知事定例記者会見(2010年10月14日)

平成22年10月14日(木)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約58分) ※MPEG4形式

  

1 9月県議会を終えて 

●知事

 皆さま、おはようございます。9月県議会も終わりまして、新しい予算も[9月]補正予算が成立をいたしまして、速やかに執行するということになりました。また、この間、9月議会中に国際マンガサミット[の鳥取県での開催決定]、[山陰海岸ジオパークの]世界ジオパークネットワークへの加盟成立など、大変なニュースもございまして、そうした意味でもスタートをかける秋だというふうに認識をいたしております。

 そういう最中、只今、救出作業が進んでおります地球の反対側のチリにおきまして、鉱山労働者の皆さんが次から次へと救出されてくる姿というのは、本当に感動を覚えるものであります。人の和ですとか、命の重さを痛感させられる、そういうイベントであるなというふうに拝察をいたしております。無事救出が進み、そして、生活の立ち直りがなされますように心から念願をしている次第でございます。




2 来年度予算編成に向けて 

●知事

 我方もそういう、いわば経済を再興させていくとか、それから力強い政策を推進していくという、そういうたくましい歩みに踏み出していかなければいけないと思います。そういう意味で、明年度に向けた予算編成作業を本格始動をさせることにいたしております。

 来週の18日に予算編成の会議を開催をしますと同時に、鳥取県型の予算編成システムを実行に移していきたいと思っております。すなわち、政策論議のなかから予算編成を行っていって、事務的な作業を極力減らしていこうという、政策戦略会議も同日開催をさせていただくことにいたしております。

 各部局から県民の皆さんのご意見をしっかりと聞いていただいて、その上で政策論に臨んでいただくように、私の方からきちんと指示をし、指導してまいりたいと思っております。




3 事業棚卸し(鳥取県版事業仕分け)について 

●知事

 これに関連しまして、今日から事業棚卸しをスタートさせました。これは県民目線での事業の再整理をしようということでございまして、そういう意味では非常に効果も期待されるのではないかと思っております。

 ただ、国がやっている事業仕分けとは異なって、1事業当たり1時間ほどじっくりと論議をしてもらう、印象だけでバッサ、バッサと○×を付けていくということで、政策的な深みが十分に伝わらなかったりすることはかえって県民の皆様にご迷惑がかかるかもしれません。

 従いまして、鳥取県型の事業仕分けとして、事業棚卸しを県民の皆様にも加わっていただいて始めることにいたした次第であります。サマーレビューなども通じまして、事業の効率化だとか、政策の有効性を高める努力をしていきたいと思います。




4 11月補正予算について 

●知事

 こういう当初予算と併せまして、補正予算を11月に招集予定の県議会の方に提案する気持ちを固めました。と申しますのも、現在、国の方で補正予算審議が始まろうとしています。10月8日に国の政府案が閣議決定をされました。5兆円を超える経済雇用対策が打ち出されたわけでありまして、これは今から国会で審議が行われることになります。今日は参議院での予算委員会審議が行われていますが、まだ本格的な補正予算審議には入っていません。

 ですから、その補正予算の審議の状況も横睨みしながら、我々としても速やかに効果が出せるように予算編成作業を同時並行で進めようと考えております。国の方の予算規模だとか、あるいは個別の事業の状況なんかは、各部局で精力的に情報収集をするように指示をいたしておりますし、今回、予算編成を行って、追加的な雇用対策を実施するように各部局に、これも指示をいたしております。できれば、[今]月内にもそういう経済雇用対策を取りまとめに向けてまいりたいと考えております。

 規模的には、ちょっとまだやってみないと分かりませんけれども、9月[補正]予算で追加補正予算、県独自のものも含めて69億円の予算規模になりましたが、それを上回る規模のものにしていく必要があるだろうと考えております。




5 新生公立鳥取環境大学設立協議会について 

●知事

 それから、[鳥取]環境大学の関係では、このたび新生公立[鳥取環境]大学設立準備室というものを発足させました。鳥取市側の組織と一体化し、さらに大学のトップレベルの人たちも取り込んだ上で協議会を発足をさせることにいたしております。この協議会の中で大学を生まれ変わらせる、そういう案を精細に詰めていきたいと思います。

 片方で時間との競争という面もありますけれども、県議会とか、県民の皆さまにも逐次情報を開示をしながら、当面は12月県議会で、また議論になるでしょうから、そういうようなことに足りるような材料も作り上げながら、そして県民合意を得ていきたいというふうに考えております。




6 世界ジオパークネットワーク加盟記念大会について 

●知事

 それから、ジオパークの関連では、現地時間で10月3日、日本時間で10月4日に入ったところで連絡がございましたけれども、この[世界]ジオパークネットワーク加盟を記念して大会を開きたいと思っております。来週の21日に大会を開くこととしまして、山陰海岸ジオパーク推進協議会、兵庫県豊岡市に本部がありますが、こちらと鳥取県などとが共催をして、市内で記念大会を開きたいと思っております。

 この場で子ども達の研究発表だとか、ジオパークの解説とか、いろいろ含めて改めてこれからのスタートを切る狼煙を上げていきたいと考えております。

 これとは別に、関係府県で、京都府、兵庫県と今後の方針をぜひ話し合いたいと、それぞれの府県に鳥取県から呼びかけを行っているところでありまして、いずれ、関西広域連合というのも見えてくると思いますが、広域連携の一つのシンボルとしてこの事業をやってみないかという呼びかけをしているところであります。




