーサー)の略であり、県内サウナの魅力発信やサウナと観光地を巡るモデルコースの紹介などに取り組む役割を担う。昨年11月5日に県が五塔さんを任命)として、鳥取をサウナ王国としてPRするため活動しています。

佐々木  八頭町で子育て世代に向けた雑貨店を運営しています。女性の起業支援を行うほか、在宅ワークのプラットフォームづくりにも力を入れています。

荒川  鳥取看護大学で看護師の育成に取り組む傍ら、県新型コロナ対策専門家チームの一員として、企業や保育所などの感染対策をサポートしています。

司会  コロナ禍での社会変化における皆さんの活動についてお聞きします。東京の面谷さんは、鳥取の状況をどう感じていましたか。

面谷  地元の友人から、観光地やホテルの休業で境港のカニが全く売れず困っていると聞きました。「何か自分にできることをしなければ」と都内の知人に声をかけ、2週間で70杯のカニを販売。この経験から鳥取県産品の共同購入アプリ「&LOCAL(アンドローカル)」を開発し、現在実証実験を行っています。コミュニケーションのきっかけやコミュニティの活性化に役立つなどの声もあり、大きな可能性を感じています。
東京の県アンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」でプロモーションを実施したときの写真
2021年3月に共同購入アプリ「&LOCAL」を開発し、東京の県アンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」でプロモーションを実施。初回の実証実験では800杯のカニを販売した

知事  都会のカニの価値は地元とはまた違うものがあり、本当に珍しく大変なごちそうです。そこに着目されたのは地元にとっても大きなヒント。東京から見た鳥取の存在は決して大きくありませんが、だからこその穴場感覚や希少性が魅力になります。こうした試みをぜひ応援させていただき、今後の広がりにつながればと思います。

司会  観光やレジャー業界が大きな影響を受けた反面、アウトドアやサウナのブームが広がりました。

五塔  コロナ禍の活動制限でストレスが高まる中、健康につながるお風呂やサウナ、密を避けたアウトドアの人気が上昇。この機を逃さずサウナの魅力を広めようと、鳥取県への移住を決意しました。自然の中のネイチャーサウナは、地下水を使った水風呂や森の中の外気浴など、自然の心地よさを全身で体感することができます。サウナを通して、鳥取のさまざまな魅力を発信していきたいです。
表彰状を両手に持った五塔さんの写真
昨年11月に開催されたアウフグースの技術を競う全国大会で見事優勝。

アウフグースの様子
アウフグースによる風を浴びると体感温度が上昇。一気に発汗が促され、心地よい爽快感を得ることができる。アウフギーサーによる攪拌技術とエンターテインメント性を備えたパフォーマンスは、サウナの魅力の一つとして人気が高まっている

知事  都会のサウナとは違い、ネイチャーサウナはアウトドアスポーツに近いものですし、温泉地等のサウナも魅力的。コロナフリーな環境の中でリラックスし、自分らしさを取り戻す贅沢な体験です。自然豊かな鳥取では、大山や鳥取砂丘でのキャンプサイトの展開など、アクティビティが広がっていきます。多くのキャンパーやサウナーの皆さんを呼び込むチャンスとなりますね。

司会  一方で、コロナ禍の自粛生活は、子どもたちや子育て家庭にも大きな負担がありました。

佐々木  オンラインへのシフトやリモートワークの普及が進み、在宅で仕事ができる環境づくりが進みましたが、多くの母親が孤独感や孤立感、子どもを思うあまりの疲労感を感じていました。SNSはコミュニケーションや情報収集に役立ちますが、一方で偏った情報を集めてしまう怖さも。良かれと思っても安易な発信はぐっと我慢し、不安や困り事はみんなで解消するよう心掛けてきました。
合同会社cocotoの社員たちの写真
cocoto+店舗内の写真
子ども連れで出勤できる店舗として女性たちが運営するショップ「cocoto+」(八頭町「隼Lab.」内)。女性の起業・就業支援や販路拡大の場として活用されている

知事  このことは行政サイドでも、非常に悩ましい問題。インターネットの世界では、守るべき感染者の方々が傷つけられてしまうことがあり、私たちはネットパトロールで誤った情報を正すことまでしてきました。佐々木さんのような方がリーダーシップをとり、冷静な行動を呼び掛けていただいていることは本当にありがたく思います。

司会  荒川さん、感染対策の意識や新しい生活様式は、人々の間でどう定着してきたでしょうか。

荒川  幸い日本は諸外国と比べると感染症で亡くなる人が少ない国。初めは混乱もありましたが、鳥取県は、自分たちがどうすればよいのか正しく理解し、動向を見極めようと考えていた県だと思います。行政と県民の皆さんとのコミュニケーションも、きちんととられていましたね。この2年間しっかりと頑張った結果、新型コロナに対応する力が付いてきたと思います。

