2009年11月17日
江戸時代の越後魚沼の人、鈴木牧之は「北越雪譜」を著し、雪国の暮らしの難儀さ、生きるための工夫や知恵を紹介しています。豪雪を知らない江戸の人々の興味を引き、当時のベストセラーになったということです。 雪国の人は粘り強いといわれます。気候や風土はその土地に暮らす人の性格や気性に大きな影響を与えるといわれますが、その場を動くことのできない植物にとってはなおさらです。 元は同じものが、大量の降雪に耐えるよう姿・形を変えたよく知られた例に、イチイとその変種ダイセンキャラボクの関係があります。雪の少ない地方に生育するイチイは真直ぐ伸びる針葉樹ですが、ダイセンキャラボクは大山の頂上近くに見られるように横に這って何百年も生命を維持しています。 これと同じような形態をとっているチャボガヤとハイイヌガヤ、2種の針葉樹を大山滝の自然歩道で見かけました。
チャボガヤ(左、葉に光沢あり)とハイイヌガヤ(右)。歩道脇に並んで生えていた。イヌガヤは太平洋側に分布し、これが多雪地帯に適応して小型で這性となったのがハイイヌガヤ。
広島県道後山のイチイ。ダイセンキャラボクと異なり幹を真直ぐ伸ばす。スキー場もあり雪もかなり降るが、鳥取県側ほど多くないのかも知れない。
真っ赤に色づいたイチイの実。甘く食べられる。葉や実を比べただけではイチイとダイセンキャラボクの区別はつかない。
チャボガヤ。太平洋側のカヤに対応。常緑の針葉樹が多量の降雪に耐えるのは大変であるが、体を小さくし、這って雪に埋もれてしまえば、厳しい冬もしのげる。
チャボガヤ(左)とハイイヌガヤ(右)の葉裏。チャボガヤの葉先は尖っているため触ると痛みを感じる。ハイイヌガヤの葉裏には白い筋あり。
チャボガヤ(左)とハイイヌガヤ(右)の実。カヤの実は食可、駆虫に用いるとあったので、チャボガヤの実を炒って食す。かなり渋く、いかにも駆虫に効果ありそう。
植物のことを書きながら、我々人類のこの体型・体色の違いの大きさはどうなのだろうと、ふと考えてしまいました。 アフリカに出現して以来世界中に分布を広げ、大繁殖をしているホモ・サピエンス。植物よりもこちらのほうが適応能力が大きいのかも知れません。(自然保護監視員 浜辺正篤)
中部総合事務所環境建築局 2009/11/17 in 県立自然公園,国立公園,植物,中国自然歩道,野鳥
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