もういくつ寝ると・・と歌うまでもなく、正月はすぐそこ。
師走のある日、正月用のしめ飾り作りが急ピッチで進められていました。しかも大量に!
ここは日南町福栄の旧福栄小学校。廊下もご覧の通り、しめ飾りでいっぱい。
しめ飾りを作っておられるのは、福栄まちづくり協議会と連携して活動している「しめなわ同好会」の皆さん。
地元向けに加え、米子方面からの注文もあり、〆て約400本作らなければなりません。
というわけで、効率よく製作するため分業体制が採られていました。
最初に手を付ける作業は「わら打ち」。
縄をなうには、材料のわらを柔らかくしておかないと良い縄ができません。
わらの種類も、最近の品種は丈が短くてしめ縄には向かないので、昔から栽培されている丈の長いもち米の品種を使います。
手だけでなく、足も使います。
ここまでは、わらを相手の作業でした。
ここから先は、ウラジロ、松の葉、フクラシ(モチノキ科のソヨゴ)、橙(だいだい)などを使って飾り付けをします。
実は、地元日南町のしめ飾りと米子周辺のしめ飾りとでは、若干、作りが違います。右が日南町タイプ、左が米子タイプです。違いがわかりますか?
みかんと橙(だいだい)。これはわかりますね。
もうひとつ。しめ縄の撚り(より)の本数が日南町が3本なのに対し、米子は2本です。
あ、それとですね、米子スタイルでは本来ユズリハを使うのですが、日南町にはユズリハの木が少なく、米子からの依頼者に了承してもらった上で日南町スタイルのフクラシを使っているのだそうです。
この大きいのは、日南町役場の玄関に飾られます。
根を詰める作業なので、肩が凝ります。
というわけで、しばし休憩。
ストーブの上では、先日、集落で仕留めたイノシシの肉がいい匂いを放っています。そして、コップに焼酎が注がれて・・。
「いやあ、これが楽しみでやっとるようなもんだ」
と笑いつつ、
「冬だからと言ってこたつに籠ってばかりじゃいけん。年寄りも外に出て、地域の皆さんに喜ばれることをやって感謝してもらえば、また元気が出る」
同好会の皆さんは、伝統的なわら細工の技術を絶やさないようにと、地域の伝統芸能である
「かしら打ち」(太鼓をたたきながら踊る神事)で子供たちが履くわら草履も作っています。
また、これからは草鞋(わらじ)や蓑(みの)にも挑戦したいと張り切っておられます。
2015年の正月。
鳥取県西部地区400軒の玄関を飾っているのは、旧福栄小学校の教室で作られたしめ縄です。
日野振興局 2014/12/25