7 国際マンガサミット鳥取県開催準備会の結果について 

●知事

 それから、国際マンガサミットにつきましては、先般、里中満智子アジアMANGAサミット[運営本部]の代表などと懇談をさせていただきまして、意見交換させていただきまして、これから速やかに準備委員会を立ち上げていこうという話をいたしました。月末ぐらいに、この準備委員会を市内で立ち上げたいと思っています。

 当面は、まだ来年北京の大会がありますので、それまでは実行委員会というのは、まだ時期が早いと思いますけども、取り敢えず準備委員会を立ち上げようと思っております。

 実はこの間、東京で行いました意見交換会で漫画家の皆さんから鳥取[県]は「食のみやこ」だということだけれども、そういうのを漫画を通じてPRしたらどうかというご提案がございまして、その準備委員会の機会に、「包丁人味平」のビッグ錠さんとか、それから、「味いちもんめ」の倉田よしみさんとか、そういう名だたる漫画家も鳥取の方に来られることで、今、調整をいたしております。

 そうした機会を通じて取材していただいて、漫画を通じて鳥取[県]の食を紹介していただく、そういうチャンスも実現していきたいと思っております。




8 ツキノワグマ対策部会の結果について 

●知事

 ツキノワグマが大変に全国で出没を重ねていて、負傷者も逐次発生をするという、そういう事態になっております。堅果類と言われますどんぐりなどの、そうした実が凶作であると、山の中で食べ物がないということもありまして、全国的にこういう状況が起こっております。

 私は、議会でもだいぶ議論をいたしまして、そして議会の方にも提案もさしていただき、議決もいただきましたので、そうしたツールを最大限活用して、この10月いっぱい、そして11月というのが出没のピークになると思われますので、最大限の対策を柔軟にやっていきたいと考えております。

 その意味で、昨日は有害鳥獣[連絡会議]対策[部会]のツキノワグマの会議を開催をいたしまして、市町村などと意見交換をいたしたところであります。その結果も踏まえまして、今イノシシの電気柵を結構多くのところでやっていますけども、ツキノワグマですと、もっと背が高い電気柵をやるのが有効だということであります。

 これは、なかなか農家の方ですぐに導入するのが[難しい]というお話もあったりしまして、市町村の方でされる場合の補助率を3分の1から2分の1に引き上げる案を提示をさせていただきました。市町村からも賛同が得られまして、鳥取市や八頭町で早速、設置を考えてみたいと、こういうことでございますので、これを執行していきたいというふうに考えております。

 また、昨日も議論させていただきましたけれども、学習放獣をする。結局、もう人里に帰って来るなという学習をさせた上で、山奥に放獣をするのが全国的に標準化されていまして、これを今、どこでもやっているわけでありますが、その際に、鳥取県としては電波の発信機を付けております。このテレメトリーと言いますが、このテレメトリーの情報を逐次市町村の方へ流していこうということであり、その体制を整えることにいたしました。

 一昨日ぐらいだったと思いますが、2人ですね、このテレメトリー調査の調査員を追加採用しまして、来週にでも、今は1週間に1回ぐらいのペースでそういう行動調査が出てくるんですけども、2日に1遍ぐらいの頻度でその行動調査が判明できるようにして、随時その状況を市町村に提供していこうと考えております。市町村も、もちろん地元の状況も考えながら、ということにはなるかもしれませんが、住民の皆さんにも情報提供を積極的に行っていただくと、こういう方向で、今、議論を進めております。

 テレメトリー調査もそういうことで、進化させていくと。この10月、11月は、重点的に行うようにしたいと思っております。さらに、熊の生息状況をやはり調査すべきだと思います。全国各地、どこもそういう状況があると思うんですけれども、本来、保護管理計画で想定していた個体数を上回っている可能性も否定できないわけでありまして、鳥取県の場合は残念ながら、人命に関わる被害も出たという現実があります。

 ですから、冷静な目で生息状況の調査をすることといたしまして、これも近々、その分析作業へと入っていきたいと思っております。これは来シーズンに向けての保護管理計画の見直し作業ということになろうかと思っております。




9 週末のイベントについて 

●知事

 その他、いよいよ秋も深まってまいりましたけども、障がい者の皆さんも、秋を思う存分楽しんでいただける季節になったと思います。今から、アビリンピックの代表選手の皆さんの激励会に出て行こうとしておりますし、この週末でありますが、トーチランという、スペシャルオリンピックスの前事業になりますけども、そのPR事業になりますが、県内の障がい者の皆さんが参加をされて、この若桜[街道]をパレードするというか、トーチを持ってマラソンの聖火リレーのようなことをされるわけであります。

 そういうようなイベントが、目白押しでございます。もちろん、その他の行事もございますし、来年の[豊かな]海づくり大会に向けましては、天皇陛下、皇后陛下の放流や御手渡しの予定がございます。ヤマトシジミや、それからキジハタという大変高級魚でございますが、こうしたものの放流行事も、東郷湖、さらに酒津で行っていくことに順次いたしているところであります。

 そのように様々な行事がありますが、いよいよ秋本番であります。県民の皆さまにもいい秋を過ごしていただければと考えております。私の方からは以上です。


○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者(幹事社)

