●知事
おはようございます。昨日は知事会の関係で上京しておりました。いろんな議論はありましたけれども、私の方から、新しい一括交付金が政府内で検討されておりますけれども、それが三位一体改革の二の舞にならないようにしっかりと総額を確保する努力をすべきではないかと訴えました。
これから知事会として、この仕組みづくりに関わっていくこととなると思います。私自身もそうした立案の一端を担わせていただくことになるようですけども、ともかく、この問題など非常に大きな財源問題はこれから出てくるだろうと思っております。
国全体で中期の財政フレームを作ろうとしておりますけども、その際に、お金がないけれども新しい事業をやらなきゃいけないという中で、増税をなかなか打ち出せないという状況で、地方にツケが回ることがないように、この際、補助金を一括交付金化することで、総額を減らす単なる口実に使われないように、注意深くこの問題に対処していくべきではないかと思っております。その辺の問題意識を知事会の方で訴えさせていただきました。
●知事
そういうような、いろんな議論がありましたけれども、昨日は併せまして「自立と分散で日本を変えるふるさと知事ネットワーク」に参加をさせていただきました。隣の島根県の溝口知事のご紹介もありまして、福井県だとか、長野県だとか、全部で11の県が集まっておりますけれども、そのネットワークの中に入らさせていただくことになりました。
その際、私もこれは産業の分散が必要だろうと。雇用の受け皿がない限りなかなか地方に自立、分散ということができてこないと。そのターゲットの1つは雇用ではないかということを主張させていただいたりしております。いずれ政府側への提案、政府側とか、あるいは社会に対する提案をしようという流れで今、いろいろと活動を始めているところです。
●知事
あと、「プラチナ社会構想」と言うのを、[(株)]三菱総[合]研[究所]の小宮山理事長さん、前の東京大学の総長が主張されまして提唱されております。この度[プラチナ社会研究会が]発足をすることになりました。今月中に発足式を行うということでありますけども、鳥取県もこのプラチナ社会研究会に参画をさせていただくことで合意を得させていただきました。
小宮山理事長には、先般、鳥取県の方に電気自動車の工場が進出するという、そういうことが決まった際に、私も掛け合いまして、その記者発表の席だとか、シンポジウムに寄せたメッセージを頂戴いたしたわけであります。その際も親しく意見交換をさせていただきましたけれども、これからは環境、あるいは高齢化といった社会的な課題を最先端の日本の技術で克服をしていく、これが産業の活性化だとか、社会の安心、豊かさ、それから雇用などにも結びついてくるんではないか、こういう考え方を意見交換させていただきました。
正に、そういう方向で、鳥取県は先駆者たらんと思いますので、プラチナ社会構想に参画をさせていただこうと思っております。これにはおそらくいくつか自治体も参加してくると思いますし、関連した技術開発を進めたり、それによる産業おこしを考えておられる企業さんも加入をしてくると思われるところであります。いずれにいたしましても、そうしたネットワーク、1つは自立と分散によって社会を変えていこうというネットワークとか、プラチナ社会構想に加わっていくことによりまして、鳥取県のこれからの姿をクリアに浮かび上がらせていきたいというふうに考えております。
●知事
この度、港湾関係で新しく国土交通省から内示が示されました。これは、竹内南地区の国際フェリーターミナルの調査費。それから、中野地区におきます多目的国際ターミナルの調査費。それぞれ500万円ずつの調査費がついたというお話を国土交通省の方からいただいた次第であります。非常にこれからの境港の活性化、そして環日本海航路、上海だとか大連なども含めまして大きな効果をもつものだと思います。
さらに、バルク貨物と言われるような[物を]通常の船を傭船をしたりして運ぶ。そういう貨物輸送にも非常に大きな効果を発揮するだろうと思います。
竹内南地区の国際フェリーターミナルは長年の鳥取県の宿願と言えるものでありました。DBSクルーズフェリーも、もしこちらのターミナルが出来れば、そこに接岸をしていくということを考えていたところでありまして、大変に喜ばしいことだと思います。中野地区も高機能の多目的岸壁ということになりますので、これは、そういう国際性のある境港に大きな力を与え、弾みをつけるものだと思います。
