●知事
皆さん、おはようございます。昨日、ようやっと長い梅雨が明けたと気象庁の方から発表がありました。とはいえ、まだぐずついた天気が続いておりまして、心配が続くというのが正直なところではないかと思います。
今回の長梅雨でありますが、記録を辿れば昭和26年の記録を取り始めて以来の最も遅いものだと、もちろん梅雨明け自体が確認できなかった年も1つありますけども、そういう記録的な長梅雨になってきております。
この間、山口県で大変な災害が起きました。福祉施設が土石流に流されるなどして尊い命が失われたことであります。今、異常気象だと思いますが、集中豪雨が重なっておりまして、どういう災害がいつ起きるか、予断を許さない状況になってきております。
そこで、私共も、今回の梅雨の間に、やはり1人江府町で流された残念な事件がありましたけれども、そういうことに鑑みまして、今回の災害の教訓を我々としても対処していかなければならない、受け止めていかなければならないのではないかと思います。そこで、福祉施設などの土砂災害緊急対策を実施しなければならないと考えております。
具体的にはハードとソフトと両面があるわけでありまして、1つはハード面で、実際に土石流が襲ってくるわけでありますが、私も昨日、山口[県]の副知事から状況を聞く機会がありましてお伺いいたしましたけども、相当長い流路で上流から下流へと駆け下ってくると、こういうことでありました。
災いしたのは、花崗岩質の山だということがございまして、実は鳥取砂丘自体も、花崗岩が崩されて砂丘まで成長したわけでありますから、中国山地にとって共通な課題なんだと思います。
そこで、今、市町村と福祉施設の調査を行っているところでありますけども、その結果を見ながら土砂災害[対策]を緊急に実施すべき箇所を見つけ出していきたいと。前に調査をした時期に11ヶ所見つかっていたことがあるんですが、現在再調査をしておりますと、30ヶ所以上、そういう箇所がありそうだと。今、まだ集計中であります。
多分数字は増えてくるんではないかと思いますが、その中から緊急度を考えまして、優先的にハード的にも対策を打っていく、そういう事業を実施したいと考えております。9月の補正予算の中でそういう調査予算を計上すべきだということで、現在、担当部局の方に指示させていただいております。
それから、ハード面ともう1つ併せてソフト面でも対処が必要でありまして、このソフトの方は避難対策であります。今回も、土砂災害の警戒情報があったわけでありますが、それが、市から福祉施設の方に適切に流れていなかった。また、福祉施設の方も現場でずいぶんザアザアと雨が降っていたわけでありますが、対応が遅れてしまったということが指摘をされています。
やはり、ハードだけでは防げるものでは到底ありませんので、現場の状況で臨機応変に対処して、避難をしていただく。特に、要支援者の方々でございますから、避難には一定程度の手間といいますか、力がいるわけでありまして、その避難準備を始めて速やかに状況を見てやってもらうとか、そういう体制が必要だと思います。
今までもいろんな災害がありましたので、呼びかけは続けてきてはおりましたけれども、この際、今年度そういう避難計画を各施設ごとに、市町村ごとにしっかりと作ってもらうと。そういうソフトの対応を図りたいと思っております。
こういうように、ハード面での施設整備とそれからソフト面での避難、誘導の確立、連絡体制の確立ということを併せてやることで、福祉施設などの緊急土砂災害対策を実施したいと考えております。
●知事
それから、これからちょっとお盆休みに入りますが、お盆休みの間か、その直後ぐらいに、韓国、日本、ロシアでのDBSクルーズフェリーの支援の、まずは準備会合を実務者レベルで持ちたいと思っております。先般、江原道側から連絡がありまして、今はその会議の持ち方や内容についてお互いのやり取りをしているところであります。
その状況で申し上げれば、お盆の間か、その直後ぐらいが候補として、今上がっています。内容的には、まずは行政レベルでの実務者で集まることで、9月の本会合に向けて協議の進め方についての合意を得たいと思っております。そういう方向で、江原道とは、今、概ね同じようなスタンスでの話をし始めたところでありまして、沿海地方も加えながら、会議を実現していくことに向かっていきたいと思っています。