 各社、質問ありますか。




10 11月補正予算について 

○毎日新聞 宇多川はるか 記者

 11月の議会に提出される補正予算なんですけども、経済雇用対策っていうと、具体的にはどういったことを想定されているんでしょうか。


●知事

 今、国の方がこれから国会での審議などを通じて、案がきちんと出てくると思います。一応、政府案というのは示されましたけれども、政府側の方で各党との協議を前提としたお話もございますので、その状況を見て考えていくことになると思います。

 ただ、その中では当然ながら、雇用対策とかですね、それから、安心こども基金という基金のことも話題になっていますけども、そういう児童福祉関連だとか、社会福祉関連、そうしたフィールドでの経済雇用対策も当然想定されると考えております。

 また、公共投資の関係でも、鳥取県の生命線と言って良いわけでありますが、高速道路ネットワークがまだできていない。このミッシングリンクを結ぶための直轄事業、これもぜひ枠の拡大をお願いしたいと思っています。これも、国に今、協議をしているところでございまして、ぜひ、その追加も引き出してまいりたいと思います。

 ただ、大きな公共投資だけでなくて、足元の景気も非常に悪いということでの動きだと思います。9月補正でも実施をいたしましたが、そういう足元の、身近な身の回りの公共投資も一定程度拡大する必要があるかなというふうに考えております。ただ、詳細は、今、指示したばかりでございまして、これから詰めてまいりたいと思います。


○山陰中央新報 錦織拓郎 記者

 その追加の経済対策の規模ですね、9月議会の69億は超える見込みだろうというふうなお話でしたが、5兆円規模の政府の閣議決定の経済対策を考えればそれより多くなるというのは、ある意味当然かなというところでして、69億から、じゃあ、どの程度まで膨らむ見通しなのかというところは、今の目処というのは。


●知事

 それは、今、指示したところで分かりませんが、私の、今までの予算編成経験からすれば、9月補正[予算額]は上回るだろうなというのが正直なところです。もちろん、そうすると次の指標は100億[円]というところかもしれませんが、100億[円]を超えてくるか、100億[円]内に留まるか、いずれにしても9月補正は超えてくるなと、そんなようなイメージをもっています。




11 関西広域連合と関西圏への認識について 

○読売テレビ 小川祐 記者

 関西広域連合に関係してなんですが、規約が成立したということで、発足段取りができたと思いますが、そもそもの話になるんですけれども、そもそも知事は関西というものは、どこからどこまでを関西だというふうに認識していらっしゃるんでしょうか。


●知事

 それを定義することは、正直あんまり意味がないと思っているんです。と申しますのも、私ども鳥取県としては、経済とか、社会の実勢に忠実に、県民や地域のための行政をすべきだと思っていまして、広域連合について関西州だとか、そういう思いのかたもいらっしゃるのかもしれませんけども、道州制だとか、そういう地域割としての関西ということに捉われるべきでは、本来はないんだろうと思っているんです。

 むしろ、広域連携の1つの大きなツールとして、これは活用すべきだと思います。そういう意味で、私どもはだいぶ議論を重ねましたけれども、医療関係だとか、観光文化関係に限定をして加入をしようと、そういう意味で実利をとろうという考え方で入っています。

 強いて言えば、グレーター関西というか、グレーター近畿というか、その中には入ってくるだろうと思っています。その理由は、徳島県が、近畿知事会に入ったときもそうでありますけども、[鳴門大]橋が架かったと。私どもで言えば、鳥取自動車道が開通をするという時期になりました。

 さらに言えば、徳島とも違いまして、私どもの場合は但馬地域だとか、播磨地域と地続きであります。特に但馬地域との間では、七坂八峠と言われます東浜居組道路、これが開通をして従来の大変な難所を越えなくても入れるようになった。さらに、余部道路が、この度開通をする予定になりましたし、そして、余部鉄橋も架け替えができました。こういうように、動脈がもう一度繋ぎ合わされてきたという状況だと思っています。

 そうなりますと、買い物だとか、あるいは観光だとか、そういうときに、県境を立てた前提で行政を組み立てるのはナンセンスになってくると思うんですね。その意味で、医療だったら今でもそうなんです。ヘリコプターで美方広域の消防署から、鳥取県立中央病院に患者を運んでこられます。その方が合理的なんですよね。

 だから、県境というものを立てたり、どこからが関西で、どこからが中国だということを峻別するよりも、住民だとか地域の目線に立てば、また、別の行政の組み方があるんではないかなというふうに考えております。

 我々としては海外からのお客様、関西の一部だと思っていただいて回っていただける距離感になったと思います。その意味では関西広域連合に入って、関西の冠が付いていくことはそれなりに意味も出てくるんじゃないかなという期待感を持っております。


○読売テレビ 小川祐 記者

 今のお話にあったグレーター関西、グレーター近畿という言葉が出てきたと思うんですが、その辺りの定義と言いますか、どういうふうに考えて、そのことを提唱していらっしゃるんですか。


●知事

 大体、車だとか、そういうことで考えて、密接に行き来出来る距離感のところですね。それから、経済圏のこともあると思います。鳥取県西部の米子[市]だとか、境港[市]の地域もありますが、こういうところですら関西からの進出企業が半分程度はあるわけであります。また、西の方でもブロッコリーだとか、ネギだとか、そういうものを出荷しておりますが、こういう県産品の農産物の出荷割合は京阪神地域で半分を数えるんです。

 それほど、実は、地図の上で言いますとね、ちょっと遠めに見える感じもありますけども、現実の高速道路だとか、鉄道網だとかを考えると、もう、経済的には関西に入っているというふうに言ってもおかしくないと思います。