どちらも調査費がついたわけでありまして、大変に喜ばしいことだと思っております。ご協力いただきました様々な方々に感謝を申し上げたいと思いますが、実はまだ調査の段階でありまして、実際に着工するということになりますと、重点港湾としての指定が前提になると思われます。ですから、これから境港の重点港湾指定に向けて、全力を挙げて取り組んでいく必要があると考えているところであります。
●知事
さらに、交通関係で、焦眉の課題でありますのは、米子-名古屋便であります。この米子-名古屋便につきまして、昨年度の末頃、全日空の方から、その運航について休止する可能性を打診をされてきているところでありまして、これまでも、副知事ですとか、あるいは境港、それから米子の空港活性化の皆さん、島根県のかたと共に様々な要請活動をしてきました。そうした動きが出てきた後も出掛けて行っているところであります。
昨日、東京の方の会合で、愛知県の神田知事と出会いまして、それで合意をさせていただきましたけれども、4月9日に全日空の本社を愛知県と共同で訪ねようということになりました。愛知県側は、神田知事は、その日はどうも都合が悪いということだそうでありますが、全日空側の方で然るべき人が出て来られるようなので、そちらを優先して愛知県は副知事を出すということで合意をいたしました。ぜひ、我々の地元の状況を訴えかけていきたいと思っております。
一時期30パーセントを切るという非常に厳しい搭乗率の状況がありましたけれども、年明けから巻き直しを図っているところであります。ダイヤもかねて私どもで訴えかけていたところが通りまして、以前よりは使いやすいダイヤに変わってきております。
これから、「ゲゲゲの女房」のような番組の効果だとか、鳥取県独自に「うっとり鳥取キャンペーン」という、ANA[全日空]とタイアップしたキャンペーンをやろうとしておりますし、そうした様々な誘客活動、ビジネス利用の促進運動を通して、搭乗率を上げていきたいと考えていた矢先のことでありますので、非常に今、残念な状況だと考えております。状況は厳しいのではありますけれども、我々としてはぎりぎりの訴えかけをしていく必要があるだろうと、愛知県側と合意をしたところであります。
●知事
それから、いよいよドクターヘリを飛ばすということが実現をする運びになりました。年度末に兵庫県、京都府と正式な協定を結びました。これによりまして、運航が始まるということになります。今日は、天気にもよりますけれども、天候が許せば訓練を行うことになっておりまして、鳥取県の東部の方に入ってくることにいたしております。
私も、その訓練会場の方にまいりまして、その状況を見せていただいたり、ヘリコプターの中を視察させていただいたり、激励をさせていただいたりということを考えております。但馬救急救命センターの小林センター長が飛んでくることになっておりますし、スタッフとして、お医者さん2名、看護士さん2名などが飛んでくるという予定でおります。
さらに、本県の場合、東西に長いという特性がありますので、ドクターヘリのみならず、防災ヘリの医師搭乗システムというものを確立しようと、そのために機体の整備を行ってきておりました。これも4月14日に飛んでいこうということをしておりまして、これで、鳥[取]大[学]の方とタイアップをした訓練をやろうと。実地の状況調査と言いますか、運用実証をやってみようということであります。これも、西部の方になりますけども、出かけていこうかと考えているところであります。
いよいよ、日本海側で、初めてのドクターヘリが飛ぶということであります。鳥取県1県だけでは厳しい、財政的な負担もございますので、躊躇もあったわけでありますが、兵庫[県]、京都[府]と連携する形で運用が始まることとなりました。なお一層、今後、まずは始めてみて、改善を図っていくという考え方で進めていきたいと思っております。私からは以上です。
○日本海新聞 田村彰彦 記者
ターミナルの件なんですけども、今年度は新規事業を行わないということで、予算がつかなかったわけなんですが、それで、今回、調査費がついたということは、来年度以降の建設が前提ということで考えてもよろしいんでしょうか。
●知事
そこは我々も情報が完全にあるわけではありません。ただ、1次予選を突破したということかなと思っております。これから、重点港湾になるかどうかが新規着工の条件だと、前原[国土交通]大臣が記者会見でも述べておられますので、それをクリアしていく必要があると考えております。
今、国全体で100を超える重要港湾があるわけでありますが、それを40ぐらいに絞り込んでいこうということでありまして、選択と集中を図るという国の方針があります。そういう厳しい中で、今回、調査費がついたということは、我々としては、1次予選を突破したぐらいの意味は十分にあるだろうと思っておりまして、歓迎したいと思っております。ただ、実際にやるかどうかは、その調査の結果にもよりますし、それから国全体の仕組として重点港湾になるかどうか、これがポイントになってくるとみております。