また、この度、ロシアからロシア国際[協力]基金の沿海地方代表のウラジミール氏が来県をされることになっておりまして、DBSクルーズフェリーを活用した交流について話し合うことにいたしております。
当面の日程から幾つか申し上げれば、今日は市町村長との行政懇談会がありまして、今、政権選択を賭けた総選挙が行われています。我々が仲間といろいろと話をしながら、与党野党に地方分権のテーマを与えております。その甲斐があってずいぶんマニフェストの中に取り入れられるようになりまして、この点は評価しておりますし、行動を起こしてよかったと思っております。
総選挙の後は、今よりは、その分権が進んでいくだろうと、その世界を夢見るわけでありますが、その際に、県と市町村とで地方自治の担い手としてどういう役割分担をするか、さらに自立に向けた足腰をしっかりさせるために、それぞれスリムで協力した体制を作っていかなくてはならない。ですから、共同の事務処理体制を作るべきだろうと思っています。
これは、県と県の間でも言えることでありまして、関西方面だとか、島根県だとか、岡山[県]とか、今そうしたものを模索しておりますけれども、県内的にも市町村との共同に向けた作業をしたいと考えております。
市町村間でも当然そういうことは考えられていいと思います。そうしたことも、今日の議題にしておりますし、「ようこそようこそ鳥取県観光振興条例」を作りましたので、観光振興に向けた運動展開、海外からの誘客も含めて話し合うことにいたしております。
また、明後日は、東京の方に上京をいたしまして、知事会が主催をして各党と行いますマニフェストの公開討論会[地方分権改革に関する公開討論会]に出席をすることにいたしております。その場で各党の考え方も私なりに聞かせていただいて、マニフェストの評価を仲間とともにしていきたいと考えております。
週末はいよいよお祭りの季節になってまいりますが、今週末はしゃんしゃん傘踊りがあるということになります。是非、県民の皆様もこれからのお盆にかけまして、ご家族、地域の方々と充実した日々を過ごしていただきたいと思います。私の方からは以上です。
○朝日新聞 井石栄司 記者(幹事社)
各社、質問がありましたらどうぞ。
○NKH 三浦太一 記者
災害の対策なんですけれども、ハード面での対策でおっしゃっていましたけれども、これ、例えば、具体的には砂防ダムとか、そうした設置などを考えていらっしゃるのかということと、あと、ソフト面ですが、要支援者の避難計画というのは、それは市町村が作るのか、それとも各福祉施設が作るのか。市町村が作るのならば、県内では実際に作っている自治体はあるのかをお聞かせ願いたいと思います。
●知事
現在、集計中でありますけれども、その状況によって、砂防対策、治山対策を考えることにいたしております。もちろん、ダム形式といいますか、小さなこういうコンクリート塊を使って、そこでせき止めるという工事の手法もありますし、木を植えることで、植林をすることで砂防治山を進めるという手法もございます。
まずは、調査してみないとすぐに設計図面もないままにかかれませんので、まずは調査してみて、どういう手法が適切なのか考えようと思います。その予算を、9月に前倒しをしてというか、緊急的に計上したいと思っております。
それから、後段の方でありますが、今も、要援護者支援計画を作ってくださいと、災害時に避難をするのに手助けがいる方々がおられますので、そういう方々のために、要援護者支援計画を作ってくださいと市町村にお願いをしてきておりますが、まだら模様であります。それから、福祉施設の方でも、意識が必ずしもはっきりしているわけでないと思います。
今回は、これは繰り言だろうと思いますけれども、関係者も大変な努力はされていたんだと思いますが、残念ながら、土砂災害警戒情報の意味が十分に理解されずに、末端まで伝わっていなかった。さらに、現場の状況を見て、臨機応変に避難をするということが出来ていなかったことが拡大させた要因になりました。
