内閣府は、平成22年7月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、着実に持ち直してきており、自律的回復への基盤が整いつつあるが、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。
・輸出は、緩やかに増加している。生産は持ち直している。
・企業収益は、改善している。設備投資は下げ止まっている。
・企業の業況判断は、改善している。ただし、中小企業を中心に先行きに慎重な見方となっている。
・雇用情勢は、依然として厳しいものの、このところ持ち直しの動きがみられる。
・個人消費は、持ち直している。
・物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
先行きについては、当面、雇用情勢に厳しさが残るものの、海外経済の改善や緊急経済対策を始めとする政策の効果などを背景に、企業収益の改善が続くなかで、景気が自律的な回復へ向かうことが期待される。一方、アメリカ・欧州を中心とした海外景気の下振れ懸念、金融資本市場の変動やデフレの影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。また、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。
政府は、「新成長戦略」に基づき、日本経済を本格的な回復軌道に乗せるとともにデフレを終結させるよう政策運営を行う。また、6月22日に新たな財政健全化目標等を定めた「財政運営戦略」を閣議決定した。
政府は、デフレからの脱却を喫緊の課題と位置づけ、日本銀行と一体となって、強力かつ総合的な政策努力を行う。日本銀行に対しては、政府とマクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、デフレの終結に向けた最大限の努力がなされることを期待する。
(各論)
○消費・投資などの需要動向
個人消費は、経済政策の効果もあって、持ち直している。消費者マインドは、改善の動きがみられる。実質雇用者所得はおおむね横ばいとばっている。設備投資は、下げ止まっている。住宅建設は、持ち直してきたが、このところ横ばいとなっている。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は、緩やかに増加している。輸入は、緩やかに持ち直している。貿易・サービス収支の黒字は、横ばいとなっている。
○企業活動と雇用情勢
鉱工業生産は、持ち直している。先行きについては、輸出の増加傾向などから、当面、持ち直しが続くことが期待される。企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、改善している。ただし、中小企業を中心に先行きに慎重な見方となっている。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。雇用情勢は、依然として厳しいものの、このところ持ち直しの動きがみられる。
○物価と金融情勢
国内企業物価は、緩やかに上昇している。消費者物価は、緩やかな下落が続いている。株価(日経平均株価)は、10,200円台から9,100円台まで下落した後、9,700円台まで上昇し、その後9,400円台まで下落している。対米ドル円レートは、90円台から87円台まで円高方向で推移した後、89円台まで円安方向で推移し、その後87円台まで円高方向で推移している。
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需要面の個人消費では、大型小売店販売額(5月)が、全店舗計では前年を上回ったが、店舗調整後(新規店舗等を除く)では前年を下回った。ホームセンター・家電量販店販売額(5月)、乗用車新車新規登録台数(6月)は前年を上回った。
建設等では、新設住宅着工戸数(6月)、用途別着工建築物工事金額(6月)は前年を下回ったが、公共工事請負金額(6月)は前年を上回った。
産業面では、鉱工業生産指数(5月、季節調整済)が110.4で前月比11.5%上昇した。なお、大口需要電力実績(5月)は、6か月ぶりに前年を下回った。
雇用面では、新規求人倍率(6月)は、1.15倍(前月差0.24ポイント上昇、前年同月差0.27ポイント上昇)であった。有効求人倍率(6月)は、0.60倍(前月差0.03ポイント上昇、前年同月差0.15ポイント上昇)と、20か月ぶりに0.6倍台となっている。
きまって支給する給与(5月)、所定外労働時間(5月)はともに前年を上回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(5月)は、全店舗計では51億9,600万円となり、前年同月比5.9%増と前年を上回り、店舗調整後では前年同月比7.2%減(全国は前年同月比3.9%減)と26か月続いて前年を下回った。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が16億3,500万円(前年同月比6.7%減)、スーパーが35億6,000万円(前年同月比13.0%増)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(5月)は、32億8,500万円(前年同月比0.4%増)と9か月続いて前年を上回った。内訳ではホームセンターが20億2,800万円(前年同月比1.3%減)、家電量販店販売額が12億5,700万円(前年同月比3.4%減)であった。