○日本海新聞 田村彰彦 記者
重点港湾のその選定の時期はいつ頃かというのは、県の方に情報は入っていますでしょうか。
●知事
これから夏に向けてその選定作業が本格化してくると我々は睨んでおります。いずれ、いろんなことが明らかになってくるんではないかと思いますけれども、これは、私どもも昨年度から重点港湾化に向けた要望活動を展開しておりまして、民主党の県連さんとか、国[土]交[通]省の方にもそうでありますけども、前原大臣にもお願いに行ったことがあります。是非、そうした政府側への働きかけを強めていきたいと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
この重点港湾の基準のようなものはあるんですか、規模とか。
●知事
そこは、どれほど戦略性のある港かということになってくるだろうと思います。我々としては、例えば、紙パルプの貿易量で全国でも最大の港であるとか、また、このたびのDBSクルーズフェリーの就航のように他の地域にはないユニークな航路の拠点になっているとか、我々としてはアドバンテージと考えていることはあります。
ただ、貨物の絶対量からいって、全国的に見て抜きん出ている港とは残念ながらいえない状況でありまして、日本海側の重要な港という位置付けは変わらないと思いますけれども、その中をさらに、重点港湾として認めてもらうには、政府に対して、十分な訴えかけと説明をしていかなければいけないと思っています。
○山陰中央新報 太田満明 記者
この前、関経連との懇談会がございましたよね。あの後で、井上会長にちょっとお話させていただいたんですけどもね、直接、重点港湾という話じゃないんですけれども、DBSの活用策として、活用策と言っても、前回も言ったと思うんですけれども、例の押村先生の研究ですね、とか、EVの関係とか、米子地区の特殊な、そういう産業っていうのは育ちそうにあるんで、経済特区のようなことを考えたらどうだ、みたいな話をされていたんですけども。もし、それが実現すれば、まさにこの重点港湾もそれなりに活用されるのかなと思うんですけど。
●知事
いろんな可能性があると思います。また、EV[電気自動車]工場ですね、全容がまだ明らかでないところがあります。恐らくこれから、どういうふうにして、自動車モデルを考えていくかとか、具体論に入ってくると思っております。
我々は必要な支援策として、行政上の特区構想みたいなものがあるんであれば、ぜひ考えて見たいと思いますが、今はまだ、そこまでの打診は、先方からは来ていないということであります。あと、港湾内の利便性の向上など、特区のような形で規制緩和をしてもらう、我々の思いもありますので、いろいろと政府側に、港の使い勝手が良くなるような方策を求めていきたいと思っております。
○山陰中央新報 太田満明 記者
港湾の特区ですね、例の外国から運んで来た車を自由に動けるようにとか、あの特区はどうなりましたか。
●知事
今、関係者とまずは話をしてみて、それで我々なりの案を持って、政府側へ呼びかけにいこうという段取りで考えております。まだ、現在進行中であります。ただ、大阪とか、他の地域でも同じようなことを考えて出しましたけども、結局は政府側で採用されなかったということもありました。今、政権交代がありましたので、その後、どういうふうな反応があるというのは、まだ分からないところでありまして、我々としては、政府側へ申し入れをしていきたいと思っています。
○NHK記者 宮本知幸 記者
名古屋便も大変なんですけども、全日空側から可能性が提示されたということですが、その運行休止の可能性が提示されたということなんですけど、知事、厳しいとおっしゃいましたけど、かなり今、切迫したような状況なんでしょうか。
●知事
あれは、ちょうど2月議会中だったと思いますけども、前に副知事が県から行きまして、それから境港市の副市長さんとか、[米子空港利用促進]懇話会の坂口さんとか、島根県の所長さんとか、皆でそういう動きが出て来たんで出掛けて行って、我々としては存続させるべきだというお話をさせていただいたんですけれども、非常に、全日空側としてはシビアな見方が、その際もやり取りして、伝えられてきております。ですから、決して事態が好転をしているというわけではないと考えておりますけれども、4月いっぱいがぎりぎりのところであります。