山口[県]の例でいきますと、土石流がざっとこう流れてくる形になっていまして、例えば堅固な建物であれば、2階以上に避難をするという簡便な方法も一定程度有効だと言われています。木造の小さなものですと、これは倒壊の危険はありますけれども、躯体がしっかりしていれば上階へ逃げるという手法もないわけじゃなかったわけでありまして、そこの辺を考えなければならないと思います。
土砂災害警戒情報も、県と気象庁で話し合って、最近、バージョンアップをしてきております。今は、1キロメッシュで、細かく降雨状況を観測できるようになっていまして、この情報が有効ではないかなと、今、我々、実務的には思っておりまして、これを持って範囲内にあるイエローゾーンと言われる警戒区域の中の人たちは、避難をしてくださいという、そういう具体的な避難につながる連絡を流したり、我々の方で非難準備警報を出すとか、そういうことも行政側の方でも出来るだろうと思います。
その辺を、これから年度末にかけて、緊急に話し合って全市町村で整備をしていただき、福祉施設でも対応をお願いをするように、強力に働きかけてまいりたいと思います。
○読売新聞 宇多川はるか 記者
ソフト面について、ちょっと追加なんですけども、要援護者の支援の台帳を作っている市町村がありますけれども、個人情報だというのでなかなか把握が難しい現状があると思うんですが、例えば、県から出すように要請するだとか、そういったことをお考えか、お聞かせいただけますか。
●知事
これについては、おっしゃるように個人情報保護と、それから災害避難の要請とは、ちょっとぶつかるところなんですね。各市町村ごとに考え方が分れています、解決策の。例えば、町内会の幹部にこれは他に使わないでくれということで、情報を持たせる市町村もあります。それから、ある程度、情報を市町村側から出すことに緩やかに考えるところもあります。
どれが正しいかっていうのは、個人情報保護条例だとか、現場の対応によって異なると思います。ですから、県で今やっておりますのは、そういう市町村の区々の状況に応じた対応を、私たちの方で懇切丁寧に、各市町村と話し合いながら進めていくというやり方を取っておりまして、それは、現在、進行途上であります。
今回のケースは、もう集団でそこで生活されている福祉施設の場合でありまして、要援護者支援計画ですと、どこのアパート、どこの建物に何々さんがいますよという情報が必要でありますけれども、今、今々、緊急にやらないといけないと思っていますのは、丸ごと24時間、そこに住んでおられる、丸ごとのこの福祉施設。
これが、被害が甚大になる恐れがあるところでございますので、これに重点をおいてやるという考え方です。ですから、必ずしも、施設はどういう施設かというのは分かっていますので、個人情報の問題とは、相克することなく進められるだろうと思います。
○日本海新聞 川口耕 記者
先程、農業の方の話で、予備費の執行も視野に必要と見込まれる経費というお話がありましたけれども、ある程度具体的にどういったものを考えておられるのか、想定しておられるのか、教えてください。
●知事
例えば、これから気象条件が回復しない場合、本当は今週ぐらいが大事な時期なんです。今週ぐらいから、こう綺麗に晴れてもらうとだいぶん、変わってくるんですけれども、まだこういう天候が続いておりますので、被害が発生する恐れがある。それは、病害虫問題が1つ、それから、登熟が進まない、要は、実が熟してこない、ついてこないということであります。
我々として、想定できるのは、例えば、防除対策を進めるために、薬剤の活用なんかも考えられると思うんですけれども、そういうのを予備費を使って、今の段階で手当をしていくことも考えられようかと思います。
それから、これは、実際その後の話かもしれませんが、今までも、こうした冷害がございましたけれども、そういう時期には、やはり農業被害に対する共済などの仕組みが動いてくるわけでありまして、それは9月の補正予算とか、そういう段階での対応も考えられようかと思います。
明日、実際に気象庁のかたのお話も入れながら、農業関係者、行政関係者でよく情報交換をして、どういう対策が考えられるか、話し合いをしてみたいと思います。当面は、例えばそういう防除対策などは若干お金が必要かなと思います。
○朝日新聞 井石栄司 記者