 その意味で、それに忠実に、我々が行政を執行しようと思うと、関西広域連合というのはリーズナブルな選択肢だったろうと思っています。




12 ツキノワグマに関する住民への情報提供について 

○山陰中央新報 錦織拓郎 記者

 クマのテレメトリー情報の提供について、昨日の会議でも、県から市町村への要望というか、要求としては、住民への積極的な情報提供をお願いしますということだったんですが、市町村のかたからはあまり出し過ぎて、過度に住民不安をあおってもいけないんだという慎重論の方も強かったように聞こえたんですが、その辺りの市町村から住民へのクマの動向であったり、情報の出し方というのは知事はどういうふうなのが適切だとお考えでしょうか。


●知事

 私は、住民の安全、それから農作物被害への対策、そうした観点で必要な情報は提示された方がいいんじゃないかなと思っています。ただ、過度に不安をあおったり、あるいは観光地に人が来なくなるような、そういう情報の出し方をするのは適当かどうかということは、それはもちろんあると思います。ですから、我々としては、市町村の現場に最終的には判断をお任せすべき部分かなと思っています。

 昨日も、会議をやった報告を聞いて、我々の方の対策を、今、考えているところなんですけども、昨日の会議の中でも、テレメトリー情報の提供について、慎重な見方をされたかたもおられたとは聞いていますけども、それはまだ、あまり慣れないシステムなものですから、その辺についての評価が、まだ自分として固めきれてないというような趣旨も入っていたように伺っています。

 それから、市町村によっては、むしろそういう情報を、せっかく頻繁に出るようになるのであれば、それを提供していって、住民の安全に役立てたいという、そういうお気持ちのところも実は多いと伺っております。最終的には、これは市町村との共同作業になりますので、我々は、むしろその情報の密度を上げること、これが県の役割だと思っています。




13 鳥取環境大学の公立化検討について 

○読売新聞 野口英彦 記者

 環境大学の問題で、9月議会で各会派、いろんな意見があったかと思いますけど。それで、知事は、ジオパークが決まった時に、これ一度、落選というか、落選したことでむしろ体制が整ったと、雨降って地固まると。その結果、捲土重来ということで成功に繋がったということをおっしゃったんですね。環境大に関して、いったん立ち止まるという選択肢はないんでしょうか。


●知事

 いったん立ち止まるというのは。


○読売新聞 野口英彦 記者

 要するに、今度、協議会を設立されますよね。19日ですかね、タイムリミットがあるという話でしたけども、随分、早いという感じがするんですね、動きが。


●知事

 趣旨は分かりました。これも9月の県議会でだいぶ議論をしましたけども、実はここに至るまで、随分いろんな議論をやっているのも事実です。3年間、私が就任して経ちましたけれども、従来とは姿勢を変えまして、平成16年ぐらいからガタガタガタと入学者だとか、それから学生の応募が減ってきていると。

 そういう状況に、ちょっと手を付けずに、ちょっと放置した感じがあるんですね。それは筋論から言えば、1つ、公設民営なので、それは自立だというのはロジックかもしれませんけども。

 ただ、現実問題として、それで、教育委員会だとか、いろんな応援も、本来必要だったかもしれませんけども、実際には、その辺のケアを怠った面があったと思います。大学自身も、危機感が足りなかったところもあったと思います。

 それでこの3年間、現状の中で、何とかその大学を存続させていく、持続可能の状態に持っていけるように努力もしてきました。その結果として、入学者数は底を打った感のデータになり始めています。この3年間で、急降下してきたものが横這い状態に、今、入り始めている。

 ただ、この横這い状態のままで、じゃ、大学が持続可能な財務経営になるかというと、それは、そうでないんです。今のまま放って置くと、やっぱり血は流れ続けてしまう。従って、何か打開策が必要だということで、皆で議論もして来たわけであります。

 ただ、一方的な、公立化さえすれば良いという議論がその中で浮上したんですけども、むしろ、きちんと大学側も血を流すべきところは血を流して、そういう覚悟で大学を変えていくと。本当に魅力ある大学に再生させる案を出してくれということを迫っていたわけです。

 これに対して、ちょっと時間が掛かり過ぎたっていうこともあるかもしれませんけども、案がようやっと、この春に出てきたわけでありまして、その後、それをどう評価するか、第三者の目も必要だということで、6月県議会で議論をして、県と市の間で評価検討委員会を設け、その結果に基づいて、このたび、大学の公立化を含む抜本改革に向けた共同機関を設置しようと、ここまで来たわけですね。

 そういう意味であれば、結構いろんな議論は交わしてきていると思います。ただ、その議論が果たして、隅々まで浸透しているかということで言えば、まだまだ、時間は必要なのかもしれません。

 ただ、大学の改革が難しいのは、どうしても受験シーズンがやってきます。冬場になりますと、実際に、試験場に行かなきゃなりませんし、その前のだいたい12月の声が聞こえてくれば、志望校を腹決めするわけでありまして、その腹決めをする段階であんまりごたごたやっていますと、せっかくの意欲ある受験生も、気が萎えてしまうということになったりします。

 また、在学中の学生の皆さんにも不安感を与える面もありますので、ある程度速やかに、一定の方向性は、外部的にも示していく必要があるんじゃないかと私は思っています。そういう意味で、協議会を設置をすることにつきまして、議会のご了解を得たわけであります。

 ただ、議会の方でもおっしゃるとおり、これは最終決定でないと、つまり、公立化してということになりますと、当然ながら、様々な議会の議決がありまして、この議決を得て初めて公立化が決定するというものであります。

