内閣府は、平成23年2月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、持ち直しに向けた動きがみられ、足踏み状態を脱しつつある。ただし、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。
・輸出、生産は、持ち直しの動きがみられる。
・企業収益は、改善している。設備投資は、持ち直している。
・企業の業況判断は、慎重さがみられる。
・雇用情勢は、依然として厳しいものの、持ち直しの動きがみられる。
・個人消費は、このところおおむね横ばいとなっている。
・物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
先行きについては、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待される。一方、海外景気や為替レート、原油価格の動向等によっては、景気が下振れするリスクが存在する。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。
政府は、「新成長戦略」に基づき、日本経済を本格的な回復軌道に乗せるとともにデフレを終結させるよう政策運営を行う。
このため、「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」を着実に実施し、平成23年度予算及び関連法案の早期成立に努める。また、1月24日、「平成23年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」を閣議決定した。
政府は、デフレからの脱却を喫緊の課題と位置づけ、日本銀行と一体となって、強力かつ総合的な政策努力を行う。日本銀行に対しては、引き続き、政府と緊密な情報交換・連携を保ちつつ、適切かつ機動的な金融政策の運営によって経済を下支えするよう期待する。
(各論)
○消費・投資などの需要動向
個人消費は、このところおおむね横ばいとなっている。消費者マインドは、おおむね横ばいとなっている。実質雇用者所得はおおむね横ばいとなっている。設備投資は、持ち直している。住宅建設は、持ち直している。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は、持ち直しの動きがみられる。輸入は、横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、横ばいになっている。
○企業活動と雇用情勢
鉱工業生産は、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、輸出が持ち直し傾向で推移する中で、持ち直していくことが期待される。企業収益は、改善している。企業の業況判断は、慎重さがみられる。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。雇用情勢は、依然として厳しいものの、持ち直しの動きがみられる。
○物価と金融情勢
国内企業物価は、このところ緩やかに上昇している。消費者物価は、このところ下落テンポが緩やかになっている。株価(日経平均株価)は、10,300円台から10,200円台まで下落した後、10,800円台まで上昇している。対米ドル円レートは、82円台から81円台まで円高方向で推移した後、83円台まで円安方向で推移している。
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需要面の個人消費では、大型小売店販売額(12月)が、店舗調整後(新規店舗等を除く)は前年を下回った。ホームセンター・家電量販店販売額(12月)は前年を下回り、乗用車新車新規登録台数(1月)も前年を下回った。
建設等では、公共工事請負金額(1月)は前年を下回ったが、新設住宅着工戸数(1月)、用途別着工建築物工事金額(1月)は前年を上回った。
産業面では、鉱工業生産指数(12月、季節調整済)が90.8で前月から5.2%低下した。なお、大口需要電力実績(12月)は、鉱工業用の大口需用電力主要4区分でみると、機械の区分は前年を下回ったが、それ以外の区分では前年を上回った。
雇用面では、新規求人倍率(1月)は、1.40倍(前月差0.26ポイント上昇、前年同月差0.38ポイント上昇)であった。有効求人倍率(1月)は、0.72倍(前月差0.04ポイント上昇、前年同月差0.21ポイント上昇)と、0.7倍台となっている。
きまって支給する給与(12月)は前年を下回ったが、所定外労働時間(12月)は前年を上回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(12月)は、全店舗計では64億4,500万円となり前年同月比3.0%減と6か月続いて前年を下回り、店舗調整後でも前年同月比2.2%減(全国は前年同月比1.7%減)と前年を下回った。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が22億300万円(前年同月比3.6%減)、スーパーが42億4,300万円(前年同月比2.7%減)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(12月)は、42億1,100万円(前年同月比9.0%減)と16か月ぶりに前年を下回った。内訳では、ホームセンターが24億300万円(前年同月と同水準)、家電量販店販売額が18億800万円(前年同月比15.6%減)であった。