知事  オミクロン株など、世界で感染の波が起こる可能性があります。ウィズコロナで賢く暮らす社会を作ることが大事です。今年は感染の実情に配慮しながら、隣県旅行支援も広がります。観光地に行くなというのではなく、ワクチン・検査パッケージ(飲食店やイベント主催者等が利用者のワクチン接種歴又は検査結果の陰性のいずれかを確認することにより、感染対策における行動制限を緩和するもの)という新しいシステムを導入しながら安全な形で楽しむのが全国で採用されます。その知恵を社会全体で共有することが必要です。

司会  ここからはアフターコロナに向けた鳥取県の展望についてお聞きします。面谷さん、コロナ禍では都市から地方への意識の変化も生まれていますね。

面谷  私の勤務先でも2020年3月から完全なリモート勤務に移行しました。場所に縛られない働き方が広がる中、地方での仕事や生活への関心が非常に高まっていると感じています。鳥取県の飛躍に向けては、自ら行動する人が増えることが重要と考えます。今はSNSなどを通じて簡単に行動が起こせる時代。「鳥取県産品を一緒に買おう」とPRする人が次々に増えていけば、大きなムーブメントを起こす力になると思います。

知事  アフターコロナの社会に移行しても、「距離は関係ない」という価値観は残っていくでしょう。どこに住んでいても同じように仕事や対話ができることが当たり前になり、働き方や暮らし方、幸せの形も変化していくのではないかと思います。これからも面谷さんに協力いただきながら、東京の中で鳥取を広げる取り組みを考えていきたいですね。

司会  サウナやアウトドアのブームを、観光振興や地域活性化につなげていくことが期待されます。

五塔  コロナ禍では、自分の健康や自分の人生に何が大切なのかということを考えさせられました。その中で自然回帰の流れが起こり、サウナやアウトドアの人気につながっていったと感じています。四季折々の自然環境を楽しめるのがサウナやアウトドアの強み。冬の季節も雨の日も、どんな状況でも楽しめるコンテンツを用意して、魅力を伝えていきたいです。

知事  もともと温泉地が多く、サウナも根付いていた鳥取県。そこにネイチャーサウナのテイストが加わり、キャンプやアウトドアアクティビティと結びつくことで一気に広がりが出てきました。コロナ禍でサウナやアウトドアの魅力に触れた人の多くが、これからも楽しみ続けてくれるはず。サウナ界の大家である五塔さんと一緒に盛り上げていきたいです。

司会  活力ある未来に向けては、子育てにやさしく、誰もが多様な形で活躍できる環境も望まれます。

佐々木  仕事と子育ての両立に悩む母親たちと向き合う中で、スキルアップした先の可能性が見えない、自分の強みを見つけるための相談場所がないといった課題を感じました。在宅ワークなどでスキルを柔軟に生かせる環境があれば、挑戦したいと思う女性も増えていくのではないでしょうか。個人が多様な形で活躍できる新しい働き方が広がれば、ワクワクする社会になっていくと思います。

知事  鳥取は女性活躍の先進県。県庁の女性管理職の割合も全国トップを独走中です。県内企業にもこうした流れが広がるなど、ここ数年で大きく変わってきましたが、本当に働きやすい環境とするには皆さんの声を聞いて改善を続けることが必要。今日のお話も含め一緒に考えていきたいと思います。

司会  今後も当面はウイルスとの共存が求められる中、感染対策と経済活動の両立についてはどのように取り組んでいけるでしょうか。

荒川  県内では今後の流行に備えた体制が整備されており、私たちもこれまでの経験や学びを生かして対処していけばよいと思います。この先も新興感染症が発生する可能性はゼロではありませんが、今の子どもたちが知識を身につけて成長すれば、感染症に強い社会を作ることができるはず。将来、「あのコロナ禍があったからこそ次の感染症を制圧できた」となるようにしていきたいですね。

知事  日本人のマスク着用は、百年前のスペイン風邪の際にできた習慣。これが欧米と比べて感染規模を小さく抑えた要因です。こういう経験や知恵は将来にも必ず生きてくるはず。今後治療薬が普及して普通に付き合っていける病気に変わるまで、しっかり予防を続けていきましょう。
  このコロナ禍では、パラダイムシフトと言われる価値観の大転換が起きています。健康や生活環境に対する考え方が180度転換し、本当の意味で、鳥取のような地方が評価され、選ばれる時代になってきました。今年は寅年。この一年、鳥取がさらに輝く「とっとら年」となるよう、皆さんと一緒に盛り上げていきたいと思います。

司会 鳥取県令和新時代創造本部長 長岡丈道
(新春座談会は昨年11月27日に開催しました。)

感染対策の6つのポイント

(1)マスク着用・手洗い・寒くても換気の徹底
(2)屋外でも、人と人との 距離を十分にとる
(3)体調が悪ければ無理な登校・出勤はやめましょう
(4)会食時は大皿・箸の共用は避け、会話時はマスク
(5)マスクをしていても 大声を出して騒がない
(6)帰省時など県外との往来の際は特に注意

自分自身と大切な人を守るために、基本的な対策を徹底しましょう



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