内閣府は、平成21年7月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、厳しい状況にあるものの、このところ持ち直しの動きがみられる。
・輸出、生産は持ち直している。
・企業収益は、極めて大幅に減少している。設備投資は、大幅に減少している。
・雇用情勢は、急速に悪化しており、厳しい状況にある。
・個人消費は、このところ持ち直しの動きがみられる。
先行きについては、当面、雇用情勢が悪化するなかで、厳しい状況が続くとみられるものの、在庫調整の一巡や経済対策の効果に加え、対外経済環境の改善により、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、生産活動が極めて低い水準にあることなどから、雇用情勢の一層の悪化が懸念される。加えて、世界的な金融危機の影響や世界景気の下振れ懸念、金融資本市場の変動の影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。
政府は、当面、景気対策を最優先で進めるため、「経済危機対策」等を着実に実施する。また、6月23日、「安心・活力・責任」の3つの目標を同時に達成するための道筋を示す「経済財政改革の基本方針2009~安心・活力・責任~」を閣議決定した。今後、本基本方針に基づき経済財政運営を進める。
日本銀行に対しては、我が国経済が、物価安定の下での持続的成長路線に復帰するため、引き続き政府との密接な連携の下で、適切かつ機動的な金融政策運営を期待する。
(各論)
1 消費・投資などの需要動向
個人消費は、経済対策の効果もあって、このところ持ち直しの動きがみられる。消費者マインドは、低水準ながら持ち直している。実質雇用者所得は緩やかに減少している。設備投資は、大幅に減少している。住宅建設は、大幅に減少している。公共投資は、堅調に推移している。輸出は、持ち直している。輸入は、下げ止まりつつある。貿易・サービス収支は、黒字へと転じた。
2 企業活動と雇用情勢
鉱工業生産は、輸出が持ち直していることや、在庫面からの生産下押し圧力が弱まっていることから、持ち直している。企業収益は、極めて大幅に減少している。また、企業の業況判断は、厳しい状況が続いているが、大企業においては持ち直しの動きがみられる。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。雇用情勢は、急速に悪化しており、厳しい状況にある。
3 物価と金融情勢
国内企業物価は、緩やかに下落している。消費者物価は、緩やかに下落している。株価(日経平均株価)は、9,700円台から9,900円台まで上昇した後、9,200円台まで下落している。対米ドル円ルートは、95円台から96円台まで円安方向で推移した後、93円台まで円高方向で推移している。
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需要面の個人消費では、大型小売店販売額(5月)が、全店舗計、店舗調整後(新規店舗を除く)とも前年を下回った。ホームセンター・家電量販店販売額(5月)、乗用車新車新規登録台数(6月)は前年を上回った。
建設等では、新設住宅着工戸数(6月)は前年を下回ったが、用途別着工建築物工事金額(6月)、公共工事請負金額(6月)は前年を上回った。
産業面では、鉱工業生産指数(5月、季節調整済)が78.2(前月比2.4%上昇)と2か月続けて上昇となったが、原指数は71.5(前年同月比20.6%低下)と8か月続いて低下となった。なお、大口需要電力実績(5月)のうち、鉱工業用電力は主要4区分全てで前年を下回った。
雇用面では、新規求人倍率(6月)は、0.87倍(前月差0.01ポイント上昇、前年同月差0.17ポイント低下)であった。有効求人倍率(6月)は、0.45倍(前月差0.01ポイント低下、前年同月差0.25ポイント低下)と0.5倍を割り込んでいる。
現金給与総額(5月)、所定外労働時間(5月)とも前年を下回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(5月)は、全店舗計では49億400万円となり、前年同月比7.5%減と14か月続いて前年を下回り、店舗調整後でも前年同月比7.5%減と14か月続いて前年を下回っている。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が17億5,200万円(前年同月比10.9%減)、スーパーが31億5,200万円(前年同月比5.5%減)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(5月)は32億7,100万円(前年同月比0.9%増)と2か月続いて前年を上回った。内訳ではホームセンターが20億5,500万円(前年同月比2.4%増)、家電量販店販売額が12億1,600万円(前年同月比1.6%減)であった。
