内閣府は、平成23年4月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、持ち直していたが、東日本大震災の影響により、このところ弱い動きとなっている。また、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。
・輸出は、持ち直しの動きがみられたものの、東日本大震災の影響による減少が懸念される。生産は、持ち直していたものの、東日本大震災の影響により、このところ生産活動が低下している。
・企業収益は、改善しているが、東日本大震災の影響が懸念される。設備投資は、持ち直している。
・企業の業況判断は、慎重さがみられる。
・雇用情勢は、依然として厳しいものの、持ち直しの動きがみられる。ただし、東日本大震災の影響が懸念される。
・個人消費は、持ち直しの動きがみられたものの、東日本大震災の影響により、このところ弱い動きもみられる。
・物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
先行きについては、当面は東日本大震災の影響から弱い動きが続くと見込まれる。その後、生産活動が回復していくのに伴い、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待されるが、電力供給の制約やサプライチェーン立て直しの遅れ、原油価格上昇の影響等により、景気が下振れするリスクが存在する。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。
政府は、東日本大震災の影響等を踏まえ、国民生活及び経済活動の安定に総力を挙げて取り組む。このため、被災地への支援のための補正予算を早急に編成する。
日本銀行に対しては、引き続き政府と緊密な情報交換・連携を保ちつつ、適切かつ機動的な対応によって経済を下支えするよう期待する。
日本銀行は、4月7日、被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーションの実施等について具体的な検討を行うこととしている。
(各論)
○消費・投資などの需要動向
個人消費は、持ち直しの動きがみられたものの、東日本大震災の影響により、このところ弱い動きもみられる。2月までの動きをみると、消費者マインドは、おおむね横ばいで推移している。実質雇用者所得はおおむね横ばいとなっている。設備投資は、持ち直している。住宅建設は、持ち直している。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は、持ち直しの動きがみられたものの、東日本大震災の影響による減少が懸念される。輸入は、持ち直しの動きがみられる。貿易・サービス収支の黒字は、横ばいとなっている。
○企業活動と雇用情勢
鉱工業生産は、持ち直していたものの、東日本大震災の影響により、このところ生産活動が低下している。先行きについては、生産活動が再開する中で持ち直していくことが期待される。ただし、電力供給の制約等に留意する必要がある。また、第3次産業活動は持ち直している。企業収益は、改善しているが、東日本大震災の影響が懸念される。企業の業況判断は、慎重さがみられる。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。雇用情勢は、依然として厳しいものの、持ち直しの動きがみられる。ただし、東日本大震災の影響が懸念される。
○物価と金融情勢
国内企業物価は、上昇している。消費者物価は、下落テンポが緩やかになっている。株価(日経平均株価)は、9,400円台から9,700円台まで上昇している。対米ドル円レートは、80円台から85円台まで円安方向で推移した後、84円台で推移している。
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需要面の個人消費では、大型小売店販売額(2月)が、全店舗計、店舗調整後(新規店舗を除く)とも前年を上回った。ホームセンター・家電量販店販売額(2月)も前年を上回ったが、乗用車新車新規登録台数(3月)は前年を下回った。
建設等では、新設住宅着工戸数(3月)、用途別着工建築物工事金額(3月)は前年を上回ったが、公共工事請負金額(3月)は前年を下回った。
産業面では、鉱工業生産指数(2月、季節調整済)が88.3で前月比5.9%低下した。なお、大口需要電力実績(2月)は、鉱工業用主要4区分のうち、パルプ・紙及び機械の区分で前年を下回った。
雇用面では、新規求人倍率(3月)は、1.16倍(前月差0.01ポイント低下、前年同月差0.13ポイント上昇)であった。有効求人倍率(3月)は、0.74倍(前月差0.03ポイント上昇、前年同月差0.16ポイント上昇)と3か月続けて0.7倍台となっている。
きまって支給する給与(2月)、所定外労働時間(2月)はともに前年を上回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(2月)は、全店舗計では48億2,800万円となり、前年同月比1.6%増と8か月ぶりに前年を上回り、店舗調整後でも前年同月比2.5%増(全国は前年同月比0.5%増)と前年を上回った。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が14億5,900万円(前年同月比1.2%増)、スーパーが33億6,900万円(前年同月比1.7%増)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(2月)は28億8,200万円(前年同月比8.6%増)と3か月ぶりに前年を上回った。内訳ではホームセンターが14億6,100万円(前年同月比4.8%増)、家電量販店販売額が14億2,200万円(前年同月比10.0%増)であった。
