内閣府は、平成22年10月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、このところ足踏み状態となっている。また、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある。
・輸出は、このところ弱含んでいる。生産は、弱含んでいる。
・企業収益は、改善している。設備投資は、持ち直している。
・企業の業況判断は、改善している。ただし、先行きについては慎重な見方が広がっ ている。
・雇用情勢は、依然として厳しいものの、このところ持ち直しの動きがみられる。
・個人消費は、持ち直している。
・物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
先行きについては、当面、弱めの動きも見込まれるものの、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待される。一方、海外景気の下振れ懸念や為替レート・株価の変動などにより、景気がさらに下押しされるリスクが存在する。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。
政府は、「新成長戦略」に基づき、日本経済を本格的な回復軌道に乗せるとともにデフレを終結させるよう政策運営を行う。
政府は、デフレからの脱却を喫緊の課題と位置づけ、日本銀行と一体となって、強力かつ総合的な政策努力を行う。日本銀行に対しては、引き続き、政府と緊密な情報交換・連携を保ちつつ、適切かつ機動的な金融政策の運営によって経済を下支えするよう期待する。
日本銀行は、金融緩和を一段と強力に推進するため「包括的な金融緩和政策」を10月5日に決定した。
政府は、現下の厳しい経済情勢や先行き悪化懸念を踏まえ、補正予算編成を含む「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」を10月8日に決定した。
(各論)
○消費・投資などの需要動向
個人消費は、経済対策の効果もあって、持ち直している。消費者マインドは、弱含みで推移している。実質雇用所得は持ち直している。設備投資は、持ち直している。住宅建設は、持ち直している。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は、このところ弱含んでいる。輸入は、緩やかに持ち直している。貿易・サービス収支の黒字は、横ばいとなっている。
○企業活動と雇用情勢
鉱工業生産は、弱含んでいる。先行きについては、輸出が弱含んでるなかで、当面は環境対応車購入補助終了の影響によるさらなる下押しが見込まれるものの、世界景気の緩やかな回復などを背景に、再び持ち直していくことが期待される。企業収益は、改善している。企業の業況判断は、改善している。ただし、先行きについては慎重な見方が広がっている。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。雇用情勢は、依然として厳しいものの、このところ持ち直しの動きがみられる。
○物価と金融情勢
国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。消費者物価は、緩やかな下落が続いている。株価(日経平均株価)は、9,200円台から9,600円台まで上昇した後、9,500円台で推移している。対米ドル円レートは、83円台から85円台まで円安方向で推移した後、81円台まで円高方向で推移している。
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需要面の個人消費では、大型小売店販売額(8月)が、全店舗計、店舗調整後(新規店舗等を除く)とも前年を下回った。ホームセンター・家電量販店販売額(8月)は前年を上回ったが、乗用車新車新規登録台数(9月)は前年を下回った。
建設等では、新設住宅着工戸数(9月)は前年を上回ったが、用途別着工建築物工事金額(9月)、公共工事請負金額(9月)は前年を下回った。
産業面では、鉱工業生産指数(8月、季節調整済)が102.6で前月比2.7%低下した。なお、大口需要電力実績(8月)は、鉱工業用の大口需要電力主要4区分の全てで前年を上回った。
雇用面では、新規求人倍率(9月)は、1.02倍(前月差0.13ポイント低下、前年同月差0.15ポイント上昇)であった。有効求人倍率(9月)は、0.62倍(前月差0.04ポイント低下、前年同月差0.15ポイント上昇)と、4か月続いて0.6倍台となっている。
きまって支給する給与(8月)、所定外労働時間(8月)はともに前年を上回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(8月)は、全店舗計では57億100万円となり、前年同月比2.8%減と2か月続いて前年を下回り、店舗調整後では前年同月比2.0%減(全国は前年同月比1.8%減)と29か月続いて前年を下回った。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が15億9,200万円(前年同月比7.8%減)、スーパーが41億900万円(前年同月比0.8%減)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(8月)は、39億9,700万円(前年同月比11.4%増)と12か月続いて前年を上回った。内訳ではホームセンターが19億6,400万円(前年同月比2.1%減)、家電量販店販売額が20億3,300万円(前年同月比28.5%増)であった。
