これより、本定例県議会に提案いたしました諸議案につきまして、その概要を御説明いたします。
今議会に提案いたしました議案は、
予算関係34件
条例関係39件
その他の案件19件
の合計92件であります。
最初に、議案第1号 平成19年度鳥取県一般会計予算についてであります。
平成16年度の「地方財政ショック」以降も続いている交付税の削減は、我が県の財政に深刻な事態をもたらしており、私の就任以来の行財政改革の取組みにもかかわらず、なお、厳しい財政運営を余儀なくされております。
政府が進めてきた三位一体改革は、平成19年度の税源移譲によって一応完結することとなりますが、我が県のように税源の乏しい団体にあっては、国庫補助金の削減額に見合う税源移譲がなされない上、その税源不足を調整すべき交付税が大幅に減額され、4年間で280億円を超える一般財源が減少することとなりました。
本来、地方の自主性を高めながら行政のスリム化に資するはずであった改革が、都市と地方の格差をいたずらに拡大させるものとなったことは極めて残念であります。
こうした厳しい状況の中、これまで以上に徹底した歳出の削減に取り組んだところであります。全事業について各部局のミッションとの整合性を点検するとともに、全部局で導入したトータルコスト予算分析も活用しながら、最小限の経費で最大限の効果を発現させるよう十分に配意をいたしました。また、「地域を支え家族を大切に」するための施策など、自立と再生に向けた取組みにつきましては可能な限り計上することとしております。
なお、今回の予算は来る4月に知事及び県議会議員選挙が行われますことに伴い、いわゆる「骨格予算」として編成しており、新規事業や政策的な経費につきましては新しい知事及び議会のもとでの編成に委ねることを原則としておりますが、新規事業や政策的な経費であっても継続的な執行が必要な事業や議会でのこれまでの議論も踏まえながら方針を決定してきた事業等につきましては、若干のものを計上することとしております。
このような考え方のもとで編成いたしました結果、今回の予算総額は、3,487億7
千万円余と、前年度に比べ6.9%減の予算規模となっております。
最初に、「自立型社会への転換に向けて」についてであります。
市町村、各種団体等による自主性を生かした効果的、効率的な事業展開を促し、各主体の自立を促進するため、今年度から事業選択をも含めた自由度の高い交付金制度を創設しておりますが、平成19年度においては、市町村交付金の対象メニューの拡充を図るほか、とっとり政策総合研究センターや4月から地方独立行政法人へ向けて準備を進めております鳥取県産業技術センターの運営費についても交付金制度を導入することとしております。
また、私立学校について、私学の独自性を生かした教育内容の質の向上や経営改善の取組みを促すとともに、簡素でわかりやすい助成制度とするため、従来の決算額に応じた助成から生徒数に応じた助成へと、その方式を変更することとしております。
さらに、草の根の住民活動について支援を行うほか、自立を目指す地域や事業者等の取組みに対して支援していくこととしております。
次に、「知の地域づくり」についてであります。
本県の持てる力を存分に発揮するため「知の地域づくり」をさらに進めることとし、地域の情報拠点として図書館の充実を図るとともに、産学金官が連携した研究開発等の支援、知的財産に関する知識の普及や知的財産を戦略的に活用できる基盤づくりを行うこととしております。
また、県内で社会福祉に関する活動や研究を行っている方々の成果発表への助成や北東アジア各地の大学間で実施する学術交流への支援等を通じて知の地域づくりのための機運が高まることを願っております。
地域の将来を担う子どもたちの教育につきましては、厳しい財政状況の中ではありますが、少人数学級を継続実施するほか、臨床心理士資格を有する常勤の教育相談員や食育を指導する栄養教諭の配置などにより教育環境の充実を図ることとしております。
次に、「産業振興と雇用対策」についてであります。
活力ある地域経済の創造を目指し、地域で育まれた人材や産業技術を生かした高付加価値を実現できる産業構造への転換を図るため、産業活動を支える人材の育成や意欲ある企業、団体活動に対する支援を行うとともに、新たな産業分野への参入等を積極的に支援することとしております。
