内閣府は、平成18年12月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、消費に弱さがみられるものの、回復している。企業収益は改善し、設備投資は増加している。雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。個人消費は、おおむね横ばいとなっている。輸出は、横ばいとなっている。生産は、緩やかに増加している。
先行きについては、企業部門の好調さが持続しており、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。
政府は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」に基づき、構造改革を加速・深化する。12月1日、「平成19年度予算編成の基本方針」を閣議決定した。また、12月19日、「平成19年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」を閣議了解し、12月24日、平成19年度予算政府案(概算)を閣議決定した。
政府・日本銀行は、マクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、重点強化期間内に物価の安定基調を確実なものとするとともに、物価安定の下での民間主導の持続的な成長を図るため、一体となった取組を行う。
(各論)
消費・投資などの需要動向をみると、個人消費は、おおむね横ばいとなっている。設備投資は、企業収益の改善や需要の増加等を受けて、増加している。住宅建設は、このところ増加している。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は横ばいとなっている。輸入は横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、横ばいとなっている。
企業活動と雇用情勢をみると、鉱工業生産は、設備投資の増加などに支えられて、緩やかに増加している。企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、緩やかに改善している。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。
物価と金融情勢をみると、国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。消費者物価は、横ばいとなっている。なお、消費者物価の前年比は上昇しているものの、石油製品、その他特殊要因を除くとゼロ近傍で推移している。株価は、15,700円(日経平均株価)台から16,700円台まで上昇している。為替レートは、対米ドル円レートで116円台から114円台まで円高方向で推移した後、118円台まで円安方向で推移している。
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需要面の個人消費では、大型小売店販売額(10月)が、全店舗計、店舗調整後(新規店舗を除く)とも前年を下回った。ホームセンター・家電量販店販売額(10月)は前年を下回り、乗用車新車新規登録台数(11月)も前年を下回った。
建設等では、新設住宅着工戸数(11月)、公共工事請負金額(11月)は前年を上回ったが、用途別着工建築物工事金額(11月)は前年を下回った。
産業面では、鉱工業生産指数(10月、季節調整済)が電気機械工業等の増により80.9で前月比22.0%上昇した。また、大口需要電力実績(10月)のうち鉱工業は前年を上回った。
雇用面では、新規求人倍率(11月)は、1.17倍(前月と同水準、前年同月差0.03ポイント低下)であった。有効求人倍率(11月)は、0.76倍(前月と同水準、前年同月差0.05ポイント低下)と8年9か月連続で1.0倍を割り込んでいる。
現金給与総額(10月)は前年を下回り、所定外労働時間(10月)は前年を上回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(10月)は、全店舗計では53億5,950万円となり、前年同月比5.7%減と15か月続いて前年を下回り、店舗調整後でも、前年同月比2.8%減(全国1.6%減)と2か月続いて前年を下回っている。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が22億212万円(前年同月比3.0%減)、スーパーが31億5,738万円(前年同月比7.5%減)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(10月)は、30億4,832万円(前年同月比1.5%減)と3か月ぶりに前年を下回った。内訳では、ホームセンターが18億9,123万円 (前年同月比1.0%増)、家電量販店販売額が11億5,709万円(前年同月比5.3%減)であった。
乗用車新車新規登録台数(11月)は、1,792台(前年同月比0.8%減)と5か月続いて前年を下回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(11月)は、465戸(前年同月比62.0%増)と2か月ぶりに前年を上回った。増加の内訳では、貸家の増加(前年同月比177.2%増)が大きかった。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(11月)は、41億7,305万円(前年同月比62.7%減)と2か月ぶりに前年を下回った。用途別では、医療、福祉用(前年同月比74.5%減)等が前年を下回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(11月)は、81億6,200万円(前年同月比11.4%増)と4か月ぶりに前年を上回った。発注者別内訳では、国の増(前年同月比128.4%増)が大きな割合を占めた。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(10月)は、生産指数(季節調整済)が80.9となり前月比は22.0%上昇、原指数は、82.9となり前年同月比では14.5%上昇した。
内訳を前月比で見ると、電気機械が液晶素子等の生産増により45.8%の上昇、食料品・たばこが5.7%の低下、一般機械が73.4%の上昇、繊維が8.1%の低下となっている。
在庫指数(季節調整済)は69.6と前月比6.9%の上昇となった。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(11月)は、野菜が1,443t(前年同月比5.6%減)と2か月ぶりに前年を下回り、果実は1,032t(前年同月比18.7%減)と6か月続いて前年を下回った。。
鳥取市場の青果物販売量(11月)のうち鳥取県産の卸売量は野菜が716tで全体に占める割合は49.6%(前年同月差1.7ポイント低下)、果実は346tで全体に占める割合は33.5%(前年同月差4.1ポイント上昇)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(11月)は、15,916t(前年同月比19.9%増)と4か月続いて前年を上回った。
【電力】
大口需要電力実績(10月)は、146,531千kWh(前年同月比1.8%増)と2か月ぶりに前年を上回り、鉱工業はパルプ・紙等で増となり3.5%増加した。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(11月)は、1.17倍(前月と同水準、前年同月差0.03ポイント低下)であった。なお、新規求人数(11月)は、4,204人で前年同月比0.5%の増であった。
有効求人倍率(11月)は、0.76倍(前月と同水準、前年同月差0.05ポイント低下)と8年9か月連続で1.0倍を割っている。
【賃金】
現金給与総額(10月)は、252,180円(前年同月比1.7%減)と4か月続いて前年を下回った。そのうち、きまって支給する給与(10月)は、251,868円で4か月続いて前年を下回った。
【労働時間】
所定外労働時間(10月)は、9.5時間(前年同月比3.3%増)と3か月続いて前年を上回った。主力の製造業は4.7%減となった。〔実数による前年同月比では、教育、学習支援業(前年同月比209.4%増)等で前年を上回り、飲食店、宿泊業(前年同月比54.9%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(10月末)は、1兆8,191億円(前年同月比0.2%増)と2か月続いて前年を上回り、貸出金残高(10月末)は、1兆1,567億円(前年同月比1.5%減)と2か月続いて前年を下回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(10月)は、先行指数が8月37.5、9月37.5、10月25.0、一致指数が8月25.0、9月43.8、10月50.0、遅行指数8月40.0、9月40.0、10月60.0となった。
・ 企業倒産(11月)は、件数が7件で前年同月に比べて4件増加(前年同月比133.3%増)で、負債総額は6億5,500万円で前年同月に比べて51億8,500万円減少(前年同月比88.8%減)した。
・ 消費者物価指数(11月:鳥取市、総合、平成17年=100)は、99.1(前月比0.6%下落、前年同月比0.4%下落)となり、前月比は2か月ぶりに下落し、前年同月比は3か月続いて下落した。
・ 鳥取県の推計人口(12月1日現在)603,825人で、前月と比べて169人(0.03%)減少し、前年同月と比べて2,962人(0.49%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成18年11月調査でみると、平成19年1~3月期は、前四半期(平成18年10~12月期)に比べると、景気、売上高、経常利益のすべてで不調となる見通しとなっている。