内閣府は、平成２２年８月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。

（総論）

　景気は、着実に持ち直してきており、自律的回復への基盤が整いつつあるが、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。
・輸出は、緩やかに増加している。生産は、緩やかに持ち直している。
・企業収益は、改善している。設備投資は、下げ止まっている。
・企業の業況判断は、改善している。ただし、中小企業を中心に先行きに慎重な見方となっている。
・雇用情勢は、依然として厳しいものの、このところ持ち直しの動きがみられる。
・個人消費は、持ち直している。
　先行きについては、当面、雇用情勢の厳しさが残るものの、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、企業収益の改善が続くなかで、景気が自律的な回復へ向かうことが期待される。一方、アメリカ・欧州を中心とした海外景気の下振れ懸念、金融資本市場の変動やデフレの影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。また、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。
　政府は、「新成長戦略」に基づき、日本経済を本格的な回復軌道に乗せるとともにデフレを終結させるよう政策運営を行う。また、７月２７日に、「新成長戦略」の着実な推進を目指し「平成２３年度予算の概算要求組替え基準について」を閣議決定した。
　政府は、デフレからの脱却を喫緊の課題と位置づけ、日本銀行と一体となって、強力かつ総合的な政策努力を行う。日本銀行に対しては、政府とマクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、デフレの終結に向けた最大限の努力がなされることを期待する。

（各論）

○消費・投資などの需要動向
　個人消費は、経済政策の効果もあって、持ち直している。消費者マインドは、改善の動きが続いている。実質雇用者所得はおおむね横ばいとなっている。設備投資は、下げ止まっている。住宅建設は、持ち直してきたが、このところ横ばいとなっている。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は、緩やかに増加している。輸入は、緩やかに持ち直している。貿易・サービス収支の黒字は横ばいとなっている。

○企業活動と雇用情勢
　鉱工業生産は、緩やかに持ち直している。先行きについては、輸出の増加傾向などから、当面、持ち直しが続くことが期待される。企業収益は、改善している。企業の業況判断は、改善している。ただし、中小企業を中心に先行きに慎重な見方となっている。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。雇用情勢は、依然として厳しいものの、このところ持ち直しの動きがみられる。

○物価と金融情勢
　国内企業物価は、緩やかに上昇している。消費者物価は緩やかな下落が続いている。株価（日経平均株価）は、９，２００円台から９，７００円台まで上昇した後、９，６００円台で推移している。対米ドル円レートは、８７円台まで円安方向で推移した後、８５円台まで円高方向で推移し、その後８６円台で推移している。

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　需要面の個人消費では、大型小売店販売額（６月）が、全店舗計では前年を上回ったが、店舗調整後（新規店舗を除く）では前年を下回った。ホームセンター・家電量販店販売額（６月）、乗用車新車新規登録台数（７月）は前年を上回った。
　建設等では、新設住宅着工戸数（７月）、用途別着工建築物工事金額（７月）は前年を上回ったが、公共工事請負金額（７月）は前年を下回った。

　産業面では、鉱工業生産指数（６月、季節調整済）が１０８．６で前月比１．６％低下した。なお、大口需要電力実績（６月）は、鉱工業用の大口需要電力主要４区分の全てで前年を上回った。

　雇用面では、新規求人倍率（７月）は、１．０４倍（前月差０．１１ポイント低下、前年同月差０．１４ポイント上昇）であった。有効求人倍率（７月）は、０．６１倍（前月差０．０１ポイント上昇、前年同月差０．１５ポイント上昇）と、２か月続いて０．６倍台となっている。
　きまって支給する給与（６月）、所定外労働時間（６月）はともに前年を上回った。

○需要面の動き

【個人消費】
　大型小売店販売額（６月）は、全店舗計では５０億７，８００万円となり、前年同月比１１．２％増と前年を上回り、店舗調整後では前年同月比２．４％減（全国は前年同月比３．１％減）と２７ヶ月続いて前年を下回った。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が１５億２，７００万円（前年同月比６．２％減）、スーパーが３５億５，１００万円（前年同月比２０．９％増）であった。
　ホームセンター・家電量販店販売額（６月）は、３２億６，４００万円（前年同月比１．６％増）と１０か月続けて前年を上回った。内訳では、ホームセンターが１８億４，５００万円（前年同月比０．７％減）、家電量販店販売額が１４億１，９００万円（前年同月比４．７％増）であった。
　乗用車新車新規登録台数（７月）は、２，１８１台（前年同月比１５．９％増）と１４か月続いて前年を上回った。内訳では、普通車、小型車の区分が１４ヶ月続いて前年を上回り、軽自動車は４か月続いて前年を上回った。

【住宅建設】
　新設住宅着工戸数（７月）は、２３２戸（前年同月比１５．４％増）と３か月ぶりに前年を上回った。内訳では、持家系（前年同月比１．６％増）、貸家系（前年同月比３８．７％増）ともに前年を上回った。