乗用車新車新規登録台数(3月)は2,449台(前年同月比30.0%減)と7か月続いて前年を下回った。内訳では、普通車、小型車及び軽自動車の全ての区分で前年を下回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(3月)は196戸(前年同月比43.1%増)と2か月ぶりに前年を上回った。内訳では、持家系(前年同月比3.2%増)、貸家系(前年同月比130.2%増)ともに前年を上回った。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(3月)は11億5,600万円(前年同月比123.2%増)と前年を上回った。用途別では、製造業(前年同月比約22倍)等で前年を上回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(3月)は100億8,200万円(前年同月比23.2%減)と9か月続いて前年を下回った。発注者別内訳では、国(前年同月比23.1%増)、は前年を上回ったが、県(前年同月比30.0%減)、市町村(前年同月比20.7%減)等で前年を下回った。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(2月)は生産指数(季節調整済)が88.3となり前月比は5.9%低下、原指数は84.8となり前年同月比では0.7%上昇した。
内訳を前月比で見ると、食料品・たばこが1.5%上昇となり2か月連続の上昇、電子部品・デバイスが1.0%の上昇となり2か月続いて上昇、電気機械が2.1%の上昇となり2か月連続の上昇、一般機械が45.1%の上昇となり5か月ぶりの上昇となった。
在庫指数(季節調整済)は90.8と前月比4.7%上昇した。
【電力】
大口需要電力実績(2月)は115,538千kWh(前年同月比4.0%減)と5か月続いて前年を下回った。鉱工業用電力を主要4区分でみると、パルプ・紙及び機械の区分で前年を下回ったが、それ以外の区分では上回った。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(3月)は野菜が1,456t(前年同月比5.0%増)と3か月続けて前年を上回ったが、果実は659t(前年同月比9.8%減)と8か月続いて前年を下回った。
鳥取市場の青果物販売量(3月)のうち鳥取県産の卸売量は野菜が379tで市場全体に占める割合は26.0%(前年同月差1.3ポイント上昇)、果実は17tで市場全体に占める割合は2.6%(前年同月差0.5ポイント上昇)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(3月)は10,526t(前年同月比97.4%増)と3か月続いて前年を上回った。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(3月)は1.16倍(前月差0.01ポイント低下、前年同月差0.13ポイント上昇)であった。なお、新規求人数(3月)は4,577人で前年同月比7.9%の増であった。
有効求人倍率(3月)は0.74倍(前月差0.03ポイント上昇、前年同月差0.16ポイント上昇)となっており、3か月続いて0.7倍台となっている。
【賃金】
現金給与総額(2月)は239,809円(前年同月比1.4%増)と2か月ぶりに前年を上回った。そのうち、きまって支給する給与(2月)は、239,365円(前年同月比1.3%増)で3か月ぶりに前年を上回った。
【労働時間】
所定外労働時間(2月)は8.4時間(前年同月比9.1%増)と15か月続いて前年を上回った。主力の製造業は14.2%増となった。〔産業別の前年同月比では、教育・学習支援業(前年同月比61.5%増)等で前年を上回り、複合サービス事業(前年同月比27.7%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(2月末)は1兆9,870億円(前年同月比2.4%増)と26か月続いて前年を上回り、貸出金残高(2月末)は1兆1,472億円(前年同月比0.7%増)と22か月続いて前年を上回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(2月)は先行指数が12月68.8、1月31.3、2月37.5、一致指数が12月50.0、1月37.5、2月68.8、遅行指数12月50.0、1月40.0、2月40.0となった。
・ 企業倒産(3月)は件数が7で前年に比べて6件増加(前年同月比600.0%増)し、負債総額は38億2,000万円で前年に比べて37億2,000万円増加(前年同月比約38倍)した。
・ 消費者物価指数(3月:鳥取市、総合、平成17年=100)は98.7(前月と同水準、前年同月と同水準)となった。
・ 鳥取県の推計人口(4月1日現在)584,982人で、前月と比べて1,653人(0.28%)減少し、前年同月と比べて3,395人(0.58%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成23年2月調査でみると、平成23年1~3月期は前四半期(平成22年10~12月期)に比べると、景気及び経常利益がきわめて不調、売上高が不調となっている。