また、10月に本県において「第9回全国和牛能力共進会」を開催することとしておりますが、これが和牛王国復活の契機になるとともに、延べ20万人とも見込まれる来場者の皆様に鳥取県の魅力を十分に伝えることができ、心温まる大会となるよう願っております。
雇用対策につきましては、県内3か所に設置している障害者就業・生活支援センターに障害者の職場開拓を行う就業支援員を配置するなど、障害者に対する就業支援を充実することとしております。
次に、「地域を支え家族を大切に」についてであります。
県民の生活や活動の基盤である地域をみんなで支える取組みを進めるため、市町村とも協力しながら、地域の住民の皆さんによる農業用水の保全活動、公園などの除草や清掃、歩道の除雪等を支援することとしております。
また、障害者自立支援法に基づく就労支援や地域移行の着実な定着を図るため、利用者や事業者に対する支援を行うほか、犯罪被害者に対する支援策の調査検討や虐待を受けた児童が家庭に復帰できるよう保護者に対する支援プログラムの作成を行うなど、地域と家庭を支える取組みを進めることとしております。
次に、「安全・安心な地域づくり」についてであります。
地震等の大規模災害時における確実な情報収集・伝達体制を確保するため、現在整備している地域衛星通信ネットワークに加えて、情報ハイウェイを活用した伝達ルートを整備するほか、排水ポンプ車を西部地域にも追加配備することにより県内全域で迅速に水防活動ができる体制を構築することとしております。
また、安心して暮らせる地域づくりを推進するため、地域医療を担う医師や看護職員を確保する仕組みづくりなど医療体制の整備にも力を入れることとしております。
次に、「歴史・文化に親しむ地域づくり」についてであります。
三徳山の世界遺産登録に向け、三朝町と共同で調査研究を行うとともに、その魅力や価値を県内外に広く情報提供していくほか、児童・生徒による郷土研究大会の開催などにより地域の歴史と伝統を大切にする機運を高めていくこととしております。
また、県民が文化芸術に親しむことのできる地域づくりを進めるため、県民自らの手による総合的な文化・芸術の祭典である「鳥取県総合芸術文化祭」を引き続き開催するとともに、子どもたちが文化芸術に直接触れる機会づくりや郷土芸術家に対する支援を充実することとしております。
次に、「多様な交流の推進と観光の振興」についてであります。
本年10月に本県で「北東アジア地域国際交流・協力地方政府サミット」を開催することとしており、これに併せて環境、文化、経済など多方面にわたる交流事業を行うことにより、環日本海諸国との交流をさらに進めていくこととしております。
また、観光の振興につきましては、本県各地に残る優れた景観や風情など魅力ある地域資源に関する情報を積極的に発信するとともに、「まんが」を核とした観光振興を進めるほか、鳥取県観光連盟が観光プロモーターを配置する経費の助成などを通じて新たな旅行商品の造成を促すこととしております。
最後に、「環境立県」についてであります。
環境問題の解決のためには、個人や地域の主体的な取組みが不可欠であることから、環境教育の充実に努めるとともに、地域と一体となってバイオディーゼル燃料を循環させる活動を行っている団体を支援することとしております。
一般廃棄物のリサイクルの向上については、他の地域のモデルとなる取組みを行う市町村等を支援することとし、循環型地域社会の構築を進めることとしております。
また、本県の恵まれた自然環境の保全と賢明な利用を図るため、県内の地下水の貯留量や水収支の現状、地下水の流動機構などを把握し、持続可能な地下水利用について検討をすることとしております。
以上、平成19年度鳥取県一般会計予算の内容を御説明いたしました。
続きまして、議案第21号 平成18年度鳥取県一般会計補正予算につきまして御説明いたします。
国の補正予算を受けて鳥取県障害者自立支援対策臨時特例基金を設置する経費、北朝鮮に対する国の経済制裁により北朝鮮水域から撤退を余儀なくされたベニズワイガニ漁業者等に対する支援に要する経費等を計上する一方、現時点で確定できる不用額を精査することにより、47億6千万円余を減額することとし、補正後の予算総額は、3,760億7千万円余となるものであります。
