内閣府は、平成21年5月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、厳しい状況にあるものの、このところ悪化のテンポが緩やかになっている。
・輸出、生産は、下げ止まりつつある。
・企業収益は、極めて大幅に減少している。設備投資は、減少している。
・雇用情勢は、急速に悪化しており、厳しい状況にある。
・個人消費は、緩やかに減少している。
先行きについては、当面、雇用情勢が悪化するなかで、厳しい状況が続くとみられるものの、対外経済環境における改善の動きや在庫調整圧力の低下、経済対策の効果が景気を下支えすることが期待される。一方、生産活動が極めて低い水準にあることなどから、雇用情勢の一層の悪化が懸念される。加えて、世界的な金融危機の影響や世界景気の下振れ懸念など、景気をさらに下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。
政府は、当面は「景気対策」、中期的には「財政再建」、中長期的には「改革による経済成長」という3段階で、経済財政政策を進める。当面、景気対策を最優先で進めるため、総額75兆円程度の経済対策を着実に実施する。加えて、「経済危機対策」を実施するため、平成21年度第1次補正予算及び関連法案の早期成立に努める。これらの対策により、景気を下支えする効果が期待される。
日本銀行が、内外の厳しい経済金融情勢の下、政府とマクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、適切かつ機動的な金融政策により経済を下支えすることを期待する。
(各論)
消費・投資などの需要動向
個人消費は、緩やかに減少している。消費者マインドは、低水準ながらこのところ持ち直している。所得は緩やかに減少している。設備投資は、減少している。住宅建設は、減少している。公共投資は、平成20年度補正予算の効果もあって、このところ、底堅い動きとなっている。輸出は下げ止まりつつある。輸入は、減少している。貿易・サービスの収支の赤字は、減少している。
企業活動と雇用情勢
鉱工業生産は、輸出が下げ止まりつつあることや、在庫面からの生産下押し圧力が弱まっていることなどから、下げ止まりつつある。企業収益は、極めて大幅に減少している。また、企業の業況判断は、極めて大幅に悪化している。倒産件数は、このところ増勢が鈍化している。雇用情勢は、急速に悪化しており、厳しい状況にある。
物価と金融情勢
国内企業物価は、緩やかに下落している。消費者物価は、横ばいとなっている。株価は、8,900円台から8,400円台まで下落した後、9,400円台まで上昇し、その後、9,200円台で推移している。対米ドル円レートは、98円台から99円台まで円安方向で推移した後、94円台まで円高方向で推移している。
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需要面の個人消費では、大型小売店販売額(3月)が、全店舗計、店舗調整後(新規店舗を除く)とも前年を下回った。ホームセンター・家電量販店販売額(3月)乗用車新車新規登録台数(4月)とも前年を下回った。
建設等では、公共工事請負金額(4月)は前年を上回ったが、新設住宅着工戸数(4月)用途別着工建築物工事金額(4月)は前年を下回った。
産業面では、鉱工業生産指数(3月、季節調整済)が電子部品・デバイス等の減により66.2で前月比2.4%低下したまた、大口需要電力実績(3月)は鉱工業全業種で前年を下回った。
雇用面では、新規求人倍率(4月)は、1.00倍(前月差0.15上昇、前年同月差0.15低下)であった。有効求人倍率(4月)は、0.46倍(前月差0.02上昇、前年同月差0.23低下)と0.5倍を割り込んでいる。
きまって支給する給与(3月)、所定外労働時間(3月)とも前年を下回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(3月)は、全店舗計では46億9,790万円となり、前年同月比11.9%減と12か月続いて前年を下回り、店舗調整後でも前年同月比11.9%減(全国は前年同月比8.2%減)と12か月続いて前年を下回っている。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が18億3,990万円(前年同月比16.6%減)、スーパーが28億5,800万円(前年同月比8.7%減)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(3月)は36億31万円(前年同月比2.5%減)と6か月続いて前年を下回った。内訳ではホームセンターが18億6,018万円 (前年同月比2.2%減)、家電量販店販売額が17億4,013万円(前年同月比3.8%減)であった。
