内閣府は、平成２３年６月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。

（総論）

　景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、このところ上向きの動きがみられる。
・生産は、東日本大震災の影響により減少していたが、上向きの動きがみられる。輸出は、減少していたが、上向きの動きがみられる。
・企業収益は、増勢が鈍化している。設備投資は、東日本大震災の影響により、このところ弱い動きがみられる。
・企業の業況判断は、慎重さがみられる。
・雇用情勢は、東日本大震災の影響により、このところ持ち直しの動きに足踏みがみられ、依然として厳しい。
・個人消費は、引き続き弱さがみられるものの、下げ止まりつつある。
・物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
　先行きについては、サプライチェーンの立て直しが進み、生産活動が回復していくのに伴い、海外経済の緩やかな回復や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、電力供給の制約や原子力災害及び原油高の影響に加え、海外経済の回復がさらに緩やかになること等により、景気が下振れするリスクが存在する。また、デフレの影響や雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。
　政府は、「政策推進指針」に基づき、大震災がもたらした制約を順次、確実に克服するとともに、日本経済の潜在的な成長力を回復するよう取り組む。このため、平成２３年度１次補正予算の速やかな執行等により、震災からの早期立ち直りを図る。
　日本銀行に対しては、引き続き、政府と緊密な情報交換・連携を保ちつつ、適切かつ機動的な金融政策運営によって経済を下支えするよう期待する。
　日本銀行は、６月１４日、成長基盤強化支援資金供給における新たな貸付枠の設定を決定した。

（各論）

○消費・投資などの需要動向
　個人消費は、引き続き弱さがみられるものの、下げ止まりつつある。消費者マインドは、悪化傾向に歯止めがかかりつつある。設備投資は、東日本大震災の影響により、このところ弱い動きがみられる。住宅建設は、東日本大震災の影響もあり、弱い動きがみられる。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は、減少していたが、上向きの動きがみられる。輸入は、持ち直しの動きがみられる。貿易・サービス収支は赤字傾向で推移している。

○企業活動と雇用情勢
　鉱工業生産は、東日本大震災の影響により減少していたが、サプライチェーンの立て直しにより、上向きの動きがみられる。先行きについては、サプライチェーンの回復とともに生産が持ち直していくことが期待される。ただし、電力供給の制約等に留意する必要がある。また、第３次産業活動は、低下したものの、下げ止まりの動きがみられる。企業収益は、増勢が鈍化している。企業の業況判断は、慎重さがみられる。倒産件数は、緩やかな増加傾向にある。雇用情勢は、東日本大震災の影響により、このところ持ち直しの動きに足踏みがみられ、依然として厳しい。

○物価と金融情勢
　国内企業物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。消費者物価は、前月比ではこのところ横ばいとなっているが、前年比では下落が続いている。株価（日経平均株価)は、９，４００円台から９，７００円台まで上昇した後、９，３０円台まで下落し、その後９，４００円台で推移している。対米ドル円レートは、８２円台から７９円台まで円高方向で推移した後、８０円台で推移している。

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　需要面の個人消費では、大型小売店販売額（４月）が、店舗調整後（新規店舗を除く）は前年を下回った。ホームセンター・家電量販店販売額（４月）、乗用車新車新規登録台数（５月）も前年を下回った。
　建設等では、用途別着工建築物工事金額（５月）は前年を上回ったが、新設住宅着工戸数（５月）、公共工事請負金額（５月）は前年を下回った。

　産業面では、鉱工業生産指数（４月、季節調整済）が８７．４で前月比１．９％低下した。なお、大口需要電力実績（４月）は、鉱工業用主要４区分でみると、その他の製造の区分で前年を上回ったが、それ以外の区分では下回った。

　雇用面では、新規求人倍率（５月）は、１．１０倍（前月差０．１８ポイント低下、前年同月差０．１２ポイント上昇）であった。有効求人倍率（５月）は、０．７１倍（前月差０．０１ポイント上昇、前年同月差０．１４ポイント上昇）と、５か月続いて０．７倍台となっている。きまって支給する給与（４月）は前年を下回ったが、所定外労働時間（４月）は前年を上回った。

○需要面の動き

【個人消費】
　大型小売店販売額（４月）は、全店舗計では５１億２，１００万円となり、前年同月比２．４％減と２か月続いて前年を下回り、店舗調整後でも前年同月比１．５％減（全国は前年同月比１．９％減）と前年を下回った。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が１５億３，６００万円（前年同月比１．９％減）、スーパーが３５億８，４００万円（前年同月比２．６％減）であった。
　ホームセンター・家電量販店販売額（４月）は３３億２，３００万円（前年同月比２．６％減）と３か月ぶりに前年を下回った。内訳ではホームセンターが２０億７００万円（前年同月比０．９％増）、家電量販店販売額が１３億１，６００万円（前年同月比１．４％減）であった。
　乗用車新車新規登録台数（５月）は１，１１４台（前年同月比２９．９％減）と９か月続いて前年を下回った。内訳では、普通車、小型車及び軽自動車の全ての区分で前年を下回った。

