●知事
皆さん、おはようございます。今、全国で夏場にも関わりませず、新型インフルエンザが流行をしています。このたび、国においても舛添[厚生労働]大臣が流行の宣言をされました。地域的にも沖縄[県]では大変な流行になっていて、ポイントも20人、平均20人というような、そういうデータがあったり、そういうような非常に動いている状況になってきました。
鳥取県内でも沖縄[県]みたいなことは決してありませんけれども、最近、集団感染の事例も相次いでいますし、近々いよいよ2学期が学校でも始まろうとしています。重症化の事例は県内では発生はありませんけれども、それに対する備えもしておくことが肝要だと思います。
そういう意味で、明日、緊急に新型インフルエンザの対策本部[会議]を召集をさせていただこうと思っております。そこで、我々で話し合うことといたしておりますのは、1つは重症化対策、新型インフルエンザは重症化することに備える対策をしようではないかということであります。
最近の沖縄、神戸、名古屋の相次いで、残念ながら明らかになった事例がありました。そのご冥福をお祈り申し上げたいと思いますけれども、やはりほかに基礎疾患を持っているかたはリスクは高い。場合によっては、名古屋のように肺炎を併発をするとか、そういうことで、死に至る場面もあり得るということであります。
ですから、通常のかかりつけ医と、それから[県]東・中・西[部]の基幹的な病院とのこのホットライン的な結びつきを再構築しまして、もし、万が一ということが見込まれるなら、直ちに入院をして、適切な治療もしていただける、そういう体制を再構築していこうというように考えております。
それから、沖縄では3例あるということを言っておりましたけれども、子どもさんが、要はインフルエンザ脳症にかかることによって、重症化するケースがあります。これは基礎疾患がある場合でなくても重症化し得るということでありまして、これも考えなければならないことだと思います。
県民の皆様にも保護者のかたによく注意をしていただきたいと思いますが、例えば、奇妙な言葉を発するとか、取りとめのない言動があるとか、あるいはけいれんがあるとか、こういうのはインフルエンザ脳症の疑いが出てくるわけであります。
従来からもインフルエンザ脳症というのは、県内でも新型インフルエンザ以外で発生してこなかったわけではありません。ですから、県内の小児科医さんには、そういうノウハウも蓄積をされています。
ですから、そうした場合には、直ちに小児科医にかかっていただくなどして、もし、重篤化する可能性があるのであれば、直ちに先ほど申し上げたような基幹的な病院、東・中・西[部]の基幹的な病院の方に転院をしてもらう、そういうネットワークを作らさせていただく必要があるだろうと思います。そういう重症化対策を1つには打ち出させていただこうと思います。
それから、新学期が開始をしますので、その前にこの新型インフルエンザが学校という場で爆発的に感染することがないように、その取り組みをさせていただきたいと思います。現在、教育委員会とちょっと詳細の詰めをしておりますけれども、速やかに市町村の教育委員会が学校の方に通知をさせていただくなどして、対応を取りたいと思っております。最近の県内での発生事例を分析いたしてみますと、やはり学校とか、サークル活動が絡んだ事例が多いといわざるを得ないと思います。
要は、発熱をするとか、咳があるとか、そういう症状があるときは、子どもさんは出場したい、あるいは学校に行きたいということがあるかも知れませんが、それは休んでいただく、これを徹底することが、まず第一歩であります。それが広げないことに繋がりますので、そういう注意喚起を改めて学校を通じて保護者の皆さんなどにしていかなければならないだろうと思います。
そうしたことに加えて基礎的な、今までやってきた手洗いだとか、マスクエチケットだとか、うがいだとか、そういうものの励行も改めて県民の皆様に呼びかける必要があると考えております。
あと、もう1点、インフルエンザで3点目でありますけれども、強毒化対策をする必要があるだろうと思います。皆さん、ご案内のように、現在の新型インフルエンザは弱毒性でありますので、決して過度に恐れる必要はまったくありません。
しかし、突然変異が起こらないとも限りませんし、我々が従来想定していた鳥による鳥由来の新型インフルエンザ、5HN1というものも将来的には予想され得るわけであります。我々も今、弱毒性のインフルエンザに対応して、一定の経験も出てきました。