愛知県の神田知事とお話したのは、愛知県側も中部国際空港[セントレア]の活用ということが、これからテーマになってくるわけでありまして、[中部国際空港]セントレアの利用のありかたにも関わる運休だというふうに認識していただきまして、そうであれば、お互い思いは通じるところがあると。共同で働きかけることにしましょうかと、こういうお話をさせていただいたところでありまして、昨日も、ぜひ一緒にやりましょうと、神田知事からお声を掛けていただきました。
これから、どういう折衝になってくるかということは、まだまだ予断を許さないと思っておりますし、搭乗率が3月期は56パーセント程度まで回復をして、上昇カーブをぐっと描いてきているとはいえ、全日空側の方で求める水準なのかどうか、これはまだまだ疑問はあると言われる可能性はありまして、我々としては厳しい逆風の中にあると感じております。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
4月いっぱいがギリギリのところっていうのは、折衝じゃなく、ANA側とのやり取りがっていうことですか。
●知事
結局これは、航空のルールがありまして、10月からのウィンタースケジュールという冬のダイヤに切り替える際に減便をするとか、運休をするとか、あるいは増便をするということを決めていくわけであります。それで、半年前というのが期限になっておりまして、そこでアナウンスをしなければならないと。アナウンスの時期が4月末と迫っているというのが現在の切迫した状況であります。ですから、もう近々最終結論をANA側が出すというタイミングに入ってきたと思っています。
○山陰中央新報 太田満明 記者
プラチナ社会構想について、具体的にどういった内容になるのか、あるいは今後の展開の方法と言いますか、方針と言いますか。
●知事
結局、地域で自治体だとか、企業が参画をして実証的に実験をしていくという、そういうことをやっていくことになると思います。我々のところでは、電気自動車の工場が進出をするとか、風力発電が数多く立地をしている現状にあるとか、そういう意味でスマートグリッドが視野に入ってくるということもございまして、そうした実証研究の場として鳥取県というフィールドが活きてくるのではないかと、私の方は期待をいたしております。
これは1つの社会モデルを作っていこうという運動でございまして、これに賛同してくる企業さんとタイアップをして、私たちも新しい世紀に相応しい産業創造をしていきたいと思っています。高齢化にしても、それから、環境対応にしても、鳥取県としてチャレンジするテーマだと思っておりますので、今回のプラチナ社会構想に共鳴をさせていただいたというとこです。
○山陰中央新報 太田満明 記者
これは経済成長戦略との関係で言うと、何か絡みが出てきますか。
●知事
環境エネルギーの産業を創造しようとか、それから、社会サービスを増やしていこうとか、そういう福祉系のサービスで雇用を増やしていこうとか、そうした我々の成長戦略とも合致をすると思っております。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
昨日の全国知事会に関連してなんですが、今後の参院選に当たっては、知事会としてマニフェスト採点はしないというふうな方向性を出されておるようですが、というのは、今回、政権選択ではないからというところが理由というふうに聞いておるんですが、知事会としてマニフェストを採点するということ自体が何か不適切だったとか、昨年やってみてどうかというわけではないというふうな認識なんでしょうか。
●知事
そうだと思います。私は、マニフェスト担当の古川知事がおっしゃることを聞いておりまして、全体としてもそうだろうなということで了承したというのが昨日の流れだったと思いますが。要は、衆議院[議員選挙]の時は、まさに、政権交代が起こるか起こらないかということでありました。その時に、地方分権ということを、それぞれの政党に、マニフェストにして掲げてもらう値打ちが非常にあったわけであります。時代が変わるかもしれないという時に、こうした政策をビルトインしていきましょうと、それぞれの政党に旗を掲げてもらうことで地方分権が進むという期待感がありました。その意味で点数化だとか、かなり議論が高まったところでありました。
ただ、今回は、衆議院の多数派形成と直接影響がない参議院の選挙だということもありますし、衆議院の選挙で掲げたマニフェストの見直し自体が議論になるような状況がございまして、地方分権のところにさわるわけではないと思いますけれども、そういうふうにマニフェストの在り方自体も、かなり今回は流動化してくるのではないかと思われます。
