内閣府は、平成19年12月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、一部に弱さがみられるものの、回復している。企業収益は、改善に足踏みがみられる。設備投資は、緩やかに増加している。雇用情勢は、厳しさが残るなかで、このところ改善に足踏みがみられる。個人消費は、おおむね横ばいとなっている。住宅建設は、下げ止まりつつあるものの、依然として低い水準にある。輸出は、増加している。生産は、緩やかに増加している。
先行きについては、企業部門が底堅く推移し、景気回復が続くと期待される。一方、サブプライム住宅ローン問題を背景とする金融資本市場の変動や原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。
政府は、「経済財政改革の基本方針2007」に基づき、改革への取組を加速・深化する。12月4日、「平成20年度予算編成の基本方針」を閣議決定した。
民間需要主導の持続的な成長を図るとともに、これと両立する安定的な物価上昇率を定着させるため、政府と日本銀行は、上記基本方針に示されたマクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、政策運営を行う。
(各論)
消費・投資などの需要動向をみると、個人消費は、おおむね横ばいとなっている。設備投資は、緩やかに増加している。住宅建設は、下げ止まりつつあるものの、依然として低い水準にある。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は、増加している。輸入は、緩やかに減少している。貿易・サービス収支の黒字は、増加している。
企業活動と雇用情勢をみると、鉱工業生産は、輸出の増加などを受けて、緩やかに増加している。企業収益は、改善に足踏みがみられる。また、企業の業況判断は、慎重さがみられる。倒産件数は、緩やかな増加傾向にある。雇用情勢は、厳しさが残るなかで、このところ改善に足踏みがみられる。
物価と金融情勢をみると、国内企業物価は、素材価格の上昇により上昇している。消費者物価は、「生鮮食品、石油製品及びその他特殊要因を除く総合」でみると、横ばいとなっている。一方、石油製品の上昇などにより、「生鮮食品を除く総合」は、上昇している。株価(日経平均株価)は、15,100円台から16,000円台まで上昇した後、15,500円台で推移している。長期金利は、1.4%台前半まで低下した後、1.5%台後半まで上昇し、その後1.5%台半ばで推移している。
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需要面の個人消費では、大型小売店販売額(10月)が、全店舗計、店舗調整後(新規店舗を除く)とも前年を上回った。ホームセンター・家電量販店販売額(10月)は前年を上回り、乗用車新車新規登録台数(11月)は前年を下回った。
建設等では、新設住宅着工戸数(11月)、用途別着工建築物工事金額(11月)、公共工事請負金額(11月)とも前年を下回った。
産業面では、鉱工業生産指数(10月、季節調整済)が電気機械工業等の増により71.2で前月比15.2%上昇した。また、大口需要電力実績(10月)のうち鉱工業は前年を上回った。
雇用面では、新規求人倍率(11月)は、1.22倍(前月差0.18ポイント上昇、前年同月差0.07ポイント上昇)であった。有効求人倍率(11月)は、0.73倍(前月差0.03ポイント低下、前年同月差0.02ポイント低下)と9年9か月連続で1.0倍を割り込んでいる。
現金給与総額(10月)、所定外労働時間(10月)とも前年を上回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(10月)は、全店舗計では54億5,434万円となり、前年同月比1.8%増と2か月ぶりに前年を上回り、店舗調整後でも、前年同月比1.8%増(全国は前年同月比1.8%減)と2か月ぶりに前年を上回っている。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が20億2,017万円(前年同月比8.3%減)、スーパーが34億3,417万円(前年同月比8.8%増)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(10月)は、32億3,985万円(前年同月比5.7%増)と2か月ぶりに前年を上回った。内訳では、ホームセンターが18億8,258万円 (前年同月比0.5%減)、家電量販店販売額が13億5,726万円(前年同月比15.8%増)であった。