ですから、強毒化に対応してやらなければならないことが見えてきております。それで、9月の補正予算などで、その手当を考えることといたしたいと思います。具体的には、県内には協力病院を、新型インフルエンザについて持っておりますけれども、そういうところでの陰圧室の整備を従来のもの以上に広げていくことにいたしたいと思います。
大きな病院で、1カ所ないし2カ所、陰圧室を設けていただく際の応援をさせてもらう必要があるのではないか。それから、呼吸のための酸素マスク、これも配備を従来よりも24台増やしていこう、そういう考えも持っております。そのような様々な強毒化に備える対策も3番目の新型インフルエンザ対策として緊急にやる必要があるだろうと思っております。
●知事
それから、次の話題でありますけども、この夏は普段の夏とは違っておりまして、今日こそこれだけ晴れ渡って熱い真夏日となりつつありますが、その前には長雨がございました。ですから、低温、日照不足対策を農業関係でこれまで現場サイドを交えて話し合ってきました。
その状況から申しますと、心配されたような広範囲な米のいもち病の発生は認められません。平年通りぐらいだろうという状況でありますし、今週以降、日照が戻ってきて、平年通りになってくるのではないかという見込みも出てきてはおります。
ただ、地域性がありまして、中山間地などでは、やはりいもち病の発生が認められる状況がございます。こういうようなことを考えますと、緊急に、今一定の日照不足、低温対策ということをやる必要があるだろうと思っていまして、予備費をこの際執行することにしたいと思っています。
具体的には追加的な防除をいもち病対策で稲について施すとか。それから、白ネギでも、これ、現在発生が認められているんですけども、軟腐病などが認められつつあります。この発生を防止するための追加的防除を行うことが必要だと考えております。梨は、もう収穫時期に入っておりますが、明年度以降のことも考えた防除体制のこともあろうかと思います。
これらは9月補正予算を待っていますと、間に合わなくなりますので、緊急に予備費で対応したいと思います。やり方としては、市町村、JAや農業グループと組んでやる、そういう対策にいたしたいと思います。
●知事
それから、3点目として、おととい、日本と韓国とロシア、江原道、ウラジオストクと鳥取県が集まりまして、韓国で話し合いをいたしました。実務者レベルでの協議ではありましたけれども、そこで今後、環日本海フェリーの応援をどうやっていくか、その話し合いをいたしました。結果として、9月の上旬に、江原道で、できれば3知事が集まって、3知事が無理でも、それに準ずるかたちで集まって、新しい組織を立ち上げようという方向性が出てまいりました。
これは、環日本海フェリーを推進する協議会でございますけれども、詳細を今後詰めていこうということに、今、なっております。メンバーとしては、実行部隊を重視をしようという考え方でありまして、それぞれの地方政府の担当の責任あるポストの人たち、それから、民間のかた、経済や観光関係も入っていただいて、それで、協議会を始めてはどうだろうかということになりました。
具体的には9月の上旬に話し合うことになりますけれども、9月の上旬に結成をして、まず第1回目の会合は、鳥取県での開催をしようと。秋になると思いますが、秋のうちに開催をするという方向で調整しようかということになりました。
この新航路の関係では、明日、チョン・ヨンテDBSクルーズ[フェリー]社長が来日をし、鳥取県の方にも来られます。その機会にいろんな意見交換もさせていただけるかと考えておりますし、ロシアから、これはフジヤトフさんという極東大学の先生でありますけども、ジェトロのコレスポンデント、現地調整員を任命されているかたでありますが、そのかたにも鳥取県の方に来ていただくことに、近々しております。いろいろと手は打っていきたいと思います。
そろそろ梨の解禁ということになります。鳥取県の名産品でございますので、是非、今シーズンも売り上げ、販売促進に向けて頑張っていきたいと思います。そのセレモニー、大阪の方で25日にやることになり、副知事の方で出席もさせていただこうと思っておりますが、この梨でありますけども、今シーズンは、ロシアに売る方向でJAさんと最終的な協議をさせていただいております。