乗用車新車新規登録台数(4月)は1,254台(前年同月比19.4%減)と9か月続いて前年を下回った。普通車、小型車、軽自動車とも前年を下回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(4月)は156戸(前年同月比50.0%増)と4か月続いて前年を下回った。減少の内訳では貸家系の減少(前年同月比61.3%減)が大きかった。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(4月)は4億8,200万円(前年同月比28.7%減)と3か月続いて前年を下回った。用途別では卸売業・小売業、不動産業が前年を上回ったが、他はゼロか前年を下回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(4月)は89億4,800万円(前年同月比10.8%増)と3か月続いて前年を上回った。発注者別の内訳では、市町村(前年同月比102.2%増)が前年の2倍以上となっている。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(3月)は生産指数(季節調整済)が66.2となり前月比は2.4%低下、原指数は、70.1となり前年同月比では31.5%低下した。
内訳を前月比で見ると、食料品たばこが4.1%の上昇、電子部品・デバイスが16.7%の低下、電気機械が9.3%の上昇、一般機械が23.5%の低下となっている。
在庫指数(季節調整済)は98.6と前月比1.2%の低下となった。
【電力】
大口需要電力実績(3月)は114,720千kWh(前年同月比19.6%減)と8か月続いて前年を下回り、鉱工業用電力も全ての区分で減少した。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(4月)は野菜が1,507t(前年同月比0.6%増)と前年を上回り、果実も768t(前年同月比8.6%増)と前年を上回った。
鳥取市場の青果物販売量(4月)のうち鳥取県産の卸売量は野菜が324tで市場全体に占める割合は21.5%(前年同月差1.6ポイント上昇)、果実は33tで市場全体に占める割合は4.3%(前年同月差0.2ポイント上昇)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(4月)は10,569t(前年同月比9.2%増)と3か月ぶりに前年を上回った。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(4月)は1.00倍(前月差0.15ポイント上昇、前年同月差0.15ポイント低下)であった。なお、新規求人数(4月)は3,374人(前年同月比7.2%減)と19か月続いて前年を下回った。
有効求人倍率(4月)は0.46倍(前月差0.02ポイント上昇、前年同月差0.23ポイント低下)と0.5倍を割っている。
【賃金】
現金給与総額(3月)は、242,025円(前年同月比3.5%減)と3か月続いて前年を下回った。そのうち、きまって支給する給与(3月)は、241,225円(前年同月比3.3%減)で10か月続いて前年を下回った。
【労働時間】
所定外労働時間(3月)は7.1時間(前年同月比28.6%減)と8か月続いて前年を下回った。主力の製造業は63.4%減となった。〔産業別の前年同月比では、電気ガス水道業(前年同月比46.8%増)等で前年を上回り、飲食店・宿泊業(前年同月比44.2%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(3月末)は1兆8,816億円(前年同月比0.5%増)と3か月続いて前年を上回り、貸出金残高(3月末)は1兆1,484億円(前年同月比0.1%減)と31か月続いて前年を下回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(3月)は、先行指数が1月6.3、2月12.5、3月25.0、一致指数が1月0.0、2月12.5、3月12.5、遅行指数1月10.0、2月20.0、3月20.0となった。
・ 企業倒産(4月)は件数が7件で前年に比べて1件減少(前年同月比12.5%減)し、負債総額は9億6,500万円で前年に比べて7億5,500万円減少(前年同月比43.9%減)した。
・ 消費者物価指数(4月:鳥取市、総合、平成17年=100)は、100.2(前月比0.1%低下、前年同月比0.0%前年と同水準)となった。
・ 鳥取県の推計人口(5月1日現在)591,906人で、前月と比べて295人(0.05%)増加し、前年同月と比べて4,111人(0.69%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成21年5月調査でみると、平成21年4~6月期は、平成21年1~3月期に比べると、景気がきわめて不調で、売上高、経常利益が不調となっている。また、平成21年7~9月期は、平成21年4~6月期に比べると、景気、経常利益が不調となり、売上高はやや不調となる見通しとなっている。