 ですから、今は、そういう意味で検討段階でありまして、その検討段階の情報をきちんと開示をして、議会や住民の皆さまにもお示しをしながら、様々なご意見もいただきつつ、成案をまとめて行くということだと思っております。

 スケジュール的には、どうしても5月に文[部]科[学]省の方の判断のタイミングが来るわけでありまして、これを経なきゃいけないということからしますと、ある程度急いで、検討作業も進めなければならないわけであります。

 ただ議論をシャットアウトをするということではありませんし、最終的な判断は、議会側も一定程度留保しながら、今回、議決をされたと理解していますので、その辺は、私どもの趣旨を誠実に受け止めながら、協議を進めてまいりたいと思います。


○毎日新聞 宇多川はるか 記者

 同じなんですけども、議会の中では、勇気ある撤退も可能性としては、選択肢としてはあるんじゃないかっていうことに対して、教育の場っていうのは確保していかなくてはいけないというお話だったと思うんですけども、環境大の有意性と言いますか、その存在意義というか、どこに考えておられるのかなと思ったんですけども。


●知事

 これは、実は[鳥取]環境大学も長い議論です。20年越しの議論でございまして、そもそも県内に高等教育機関が足りないということです。そこから出発をしたわけでありまして、一時は、私立大学ということで、それを誘致と言いますか、それを応援していこうというような議論があった時期すらあります。

 今でも、実は大学への進学率が全国平均を下回っているという現実が鳥取県にはございまして、また、大学に行く皆さんも県外へ流出をしてしまうと。これは、そうするとご家庭に対する負担感が増しますし、それから、身近なところで学生生活を送りたいという子どもたちの願いにも反する面があります。

 ですから、できるだけ高等教育機関を身近なところで用意をしていくのは、地域のアジェンダと言っていいテーマではないかと私は思っています。

 そういうことで、ずいぶん複雑な議論を経て、公設民営大学としての鳥取環境大学がスタートしたわけでありますけども、残念ながらその経営が当初予定したとおりに進まなくなってきて、急カーブで落っこちてきたと。最近3年間、下げ止まってはいるものの、このまま持続可能な状態にはならないということでありまして、やはり打開策が必要だと思います。

 その意味で大学を生まれ変わらせて、公立化というのも一つの材料になると思いますし、それから、大学の教育内容も改めて、そして魅力を、学生の皆さんやご家族、地域に感じていただけるようにしてはどうだろうかということであります。

 その際、今回、議会でもいろいろな議論が出ております。例えば地域のシンクタンクを、ここに合一化してしまってはどうだろうかと。これは大学の案にはなかったことでありますけども、私はそういうこともやっていってはどうかなと思っていまして、先般も古澤[鳥取環境大]学長にその旨を申し上げました。古澤学長も基本的には賛成だという趣旨のことを述べられておられましたし、いろいろとこれから協議を詰めていきたいと思います。

 議会でも議論がありましたのは、鳥取県らしい教育として漫画のテイストを入れることはできないかというお話もありました。こういうのもカリキュラムの編成の中で、そういう講座を一部に設けるとかいうことは、私は可能ではないかと思います。

 ただ、これは鳥取市との共同経営の大学になりますので、よく協議をしながら、大学側の実情も聞いて判断をしていく必要があると思っております。

 そういう意味でいきますと、このまま大学を失ってしまって大学の進学率が低下することを助長するようなことになるとか、また、せっかく200億円という大金をはたいて片山県政の最初の時に作りだした県民の財産を単純に放棄していいものかどうかというのは、私は疑問を感じていまして、一時期は現状のまま再生する方に努力を傾けましたけれども、なかなか打開しきれないところもありますので、この際、革命的な改革を行う方に進んだ方が、県民と地域のために、利益にかなうだろうと思っております。




14 知事の進退について 

○日本海新聞 井上昌之 記者

 知事の進退のことについてなんですけども、9月議会でもいろいろ質問がございまして、熟考中ということで答弁されていたと思うんですけども、国際マンガサミットの県内開催が決定したりですとか、ガイナーレの4位以内が確定したりですとか、知事が答弁の中で理由に上げておられた諸問題についてそれぞれ解決の道というか、良い方向で話が進んできていると思うんですが、現段階で、いつごろまでに進退をお決めになって出したいというお考えなのかというのをお聞かせいただけませんでしょうか。


●知事

 私は、自分の一身上のことで県民の皆さんに迷惑を掛けるのはいかがかと思いますので、きちんと結論は、年内には出していくべきだとかねがね思っています。議会でも議論しまして、若干言葉尻の話もあるんですけども、私の方の気持ちとして、まず目の前の県民の皆さんに対して4年という任期を通じて、差し上げることができる成果は、まず出していきたいと思っていました。

 その意味で国際マンガサミットを誘致をするとか、それから、世界ジオパークネットワークの加盟とか、こういう、私の任期に入ってから取り組み始めた事業の仕上げをしたいと思っていたわけであります。幸いどちらも成功したという成果が意外に早いタイミングで得られたわけであります。また、ガイナーレ[鳥取]につきましては、これは、正直マニフェストにも記載してあるんですけども、ガイナーレ[鳥取]のJ昇格という夢も実現に向けていきたいと思っております。