具体的には今月末の30日に、出港する船に載せてロシアへ運ぼうと。それで、向こうで9月の5日から販売をしていこうと。私もその状況を、鳥取週間でロシアに参りますので、拝見をさせていただき、応援をしようと思っております。また、JAグループとしては、タイの方にも新たに梨を売り込もうというふうに考えておられるということでありまして、世界に向けて挑戦していくシーズンにしていければと考えております。
また、最近、この行事で申し上げれば、最近、例えば、今、パシフィコ横浜で、居酒屋産業展というのをやっていますけれども、これに初めて鳥取県、出店をいたしました。県下から11の事業者さんが出て、商談会だとか、向こうでのPRをしていただいておりますけども、日に1万人からの入場がある、大盛況のようでございまして、成果が期待されようかと思っております。
今週末には、鳥取力の創造フォーラム[第1回「鳥取力」創造フォーラムin智頭]を智頭[町]の方でやることにいたしておりまして、民間の皆様、住民の皆様のパワーを結集をして、鳥取の力を育んでいく、そういう営みを始めていきたいと考えております。私の方からは以上です。
○朝日新聞 井石栄司 記者(幹事社)
各社質問がありましたら、どうぞ。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
衆院選に関して、石破茂農水大臣の出陣式の方に知事、お見えになられて挨拶をされたんですが、お話を伺う限り、いわゆる党の応援でなく代議士個人を支援する、だから来たんだというような説明の仕方が目につきましたけれども、改めて、その場に出られた真意、意図と申しましょうか、どういったお気持ちで参加されたか、お願いできますか。
●知事
立ち入った話をあんまりやり過ぎますと、ちょっと政治活動に渡ると思いますので、この場では控えさせていただきたいというところではありますけれども、今回、私の方で、ある候補者の出陣式に出た経緯があります。
私は、国政に、鳥取県を代表して、いろんなお願いをしてきた立場でございます。非常に政治的な手腕を発揮して鳥取県のために関係する事業を組んでいただいたりしていただいたわけであります。
ですから、個人的な信義の問題として、私はそこに出席をさせていただいたという考え方であります。特定の党をどうということでの話ではなかったとおっしゃいましたけども、私はそういう気持ちでまいりましたので、話の内容は党の政策というよりも、そうした私の心情のお話が多かったと思います。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
選挙戦残り10日間あるんですが、今後はどういった、更にまたああいう支援の場、応援の場、集会の場に参加されるというご予定、ご計画はあるんでしょうか。
●知事
私もいろいろ公務が立て込んでおりますので、今のところそういう予定をしているわけではありません。ただ、これについては、従来から申し上げておりますけれども、誤解を受けることがないような、そういう行動をしてまいりたいと思っております。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
県議会等では、野党系の県議のかたも、かなりこの問題に関しては神経質、デリケートになっておられて、いろいろ質問、議会答弁もありましたけれども、このあたりの影響というか、ご指摘を受けて、なにか行動に反映させられた点というのは。
●知事
私は、今回、政権選択選挙と皆さんが言っている通りの選挙形態だと思います。ですから、政策のマニフェストを競い合って、ある意味、本当の意味での政策を問うような選挙になりつつあるかなと思っております。ですから、私の方で出来ることはないかなといろいろ考えて、[全国]知事会を、私も動かす方にまわって、マニフェストの評価に携わらせていただきました。
それは、有権者に対する参考資料にはなるだろうと思っております。個人的な、政治活動、若干はありますけれども、ただ基本的には有権者の皆様、県民の皆様が、厳粛なご審判をされるわけでありますから、私自身が過度に、それに影響力を行使しようというのはあんまりすべきではないだろうという考え方で、自らの行動を律しているつもりであります。いろいろと評価とか、ご意見はあろうかと思いますけれども、私はそういう考え方で向かっておるところであります。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
知事会のマニフェスト採点ではやや与党の方が高くて、野党は3つだけですけれども差がつきました、そのあたりと知事ご自身のその支援との関連性というのは、影響しているところはあるんでしょうか。