また、より透明性の高い財政運営を進めるため、毎年度行っていた鳥取県造林公社及び鳥取県住宅供給公社に対する短期貸付けを長期貸付けに変更することとし、それに伴う財源の変更を行うこととしております。
次に、補正予算以外の主な議案につきまして御説明いたします。
議案第35号 条例の廃止等に関する条例の設定につきましては、既存の条例に点検を加えた結果、既に使命を終えた条例や必要性の薄れた審議会条例等について一括して廃止するとともに、規制内容を含む条例や継続的に見直しが必要な条例に自動失効規定を設けることにより、今後継続的な点検を怠らないようにしようとするものであります。
議案第40号 鳥取県建設工事等の入札制度を定める手続に関する条例の設定につきましては、建設工事等における入札の透明性を確保するため、入札制度基本方針の作成及び当該方針に対する議会の承認、その他建設工事に係る入札制度の決定手続に関し必要な事項を定めようとするものであります。併せて、この条例に基づく建設工事等の入札制度に関する県の基本方針の承認を求める議案を別途提案しております。
議案第42号 鳥取県景観形成条例の全部改正につきましては、景観行政を総合的に推進するため、景観法に基づき、景観区域内での届出対象行為を定める等所要の規定の整備を行うとともに、本県独自の制度として、地域の景観に支障を生じさせている放置物件等について所有者に対する是正措置の命令・勧告を行う制度を創設しようとするものであります。
議案第55号 鳥取県屋外広告物条例等の一部改正につきましては、屋外広告物法に基づき、屋外広告業者の登録制度を導入するとともに、広告物の表示の方法等の基準に違反した場合の是正命令の措置等を定めようとするものであります。
議案第58号 鳥取県立農業大学校の設置及び管理に関する条例の一部改正につきましては、生産から流通・販売まで一環して農業経営を学ぶことができるよう教育体系を再編するとともに、多様な学習ニーズに対応するため、新たに聴講や短期研修の仕組みを設けようとするものであります。
議案第59号 鳥取県間伐材搬出促進事業助成条例の一部改正につきましては、健全な森林の育成及び資源の有効活用に資するため、条例の適用期間を平成21年3月31日まで延長するとともに、間伐材搬出経費に対する1立方メートル当たりの助成単価を4,000円としようとするものであります。
議案第78号 地方独立行政法人鳥取県産業技術センター中期目標の制定につきましては、地方独立行政法人鳥取県産業技術センターについて、県民に対して提供するサービスの質や業務運営の改善及び効率化などについて、今後4年間に達成すべき業務運営に関する目標を設定しようとするものであります。
議案第85号 鳥取県知事等の給与及び旅費等に関する条例の設定につきましては、特別職の給与に関する有識者会議における意見を踏まえ、知事等の給与の総支給額を引き下げる等所要の改正を行うものであります。
議案第89号 鳥取県知事等及び職員の給与の特例に関する条例の一部改正につきましては、平成17年度から特例措置として実施しております職員の給与の減額につきまして、主任主査制度の見直しなど本県独自の給与制度の見直しによる給与費の削減額等を考慮し、給与のカット率を圧縮しようとするものであります。
議案第92号 平成19年3月に支給する知事及び副知事の給料の特例に関する条例の設定につきましては、職員による不適正な経理処理等に関して、職員を監督する職責にある知事及び副知事の給料の減額を行おうとするものであります。
以上、今回提案した付議案につきまして、その概要を御説明いたしました。
よろしく御審議のほどお願いいたします。
なお、私は4月の知事選挙に出馬しないこととしており、今議会が私にとりまして最後の定例会となります。私は平成11年4月、知事に就任して以来、2期8年にわたり県政の執行に全力で取組んで参りました。この間、県議会の皆さんをはじめ県民の皆さんから絶大なる御支援、御協力を頂きましたことに対し心から御礼申し上げる次第です。この場を借りまして厚くお礼申し上げます。本当にありがとうございました。