 これは、ガイナーレ[鳥取]の塚野社長もおっしゃっていますけども、まだ、完成したわけではございませんで、財務状況だとか、それから、観客数といった要件もクリアしていかなければなりません。私自身も、スケジュール的に、今月末にチェアマンに、言わば、面接試験を受けるように言われておりまして、それが、今、念頭にあります。

 それで、また議会中も申し上げましたけれども、当面、緊急的な経済雇用対策も必要になってきていると。追加補正を9月議会中も出しましたけれども、さらに、現在国の議論も睨んで、これは緊急にやらなきゃならないなと思います。

 これも、先程申しましたように、10月いっぱい、11月にかけて、予算編成作業は進んでいくと思います。そうした、当面の課題には誠実に当たっていく方にある程度時間を割かなきゃいけないと思っていまして、もう少し、時間をいただいて、判断をさせていただこうと思っております。


○毎日新聞 宇多川はるか 記者

 11月議会で同じような質問が出ると思うんですけども、11月議会には、結論は出されるような感じになるんでしょうか。


●知事

 先程申しましたように、遅くても年内には申し上げるべきかなあと思っています。前例によれば、12月のクリスマスの時という例もないわけではありません。


○読売新聞 野口英彦 記者

 議会中で会見がなかった時ですので、少し前の話になりますけれども、宮崎県の東国原知事が、知事として限界を感じたと。この国の姿を変えたかったんだけど、やっぱり地方の知事としては限界を感じたということをおっしゃって、次の選挙には出られないということを言われたわけですけども、知事はこれまで、1期活動されてきて、地方の知事として限界を感じたことがおありなのか、あるいは今もそういうことを感じていることがあるのかということはどうでしょうか。


●知事

 2つの局面があると思います。1つは、この国のあり方について、私は、分権的にやっていく、そういうポリシーがないと本当の意味では、住民や国民が満足できるステータスは出てこないと思っています。その意味で分権的な国家を推進していこうという大目標は、自分としては持っております。仲間の知事もいっぱいいます。

 そういう意味でいくと、ここには限界を感じることは多いですね、正直申し上げて。なかなか国の各省庁が動きませんし、それから、政治自体も、国政は、一丁目一番地の政策に掲げていたこともたびたびあるわけでありますが、目立った前進がないまま、無為に年月を重ねているという、そういう気持ちがあります。ですから、東国原[宮崎県知事]さんのように、限界をこの面では感じるのは、全く共感できますね。

 ただ、もう1つの局面があると思うんです。それは自分自身に与えられる使命というものだと思います。私自身は県民や地域の皆さんのお役に立てればというポジションでありまして、そのために住民の皆さんといろんな議論をしたり、地域の課題を拾い上げていって、スピーディに実行に移し、将来的なビジョンも明確に議論を提示をして、地域を前へ前へと推し進めていくべきものだと思います。

 そういう意味で、この度「鈴木効果」とかいうようなことも出ましたけども、ノーベル化学賞の「触媒」という言葉が使われていますが、私自身はそういう触媒のような役割を果たして、地域が、それから住民の暮らしが発展成長していくようにしていかなきゃいけないと思います。こうしたミッションを与えられてそれを誠実にこなしていくことは、これは国政であってもできないことだというふうにも感じています。

 ですから、今の自分の役割を誠実に果たすことを県民の皆さんが評価していただけるのであれば、むしろ、それをしっかりとやっていく、地に足を付けてやっていく。それは国政のような派手さはないかもしれませんけれども、そういう役割の人も必要だろうと思っております。この点では、東国原さんは私はそれなりに成功を収めていたと思うんですね。宮崎県の観光物産という観点をとってすれば。

 ただ、もちろん、口蹄疫の処理の問題だとか、いろいろと歴史的に評価を下されることも今後出てくるかもしれませんけれども。ただ、それなりのポジションを果たしておられたと思うし、ああいうかたであれば、県民や地域のお役に立ち続けることは可能だったんじゃないかと思っています。

 この辺は、東国原さんと私はちょっと感性が違うかなというふうに思います。その辺は人それぞれ考え方もあろうと思いますし、その先に見定めている何かが東国原さんにもあるかもしれませんから、私の友人でもありますし、東国原さんの今後の方向を見守っていきたいなという気持ちです。




15 人事委員会勧告と県の給料表について 

○時事通信 京正裕之 記者

 先日、人事委員会の勧告があったようですけれども、月給は据え置きで、ボーナスは0.04今回引き上げということで、一方で、職位によっては給料表がいびつになるっていう指摘もされていたんですけれども、これから労使交渉の方も復活すると思いますから、そもそも国の人事院勧告と連動するようなかたちの仕組みっていうのは、そもそも制度としていいと思われるのか、それとも、見直していくべきだというような感じ、その辺りの考えというのは。


●知事

 私は、鳥取県型給与構造改革というのをやっていくべきだと主張いたしておりまして、その面でいけば、国の給料表体系だとか、人事院勧告一辺倒の体系から独立していくべきだと思います。

 その理由は、地域の皆さんのお役に立とうということで、公務員が県に雇われているわけでございまして、この公務員の給与水準というのは、基本的に雇い主である住民の皆さんの意識に近くなきゃいけないと思います。それで言えば、その地域の企業の給与体系だとか、そのレベルを一番参考にしていいんじゃないかなと思います。