●知事
それは、政治というのは全体でありますから、国政というのは地方分権に限られるわけではありませんので、拉致問題の解決や、あるいは農業問題の解決や、それから公共投資の推進とか、福祉や教育の充実だとか、いろんなテーマがあります。ただ、それは全人格的に考えて投票行動というのは起こるものでありますし、政治的な動きというのもそういうものだと思っています。
ですから、マニフェストは我々の専門である地方分権に限ってさせていただきました。だから、私も、そのマニフェスト評価でこういうふうになったからこうするんだという、それ、単純な考え方では動いておりません。
○朝日新聞 井石栄司 記者
そのマニフェストの結果なんですけども、担当課の方に聞くと、文書自体はあるんだけども、ちょっとお渡しできないというふうに、採点結果、知事の、個人の採点結果ですね。これはちょっとお出しできないというふうに言われたんですが、これ、出せない理由はどこに。
●知事
積極的にお出しはちょっと出来ない部分がありますのは、[全国]知事会の中で、全知事が参加してマニフェスト評価をしたわけです。全知事というのはちょっと不正確であります、希望する全知事が参加をして、マニフェスト評価をしたわけでありますが、その際の申し合わせがありまして、個別の知事が発表するのはやめてもらいたいという話がありました。
これは、公正にそれぞれの知事が評点をするその担保として、そういう取り組みをさせていただいてまして、これは、私、麻生会長から直接、その話もいただきました。ですから、積極的に神奈川[県]とか、埼玉[県]は自ら公表されたわけでありますけれども、私はそうした全体のことも考えて、今回は対応させていただいております。
ただ、それは、積極的に公表するかという問題でありますけれども、あとは、もちろんその情報公開請求なども、いろいろと手続きはあり得るわけでありまして、それはそれでまた別に考えていく必要はあるとは思っています。
○朝日新聞 井石栄司 記者
積極的にお出しするのは、ちょっとなかなか今までの経緯もあって難しかろうなと思って、情報公開請求もさせていただいているんですけれども。じゃあ、それはもう、手続きに則って出てくるものだと認識してよろしいでしょうか。
●知事
それは、冷静に判断をさせてもらいたいと思います。要件がありますので、その要件に従って、情報公開請求には応じさせていただく可能性はもちろんあると思います。ただ、知事会の中の申し合わせもありますので、私が、何か、鬼の首をとったように発表するようなのは、いかがかなと思っていまして、神奈川[県]と埼玉[県]とは違った対応だと思っています。
○朝日新聞 井石栄司 記者
先程の出陣式の話になるんですけども、あそこのおっしゃってた中で、地域を預かるものとして、いろいろお願いをしてきて、それを実現してくださっていることに対して、信義を示さなければいけないというおっしゃり方をされていたんですが、参議院選のときは、その後の9月議会でも、当時の会派の信からいろいろ言われて、おっしゃったのが、自分自らが知事選に出た時の経緯等もあって、個人的な仁侠心というか、そういうところから、応援に行ったんだと。選挙自らの応援等、事実バータする形だということで、個人的っていうのはなかったと思うんですけども、今回に関しては、冒頭に地域を預かるもの。すなわち、知事として、応援に来ているんだということを、前置きされておっしゃっているように聞こえたんですが、これ、県民に対してバイアス等かけるようなことにはならないとお考えなんでしょうか。
●知事
それは、ちょっと文脈が、前後の文脈もあったと思うんですが、私が申し上げたかったのは、私の立場でいろいろとその国政について、こういうことをしてほしいと。かなり事細かにお願いをすることがありました。また、どうしても地方でも解決できない外国が絡むような、そういうものもありました。
そういうときに、随分親身になって行動をしていただいたということが、私としては過去にあったものですから、それを考えれば、自分としての信義ということですけれども、個人としての信義として、それについては感謝を申し上げなければならないだろうと、こういう言い方をしたと思います。
○朝日新聞 井石栄司 記者
