内閣府は、平成20年3月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。

（総論）

　景気は、このところ足踏み状態にある。輸出は、緩やかに増加している。生産は、横ばいとなっている。企業収益は、弱含みとなっている。設備投資は、おおむね横ばいとなっている。雇用情勢は、厳しさが残るなかで、改善に足踏みがみられる。個人消費は、おおむね横ばいとなっている。住宅建設は、おおむね持ち直している。
　先行きについては、改正建築基準法施行の影響が収束していないなかで、輸出が増加基調で推移し、景気は緩やかに回復していくと期待される。ただし、サブプライム住宅ローン問題を背景とするアメリカ経済の減速や株式・為替市場の変動、原油価格の動向等から、景気の下振れリスクが高まっていることに留意する必要がある。
　政府は、「日本経済の進路と戦略」と「経済財政改革の基本方針2007」を一体として、改革を推進する。
　政府は今般、成長力強化への施策を早期に具体化していく観点から、中小企業の体質強化や雇用の改善、地域活性化につながる施策を中心に「成長力強化への早期実施策（仮称）」を4月早々にも取りまとめることとした。
　民間需要主導の持続的な成長を図るとともに、これと両立する安定的な物価上昇率を定着させるため、政府と日本銀行は、上記基本方針に示されたマクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、政策運営を行う。

（各論）

　消費・投資などの需要動向をみると、個人消費は、おおむね横ばいとなっている。設備投資は、おおむね横ばいとなっている。住宅建設は、おおむね持ち直している。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は、緩やかに増加している。輸入は、横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、減少している。
　企業活動と雇用情勢をみると、鉱工業生産は、情報化関連生産財などを中心に、横ばいとなっている。企業収益は、弱含みとなっている。また、企業の業況判断は、慎重さがみられる。倒産件数は、緩やかな増加傾向にある。雇用情勢は、厳しさが残るなかで、改善に足踏みがみられる。
　物価と金融情勢をみると、国内企業物価は、素材価格の上昇により上昇している。消費者物価は、わずかながら上昇している。株価(日経平均株価)は、14,000円台まで上昇した後、11,700円台まで下落している。為替レートは、対米ドルで108円台から97円台まで円高方向で推移している。

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　需要面の個人消費では、大型小売店販売額(1月)が、全店舗計、店舗調整後（新規店舗を除く）とも前年を下回った。ホームセンター・家電量販店販売額(1月)、乗用車新車新規登録台数(2月)とも前年を下回った。
　建設等では、用途別着工建築物工事金額(2月)は前年を上回ったが、新設住宅着工戸数(2月)、公共工事請負金額(2月)は前年を下回った。

　産業面では、鉱工業生産指数(1月、季節調整済)が電気機械工業等の減により68.7で前月比15.4％低下した。また、大口需要電力実績(1月)のうち鉱工業は前年を上回った。

　雇用面では、新規求人倍率(2月)は、1.15倍(前月差0.03ポイント上昇、前年同月差0.09ポイント低下)であった。有効求人倍率(2月)は、0.74倍(前月差0.01ポイント上昇、前年同月差0.03ポイント低下)と10年連続で1.0倍を割り込んでいる。
　現金給与総額(1月)は前年を上回り、所定外労働時間(1月)は前年と同水準となった。

○需要面の動き

【個人消費】
　大型小売店販売額（1月）は、全店舗計では64億5,924万円となり、前年同月比2.2%減と3か月続いて前年を下回り、店舗調整後でも、前年同月比2.2%減(全国は前年同月比2.0%減)と3か月続いて前年を下回っている。
　なお、全店舗計の内訳では、百貨店が23億802万円(前年同月比7.3%減)、スーパーが41億5,122万円(前年同月比0.9%増)であった。
   ホームセンター・家電量販店販売額(1月)は、30億7,003万円(前年同月比0.5%減)と4か月ぶりに前年を下回った。内訳では、ホームセンターが15億6,881万円 (前年同月比3.5%減)、家電量販店販売額が15億123万円(前年同月比2.9%増)であった。
  乗用車新車新規登録台数(2月)は、2,030台(前年同月比8.2%減)と5か月続いて前年を下回った。減少の内訳では、小型車の減少（前年同月比24.2%減）が大きかった。

