ポリ塩化ビフェニル(以下「PCB」という。)は化学的に安定しており、電気絶縁性や不燃性が高いなどの特性を有していることから、トランス及びコンデンサ等の絶縁油、熱交換機器の熱媒体、感圧複写紙など幅広い用途に使用され、昭和47年に製造が中止されるまでに、国内で約59,000トンが生産され、約54,000トンが使用されてきました。
しかし、昭和43年に食用油の製造過程において熱媒体として使用されたPCBが食用油に混入し、健康被害を発生させたカネミ油症事件を契機に、その毒性や残留性の問題が大きく取り上げられました。その後、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号)が制定され、PCBの製造、輸入等が昭和49年6月から事実上禁止となりました。
PCBを含む廃棄物の処理については、これまで処理施設の整備が進まなかったこともあり、そのほとんどが各事業者によって保管され、現在に至っています。しかし、長期にわたる保管の過程でPCB廃棄物の紛失等環境への影響が懸念されており、早期に確実な処理を行うことが必要となっています。
このため、平成13年6月にPCB特別措置法が制定され、PCB廃棄物を保管する事業者に対し、保管状況等の届出等と併せて、平成28年7月までにPCB廃棄物を適正に処分することが義務付けられました。
その後、処理物が多様化、複雑化し、処理開始後に明らかになった課題への対応等により、当初予定していた平成28年7月までの処理の完了が困難な状況となり、平成24年12月に国はPCB特別措置法に基づくPCB廃棄物の処分の期間を平成39年3月に改められました。
また、PCB廃棄物を処分する拠点的広域処理施設の整備も進められ、高濃度PCB廃棄物は国の全額出資により設立された中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)がその処理業務にあたることとなり、鳥取県の高濃度PCB廃棄物については、同社の拠点的広域処理施設の一つである北九州PCB廃棄物処理施設において処理を行うこととされています。
加えて、低濃度PCB廃棄物は国が認定する無害化処理施設等において処理を行うこととなり、現在全国で設置が進められています。
特に、高濃度PCB廃棄物については平成28年にPCB特別措置法が改正され、JESCO稼働期限内の確実な処理に向けた諸規定(処理期限の明確化、県に改善命令権、代執行権を付与等)が整備されました。