同じ発言の中で、緑の産業再生プロジェクト、林野庁予算の緊急対策で出ていますけれども、40億、恐らくこれ、おっしゃったのは交付決定ではなくて、交付が40億円される見通しだという前提でおっしゃってたんだと思うんですけども、それについてもお礼を申し上げたいというようなことをおっしゃって、この産業プロジェクトの費用1,238億円全体あって、6月補正には、だいたい1.6%の20億円を予算組んでらっしゃるんですけども、鳥取県というのは、人口も森林面積も、だいたい全国の1%程度で、従来は、予算枠というのは1%が相場だったところを、6月補正の段階で1.6と強気で組んでいらっしゃって、今回、40億つきそうだということになると、3.2%相当で倍増するわけですけども、ちょっとおっしゃりようからすると、石破大臣の農水相としての力が示されたということをおっしゃっておられたんだと思うんですが、自民党的なこの利益誘導というのも、今回、選挙で問われている一つの点だろうと思うんですけども、鳥取県は、利益誘導という点では、やや、全国では遅れを取ってきていた中で、知事として、こういうのは必要だとお考えなのか、どう、利益誘導についてはお考えなのか。
●知事
利益誘導というか、やはり、地域間格差を解消するため、積極的に国も動いてもらいたいという気持ちは、私たちにはあるわけです。例えば、高速道路を取ってすれば、全国最下位レベルだったわけです。現在は40位ぐらいまで上がってきましたけれども。これも最近、ここ数年でずいぶん積極的に動きましたので、その成果が出てきたわけです。
それで、林業の世界でも、40億というのはちょっと正確な数字ではなかったかもしれません。私も、ちょっと頭の中の数字で言いましたけれども、要はいろいろと、我々の方でこういうこともしてほしいというのを、市町村も含めて、ずいぶんお願いをしているわけです。それに対して、国の方の感触も一定程度出始めていると。
そういうことは、やはり、地域の振興の意味では大きく寄与するものでありますから、そのことを申し上げたことであります。いくつもの話を、たぶん申し上げたと思います。外交的なことだとか、そういう個別の政策課題のことだとか、公共投資の推進のことだとか、そういういろんなことについて、並々ならないご配慮をいただいたことをお礼申し上げたという次第であります。
私は、利益誘導という言葉は確かにありますけども、国が国の立場で、地域にも関わる重要な課題に乗り出していくのは当たり前だと思います。このことは、鳥取県は今までちょっと控え目にやってきたかもしれませんので、ぜひ、そういうことは今後も国として配慮してもらいたいという気持ちがあります。
ただ、それを選挙目当てということ以上に、恐らくは、政治家を志望されたかたであれば、当然ながら、国政に貢献する、あるいは地域に貢献するということを目指されるはずでありまして、それは利益誘導という言葉だけでは表現できない、むしろ政治家の目指すべき、国民が期待してる本質部分でもあろうかと思います。
○読売新聞 北島夏記 記者
学力テストの情報公開条例の関係で、県教委が、以前、昨年秋だったと思うんですが、県議会で、違反になる事例を具体的に示すという考えを議会で報告されたと思うんですが、その時、県教委の方は、情報共有の具体的な条例判例は盛り込まないという方針を出しました。これに関して、最終的に決めるのは県だということなんですが、知事としては、この具体的な、何が条例違反になるのかという事例を作るのか、作らないのか、まず、その点を教えてください。
●知事
今回の条例改正は、教育委員会サイドの情報についてでありますので、教育委員会の考え方を尊重すべきものだと私は思っております。ちょっと詳細まで読み込んでいませんけれども、教育委員会から知事部局サイドの方に要望書が出ているところでございますので、基本的には、その教育委員会の考え方で整理をしていこうと思います。
○読売新聞 北島夏記 記者
その具体的な事例を出さないことによって、プラスマイナスあると思うんです。1つは、教育委員会側としたら、柔軟に対応できるということもあると思うんです。どれが違反か違反じゃないかというのも改めて具体事例に縛られずに考えるということができると思うんですけど。同時に、逆にフリーハンドというか、何でも、駄目だということになりかねないとういう危険性もあるし、それから県民にとっては、国が違反になるのか、元々分かりにくい、難しい条例で、さらに例示がないと、なかなか県民にとっても理解しにくいというマイナスもあると思うんですよね。何が違反になるのかというのを、ある程度示さないというのは、一種の何と言うんですかね、責任逃れと言ったらちょっと厳しいですけれども、言質を取らないと言うんですかね、これは、具体的に示さないということは分かりにくさとか、そういう責任的な問題になると思うんですが、その辺り、プラスマイナスの辺りはどうでしょう。