【住宅建設】
　新設住宅着工戸数（５月）は１５７戸（前年同月比１．３％減）と３か月ぶりに前年を下回った。内訳では、持家系（前年同月比２．０％減）は前年を下回ったが、貸家系は前年と同水準であった。

【設備投資】
　用途別着工建築物工事金額（５月）は３２億８，７００万円（前年同月比３８７．７％増）と前年を上回った。用途別では、製造業（前年同月比９６．０％減）等で前年を下回り、医療・福祉（前年同月比４１９．５％増）等で前年を上回った。

【公共工事】
　公共工事請負金額（５月）は４４億８，８００万円（前年同月比７６．２％減）と前年を下回った。発注者別内訳では、国（前年同月比８９．３％減）、県（前年同月比１１．７％減）、市町村（前年同月比６８．８％減）等で前年を下回った。

○産業面の動き

【産業活動】
　鉱工業指数（４月）は生産指数（季節調整済）が８７．４となり前月比は１．９％低下、原指数も８０．７となり前年同月比では１５．９％低下した。
　内訳を前月比で見ると、食料品・たばこが９．４％低下となり４か月ぶりの低下、電子部品・デバイスが８．１％の低下となり２か月続いて低下、電気機械が１２．７％の低下となり３か月ぶりの低下、一般機械が５．９％の上昇となり２か月ぶりの上昇となった。
　在庫指数（季節調整済）は８０．５と前月比６．９％低下した。

【電力】
　大口需要電力実績（４月）は９２，３３８千kWh（前年同月比１４．８％減）と７か月続いて前年を下回った。鉱工業用大口需要電力を主要４区分でみると、その他の製造の区分で前年を上回ったが、それ以外の区分では前年を下回った。

【青果物卸売量】
　鳥取市場の青果物卸売量（５月）は野菜が１，５５７ｔ（前年同月比６．９％増）と５か月続けて前年を上回り、果実は６６４t（前年同月比１．６％減）と２か月ぶりに前年を下回った。
  鳥取市場の青果物販売量（５月）のうち鳥取県産の卸売量は野菜が４４４ｔで市場全体に占める割合は２８．５％（前年同月差０．６ポイント上昇）、果実は２２ｔで市場全体に占める割合は３．３％（前年同月差０．５ポイント上昇）であった。

【漁獲量】
　境港の漁獲量（５月）は１８，３６３ｔ（前年同月比２４．１％増）と５か月続いて前年を上回った。

○雇用・金融面の動き

【雇用】
　新規求人倍率（５月）は１．１０倍（前月差０．１８ポイント低下、前年同月差０．１２ポイント上昇）であった。なお、新規求人数（５月）は３，３５２人で前年同月比１０．９％の増であった。
　有効求人倍率（５月）は０．７１倍（前月差０．０１ポイント上昇、前年同月差０．１４ポイント上昇）となっており、５か月続いて０．７倍台となった。

【賃金】
　現金給与総額（４月）は２４８，８０８円（前年同月比０．６％減）と３か月ぶりに前年を下回った。そのうち、きまって支給する給与（４月）は、２４３，４４７円（前年同月比０．２％減）で３か月ぶりに前年を下回った。

【労働時間】
　所定外労働時間（４月）は８．５時間（前年同月比３．６％増）と１７か月続いて前年を上回った。主力の製造業は５．７％増となった。〔産業別の前年同月比では、他に分類されないサービス業（前年同月比６３．０％増）等で前年を上回り、生活関連サービス業・娯楽業（前年同月比４１．９％減）等で前年を下回った。〕

【預金・貸出金残高】
　預金残高（４月末）は２兆３０９億円（前年同月比４．０％増）と２８か月続いて前年を上回り、貸出金残高（４月末）は１兆１，２７３億円（前年同月比０．７％減）と２か月続いて前年を下回った。

○参考

・　鳥取県景気動向指数（４月）は先行指数が２月５０．０、３月５０．０、４月５０．０、一致指数が２月８１．３、３月６２．５、４月５０．０、遅行指数が２月３３．３、３月５０．０、４月６０．０となった。

・　企業倒産（５月）は件数が３件で前年に比べて２件増加（前年同月比２００．０％増）し、負債総額は４３億６，０００万円で前年に比べて４１億６，０００万円増加（前年同月比２１．８倍)した。

・　消費者物価指数（５月:鳥取市、総合、平成１７年＝100）は９９．２（前月比０．４％上昇、前年同月比０．６％上昇）となった。

 ・　鳥取県の推計人口（６月１日現在）５８４，９９１人で、前月と比べて２０８人（０．０４％）減少し、前年同月と比べて３，３１７人（０．５６％）減少した。

・　鳥取県の企業経営者の見通し（主要３００事業所、年４回調査）を平成２３年５月調査でみると、平成２３年４～６月期は前四半期（平成２３年１～３月期）に比べると、景気、売上高及び経常利益のいずれもが不調となっている。