 それをすると、議会での議論の末、最終的に条例を持って給料表は定まるわけでありますが、議会の納得も得ることができるというのが本来の仕組みだと思います。

 ただ、一種のドグマがありまして、その前の段階ですね、私の就任する前は結構人事院勧告を踏襲するとかいうことでやっておりましたけども、そういうやりかたをしている都道府県は多いんですが、その方が楽ではあるんですけども、人事当局として。ただ、もっと明快に県民の視線に合わせるのであれば、むしろ国とは独立した方向に向かってもいいんじゃないかなというのが基本的なアイディアです。

 ただ、人事院勧告がまったく役割を果たしてないかというと、参考になることは間違いないことでありますし、国の動向も見ながら公務員全体のレベル調整ということもあるかもしれませんので、人事院勧告自体を否定するものではありませんが、人事委員会は独自性を持った勧告へ向かっていくのは、私は時代の流れに相応しいんじゃないかと思っています。


○時事通信 京正祐介 記者

 鳥取県は過去の2年間を見ても、全国に先駆けて労使で決めるっていう、非常に強いと思うんですけれども、他方、他県はその人事院の勧告に沿うようなかたちが多い。それで、今回、国も50代後半の職員については、給料表を下げるというような、より詳細な勧告を出しているんですけども、鳥取県はそれをかなり先駆けてやっておられて、職位ごとの給料表を見直したりっていうふうにされて、それが結果的には給料表がかなりいびつな形というか、難しいものになっているっていう指摘があるんですが、その辺りっていうのは修正できる、していけるものっていうふうにお考えでしょうか。


●知事

 その辺は、すごく実務的なことになってきます。給料表を作る時に、なんらかの基準を持って作んなきゃいけないんです。

 例えば、1年経ったら上がっていくようになっているんですね。そういう、階段を少しずつ刻んでいくわけでありますけども、そういう刻みかたとか、その職位によって、民間もそうですけども、係長が課長になった、課長が部長になったということで、職位が上がると給料も上がっていくと。このシステムをどういうふうにして入れていくかという意味では、その人事院が作っている給料表は目安としてはよくできている面があるんです。

 ここから離れていくことに対する本能的な不安感はあるんですね。その標準を失ってしまうんじゃないかという。労使交渉でやっているわけでも必ずしもなくて、実態を申し上げれば、民間の給与実態調査に基づいて、勧告を出しておりますので、そういう勧告スタイルからしますと、民間の給料表をそのまま引いてくればいいわけで、民間の給料表も企業によってバラバラでありますので、そう簡単に1つのモデルを作ることはできないですね。

 ですから、国の給料表を参考にしながら、そこを改変していく、というのが実務的にはやりやすいところであるし、ある程度、納得性があるものがあるんじゃないかというのが、おそらく人事委員会の今の考え方じゃないかなと、私は聞いたわけでありませんが、そういうふうに思います。

 自分が、もしそのポジションにいたら、やっぱりそうする方が実務的にはプラクティカルと言いますか、実行可能性があるかなというようにも理解できるところもあります。

 そういう意味で、去年は管理職の方だけを手をつけるというようなことをしたりしていまして、今年50代という国の方の話がございましたけれども、そういうのを先取りしているような感はあるわけであります。いずれにいたしましても、適正な給料表を作っていくというのは、鳥取県として歩みを進めていかなければならないと思います。全国どこもやってないことに、今、踏み出しております。

 ただ、誤解なきように申し上げれば、ものすごい高い給料をやっているのとは全く逆でありまして、むしろこの構造改革を行っていく過程で、ラスパイレス[指数]が前知事の時代は100くらいであったものが、今95くらいまで下がってきているというような状況もございまして、県民の納得性もある水準を目指しているわけでありまして、人事委員会の勧告案もよくみて、これから実際、職員団体との交渉もあるわけでありますが、よく議論して成案を得て、12月の県議会に向けてまいりたいと思います。




16 事業棚卸しの傍聴について 

○読売新聞 野口英彦 記者

 今、まさに同時進行で、県の事業仕分けをやっているところで、知事ご自身が会場に行かれて、議論に耳を傾けるという機会はありますでしょうか。


●知事

 ちょっと今日は予定出来ていません。今後あるかどうかですけれども、ちょっと日程的に取れるかどうかだけです。インターネットで中継もしていますし、それからその状況はきちんと担当部局からも聞いて、予算編成の重要な判断資料にしてまいりたいと思います。




17 ガイナーレ鳥取への出資について 

○毎日新聞 宇多川はるか 記者

 ガイナーレの出資についてなんですけども、常任委員会では、長期的にみてどうなるのか、数字的な裏付けが欲しいだとか、多額の債務を抱えてリスクがあるところに出すのはいかがなものかといった、そういう慎重な意見もあったんですけども、出資された場合に県の責任についてどのようにお考えでしょうか。


●知事

 法的な意味であれば、出資した責任は、その出資額の範囲内ということになりますので、それ以上の責任を負うことは理論上はないということだと思います。

 これは、後は政策判断だと思いますけれども、J[リーグ]へ上がることを地域のシンボルとして、元気の材料として熱望している声は多いと私はみています。それから、スポーツを通じて全国に鳥取県のいろんな良い面を発信していくことだとか、それから青少年に与える健全育成の観点だとか、高齢者の体作りの支援とか、いろいろとメリットのあることも多いだろうというふうに思っています。

 そうしたところを考えた際に、今のガイナーレ[鳥取]側から提示をされています出資案は、私は妥当なものではないかと思っておりまして、先回、議会中でございましたから、きちんと議会の方に担当部局から説明をさせていただきました。正式にはもちろん予算を伴うことでありますので、議案という形で、今後提示をして議会のご判断を得ていくということになります。