乗用車新車新規登録台数(6月)は1,625台(前年同月比1.2%増)と11か月ぶりに前年を上回った。内訳では、普通車、小型車は前年を上回ったが、軽自動車は前年を下回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(6月)は197戸(前年同月比21.5%減)と6か月続いて前年を下回った。持家系、貸家系ともに前年を下回った。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(6月)は21億1,600万円(前年同月比44.0%増)と5か月ぶりに前年を上回った。用途別では製造業が前年同月比で約20倍、情報通信業が前年同月比で約448倍等であった。
【公共工事】
公共工事請負金額(6月)は81億7,800万円(前年同月比21.5%増)と5か月続いて前年を上回った。発注者別内訳では国、県等で前年を上回った。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(5月)は生産指数(季節調整済)が78.2となり前月比は2.4%上昇、原指数は71.5となり前年同月比では20.6%低下した。
内訳を前月比で見ると、食料品たばこが4.0%低下となり4か月ぶりの低下、電子部品・デバイスが
16.9%の上昇となり2か月続いて上昇、電気機械が3.5%低下となり3か月ぶりの低下、一般機械が
3.2%の低下となり2か月ぶりの低下となった。
在庫指数(季節調整済)は97.7と前月比2.6%の低下となった。
【電力】
大口需要電力実績(5月)は102,687千kWh(前年同月比26.9%減)と10か月続けて前年を下回り、鉱工業用電力も主要4区分の全てで減少した。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(6月)は野菜が1,568t(前年同月比3.8%増)と前年を上回り、果実は
1,037t(前年同月比6.8%増)と3か月続いて前年を上回った。
鳥取市場の青果物販売量(6月)のうち鳥取県産の卸売量は野菜が590tで市場全体に占める割合は
37.6%(前年同月差4.2ポイント上昇)、果実は444tで市場全体に占める割合は42.8%(前年同月差2.9ポイント上昇)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(6月)は6,655t(前年同月比2.2%増)と前年を上回った。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(6月)は0.87倍(前月差0.01ポイント上昇、前年同月差0.17ポイント低下)であった。なお、新規求人数(6月)は2,908人で前年同月比12.6%減であった。
有効求人倍率(6月)は0.45倍(前月差0.01ポイント低下、前年同月差0.25ポイント低下)と0.5倍を割っている。
【賃金】
現金給与総額(5月)は237,232円(前年同月比6.5%減)と5か月続いて前年を下回った。そのうちきまって支給する給与(5月)は、236,373円(前年同月比4.7%減)で12か月続いて前年を下回った。
【労働時間】
所定外労働時間(5月)は6.3時間(前年同月比33.2%減)と10か月続いて前年を下回った。主力の製造業は53.1%減となった。〔産業別の前年同月比では、電気ガス水道業(前年同月比58.1%増)等で前年を上回り、複合サービス事業(前年同月比59.0%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(5月末)は1兆9,273億円(前年同月比2.9%増)と5か月続いて前年を上回り、貸出金残高(5月末)は1兆1,439億円(前年同月比0.8%増)と33か月ぶりに前年を上回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(5月)は先行指数が3月25.0、4月37.5、5月75.0、一致指数が3月
12.5、4月50.0、5月68.8、遅行指数3月33.3、4月0.0、5月0.0となった。
・ 企業倒産(6月)は件数が4件で前年に比べて7件減少(前年同月比63.6%減)し、負債総額は3億
1,000万円で前年に比べて126億8,000万円減少(前年同月比97.6%減)した。
・ 消費者物価指数(6月:鳥取市、総合、平成17年=100)は100.0(前月比0.1%低下、前年同月比1.8%低下)となった。
・ 鳥取県の推計人口(7月1日現在)591,550人で、前月と比べて190人(0.03%)減少し、前年同月と比べて3,960人(0.66%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成21年5月調査でみると平成21年4~6月期は前四半期(平成21年1~3月期)に比べると景気がきわめて不調で、売上高、経常利益が不調となっている。