ただ、いずれにせよ、衆議院の時で戦ったものがベースになるというのが、大方の分析でありますので、そういうことで言えば、今回、また事を構えて採点だとか、大がかりなことをやる必要は今回はないかもしれないなと。ただ、マニフェストの策定にあたりまして、我々の思いはそれぞれの党に聞いてもらおうと、訴えかける運動はしようというのが昨日の合意でありました。
○山陰中央新報 太田満明 記者
地方分権研究会のまとめが出ましたけれども、昨日の知事会では、何か、あるいは、神野先生等のまとめというものは出来てないでしょうか。
●知事
昨日の知事会では、まだ、我々の方から提言はしておりません。連休くらいまで、ちょっとかかるかもしれませんね。成案を得たら、各関係先に我々から提案をしていこうと考えております。
○山陰放送 秦卓史 記者
前回の会見で知事の方から表明されましたけども、私立中学への県独自の就学支援金に関してなんですけども、私立中学生、これに関して知事が表明されてから、県民への声というか、県民からの声として県庁に届いたもの、数件しかないようなんですが、すべて反対の意見ということなんですが、これについては粛々と準備を進められていくというお気持ちでしょうか。
●知事
これは、関係者、私立学校の関係者とか、そうしたところとよく話を聞いて、それで、検討を進めてまいりたいと考えております。結局、制度の不整合があるというのがそもそものところでありますので、その不整合のところを正していくべきだろうと。だから、国に対して訴えかけるというのがまず根底にございますけども、それと併せて、そのまま放置すると子どもたちの方に影響が出ますので、県として独自に考えるべきかなというのが、今の我々のアイデアです。ちょっと関係先とよく調整をさせていただいた上で、制度化を検討したいと思っております。
○山陰放送 秦卓史 記者
先ほど根底というふうに言われましたけども、鳥取県のベースとしても、1月に知事は公立の中高一貫校を公表されました。それとの兼ね合いはあるんでしょうか。
●知事
それは、直接はございません。はい。要は高校と中学とで国の支援に差が出てしまって、同じ学校の中で、処遇の差ができてしまう。それが合理性があればいいですけども、果たして合理性があるだろうかということが根底であります。
○山陰放送 秦卓史 記者
公立の中高一貫校ができて、特に一貫校の中で私立中学の部分としては突出して穴があくので、制度に、そこは将来的な視野から補ったという。
●知事
はい、そうですね。
○山陰中央新報 太田満明 記者
違和感が1つあるんですけれども、中学校義務教育って公立の場合は無償じゃないですか。あえてその上で、私立の有償の学校を選んで入っておられる人たちですよね。そのかたに税金を投与する必要ってあるんでしょうか。
●知事
それは、結局今度は、高校も全部、無償化するわけですよね、公立の場合は。
○山陰中央新報 太田満明 記者
公立はね。
●知事
ええ、そうなんです。ですから、今度はシステムが変わってしまいまして、従来とは制度が、ベースが変わるわけです。小中高と公立については、無償化ということになります。それに併せて、じゃあ、私立の方に対する助成はどう考えるかと。それで、国の方は高校に対する助成のところは考えたわけでありますけども、じゃあ、中[学校]や小[学校]のところですね、[私立]小[学校]はうちはありませんが、そういうところに対する配慮が果たしてあるのかなと、そこは疑問がどうしても残りますので。
○山陰中央新報 太田満明 記者
あえて私立を選んで、お金のかかるところに行っている、いわゆる裕福なかたなわけですよね、きっと。
●知事
いや。結局、特に救済されるのは、その所得が低い、250万円以下とか、そういう住民税の非課税世帯のようなところが対象としては非常に大きな。
○山陰中央新報 太田満明 記者
そういったって、全免になっているわけでしょ。全免のかたも。
●知事
そこが、全[額]免[除]になるかどうかの境目のところが、高校と中学でずれてしまうわけです。高校の方は結局、国の制度が覆い被さってきましたので、それを本県でも当然適用しますので、その分は伸びてくるわけですね、対象者のカバーエリアが。中学の方は小さいままになってしまうと。そうすると、同じ学校で、同じような所得水準で厳しい家庭だと、高校に入れば授業料は免除しますけど、中学の間は免除しないと。
本来、中学の方が憲法も義務教育だと定めていますから、そういうところにあるのに、その中学の方がかえって子どもの学習権を奪われるようなことになるんじゃないかなと。そこらはやはり制度的には、整合性をもっと国もよく考えながらやってもらいたいなという気持ちがあります。