乗用車新車新規登録台数(6月)は、1,904台(前年同月比17.2%増)と13か月続いて前年を上回った。内訳では、普通車、小型車の区分が13か月続いて前年を上回り、軽自動車は3か月続いて前年を上回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(6月)は、136戸(前年同月比34.0%減)と2か月続いて前年を下回った。内訳では、持家系(前年同月比4.7%増)は前年を上回ったが、貸家系(前年同月比75.0%減)は前年を下回った。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(6月)は、10億9,600万円(前年同月比46.7%減)と前年を下回った。用途別では、製造業(前年同月比93.4%減)等で前年を下回り、その他サービス業(前年同月比221.9%増)等で前年を上回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(6月)は、97億5,100万円(前年同月比19.2%増)と4か月続いて前年を上回った。発注者別の内訳では、国(前年同月比52.6%減)、県(前年同月比24.2%増)、市町村(前年同月比122.9%増)で前年を上回った。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(5月)は、生産指数(季節調整済)が110.4となり前月比は11.5%上昇し、原指数は98.5となり前年同月比では35.3%上昇した。
内訳を前月比で見ると、食料品・たばこが4.4%の上昇となり2か月ぶりの上昇、電子部品・デバイスが7.0%の上昇となり5ヶ月続いての上昇、電気機械が18.8%の上昇となり2か月ぶりの上昇、一般機械が0.7%の上昇となり2か月連続の上昇となった。
在庫指数(季節調整済)は81.4と前月比1.3%低下した。
【電力】
大口需要電力実績(5月)は、97,674千kWh(前年同月比4.9%減)と6か月ぶりに前年を下回った。鉱工業用の大口需要電力は主要4区分のうち、パルプ・紙(前年同月比20.5%減)、その他の製造(前年同月比2.1%減)が2か月続いて前年を下回ったが、鉄鋼(前年同月比35.0%増)、機械(前年同月比6.5%増)が6か月続いて前年を上回った。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(6月)は、野菜が1,566t(前年同月比0.1%減)と6か月続いて前年を下回り、果実は875t(前年同月比15.6%減)と10か月続いて前年を下回った。
鳥取市場の鳥取県産青果物卸売量(6月)は、野菜が587tで市場全体に占める割合は37.5%(前年同月差0.1ポイント低下)、果実は298tで市場全体に占める割合は34.1%(前年同月差8.7ポイント低下)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(6月)は、6,559t(前年同月比1.4%減)と2か月ぶりに前年を下回った。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(6月)は、1.15倍(前月差0.24ポイント上昇、前年同月差0.27ポイント上昇)であった。なお、新規求人数(6月)は、3,473人(前年同月比19.4%増)と6か月続いて前年を上回った。
有効求人倍率(6月)は、0.60倍(前月差0.03ポイント上昇、前年同月差0.15ポイント上昇)となっており、20か月ぶりに0.6倍台となった。
【賃金】
現金給与総額(5月)は、240,661円(前年同月比1.4%増)と2か月続いて前年を上回った。そのうち、きまって支給する給与(5月)は、237,103円(前年同月比0.2%増)で2か月続いて前年を上回った。
【労働時間】
所定外労働時間(5月)は、7.3時間(前年同月比16.0%増)と6か月続いて前年を上回った。主力の製造業は61.6%増となった。〔産業別の前年同月比では、複合サービス業(前年同月比42.8%増)等で前年を上回り、電気・ガス・熱供給・水道業(前年同月比37.6%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(5月末)は、1兆9,842億円(前年同月比3.0%増)と17か月続いて前年を上回り、貸出金残高(5月末)は1兆1,469億円(前年同月比0.3%増)と13か月続いて前年を上回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(5月)は、先行指数が3月75.0、4月87.5、5月56.3、一致指数が3月100.0、4月75.0、5月87.5、遅行指数が6月66.7、4月40.0、6月40.0となった。
・ 企業倒産(6月)は、件数が1件で前年に比べて3件減少(前年同月比75.0%減)し、負債総額は3億6,000万円で前年に比べて5,000万円増加(前年同月比16.1%増)した。
・ 消費者物価指数(6月:鳥取市、総合、平成17年=100)は、98.8(前月比0.2%上昇、前年同月比1.2%低下)となった。
・ 鳥取県の推計人口(7月1日現在)588,108人で、前月と比べて200人(0.03%)減少し、前年同月と比べて3,442人(0.58%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成22年5月調査でみると、平成22年4~6月期は、平成22年1~3月期に比べると、景気、売上高及び経常利益のいずれもがやや不調となっている。また、平成22年7~9月期は、平成22年4~6月期に比べると、景気、売上高及び経常利益のいずれもがやや不調となる見通しとなっている。