乗用車新車新規登録台数(1月)は、1,183台(前年同月比21.7%減)と5か月続いて前年を下回った。内訳では、普通車、小型車及び軽自動車の全ての区分で前年を下回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(1月)は、180戸(前年同月比83.7%増)と3か月続いて前年を上回った。内訳では、持家系(前年同月比75.0%増)、貸家系(前年同月比100.0%増)ともに前年を上回った。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(1月)は、61億9,200万円(前年同月比約30倍)と4か月続いて前年を上回った。用途別では、卸売業・小売業(前年同月比約80倍)等で前年を上回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(1月)は、34億6,000万円(前年同月比17.6%減)と7か月続いて前年を下回った。発注者別の内訳では、国(前年同月比27.4%減)、県(前年同月比25.9%減)等で前年を下回ったが、市町村(前年同月比10.4%増)は前年を上回った。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(12月)は、生産指数(季節調整済)が90.8となり前月比は5.2%低下となったが、原指数は101.3となり前年同月比では2.0%上昇した。
内訳を前月比で見ると、食料品・たばこが6.8%の低下となり2か月ぶりの低下、電子部品・デバイスが5.0%の低下となり2か月連続の低下、電気機械が8.4%の低下となり2か月連続の低下、一般機械が1.9%の低下となり3か月連続の低下となった。
在庫指数(季節調整済)は87.9と前月比2.6%上昇した。
【電力】
大口需要電力実績(12月)は、127,796千kWh(前年同月比1.6%減)と3か月続いて前年を下回った。鉱工業用の大口需用電力を主要4区分でみると、機械の区分は前年を下回ったが、それ以外の区分では前年を上回った。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(1月)は、野菜が1,215t(前年同月比4.9%増)と13か月ぶりに前年を上回ったが、果実は530t(前年同月比14.8%減)と6か月続いて前年を下回った。
鳥取市場の鳥取県産青果物卸売量(1月)は野菜が288tで市場全体に占める割合は23.7%(前年同月差11.4ポイント低下)、果実は11tで市場全体に占める割合は2.1%(前年同月差2.1ポイント低下)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(1月)は、9,472t(前年同月比7.2%増)と前年を上回った。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(1月)は、1.40倍(前月差0.26ポイント上昇、前年同月差0.38ポイント上昇)であった。なお、新規求人数(1月)は、3,863人(前年同月比10.2%増)と6か月続いて前年を上回った。
有効求人倍率(1月)は、0.72倍(前月差0.04ポイント上昇、前年同月差0.21ポイント上昇)となっており、0.7倍台となった。
【賃金】
現金給与総額(12月)は、525,674円(前年同月比1.4%増)と6か月続いて前年を上回った。そのうち、きまって支給する給与(12月)は、239,672円(前年同月比0.4%減)で3か月ぶりに前年を下回った。
【労働時間】
所定外労働時間(12月)は、9.3時間(前年同月比16.3%増)と13か月続いて前年を上回った。主力の製造業は13.1%増となった。〔産業別の前年同月比では、卸売業・小売業(前年同月比30.5%増)等で前年を上回り、複合サービス事業(前年同月比11.6%減)で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(12月末)は、2兆134億円(前年同月比2.7%増)と24か月続いて前年を上回り、貸出金残高(12月末)は、1兆1,452億円(前年同月比0.6%増)と20か月続いて前年を上回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(12月)は、先行指数が10月12.5、11月75.0、12月68.8、一致指数が10月37.5、11月37.5、12月50.0、遅行指数が10月30.0、11月20.0、12月40.0となった。
・ 企業倒産(1月)は、件数が3件で前年と同数となり、負債総額は19億5,000万円で前年に比べて4億8,700万円減少(前年同月比20.0%減)した。
・ 消費者物価指数(1月:鳥取市、総合、平成17年=100)は、98.8(前月と同水準、前年同月比0.3%低下)となった。
・ 鳥取県の推計人口(2月1日現在)は、586,936人で、前月と比べて416人(0.07%)減少し、前年同月と比べて3,494人(0.59%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成23年2月調査でみると、平成23年1~3月期は、平成22年10~12月期に比べると、景気及び経常利益がきわめて不調、売上高が不調となっている。また、平成23年4~6月期は、平成23年1~3月期に比べると、景気が同程度、売上高及び経常利益がやや不調となる見通しとなっている。