内閣府は、平成23年1月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、足踏み状態であるが、一部に持ち直しに向けた動きが見られる。ただし、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。
・輸出は、緩やかに減少している。生産は、下げ止まりの兆しがみられる。
・企業収益は、改善している。設備投資は、持ち直している。
・企業の業況判断は、慎重さがみられる。
・雇用情勢は、依然として厳しいものの、持ち直しの動きがみられる。
・個人消費は、持ち直しているものの、一部に弱い動きもみられる。
・物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
先行きについては、当面は弱さが残るとみられるものの、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待される。一方、海外景気の下振れ懸念や為替レートの変動などにより、景気がさらに下押しされるリスクが存在する。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。
政府は、「新成長戦略」に基づき、日本経済を本格的な回復軌道に乗せるとともにデフレを終結させるよう政策運営を行う。
現下の厳しい経済情勢や先行き悪化懸念を踏まえ、「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」を着実に実施する。12月22日、「平成23年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」を閣議了解した。12月24日には、「成長と雇用」に重点を置いた平成23年度予算政府案を閣議決定した。
政府は、デフレからの脱却を喫緊の課題と位置づけ、日本銀行と一体となって、強力かつ総合的な政策努力を行う。日本銀行に対しては、引き続き、政府と緊密な情報交換・連携を保ちつつ、適切かつ機動的な金融政策の運営によって経済を下支えするように期待する。
(各論)
○消費・投資などの需要動向
個人消費は、持ち直しているものの、一部に弱い動きもみられる。消費者マインドは、おおむね横ばいとなっている。実質雇用者所得は持ち直している。設備投資は、持ち直している。住宅建設は、持ち直している。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は、緩やかに減少している。輸入は横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、横ばいとなっている。
○企業活動と雇用情勢
鉱工業生産は、下げ止まりの兆しがみられる。先行きについては、輸出が緩やかに減少していることなどから、当面は弱めの動きとなる懸念があるものの、世界景気の緩やかな回復などを背景に、再び持ち直していくことが期待される。企業収益は、改善している。企業の行状判断は、慎重さがみられる。倒産件数は、緩やかな増加傾向にある。雇用情勢は、依然として厳しいものの、持ち直しの動きがみられる。
○物価と金融情勢
国内企業物価は、国内企業物価は、このところ緩やかに上昇している。消費者物価は、このところ下落テンポが緩やかになっている。株価(日経平均株価)は、10,200円台から10,500円台まで上昇している。対米ドル円レートは、81円台まで円高方向で推移した後、83円台まで円安方向で推移し、その後82円台で推移している。
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需要面の個人消費では、大型小売店舗販売額(11月)が、店舗調整後(新規店舗を除く)では32か月ぶりに前年を上回った。ホームセンター・家電量販店販売額(11月)は前年を上回ったが、乗用車新車新規登録台数(12月)は前年を下回った。
建設等では、公共工事請負金額(12月)は前年を下回ったが、新設住宅着工戸数(12月)、用途別着工建築物工事金額(12月)は前年を上回った。
産業面では、鉱工業生産指数(11月、季節調整済)が95.8で前月から3.8%低下した。なお、大口需用電力実績(11月)は、鉱工業用の大口需用電力主要4区分でみると、鉄鋼、その他の製造の区分で前年を下回った。
雇用面では、新規求人倍数(12月)は、1.11倍(前月差0.09ポイント低下、前年同月差0.22ポイント上昇)であった。有効求人倍率(12月)は、0.67倍(前月と同水準、前年同月差0.19ポイント上昇)と、7か月続いて0.6倍台となっている。
きまって支給する給与(11月)、所定外労働時間(11月)はともに前年を上回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(11月)は、全店舗計では53億6,600万円となり前年同月比0.3%減と5か月続いて前年を下回ったが、店舗調整後では前年同月比0.6%増(全国は前年同月比0.1%増)と32か月ぶりに前年を上回った。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が18億4,700万円(前年同月比4.1%減)、スーパーが35億1,900万円(前年同月比1.9%増)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(11月)は、45億3,400万円(前年同月比26.5%増)と15か月続けて前年を上回った。内訳では、ホームセンターが18億5,700万円(前年同月比3.8%減)、家電量販店販売金額が26億7,700万円(前年同月比60.1%増)であった。
