内閣府は、平成21年8月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、厳しい状況にあるものの、このところ持ち直しの動きがみられる。
・輸出、生産は、持ち直している。
・企業収益は、極めて大幅に減少している。設備投資は、大幅に減少している。
・雇用情勢は、急速に悪化しており、厳しい状況にある。
・個人消費は、このところ持ち直しの動きがみられる。
先行きについては、当面、雇用情勢が悪化するなかで、厳しい状況が続くとみられるものの、在庫調整の一巡や経済対策の効果に加え、対外経済環境の改善により、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、生産活動が極めて低い水準にあることなどから、雇用情勢の一層の悪化が懸念される。加えて、世界的な金融危機の影響や世界景気の下振れ懸念など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。
政府は、当面、景気対策を最優先で進めるため、「経済危機対策」等を着実に実施する。また、「安心・活力・責任」の3つの目標を同時に達成するための道筋を示す「経済財政改革の基本方針2009~安心・活力・責任~」に基づき経済財政運営を進める。
日本銀行に対しては、我が国経済が、物価安定の下での持続的成長路線に復帰するため、引き続き
政府との緊密な連携の下で、適切かつ機動的な金融政策運営を期待する。
(各論)
消費・投資などの需要動向
個人消費は、経済対策の効果もあって、このところ持ち直しの動きがみられる。消費者マインドは、低水準ながら持ち直している。実質雇用者所得は緩やかに減少している。設備投資は、大幅に減少している。住宅建設は、減少している。公共投資は、堅調に推移している。輸出は、持ち直している。輸入は、持ち直しの動きがみられる。貿易・サービス収支は、黒字へと転じた。
企業活動と雇用情勢
鉱工業生産は、輸出が持ち直していることや、在庫面からの生産下押し圧力が弱まっていることから、持ち直している。企業収益は、極めて大幅に減少している。また、企業の業況判断は、厳しい状況が続いているが、大企業においては持ち直しの動きがみられる。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。雇用情勢は、急速に悪化しており、厳しい状況にある。
物価と金融情勢
国内企業物価は、緩やかに下落している。消費者物価は、緩やかに下落している。株価(日経平均株価)
は、9,200円台から10,400円台まで上昇している。
対米ドル円レートは、93円台から95円台まで円安方向で推移している。
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需要面の個人消費では、大型小売店販売額(6月)が、全店舗計、店舗調整後(新規店舗を除く)とも前年を下回った。ホームセンター・家電量販店販売額(6月)も前年を下回ったが、乗用車新車新規登録台数(7月)は前年を上回った。
建設等では、新設住宅着工戸数(7月)、用途別着工建築物工事金額(7月)、公共工事請負金額(7月)のいずれもが前年を下回った。
産業面では、鉱工業生産指数(6月、季節調整済)が83.0(前月比6.1%上昇)と3か月続けて上昇となったが、原指数は84.0(前年同月比10.4%低下)と9か月続いて低下となった。なお、大口需要電力実績(6月)のうち、鉱工業用電力は主要4区分全てで前年を下回った。
雇用面では、新規求人倍率(7月)は、0.91倍(前月差0.04ポイント上昇、前年同月差0.18ポイント低下)であった。有効求人倍率(7月)は、0.46倍(前月差0.01ポイント上昇、前年同月差0.22ポイント低下)と0.5倍を割り込んでいる。
現金給与総額(6月)、所定外労働時間(6月)とも前年を下回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(6月)は、全店舗計では45億6,500万円となり、前年同月比8.0%減と15か月続いて前年を下回り、店舗調整後でも前年同月比8.0%減と15か月続いて前年を下回っている。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が16億2,800万円(前年同月比10.5%減)、スーパーが29億3,800万円(前年同月比6.6%減)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(6月)は32億1,300万円(前年同月比0.2%減)と3か月ぶりに前年を下回った。内訳ではホームセンターが18億5,700万円(前年同月比0.3%減)、家電量販店販売額が13億5,500万円(前年同月比0.7%減)であった。