今後想定されるいろんなケースに対応していかなきゃいけないとは思うんですけども、ちょっと話がぜんぜん変わるんですが、民主党が仮に政権を取った場合に、予算をとめるということもあり得ると。そうなると、例えば、林業の緑の再生プロジェクトの基金、交付が決定するのは今月中みたいですけれども、もろもろ基金とかそういう、当て込んで補正を組んでやられている部分もあるかと思うんですが、もし予算執行停止みたいな状況を想定したら、県としてはどういう対応を今後取っていかれる。
●知事
予算の執行停止は混乱を招くと思いますね。昨日も溝口[島根県]知事と意見交換をした機会があったんですけども、そういうことも話し合いました。私は、これは、軽々しく予算の執行停止を言ってほしくないと思います。
現実問題は、現場はすっかり動いていますし、それに基づいて住民のかたも準備を進めておりますので、執行停止の影響が大きいこと、それが財政にも大きな影響を与えることを、私は民主党さんには申しあげなければならないと思います。
今度、マニフェストの検証大会がありますけれども、その時も実は、そうした問題だとか、財政への影響、例えば、暫定税率を廃止をすると言っていますけれども、それが与える影響について、どういうふうに民主党さんが処理をしようと考えておられるのか、不分明なところが多いものですから、そういった補正予算の取り扱いなど、よく議論をしてみたいと思っていたところです。
○朝日新聞 井石栄司 記者
今日ある行政懇談会ですが、記憶が間違っていなければあれなんですけど、前の時に、年3回ぐらいやっているやつを、回数を減らしていくようなお話だったかと記憶をしているんですけども、結局、回数は減らすことになったんですか。
●知事
減らすことになっているんじゃないですかね。要は、県側が主催するのは1回で、市町村側は1回ということではないかと思いますが、もしよろしければ後で確認をさせていただきまして、きちんとお答えをいたしたいと思います。
それから、いろんな要望事項をたくさん連ねてやっていましたけども、それは、書面でもやり取りできることも多いものですから、話し合いの方に、協議時間の方に重点をおくように変えてみようと。今回、試行的でありますけども、やり方をだいぶ変えて実施をしようと思っています。
○山陰放送 秦卓史 記者
DBSの支援準備会なんですけれども、鳥取県として、DBS支援については、具体的にどういった姿になればいい、その何か青写真というのはあるんでしょうか。
●知事
我々は、結局、ビジネスが、このDBS[クルーズフェリー]を活用してもらうその足掛かりを、3地域の連携で作っていくのが重要だと思っています。要は、土台作りのところだと思っています。
そのビジネス自体に直接幾らを支援するという金銭的なものよりも、実際にそれを使えるわけでありますから、使うモチベーションを各地域で、企業を巻き込んでやってもらうというのが主たるところだと思っています。観光にしても、それから、荷物を動かす貿易にしても然りだと思っています。
今は、向こう側の顔が見えないわけです。例えば、ロシアと取引したいという人は、結構我々が今までローラーで調査をしていますから、見えているんですけども、ただ、どうやって商売ができるかというのは、まだ見えない。
あちらのパートナーを探しているという場合もあります。向こう側からも、実は今、こういうルートで貿易をして、生鮮品を日本に送っているんだけども、その送るルートを、このDBSを使って変えられないだろうかという、そういうお話も海外の方から来ています。こういうマッチングを能率的に効果的に行う場づくりが必要だろうと思っています。
○山陰放送 秦卓史 記者
金銭面ではなくて、そういうマッチング、情報をどうやって回していくかというようなところに、力点をおくという。
●知事
そうですね。あと、それぞれの国で事情は違いますけども、税関当局だとか、そうしたところに、スムーズな入国ができるように働きかけをする。中には、どうも権限を持っているところもあるのかもしれませんが、ちょっとそこ、よくはっきりしないんですけども、そういうカスタム関係とかをやろうじゃないかとロシアのダリキン知事も言っていました。
○朝日新聞 井石栄司 記者(幹事社)
他に質問ありますか。なければ、米子に行かれる社もあるでしょうから、ここら辺で終わります。ありがとうございました。
●知事
どうもありがとうございました。