乗用車新車新規登録台数(9月)は、2,016台(前年同月比0.6%減)と16か月ぶりに前年を下回った。内訳では、普通車、小型車の区分が16か月ぶりに前年を下回ったが、軽自動車は6か月続いて前年を上回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(9月)は、195戸(前年同月比15.4%増)と3か月続いて前年を上回った。内訳では、持家系(前年同月比39.8%増)は前年を上回ったが、貸家系(前年同月比14.5%減)は前年を下回った。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(9月)は、7億3,300万円(前年同月比29.7%減)と前年を下回った。用途別では、医療・福祉(前年同月比135.0%増)等で前年を上回り、卸売業・小売業(前年同月比36.4%減)等で前年を下回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(9月)は、66億7,600万円(前年同月比45.9%減)と3か月続いて前年を下回った。発注者別の内訳では、国(前年同月比77.9%減)、県(前年同月比50.0%減)で前年を下回ったが、市町村(前年同月比59.7%増)は前年を上回った。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(8月)は、生産指数(季節調整済)が102.6となり前月比は2.7%低下し、原指数は94.3となり前年同月比では11.5%上昇した。
内訳を前月比で見ると、食料品・たばこが7.6%の低下となり2か月ぶりの低下、電子部品・デバイスが6.9%の低下となり3か月続いての低下、電気機械が3.4%の上昇となり2か月連続の上昇、一般機械が5.9%の上昇となり5か月連続の上昇となった。
在庫指数(季節調整済)は85.3と前月比3.1%低下した。
【電力】
大口需要電力実績(8月)は、140,006千kWh(前年同月比6.8%増)と3か月続いて前年を上回った。鉱工業用の大口需要電力は主要4区分全ての区分で前年を上回った。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(9月)は、野菜が1,475t(前年同月比13.1%減)と9か月続いて前年を下回り、果実は1,059t(前年同月比19.2%減)と2か月続いて前年を下回った。
鳥取市場の鳥取県産青果物卸売量(9月)は野菜が509tで市場全体に占める割合は34.5%(前年同月差0.3ポイント低下)、果実は550tで市場全体に占める割合は48.1%(前年同月差9.9ポイント低下)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(9月)は、7,903t(前年同月比20.7%減)と4か月続いて前年を下回った。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(9月)は、1.02倍(前月差0.13ポイント低下、前年同月差0.15ポイント上昇)であった。なお、新規求人数(9月)は3,490人(前年同月比7.2%増)と2か月続いて前年を上回った。
有効求人倍率(9月)は、0.62倍(前月差0.04ポイント低下、前年同月差0.15ポイント上昇)となっており、4か月続いて0.6倍台となった。
【賃金】
現金給与総額(8月)は、256,387円(前年同月比1.9%増)と2か月続いて前年を上回った。そのうち、きまって支給する給与(8月)は、244,671円(前年同月比1.7%増)で5か月続いて前年を上回った。
【労働時間】
所定外労働時間(8月)は、8.0時間(前年同月比12.7%増)と9か月続いて前年を上回った。主力の製造業は34.9%増となった。〔産業別の前年同月比では、複合サービス事業(前年同月比16.7%増)等で前年を上回り、電気・ガス・熱供給・水道業(前年同月比25.7%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(8月末)は、2兆91億円(前年同月比2.5%増)と20か月続いて前年を上回り、貸出金残高(8月末)は、1兆1,431億円(前年同月比0.4%増)と16か月続いて前年を上回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(8月)は、先行指数が6月50.0、7月50.0、8月75.0、一致指数が6月87.5、7月75.0、8月37.5、遅行指数6月50.0、7月60.0、8月50.0となった。
・ 企業倒産(9月)は、件数が2件で前年と同水準となり、負債総額は1億1,700万円で前年に比べて4,300万円減少(前年同月比26.9%減)した。
・ 消費者物価指数(9月:鳥取市、総合、平成17年=100)は、99.2(前月比0.3%上昇、前年同月比0.6%低下)となった。
・ 鳥取県の推計人口(10月1日現在)は、587,772人で、前月と比べて207人(0.04%)減少し、前年同月と比べて3,378人(0.57%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成22年8月調査でみると、平成22年7~9月期は、平成22年4~6月期に比べると、景気及び経常利益がやや不調、売上高がやや好調となっている。また、平成22年10~12月期は、平成22年7~9月期に比べると、景気、売上高及び経常利益のいずれもがやや好調となる見通しとなっている。