乗用車新車新規登録台数(7月)は1,882台(前年同月比11.0%増)と2か月続いて前年を上回った。内訳では、普通車、小型車、軽自動車の全ての区分で前年を上回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(7月)は201戸(前年同月比14.1%減)と7か月続いて前年を下回った。持家系、貸家系ともに前年を下回った。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(7月)は3億2,700万円(前年同月比71.1%減)と前年を下回った。用途別では製造業(前年同月比46.4%減)、卸売業・小売業(前年同月比55.1%)等で前年を下回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(7月)は79億6,600万円(前年同月比30.7%減)と6か月ぶりに前年を下回った。発注者別内訳では国、県、市町村等で前年を下回った。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(6月)は生産指数(季節調整済)が83.0となり前月比は6.1%上昇、原指数は84.0となり前年同月比では10.4%低下した。
内訳を前月比で見ると、食料品たばこが8.3%低下となり2か月連続の低下、電子部品・デバイスが
8.0%の上昇となり3か月続いて上昇、電気機械が11.8%低下となり2か月続いて低下、一般機械が
0.5%の上昇となり2か月ぶりの上昇となった。
在庫指数(季節調整済)は96.3と前月比1.4%の低下となった。
【電力】
大口需要電力実績(6月)は129,895千kWh(前年同月比9.7%減)と11か月続けて前年を下回り、鉱工業用電力も主要4区分の全てで減少した。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(7月)は野菜が1,350t(前年同月比0.9%減)と前年を下回り、果実は
1,065t(前年同月比11.0%減)と4か月ぶりに前年を下回った。
鳥取市場の青果物販売量(7月)のうち鳥取県産の卸売量は野菜が416tで市場全体に占める割合は
30.8%(前年同月差2.5ポイント低下)、果実は525tで市場全体に占める割合は49.3%(前年同月差8.0ポイント低下)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(7月)は8,565t(前年同月比41.3%増)と2か月続いて前年を上回った。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(7月)は0.91倍(前月差0.04ポイント上昇、前年同月差0.18ポイント低下)であった。なお、新規求人数(7月)は3,486人で前年同月比8.5%減であった。
有効求人倍率(7月)は0.46倍(前月差0.01ポイント上昇、前年同月差0.22ポイント低下)と0.5倍を割っている。
【賃金】
現金給与総額(6月)は376,670円(前年同月比10.2%減)と6か月続いて前年を下回った。そのうちきまって支給する給与(6月)は、239,179円(前年同月比4.0%減)で13か月続いて前年を下回った。
【労働時間】
所定外労働時間(6月)は6.7時間(前年同月比28.8%減)と11か月続いて前年を下回った。主力の製造業は49.3%減となった。〔産業別の前年同月比では、電気ガス水道業(前年同月比24.1%増)等で前年を上回り、飲食店・宿泊業(前年同月比26.1%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(6月末)は1兆9,714億円(前年同月比3.1%増)と6か月続いて前年を上回り、貸出金残高(6月末)は1兆1,401億円(前年同月比1.3%増)と2か月続いて前年を上回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(6月)は先行指数が4月37.5、5月75.0、6月87.5、一致指数が4月
50.0、5月68.8、6月100.0、遅行指数4月0.0、5月0.0、6月60.0となった。
・ 企業倒産(7月)は件数が6件で前年に比べて8件減少(前年同月比57.1%減)し、負債総額は15億
1,000万円で前年に比べて9億4,200万円減少(前年同月比38.4%減)した。
・ 消費者物価指数(7月:鳥取市、総合、平成17年=100)は99.6(前月比0.4%低下、前年同月比
2.8%低下)となった。
・ 鳥取県の推計人口(8月1日現在)591,449人で、前月と比べて101人(0.02%)減少し、前年同月と比べて3,834人(0.64%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成21年8月調査でみると平成21年7~9月期は前四半期(平成21年4~6月期)に比べると景気が不調で、売上高、経常利益がやや不調となっている。