それで、我々の方では、せめて現場として補うべきところは補う必要があるかなということであります。事業費的にも、要は従来から全免、半免だとか、そうした事業もやっていましたので、そういうところの延長線で考え得る範囲ではないかなというふうに我々はみております。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
所得制限を設けるご予定はないんですか。
●知事
所得制限が事実上、ビルトインされていますのが、今の高校のものですね。所得水準によって、助成の額が就学支援金が変わってきております。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
ただ、ちょっと今、思い出せないんですけど、350万円以上でしたっけ、350万以上も一定基金もらえますよね、支援受けられますよね。
●知事
だから、9,900円相当ですかね。はい。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
そこに制限を設けるという考えでしょうか。
●知事
それもやっぱり同じ子どもが、中学から高校に上がるわけです。それで、片方、さっきおっしゃったように以前であれば、中学はあえて無料のところを私立に行ったんだからという論理はあったかも知れませんけれども、今、高校も公立であれば無料な訳でありますから、それをあえて行ったということであれば同じような水準の話になるだろうと。
それと、あと1つ、同じ学校の中で、そういう区分をあんまり引くのはどうかなということを考えるわけであります。従来、我々は中学、高校同じレベルで私学支援をしておりました。ただ、それが高校だけ国がはみ出ちゃって、今やったもんですから、そのまま放置していいかなという疑問があるわけです。
○山陰中央新報 太田満明 記者
私立にも支援をするのだから、私立の中学校にも支援してはどうだという発想になるわけですよね。
●知事
子どもは同じ子どもですし、その世帯の所得水準も中学と高校で変わるわけではありませんので、こういう世帯については、公から無償化まで全免しましょうというような配慮はあってもいいんじゃないかと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
鳥取県の場合には中高一貫で2校しかないから、まだ見やすいんですけれども、都会地になると相当、私立の中学校だけ、あるいは小学校だけっていうのもございますよね。その辺り、よその県のことだからあれなんでしょうけれども、国に要請するとなると、その辺りもネックになってくるんじゃないでしょうか。
●知事
そうですね。ただ、高校に全部やるということでありますから、同じように中学とかも、考えようと思ったら制度設計としてはあり得るんだと思います。我々のところは、従来から中学と高校とある程度揃えてやっぱり助成も組んでいましたので、我々の方としては、やっぱり現場感覚から言えば、どうもこのままでは具合が悪いなというのが正直な感想です。
○山陰放送 秦卓史 記者
前回の会見の中でも、教育の選択肢を広げるんだということを何度も言っておられたと思うんですが、経済的な少し穴になっている部分を埋めるという視点もあると思うんですが、知事ご自身として、中高一貫教育を、鳥取県に広げたいんだ、根づかせたいんだというようなお考えがあるんではないかなと思いますけれども。
●知事
それはやっぱり、教育の多様化は必要だと思います。中部西部で、そうした[中高]一貫校の選択肢というものを私学の皆さんが一生懸命になってやっているわけでありますから、それは応分の応援はしなきゃいけないと思います。
実際、現実の私学経営は非常に厳しいんですよね。子どもたちが減っていることもありますし、全国ではこれは問題化されていますけれども、私学は台風の中に入ってしまうと。今度の国の施策で。同じことは本県でも起こり得るわけでありまして、そういう中で、特に私立の中学校のところだけが置いていかれて、取り残されるとなりますと、従来の公教育と、私学教育との格差が広がる可能性が、現実広がりますので、それは是正しなければいけないだろうと思います。
そうやって、我々が支えることで、中高一貫校の選択肢というものが地域の中で私学から提供していただけるようになるというふうに思っていますので、その意味ではやっぱり応援しなければいけないと思います。教育の多様性を確保する意味で、私は必要なことだと思っています。
○山陰放送 秦卓史 記者(幹事社)
他、ありますでしょうか。では、ありがとうございました。
●知事
はい。どうもありがとうございました。