●知事
そこはちょっと北島[読売新聞記者]さんと考え方が違うかもしれませんが、私は、教育委員会がどう考えているか分かりませんけども、情報公開ということは、県政の基本であり憲法のようなものだと思います。私たちは、まずガラス張りの県政を実現をし、それによって、県民の皆様が地方自治に参画をしていただく材料を作るわけであります。
ここのところは、非常に高いレベルでの保障がないといけないところでありまして。条例で書かないことを、むしろ、地方公務員が自分たちのところでガイドラインなるものを作って制限するというのは、それ事態が逆に思い上がりだと思います。だから、それは責任を取っている立場という以上に、むしろ、県に対する侵害性を持つものではないかと思います。
条例に書いてある以上の侵害的要素を、単なる通達だとか、解釈ということで行うことは憲法的には無理があると思いますので、私はちょっと報道で見ている限りでありますけども、教育委員会が出されている考え方はすごく穏当だなと思っております。
○読売新聞 北島夏記 記者
ガイドラインを作ること自体がおこがましいというか。
●知事
ええ。ガイドラインは、だから本当に読みにくい、こういうふうな解釈論としてね、こういうふうに読みにくいところはこうなんですよということでありますが。今のお話は、私も議場でも申し上げましたけども、[県議会]常任委員会でそういうやりとりはあったそうではありますが、私自身は当初から、担当部長さんのお考えはおかしいなあと思っていました、申しわけないですけども、これは。
例えば、こういうことをしてはいけないということを条例でなくて、ガイドラインで書くことができるんだったらば、それは何のための条例かなと思います。ですから、むしろ、ガイドラインはもう条例はここに書いてしまったわけでありますから、それを淡々と解釈をしていくのが本来のガイドラインの役目であろうかと思います。
○NHK 森野周 記者
新型インフルエンザについてですが、今、全国で死者が出るとかそういったような事態になっている状況で、県はこれまで少しずつ段階的に対策というのを緩めていくというか、そういう方向に持っていっていた、厚生労働省もですけれども。そうした中で、もう1度、学校が始まるのに併せて、何か対策をもう1度、緩めたところをもう1度締めるとか、そういったようなことってお考えになられていますか。
●知事
これは、表現が適切かどうだろうかなあと思いましたけども、舛添[厚生労働大臣]さんが発言の中で、おっしゃってたように、少し慢心してるんじゃないかっていう表現、大臣は言いましたよね。あれはちょっと表現としては適切かどうか、私は思いますけども。ただ、言い得てるところはあると思うんです。というのは、弱毒性であるから、なおざりで良いんだという意識が生じたのであれば、それは正していかなければならないと思います。
私どもで、今、分析をやっていまして、あした、対策本部の中で議論しろということで、担当部局には指示をいたしておりますが、今までの県内での集団感染の発生事例を見てみますと、以外と子どもさんが関与したことが多くて、スポーツサークルだとか、そうしたものが多いですね。どうしようもなく遠征試合に行って、向こうでうつされちゃったというのもあるわけでありますけども、そうでないものもあります。
体調が悪ければ、そこで休ませる、その子は休ませるというのが本来だと思います。きのうもああいう中で、立正大湘南[高校]が[甲子園で]大勝利を収めてすごいなと思いました。だが、あれもやはり選手を休ませてやるわけです。その辺の基本をやることが、いかに感染拡大に有効かということを、もう一度認識してもらう必要があると思います。
特に学校が始りますと、何となく学校に行かせることで、わっと広まってしまう危険が出ますので、今の時期に、再度、検温だとか、それから咳などの症状があれば休ませるとか、それを保護者の皆様のご協力も得て徹底していくというのが求められるだろうと思います。
残念ながら、新型インフルエンザには、今、ワクチンがございません。ですから、事前の防止が出来ないわけでありますから、通常のインフルエンザ対策よりは、若干踏み込んだ要請をしていくことは、いたしかたないかなと思っています。
○読売新聞 北島夏記 記者
9月補正の規模ってどのくらいになりますかね、だいたい。
●知事
