みなさん、こんにちは。
そろそろ吹く風が涼しくなってきた今日このごろ、日南町美術館でコレクション展が開かれているというので、おじゃましてきました。
●開催期間 9月2日~10月9日(日)※月祝休館 電話:0859‐77‐1113
●入場料:一般200円、高校生100円、中学生以下無料
日南町美術館は、日野郡唯一の公設美術館として、日南町総合文化センター内にあります。
(生山駅から徒歩25分。駅からはコミュニティバスも出ています)
同館は、事前申し込み不要で訪問することができます。
(日野郡に限らず、地域の小規模な美術館は、管理の都合上、予約必須だったり、土日祝は休みだったりするところも多いです)
それでは、さっそく見ていきましょう。
展示は3室に分かれて行われています。
第1展示室は、小早川秋聲の「国之楯」のみが展示されています。
小早川秋聲は、今年の2月に県立博物館でも特別展が行われ、好評を博しましたが、「国の楯」はこちらの所蔵品だったのですね。
第2展示室は、日南町出身の芸術家、足羽俊夫の特集展示です。
青の色使いが印象的な名品の数々が第1展示室とはまったく違う世界へいざなってくれます。
日南町美術館の名誉館長でもある故・足羽俊夫は、町内の中学で教師を勤めた後、画家をめざして上京し、その後はフランスに渡って目覚ましい活躍をされた人です。
6年前、日南町に凱旋し、特別展が開かれています。その時の模様はこちらの記事をお読みください(作品の写真もあります)。
第3展示室の展示内容は、日南町美術館の第二の目玉といえるでしょう。
それは、クレパス画のコレクションです。
日南町は、サクラクレパスの創業者、佐武林蔵氏の出身地です。その縁から、クレパス画のコレクションを18年にわたり収集し、その数すでに60点近くに達しています。
でも、クレパスって、子供が使うものではなかったの? そんなもので、いわゆる芸術品が生み出せるの?と思われる方も多いでしょう。
そう思われた方は、きっとこのコレクションを見て、驚かれるでしょう。
クレパスなのに、ここまでできる、というより、クレパスだから、ここまでできるという技法を用いた名品ばかりです。
ラフさを活かしつつ、クレパスの一般的なイメージとは反対の暗い色使いによる、モダーンな「金魚」
たくさんの色の上を黒いクレパスで覆い、ひっかいて下の色を浮かび上がらせた技法の「クリスタル」。この技法、保育園の時にしませんでしたか!?
そして、この「赤べこ」。どう見ても絵具で描いたようにしか見えませんでしたが、日南町美術館の淺田学芸員によると、どうやらクレパスを溶かして制作したのではないか、ということです。
サクラクレパス社は、クレパスの新たな可能性を探るべく日本画家、洋画家を問わずに「サクラクレパス スペシャリスト(85色・88本のセット)」を渡し、クレパス画の制作を依頼する試みを行ってきました。
それで生まれたのがこの作品群です。
おそらくサクラクレパスの美術館、サクラアートミュージアム(大阪市中央区森之宮)を除けば、これほどのコレクションを所蔵しているのは、この日南町美術館だけではないでしょうか。
(余談ですが、クレパス画は素材が安価であるため、同じ画家の作品でもかなり手頃に購入できるそうです)
また、日南町美術館では、画商を通して画家にクレパス画の制作依頼をし、いい作品を選定し購入するという積極的な姿勢も持っています。
地域の美術館の存在意義をしっかり発揮しつつ、それでいて、なんとも軽やかに感じるのは、クレパスの温かみのおかげでしょうか。
小規模な美術館ですが、作品選定に力を入れて収集し、体系立てて展示されているのが伝わってきます。
自然が豊かと思われている日南町の、こちらは「街の楽しみ」ですね。
【メモ1】クレパス画に興味がある方は…
11月にも特別展が行われます。『現代作家のクレパス画展』(11月5日~12月11日)
【メモ2】大人のクレパス画教室が開催されます。
初級と上級の2つに分かれ、本格的な材料費込みとはいえ、なかなかの参加料と時間を要します。心してご参加ください。ですが、それだけの結果はあります…!
・初参加コース 10月2日(日)13時00分~16時00分 参加料7,000円
・マスターコース 10月15日 13時00分~17時00分 16日 9時30分~15時30分 の連続2日間
参加料5,500円
【おまけ】日南町役場の中央待合室の天井。こちらも美術館みたいですね。
【問い合わせ先】日南町美術館(クリックすると公式ホームページにジャンプします) 電話 0859‐77‐1113
日野振興局 2022/09/29