内閣府は、平成18年3月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、回復している。企業収益は改善し、設備投資は増加している。個人消費は、緩やかに増加している。雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。輸出、生産は緩やかに増加している。
先行きについては、企業部門の好調さが家計部門へ波及しており、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。
政府は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」に基づき、構造改革を加速・拡大する。
日本銀行は、3月9日に、量的緩和政策を解除し、金融市場調節の操作目標を日本銀行当座預金残高から無担保コールレート(オーバーナイト物)に変更した上で、これをおおむねゼロ%で推移するよう促すことを決定した。また、同時に決定した「新たな金融政策運営の枠組みの導入について」の中で、物価安定の考え方等を明確化した。
重点強化期間内におけるデフレからの脱却を確実なものとするため、引き続き政府・日本銀行は一体となった取組を行う。
(各論)
消費・投資などの需要動向をみると、個人消費は、緩やかに増加している。設備投資は、増加している。住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は緩やかに増加している。輸入は横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、増加している。
企業活動と雇用情勢をみると、鉱工業生産は、緩やかに増加している。企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、緩やかに改善している。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。
物価と金融情勢をみると、国内企業物価は、素材価格の上昇により上昇している。消費者物価は、横ばいとなっている。為替レートは、対米ドルで115円台まで円高方向で推移した後、118円台まで円安方向で推移している。長期金利は、1.5%台前半から1.6%台前半まで上昇している。
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需要面の個人消費では、大型小売店販売額(1月)が、全店舗計、店舗調整後(新規店舗を除く)とも前年を下回った。ホームセンター販売額(1月)、家電量販店販売額(1月)は前年を下回ったが、乗用車新車新規登録台数(2月)は前年を上回った。
建設等では、新設住宅着工戸数(2月)、用途別着工建築物工事金額(2月)、公共工事請負金額(2月)とも前年を上回った。
産業面では、鉱工業生産指数(1月、季節調整済)が電気機械工業等の減により69.9で前月比9.3%の低下となり、原指数も61.1で対前年同月比18.2%の低下となった。また、大口需要電力実績(1月)のうち鉱工業は前年を上回った。
雇用面では、新規求人倍率(2月)は、1.38倍(前月差0.07ポイント上昇、前年同月差0.16ポイント上昇)であった。有効求人倍率(2月)は、0.81倍(前月差0.02ポイント低下、前年同月差0.05ポイント上昇)と8年連続で1.0倍を割り込んでいる。 現金給与総額(1月)、所定外労働時間(1月)とも前年を下回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(1 月)は、全店舗計では64億7,731万円となり、前年同月比6.2%減と6か月続いて減少し、店舗調整後でも、前年同月比4.6%減(全国2.5%減) と40か月連続して減少している。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が25億5,165万円(前年同月比2.9%増)、スーパーが39億2,566万円 (前年同月比9.0%減)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(1月)は、ホームセンター販売額が15億3,285万円(前年同月比8.9%減)と2か月ぶりに前年を下回り、家電量販店販売額も14億704万円(前年同月比7.0%減)と2か月ぶりに前年を下回った。
乗用車新車新規登録台数(2月)は、2,364台(前年同月比8.9%増)と4か月ぶりに前年を上回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(2月)は、376戸(前年同月比15.0%増)と2か月ぶりに前年を上回った。増加の内訳では、給与住宅の増加(前年同月0戸)が大きかった。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(2月)は、44億6,160万円(前年同月比205.4%増)と2か月ぶりに前年を上回った。用途別では、鉱工業用(1179.8%増)、商業用(20.8%増)が前年を上回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(2月)は、60億6,400万円(前年同月比6.5%増)と2か月続いて前年を上回った。発注者別内訳では、国の増(前年同月比425.5%増)が大きな割合を占めた。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(1月)は、生産指数(季節調整済)が69.9となり前月比9.3%低下、原指数は、61.1となり前年同月比では18.2%低下した。
内訳を前月比で見ると、電気機械が液晶素子、通信機械器具等の生産減により27.4%の低下、食料品・たばこが2.2%の低下、一般機械が53.7%の上昇、繊維が3.2%の上昇となっている。
在庫指数(季節調整済)は84.0と前月比6.9%の上昇となった。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(2月)は、野菜が1,368t(前年同月比2.1%減)と4か月続いて前年を下回り、果実は767t(前年同月比1.1%増)と2か月ぶりに前年を上回った。
鳥取市場の青果物販売量(2月)のうち鳥取県産の卸売量は野菜が393tで全体に占める割合は28.7%(前年同月差0.6ポイント低下)、果実は28tで全体に占める割合は3.7%(前年同月差0.7ポイント上昇)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(2月)は、5,072t(前年同月比10.9%減)と2か月ぶりに前年を下回った。
【電力】
大口需要電力実績(1月)は、137,368千kWh(前年同月比1.2%増)と2か月続いて前年を上回り、鉱工業は全ての業種で増となり1.8%増加した。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(2月)は、1.38倍(前月差0.07ポイント上昇、前年同月差0.16ポイント上昇)であった。なお、新規求人数(2月)は、4,440人で前年同月比10.7%の増であった。
有効求人倍率(2月)は、0.81倍(前月差0.02ポイント低下、前年同月差0.05ポイント上昇)と5か月続いて0.8倍を上回り、8年連続で1.0倍を割っている。
【賃金】
現金給与総額(1月)は、261,565円(前年同月比3.6%減)と5か月ぶりに前年を下回った。そのうち、きまって支給する給与(1月)は、254,763円(前年同月比1.6%増)と6か月続いて前年を上回った。
【労働時間】
所定外労働時間(1月)は、9.6時間(前年同月比2.0%減)と2か月続いて前年を下回った。主力の製造業は2.6%増となった。〔実数による前年同月比では、金融・保険業(前年同月比46.7%増)等で前年を上回り、運輸業(前年同月比41.9%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(1月末)は、1兆8,109億円(前年同月比0.7%増)と10か月続いて前年を上回り、貸出金残高(1月末)も、1兆1,913億円(前年同月比1.9%増)と5か月続いて前年を上回った。
○参考
・ 企業倒産(2月)は、件数が6件で前年同月に比べて4件増加(前年同月比200.0%増)し、負債総額は5億2,700万円で前年同月に比べて5億4,300万円減少(前年同月比50.7%減)した。
・ 消費者物価指数(2月:鳥取市総合、平成12年=100)は、97.4(前月比0.9%下落、前年同月比1.0%下落)となり、前月比は3か月ぶりに下落し、前年同月比は10か月続いて下落した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成18年2月調査でみると、平成18年4~6月期は、前四半期(平成18年1~3月期)に比べると、景気、売上高はやや好調であるが、経常利益はやや不調の見通しとなっている。
・ 鳥取県景気動向指数(1月)は、先行指数が11月62.5、12月75.0、1月43.8、一致指数が11月62.5、12月75.0、1月75.0、遅行指数11月66.7、12月83.3、1月80.0となった。