 鳥取市とは協議をしておりまして、やる場合には、今のバードスタジアム[国際交流]基金を取り崩して、これ、出資割合が半分ずつ、県と市でありますので等分で取り崩した上で、これを財源に充てていこうということであります。財源上の目途は比較的立ちやすい状況だと思っています。




18 来年度予算の重点について 

○NHK 永楽真依子 記者

 来年度の予算なんですけれども、これから本格的に始まるということですが、知事としてどの分野に力を入れていこうというお考えが、もしありましたら。


●知事

 今は、まだこれからということでありまして、特に政府の予算編成作業も全く進んでいないというふうにみえます。ですから、ちょっと予測しがたいところがあります。

 というのは、財政フレームが今作れない状況でありまして、どれほど余裕財源というか、執行可能財源ですね、新年度予算に与えられるかというのはまだ見極めが必要だと思っております。

 ただ、私としては、今いろいろと夢が形になり始めたものがあります。山陰海岸ジオパークだとか、それからガイナーレ[鳥取]もそうだと思いますが、それから、電気自動車工場のプロジェクト、これはまだプロジェクト段階でありますが、そんなのが走り始めただとか、いろいろございますので、ぜひともそういう形になりかけたものを、この際スパートをかけて発展させていくと、そういう時代を画するようなことを考えていかないといけないと思います。

 ただ、自分自身、自重しなければなりませんのは、選挙を経ないと新任期はないということでございますから、政策的な経費をあまり計上しすぎると、次の任期の当選者に対して礼を失することになりますので、その辺はよく自重しながら、これは当然必要だろうという経費を取捨選択しながら、とりあえずの骨格予算的編成を進めていきたいと思っております。

 ただ、議論は、精一杯やらさせてもらいたいと思っていまして、将来につながるようなそういう重大な年だということで、来年度予算を位置づけてまいりたいと思います。

 後は、経済雇用対策ですね、この点は一定の配慮がまだ必要だろうと思っています。当初予算段階でも当然ながらその辺の配慮をする必要があると思います。例えば、来週20日に、セイコーエプソンの方に行くことにいたしました。東京の方で、会社を訪ねてみようと思っておりますが、先般、エプソンさんは工場の閉鎖を発表されたようでありまして、我々にもその主旨の情報が寄せられております。

 雇用に与える影響も非常に大きいものでありますから、私としては、そうは言っても雇用上の配慮は出来るような新事業展開なり、なんか考えられないだろうかというようなお願いをしたいと思っています。これはちょっと先方と今後どうなるか分かりませんが、そういう気持ちを持っております。

 例えば、そういうことで、雇用の激変、例えば三洋さんもそれが想定されるわけでありますが、雇用に与えるような大きな影響を与えるようなことに対する予防的な措置だとか、あるいは再生をさせようとする努力を後押しする措置だとか、4月早々からでも緊急に必要なことってあると思います。

 そういうのは、骨格予算の中でも今回の11月議会で、議論してもらうような補正予算と合わせて、一定程度、配慮する予算組みも必要かなと思っています。そうした経済雇用対策がまだらなく行くというのも、これは骨格予算であっても盛り込むべき事項かなと思っています。




19 ガイナーレ鳥取への出資について(再質問) 

○山陰中央新報 錦織拓郎 記者

 ガイナーレにちょっと話が戻るんですが、米子市は2,000万円の出資要請に対して、1,000万円という額がぎりぎり限度というふうな説明を議会になされていたんですが、そういうその必ずしも県と両者足並みが揃ってないような状況をどう思われるかと、県としては要請があった2,000万という額の要請に応えるということにお変わりはないのか、2点お願いしたいんですけど。


●知事

 私としては、これは、ガイナーレ[鳥取]側はあくまで要請であると思います。彼らなりの新しいJ2として再スタートを切ろうとした場合に、こういう基盤でいきたいという思いがあると思いますね。それで、米子市さんとか、境港市さん、倉吉市さんというところにも出資を呼び掛けているわけであります。ですから、その呼び掛けていること自体がおそらく大切なんだと思うんです、ガイナーレ[鳥取]側にとっても。

 先般、塚野社長ともお話した機会がありましたけれども、J2入り要件の[JFL]4位以内が確定した時に、やっぱり地域みんなで支えてもらったという形が大切だとおっしゃっていましたから、そういう思いが基本的に強いんだと思います。

 金額の面で、いろいろとそれぞれの自治体の事情やガイナーレというチームとのこれまでのお付き合いなど、それぞれに差があると思います。ですから、最終的にはそれぞれの自治体で判断をして、考えていけばいいことではないかと私は思っております。

 それから、私どもの方でいえば、今回2,000万円出資という形で言われましたけれども、去年実は内々に想定をしていたもので、鳥取市とも議論をしていた想定よりも額的にも小さくなっていますし、ガイナーレ[鳥取]側も自助努力をされていると理解をいたしております。ですから、民間の出資なども増やしていく中で、県も応分の出資をしていくというのは、私はリーズナブルな選択ではないかと思っています。

 ただ、ガイナーレ[鳥取]側に、経営責任だとか、しっかりとした公的立場での説明責任を果たすようなことを求めていくのは当然だと思いますので、その辺はガイナーレ[鳥取]側にも要求をしていきたいと思います。


○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者(幹事社)

 他ございますか。では、これで終わります。


●知事

 どうもありがとうございました。



  

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