【住宅建設】
　新設住宅着工戸数(2月)は、207戸(前年同月比31.0%増)と3か月ぶりに前年を下回った。減少の内訳では、分譲住宅の減少（前年同月比91.0%減）が大きかった。

【設備投資】
　用途別着工建築物工事金額(2月)は、17億9,030万円(前年同月比2.7%増)と4か月ぶりに前年を上回った。用途別では、その他のサービス業用(前年同月比485.9%増)等が前年を上回った。

【公共工事】
　公共工事請負金額(2月)は、54億5,800万円(前年同月比46.7%減)と8か月続いて前年を下回った。発注者別内訳では、国の減(前年同月比61.6%減)が大きな割合を占めた。

○産業面の動き

【産業活動】
　鉱工業指数(1月)は、生産指数(季節調整済)が68.7となり前月比は15.4%低下、原指数は、62.4となり前年同月比では3.7%上昇した。
　内訳を前月比で見ると、電気機械が液晶素子等の生産減により21.8%の低下、食料品・たばこが9.5%の上昇、一般機械が54.8%の低下、繊維が7.2%の低下となっている。
  在庫指数(季節調整済)は68.2と前月比10.2%の上昇となった。

【電力】
　大口需要電力実績(1月)は、139,777千kWh(前年同月比1.2%増)と5か月続いて前年を上回り、鉱工業は機械等が増加し3.3%増加した。

【青果物卸売量】
　鳥取市場の青果物卸売量(2月)は、野菜が1,337ｔ(前年同月比7.2%増)と2か月ぶりに前年を上回り、果実は769t(前年同月比14.3%増）と4か月続いて前年を上回った。
  鳥取市場の青果物販売量(2月)のうち鳥取県産の卸売量は野菜が364ｔで市場全体に占める割合は27.2%(前年同月差12.1ポイント低下)、果実は19ｔで市場全体に占める割合は2.5%(前年同月差0.6ポイント低下)であった。

【漁獲量】
　境港の漁獲量(2月)は、8,149ｔ(前年同月比1.7%増)と5か月ぶりに前年を上回った。

○雇用・金融面の動き

【雇用】
　新規求人倍率(2月)は、1.15倍(前月差0.03ポイント上昇、前年同月差0.09ポイント低下)であった。なお、新規求人数(2月)は、4,090人で前年同月比13.2%の減であった。
　有効求人倍率(2月)は、0.74倍(前月差0.01ポイント上昇、前年同月差0.03ポイント低下)と10年連続で1.0倍を割っている。

【賃金】
　現金給与総額(1月)は、270,238円(前年同月比5.6%増)と2か月ぶりに前年を上回った。そのうち、きまって支給する給与(1月)は、249,824円(前年同月比0.3%減)で8か月ぶりに前年を下回った。

【労働時間】
　所定外労働時間(1月)は、9.2時間で前年同月と同水準となった。主力の製造業は8.4%減となった。〔産業別の前年同月比では、複合サービス事業(前年同月比91.7%増)等で前年を上回り、卸売・小売業(前年同月比25.0%減)等で前年を下回った。〕

【預金・貸出金残高】
　預金残高(1月末)は、1兆8,710億円(前年同月比1.7%増)と17か月続いて前年を上回り、貸出金残高(1月末)は、1兆1,433億円(前年同月比1.5%減)と17か月続いて前年を下回った。

○参考

・　鳥取県景気動向指数(1月)は、先行指数が11月37.5、12月62.5、1月37.5、一致指数が11月87.5、12月62.5、1月31.3、遅行指数が11月60.0、12月60.0、1月80.0となった。

・　企業倒産(2月)は、件数が5件で前年に比べて1件増加(前年同月比25.0%増)し、負債総額は18億2,000万円で前年に比べて6億5,000万円増加(前年同月比55.6%増)した。

・　消費者物価指数(2月:鳥取市、総合、平成17年=100)は、99.9(前月比0.2%下落、前年同月比1.4%上昇)となった。

 ・　鳥取県の推計人口（3月1日現在）598,430人で、前月と比べて531人(0.09%)減少し、前年同月と比べて4,287人(0.71%)減少した。

・　鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成20年2月調査でみると、平成20年4～6月期は、前四半期(平成20年1～3月期)に比べると、景気、経常利益は不調となり、売上高はやや不調となる見通しとなっている。