【設備投資】
　用途別着工建築物工事金額（７月）は、３４億４，５００万円（前年同月比９６９．６％増）と前年を上回った。用途別では、製造業（前年同月比１４６．２％増）、卸売業・小売業（前年同月比４２４．９％増）等で前年を上回った。

【公共工事】
　公共工事請負金額（７月）は、６９億１，０００万円（前年同月比１３．３％減）と５か月ぶりに前年を下回った。発注者別の内訳では、国（前年同月比５１．７％減）が前年を下回り、県（前年同月比１８．４％増）、市町村（前年同月比１１．２％増）で前年を上回った。

○産業面の動き

【産業活動】
　鉱工業指数（６月）は、生産指数（季節調整済）が１０８．６となり前月比は１．６％低下し、原指数は１０９．５となり前年同月比では２８．２％上昇した。
　内訳を前月比で見ると、食料品・たばこが０．４％の低下となり２か月ぶりの低下、電子部品・デバイスが１．７％の低下となり６か月ぶりの低下、電気機械が１４．９％の低下となり２か月ぶりの低下、一般機械が１４．６％の上昇となり３か月連続の上昇となった。
　在庫指数（季節調整済）は８６．８と前月比６．６％上昇した。

【電力】
　大口需要電力実績（６月）は、１４７，８８６千kWh（前年同月比１３．９％増）と２か月ぶりに前年を上回った。鉱工業用の大型需要電力は主要４区分のうち、パルプ・紙（前年同月比６．３％増）、その他の製造（前年同月比２．４％増）が３か月ぶりに前年を上回り、鉄鋼（前年同月比２５．５％増）、機械（前年同月比５．９％増）が７か月続いて前年を上回った。

【青果物卸売量】
　鳥取市場の青果物卸売量（７月）は、野菜が１，２３８ｔ（前年同月比８．３％減）と７か月続いて前年を下回り、果実は１，０９４t（前年同月比２．７％増）と１１か月ぶりに前年を上回った。
  鳥取市場の鳥取県産青果物卸売量（７月）は、野菜が３８０ｔで市場全体に占める割合は３０．７％（前年同月差０．１ポイント低下）、果実は５６２ｔで市場全体に占める割合は５１．４％（前年同月差２．１ポイント上昇）であった。

【漁獲量】
　境港の漁獲量（７月）は、５，６４９ｔ（前年同月比３４．０％減）と２か月続いて前年を下回った。

○雇用・金融面の動き

【雇用】
　新規求人倍率（７月）は、１．０４倍（前月差０．１１ポイント低下、前年同月差０．１４ポイント上昇）であった。なお、新規求人数（７月）は、３，４５５人（前年同月比０．９％減）と７か月ぶりに前年を下回った。
　有効求人倍率（７月）は、０．６１倍（前月差０．０１ポイント上昇、前年同月差０．１５ポイント上昇）となっており、２か月続いて０．６倍台となった。

【賃金】
　現金給与総額（６月）は、３６６，５７６円（前年同月比２．７％減）と３か月ぶりに前年を下回った。そのうち、きまって支給する給与（６月）は、２３９，９４１円（前年同月比０．３％増）で３か月続いて前年を上回った。

【労働時間】
　所定外労働時間（６月）、は７．７時間（前年同月比１５。０％増）と７か月続いて前年を上回った。主力の製造業は５４．９％増となった。〔産業別の前年同月比では、医療・福祉（前年同月比２５．０％増）等で前年を上回り、電気・ガス・熱供給・水道業（前年同月比２５．３％減）等で前年を下回った。〕

【預金・貸出金残高】
　預金残高（６月末）は、２兆３０２億円（前年同月比３．０％増）と１８か月続いて前年を上回り、貸出金残高（６月末）は１兆１，４１８億円（前年同月比０．１％増）と１４か月続いて前年を上回った。

○参考

・　鳥取県景気動向指数（６月）は、先行指数が４月８７．５、５月５６．３、６月５０．０、一致指数が４月７５
．０、５月８７．５、６月８７．５、遅行指数４月４０．０、５月６０．０、６月６０．０となった。

・　企業倒産（７月）は件数が１件で前年に比べて５件減少（前年同月比８３．３％減）し、負債総額は５，０００万円で前年に比べて１４億６，０００万円減少（前年同月比９６．７％減）した。

・　消費者物価指数（７月:鳥取市、総合、平成１７年＝100）は９８．３（前月比０．５％低下、前年同月比１．３％低下）となった。

 ・　鳥取県の推計人口（８月１日現在）５８７，９８１人で、前月と比べて１２７人（０．０２％）減少し、前年同月と比べて３，４６８人（０．５９％）減少した。

・　鳥取県の企業経営者の見通し（主要３００事業所、年４回調査）を平成２２年８月調査でみると、平成２２年７～９月期は、平成２２年４～６月期に比べると、景気及び経常利益がやや不調、売上高がやや好調となっている。また、平成２２年１０月～１２月期は、平成２２年７～９月期に比べると、景気、売上高及び経常利益のいずれもがやや好調となる見通しとなっている。