内閣府は、平成18年4月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、回復している。企業収益は改善し、設備投資は増加している。個人消費は、緩やかに増加している。雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。輸出は増加し、生産は緩やかに増加している。
先行きについては、企業部門の好調さが家計部門へ波及しており、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。
政府は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」に基づき、構造改革を加速・拡大する。また、平成18年度予算、税制改正法案等の成立を受け、これらを着実に執行・実施する。
重点強化期間内におけるデフレからの脱却を確実なものとするため、政府・日本銀行は一体となった取組を行う。
(各論)
消費・投資などの需要動向をみると、個人消費は、緩やかに増加している。設備投資は、増加している。住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は増加している。輸入は緩やかに増加している。貿易・サービス収支の黒字は、横ばいとなっている。
企業活動と雇用情勢をみると、鉱工業生産は、緩やかに増加している。企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、一部に慎重さがみられるものの、緩やかに改善している。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。
物価と金融情勢をみると、国内企業物価は、素材価格の上昇により上昇している。消費者物価は、横ばいとなっている。株価は、16,000円台(日経平均株価)から17,500円台まで上昇した後、17,100円台まで下落している。長期金利は、1.7%付近で推移した後、1.8%台後半まで上昇している。
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需要面の個人消費では、大型小売店販売額(2月)が、全店舗計、店舗調整後(新規店舗を除く)とも前年を下回った。ホームセンター販売額(2月)、家電量販店販売額(2月)、乗用車新車新規登録台数(3月)も前年を下回った。
建設等では、用途別着工建築物工事金額(3月)は前年を上回ったが、新設住宅着工戸数(3月)、公共工事請負金額(3月)は前年を下回った。
産業面では、鉱工業生産指数(2月、季節調整済)が電気機械工業等の増により75.2で前月比7.6%上昇した。また、大口需要電力実績(2月)のうち鉱工業も前年を上回った。
雇用面では、新規求人倍率(3月)は、1.32倍(前月差0.08ポイント上昇、前年同月差0.01ポイント上昇)であった。有効求人倍率(3月)は、0.83倍(前月差0.02ポイント上昇、前年同月差0.05ポイント上昇)と8年1か月連続で1.0倍を割り込んでいる。
現金給与総額(2月)、所定外労働時間(2月)とも前年を上回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(2月)は、全店舗計では48億5,847万円となり、前年同月比7.4%減と7か月続いて減少し、店舗調整後でも、前年同月比3.4%減(全国1.9%減)と41か月連続して減少している。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が18億6,277万円(前年同月比2.3%減)、スーパーが29億9,570万円(前年同月比10.3%減)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(2月)は、ホームセンター販売額が13億7,900万円(前年同月比1.1%減)と2か月続いて前年を下回り、家電量販店販売額も11億3,967万円(前年同月比18.8%減)と2か月続いて前年を下回った。
乗用車新車新規登録台数(3月)は、4,417台(前年同月比4.2%減)と2か月ぶりに前年を下回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(3月)は、213戸(前年同月比22.0%減)と2か月ぶりに前年を下回った。減少の内訳では、貸家の減少(前年同月比70.6%減)が大きかった。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(3月)は、11億6,455万円(前年同月比41.4%増)と3か月ぶりに前年を上回った。用途別では、鉱工業用(690.7%増)、商業用(121.6%増)が前年を上回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(3月)は、145億3,000万円(前年同月比7.8%減)と3か月ぶりに前年を下回った。発注者別内訳では、国の減(前年同月比28.3%減)が大きな割合を占めた。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(2月)は、生産指数(季節調整済)が75.2となり前月比は7.6%上昇した。
内訳を前月比で見ると、電気機械が通信機械器具等の生産増により28.5%の上昇、食料品・たばこが2.0%の低下、一般機械が32.0%の低下、繊維が0.2%の低下となっている。
在庫指数(季節調整済)は76.5と前月比8.9%の低下となった。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(3月)は、野菜が1,524t(前年同月比3.1%減)と5か月続いて前年を下回り、果実は867t(前年同月比2.7%増)と2か月続いて前年を上回った。
鳥取市場の青果物販売量(3月)のうち鳥取県産の卸売量は野菜が414tで全体に占める割合は27.2%(前年同月差1.1ポイント上昇)、果実は23tで全体に占める割合は2.7%(前年同月差0.2ポイント上昇)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(3月)は、2,366t(前年同月比78.0%減)と2か月続いて前年を下回った。
【電力】
大口需要電力実績(2月)は、129,419千kWh(前年同月比2.2%増)と3か月続いて前年を上回り、鉱工業は全ての業種で増となり3.2%増加した。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(3月)は、1.32倍(前月差0.08ポイント上昇、前年同月差0.01ポイント上昇)であった。なお、新規求人数(3月)は、4,984人で前年同月比4.9%の増であった。
有効求人倍率(3月)は、0.83倍(前月差0.02ポイント上昇、前年同月差0.05ポイント上昇)と6か月続いて0.8倍を上回り、8年1か月連続で1.0倍を割っている。
【賃金】
現金給与総額(2月)は、255,184円(前年同月比2.0%増)と2か月ぶりに前年を上回った。そのうち、きまって支給する給与(2月)は、254,812円(前年同月比2.0%増)と7か月続いて前年を上回った。
【労働時間】
所定外労働時間(2月)は、9.8時間(前年同月比6.5%増)と2か月ぶりに前年を上回った。主力の製造業は6.0%増となった。〔実数による前年同月比では、情報通信業(前年同月比45.9%増)等で前年を上回り、運輸業(前年同月比29.3%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(2月末)は、1兆8,041億円(前年同月比0.0%減)と11か月ぶりに前年を下回り、貸出金残高(2月末)は、1兆1,941億円(前年同月比0.8%増)と6か月続いて前年を上回った。
○参考
・ 企業倒産(3月)は、件数が5件で前年同月に比べて2件増加(前年同月比66.7%増)し、負債総額は18億2,000万円で前年同月に比べて16億6,000万円増加(前年同月比1,037.5%増)した。
・ 消費者物価指数(3月:鳥取市総合、平成12年=100)は、97.6(前月比0.2%上昇、前年同月比0.8%下落)となり、前月比は2か月ぶりに上昇し、前年同月比は11か月続いて下落した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成18年2月調査でみると、平成18年4~6月期は、前四半期(平成18年1~3月期)に比べると、景気、売上高はやや好調であるが、経常利益はやや不調の見通しとなっている。
・ 鳥取県景気動向指数(2月)は、先行指数が12月75.0、1月43.8、2月37.5、一致指数が12月75.0、1月75.0、2月50.0、遅行指数12月83.3、1月80.0、2月50.0となった。