乗用車新車新規登録台数(11月)は、1,693台(前年同月比5.5%減)と2か月続いて前年を下回った。減少の内訳では、軽自動車の減少(前年同月比13.8%減)が大きかった。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(11月)は、175戸(前年同月比62.2%減)と2か月ぶりに前年を下回った。減少の内訳では、貸家の減少(前年同月比76.5%減)が大きかった。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(11月)は、9億3,015万円(前年同月比77.2%減)と2か月ぶりに前年を下回った。用途別では、医療、福祉用(前年同月比84.7%減)等が前年を下回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(11月)は、57億6,600万円(前年同月比29.4%減)と5か月続いて前年を下回った。発注者別内訳では、市町村の減(前年同月比48.6%減)が大きな割合を占めた。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(10月)は、生産指数(季節調整済)が71.2となり前月比は15.2%上昇、原指数は、76.5となり前年同月比では7.0%低下した。
内訳を前月比で見ると、電気機械が液晶素子等の生産増により24.6%の上昇、食料品・たばこが4.4%の上昇、一般機械が51.7%の上昇、繊維が17.5%の上昇となっている。
在庫指数(季節調整済)は62.9と前月比4.3%の低下となった。
【電力】
大口需要電力実績(10月)は、149,321千kWh(前年同月比1.9%増)と2か月続いて前年を上回り、鉱工業はパルプ・紙等が増加し3.8%増加した。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(11月)は、野菜が1,413t(前年同月比2.1%減)と3か月続いて前年を下回り、果実は1,087t(前年同月比5.3%増)と5か月ぶりに前年を上回った。
鳥取市場の青果物販売量(11月)のうち鳥取県産の卸売量は野菜が667tで市場全体に占める割合は47.2%(前年同月差2.4ポイント低下)、果実は302tで市場全体に占める割合は27.8%(前年同月差5.7ポイント低下)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(11月)は、12,072t(前年同月比24.2%減)と2か月続いて前年を下回った。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(11月)は、1.22倍(前月差0.18ポイント上昇、前年同月差0.07ポイント上昇)であった。なお、新規求人数(11月)は、4,064人で前年同月比3.3%の減であった。
有効求人倍率(11月)は、0.73倍(前月差0.03ポイント低下、前年同月差0.02ポイント低下)と9年9か月連続で1.0倍を割っている。
【賃金】
現金給与総額(10月)は、251,922円(前年同月比1.0%増)と4か月続いて前年を上回った。そのうち、きまって支給する給与(10月)は、251,722円(前年同月比1.1%増)で5か月続いて前年を上回った。
【労働時間】
所定外労働時間(10月)は、9.8時間(前年同月比2.6%増)と5か月続いて前年を上回った。主力の製造業は10.4%減となった。〔産業別の前年同月比では、情報通信業(前年同月比116.7%増)等で前年を上回り、卸売・小売業(前年同月比13.7%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(10月末)は、1兆8,446億円(前年同月比1.4%増)と14か月続いて前年を上回り、貸出金残高(10月末)は、1兆1,386億円(前年同月比1.6%減)と14か月続いて前年を下回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(10月)は、先行指数が8月50.0、9月50.0、10月50.0、一致指数が8月50.0、9月12.5、10月62.5、遅行指数8月80.0、9月80.0、10月80.0となった。
・ 企業倒産(11月)は、件数が6件で前年に比べて1件減少(前年同月比14.3%減)し、負債総額は26億9,700万円で前年に比べて20億4,200万円増加(前年同月比311.8%増)した。
・ 消費者物価指数(11月:鳥取市、総合、平成17年=100)は、99.8(前月比0.1%上昇、前年同月比0.7%上昇)となった。
・ 鳥取県の推計人口(12月1日現在)599,759人で、前月と比べて152人(0.03%)減少し、前年同月と比べて4,066人(0.67%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成19年11月調査でみると、平成20年1~3月期は、前四半期(平成19年10~12月期)に比べると、景気、売上高、経常利益の全てがきわめて不調となる見通しとなっている。