内閣府は、平成19年3月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、消費に弱さがみられるものの、回復している。企業収益は改善し、設備投資は増加している。雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。個人消費は、おおむね横ばいとなっている。輸出は、横ばいとなっている。生産は、緩やかに増加している。
先行きについては、企業部門の好調さが持続しており、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。
政府は、「日本経済の進路と戦略」に沿って、「新成長経済」の実現に向けた改革への取組を加速・深化する。
日本銀行は、2月21日、無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.5%前後で推移するよう促すこととした。
政府・日本銀行は、マクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、重点強化期間内に物価の安定基調を確実なものとするとともに、物価安定の下での民間主導の持続的な成長を図るため、一体となった取組を行う。
(各論)
消費・投資などの需要動向をみると、個人消費は、おおむね横ばいとなっている。設備投資は、企業収益の改善や需要の増加等を受けて、増加している。住宅建設は、このところ増加している。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は横ばいとなっている。輸入は横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、増加している。
企業活動と雇用情勢をみると、鉱工業生産は、設備投資の増加などに支えられて、緩やかに増加している。企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、緩やかに改善している。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。
物価と金融情勢をみると、国内企業物価、消費者物価は、ともに横ばいとなっている。なお、石油製品、その他特殊要因を除く消費者物価の前年比は、ゼロ近傍で推移している。株価は、18,200円(日経平均株価)台まで上昇した後、16,600円台まで下落し、その後17,100円台で推移している。為替レートは、対米ドルで121円台まで円安方向で推移した後、115円台まで円高方向で推移し、その後117円台まで円安方向で推移している。
需要面の個人消費では、大型小売店販売額(1月)が、全店舗計、店舗調整後(新規店舗を除く)とも前年を上回った。ホームセンター・家電量販店販売額(1月)は前年を上回り、乗用車新車新規登録台数(2月)は前年を下回った。
建設等では、用途別着工建築物工事金額(2月)、公共工事請負金額(2月)は前年を上回ったが、新設住宅着工戸数(2月)は前年を下回った。
産業面では、鉱工業生産指数(1月、季節調整済)が電気機械工業等の減により66.4で前月比11.0%下落した。また、大口需要電力実績(1月)のうち鉱工業は前年を上回った。
雇用面では、新規求人倍率(2月)は、1.24倍(前月差0.12ポイント上昇、前年同月差0.02ポイント低下)であった。有効求人倍率(2月)は、0.77倍(前月差0.02ポイント上昇、前年同月差0.04ポイント低下)と9年連続で1.0倍を割り込んでいる。
現金給与総額(1月)、所定外労働時間(1月)とも前年を下回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(1月)は、全店舗計では66億303万円となり、前年同月比1.9%増と2か月続いて前年を上回り、店舗調整後でも、前年同月比1.9%増(全国0.4%減)と2か月続いて前年を上回っている。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が24億9,067万円(前年同月比2.4%減)、スーパーが41億1,236万円(前年同月比4.8%増)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(1月)は、30億7,148万円(前年同月比4.5%増)と3か月続いて前年を上回った。内訳では、ホームセンターが16億2,540万円 (前年同月比6.0%増)、家電量販店販売額が14億4,608万円(前年同月比2.8%増)であった。
乗用車新車新規登録台数(2月)は、2,212台(前年同月比6.4%減)と8か月続いて前年を下回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(2月)は、301戸(前年同月比19.3%減)と2か月ぶりに前年を下回った。減少の内訳では、貸家の減少(前年同月比63.1%減)が大きかった。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(2月)は、18億2,277万円(前年同月比24.9%増)と2か月ぶりに前年を上回った。用途別では、医療、福祉用(前年同月比174.6%増)等が前年を上回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(2月)は、102億3,400万円(前年同月比68.8%増)と3か月ぶりに前年を上回った。発注者別内訳では、国の増(前年同月比102.4%増)が大きな割合を占めた。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(1月)は、生産指数(季節調整済)が66.4となり前月比は11.0%低下、原指数は、60.2となり前年同月比では1.5%低下した。
内訳を前月比で見ると、電気機械が液晶素子等の生産減により18.4%の低下、食料品・たばこが5.3%の低下、一般機械が23.5%の低下、繊維が6.7%の低下となっている。
在庫指数(季節調整済)は78.1と前月比3.3%の上昇となった。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(2月)は、野菜が1,247t(前年同月比8.8%減)と3か月ぶりに前年を下回り、果実は673t(前年同月比12.3%減)と9か月続いて前年を下回った。
鳥取市場の青果物販売量(2月)のうち鳥取県産の卸売量は野菜が490tで市場全体に占める割合は39.3%(前年同月差10.6ポイント上昇)、果実は21tで市場全体に占める割合は3.1%(前年同月差0.6ポイント低下)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(2月)は、8,016t(前年同月比58.0%増)と7か月続いて前年を上回った。
【電力】
大口需要電力実績(1月)は、138,118千kWh(前年同月比0.5%増)と4か月続いて前年を上回り、鉱工業はパルプ・紙等で増となり1.4%増加した。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(2月)は、1.24倍(前月差0.12ポイント上昇、前年同月差0.02ポイント低下)であった。なお、新規求人数(2月)は、4,710人で前年同月比6.1%の増であった。
有効求人倍率(2月)は、0.77倍(前月差0.02ポイント上昇、前年同月差0.04ポイント低下)と9年連続で1.0倍を割っている。
【賃金】
現金給与総額(1月)は、255,985円(前年同月比1.1%減)と7か月続いて前年を下回った。そのうち、きまって支給する給与(1月)は、250,471円で7か月続いて前年を下回った。
【労働時間】
所定外労働時間(1月)は、9.2時間(前年同月比4.6%減)と2か月ぶりに前年を下回った。主力の製造業は11.7%減となった。〔実数による前年同月比では、運輸業(前年同月比22.3%増)等で前年を上回り、飲食店、宿泊業(前年同月比35.5%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(1月末)は、1兆8,394億円(前年同月比1.6%増)と5か月続いて前年を上回り、貸出金残高(1月末)は、1兆1,611億円(前年同月比2.5%減)と5か月続いて前年を下回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(1月)は、先行指数が11月50.0、12月50.0、1月50.0、一致指数が11月62.5、12月75.0、1月37.5、遅行指数11月66.7、12月58.3、1月40.0となった。
・ 企業倒産(2月)は、件数が4件で前年に比べて2件減少(前年同月比33.3%減)し、負債総額は11億7,000万円で前年同月に比べて6億4,300万円増加(前年同月比122.0%増)した。
・ 消費者物価指数(2月:鳥取市、総合、平成17年=100)は、98.5(前月比0.7%下落、前年同月比0.8%下落)となり、前年同月比は6か月続いて下落した。
・ 鳥取県の推計人口(3月1日現在)602,717人で、前月と比べて501人(0.08%)減少し、前年同月と比べて3,301人(0.54%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成19年2月調査でみると、平成19年4~6月期は、前四半期(平成19年1~3月期)に比べると、景気はやや好調であるが、売上高、経常利益はやや不調となる見通しとなっている。
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