乗用車新車新規登録台数(12月)は、1,213台(前年同月比24.2%減)と4ヶ月続いて前年を下回った。内訳では、普通車、小型車及び軽自動車の全ての区分で前年を下回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(12月)は、219戸(前年同月比5.8%増)と2ヶ月続いて前年を上回った。内訳では、持家系(前年同月比37.6%増)は前年を上回ったが、貸家系(前年同月比16.4%減)は前年を下回った。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(12月)は、10億円(前年同月比103.5%増)と前年を上回った。用途別では、卸売業・小売業(前年同月比270.4%増)等で前年を上回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(12月)は、32億6,700万円(前年同月比26.0%減)と6ヶ月続いて前年を下回った。発注者別の内訳では、国(前年同月比31.7%減)、市町村(前年同月比58.1%減)等で前年を下回ったが、県(前年同月比8.5%増)は前年を上回った。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(11月)は、生産指数(季節調整済)が95.8となり前月比は3.8%低下となり、原指数は104.7となり前年同月比では2.7%低下した。
内訳を前月比で見ると、食料品・たばこが15.1%の上昇となり4か月ぶりの上昇、電子部品・デバイスが7.8%の低下となり2か月ぶりの低下、電気機械が0.7%の低下となり2か月ぶりの低下、一般機械が2.0%の低下となり2か月連続の低下となった。
在庫指数(季節調整済)は85.7と前月比3.3%低下した。
【電力】
大口需要電力実績(11月)は、107,887千kWh(前年同月比4.2%減)と2か月続いて前年を下回った。鉱工業用の大口需用電力を主要4区分でみると、鉄鋼、その他の製造の区分は前年を上回ったが、パルプ・紙、機械は前年を下回った。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(12月)は、野菜が1,458t(前年同月比0.1%減)と12か月続いて前年を下回り、果実は901t(前年同月比15.0%減)と5か月続いて前年を下回った。
鳥取市場の鳥取県産青果物卸売量(12月)は、野菜が610tで市場全体に占める割合は41.8%(前年同月比3.4ポイント低下)、果実は132tで市場全体に占める割合は14.7%(前年同月比1.1ポイント低下)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(12月)は、7,357t(前年同月比14.0%減)と3か月ぶりに前年を下回った。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(12月)は、1.11倍(前月差0.09ポイント低下、前年同月差0.22ポイント上昇)であった。なお、新規求人数(12月)は、2,909人(前年同月比11.2%増)と5か月続いて前年を上回った。
有効求人倍率(12月)は、0.67倍(前月と同水準、前年同月差0.19ポイント上昇)となっており、7か月続いて0.6倍となった。
【賃金】
現金給与総額(11月)は、253,841円(前年同月比0.6%増)と5か月続いて前年を上回った。そのうち、きまって支給する給与(11月)は、242,245円(前年同月比0.3%増)で2か月続いて前年を上回った。
【労働時間】
所定外労働時間(11月)は8.6時間(前年同月比7.6%増)と12か月続いて前年を上回った。主力の製造業は19.6%増となった。〔産業別の前年同月比では、金融業・保険業(前年同月比9.9%増)等で前年を上回り、電気・ガス・熱供給・水道業(前年同月比41.0%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(11月末)は、1兆9,959億円(前年同月比3.2%増)と23か月続いて前年を上回り、貸出金残高(11月末)は、1兆1,362億円(前年同月比0.8%増)と19か月続いて前年を上回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(11月)は先行指数が9月37.5、10月12.5、11月75.0、一致指数が9月12.5、10月37.5、11月37.5、遅行指数9月33.3、10月30.0、11月20.0となった。
・ 企業倒産(12月)は件数が6件で前年に比べて2件増加(前年同月比50.0%増)、負債総額は16億7,700万円で前年に比べて46億4,300万円減少(前年同月比73.5%減)した。
・ 消費者物価指数(12月:鳥取市、総合、平成17年=100)は98.8(前月比0.4%低下、前年同月比0.7%低下)となった。
・ 鳥取県の推計人口(1月1日現在)587,352人で、前月と比べて129人(0.02%)減少し、前年同月と比べて3,361人(0.57%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成22年11月調査でみると、平成22年10~12月期は、平成22年7~9月期)に比べると、景気、売上高及び経常利益のいずれもがやや不調となっている。また、平成23年1~3月期は、平成22年10~12月期と比べると、景気、売上高及び経常利益のいずれもが不調となる見通しとなっている。