ちょっとそこは私も承知をいたしておりません。ただ、非常に難しい状況の中で我々も予算編成せざるを得ないとこです、政権選択がまだ見えませんので、ただ淡々と我々としては、今与えられた状況の中で、編成しようとしております。
その中では、すでに、6月議会でも議論をした基金などを活用した事業も自然体で盛り込んでいこうと思っておりますし、今、申し上げた新型インフルエンザ対策とか、あるいは低温対策なども盛り込んでいこうと考えております。
○中国新聞 円山文雄 記者
さっきの石破氏の出陣式のときに行かなかったので、細かいところは分からないのですが、基本的なことで、政治家が地方と国のパイプ役ということで、政治家が関わるということが、今までずっと政治過剰の中にあったんですが、今、現実問題として政権交代が現実味を帯びていますけど。例えば、逆に、今の自民党の政権でない政権が生まれた時に、国と地方との関係でどういう政治家が地方の、さっきは利益誘導の論争がありましたけれども、そういう意味合いも含めて、地方の希望のパイプ役になるという、そういう姿が変わってくるんではないかというような予感がするのですが、知事として、地方の首長として、どういうふうに、どんな思いで見られているか、精神的な対応とかいうことをどんなふうに考えていらっしゃるか、基本的なことだけでよろしいですから聞かせてもらいたいと思います。
●知事
私は国家としてやるべきことを毅然としてやる政府が求められていると思います。それは地域間格差をこのまま放置していいのかという政策課題もあります。鳥取県のようなところでは、そういう意味では国会議員の皆さんに、地域の実情を国政の政策の選択の中に十分反映してもらわなければいけない、その機能を果たしていただくことは大事だと思います。このことは、おそらく、政権交代云々が言われてますけれども、その前であれ後であれ、変らぬことだと思います。
ほっといても民間ベース、パブリック・プライベート・セクターですね、私的に全てが解決されればいいわけでありますが、どうしても公的な解決が必要なところがあります。高速道路の整備が揶揄されて都会の方で言われることがありますけれども、地域の実情からすれば、シビルミニマムなことというような声もあるのは事実でありまして、それを国の中でも実現していただかなければ、ならないと思います。
政治家がその国と地方とのパイプ役になること如何ということがございまして、そんな役割を果たすべきではないからこそ、我々は地方分権を主張しているわけであります。地方分権によって、仮に国の大方の内政の権限が都道府県や市町村の方に来れば、地域レベルで解決出来るわけでありますので、国会議員の皆様は、外交だとか、防衛だとか、あるいは社会保障の全体的な枠組みだとか、大きな議論をしてもらえばいい。
地域の個別の、例えばどこにどういう道路が必要だとかいうことは関わらなくてもいい。それが理想だと思います。現実問題、まだ地方分権が完成をしておりません。まだまだ未熟な段階でありますので、そういうように割り切って、国と地方とのパイプ役というものを放棄することも出来ないのが、国会議員の悩ましいところではないかと思います。
ですから、我々としては、国の形を分権型に変えて行くことを片方で求めながら、また現実にはそうならない、なってないわけでありまして、現状においては、地域の政策課題にも十分応えていただくことを政治家である国会議員の皆様に求めざるを得ないと、それが現状ではないかなと思っています。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
ちょっと、出た質問と重なるかもしれませんが、知事ご自身の選挙の時に、その与党の支持というか支援をいただいて、出馬されたという経緯があります。その辺りの絡みと今現在の今回の選挙との支援等のあり方、党との距離感の取り方というのは変化というのはありますでしょうか。
●知事
それは、100%否定は出来ないですよね。それは政治の世界というのはそういうもんだと思いますけれども、いろんな個人的な繋がりがあったり、要は支持者層の背景があったりしますので、それは一概に全部否定されないと思います。
ただ、私としては、県議会の時も繰り返し述べましたけれども、地位利用するようなことは避けるのは元よりといたしまして、あまり政権選択選挙に過度に歪みを与えるようなことはしていかないようにしようと、そういう考え方で今回はおります。
○朝日新聞 井石栄司 記者(幹事社)
他、ありますか。なければこれで、ありがとうございました。
●知事
ありがとうございました。