内閣府は、平成21年9月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、失業率が過去最高水準となるなど厳しい状況にあるものの、このところ持ち直しの動きがみられる。
・輸出、生産は、持ち直している。
・企業収益は、大幅な減少が続いているが、そのテンポは緩やかになっている。設備投資は、減少している。
・雇用情勢は、一段と厳しさを増している。
・個人消費は、このところ持ち直しの動きがみられる。
先行きについては、当面、雇用情勢が悪化するなかで、厳しい状況が続くとみられるものの、在庫調整の一巡や経済対策の効果に加え、対外経済環境の改善により、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、生産活動が極めて低い水準にあることなどから、雇用情勢の一層の悪化が懸念される。加えて、世界的な金融危機の影響や世界景気の下振れ懸念など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。
政府は、当面、景気対策を最優先で進めるため、「経済危機対策」等を着実に実施する。また、「安心・活力・責任」の3つの目標を同時に達成するための道筋を示す「経済財政改革の基本方針2009~安心・活力・責任~」に基づき経済財政運営を進める。
日本銀行に対しては、我が国経済が、物価安定の下での持続的成長経路に復帰するため、引き続き政府との緊密な連携の下で、適切かつ機動的な金融政策運営を期待する。
(各論)
○消費・投資などの需要動向
個人消費は、経済対策の効果もあって、このところ持ち直しの動きがみられる。消費者マインドは、低水準ながら持ち直している。実質雇用者所得は緩やかに減少している。設備投資は、減少している。住宅建設は、緩やかに減少している。公共投資は、堅調に推移している。輸出は、持ち直している。輸入は、持ち直しの動きがみられる。貿易・サービス収支の黒字は、増加している。
○企業活動と雇用情勢
鉱工業生産は、輸出が持ち直していることや、在庫面からの生産下押し圧力が弱まっていることなどから、持ち直している。企業収益は、大幅な減少が続いているが、そのテンポは緩やかになっている。また、企業の業況判断は、厳しい状況が続いているが、大企業においては持ち直しの動きがみられる。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。雇用情勢は、一段と厳しさを増している。
○物価と金融情勢
国内企業物価は、横ばいとなっている。消費者物価は、緩やかに下落している。株価(日経平均株価)は、10,400円台から10,600円台まで上昇した後、10,100円台まで下落している。対米ドル円レートは、95円台から96円台まで円安方向で推移した後、92円台まで円高方向で推移している。
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需要面の個人消費では、大型小売店販売額(7月)が、全店舗計は前年を上回ったが、店舗調整後(新規店舗等を除く)は前年を下回った。ホームセンター・家電量販店販売額(7月)は前年を下回ったが、乗用車新車新規登録台数(8月)は前年を上回った。
建設等では、新設住宅着工戸数(8月)、用途別着工建築物工事金額(8月)は前年を下回ったが、公共工事請負金額(8月)は前年を上回った。
産業面では、鉱工業生産指数(7月、季節調整済)が電子部品・デバイス等の増により90.4で前月比
8.9%上昇した。なお、大口需要電力実績(7月)のうち鉱工業用電力は主要4区分の全てで前年を下回った。
雇用面では、新規求人倍率(8月)は、0.88倍(前月差0.03ポイント低下、前年同月差0.23ポイント低下)であった。有効求人倍率(8月)は、0.46倍(前月と同水準、前年同月差0.21ポイント低下)と0.5倍を割り込んでいる。
現金給与総額(7月)、所定外労働時間(7月)とも前年を下回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(7月)は、全店舗計では57億800万円となり、前年同月比3.3%増と16か月ぶりに前年を上回ったが、店舗調整後では前年同月比8.0%減(全国は前年同月比8.4%減)と16か月続いて前年を下回っている。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が19億1,500万円(前年同月比11.2%減)、スーパーが37億9,300万円(前年同月比12.6%増)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(7月)は36億6,700万円(前年同月比8.8%減)と2か月続いて前年を下回った。内訳では、ホームセンターが19億1,100万円 (前年同月比9.1%減)、家電量販店販売額が17億5,600万円(前年同月比8.5%減)であった。
乗用車新車新規登録台数(8月)は1,353台(前年同月比12.6%増)と3か月続いて前年を上回った。内訳では、普通車、小型車、軽自動車の全ての区分で前年を上回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(8月)は173戸(前年同月比27.0%減)と8か月続いて前年を下回った。内訳では持家系(前年同月比18.6%減)、貸家系(前年同月比37.0%減)ともに前年を下回った。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(8月)は3億8,300万円(前年同月比66.8%減)と前年を下回った。用途別では製造業(前年同月比99.7%減)、卸売業,小売業(前年同月比37.5%減)等で前年を下回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(8月)は86億9,500万円(前年同月比21.4%増)と前年を上回った。発注者別内訳では、国(前年同月比19.5%増)、県(前年同月比135.7%増)等で前年を上回った。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(7月)は生産指数(季節調整済)が90.4となり前月比は8.9%上昇、原指数は93.2となり前年同月比では5.7%低下した。
内訳を前月比で見ると、食料品・たばこが10.8%の上昇となり3か月ぶりの上昇、電子部品・デバイスが27.1%の上昇となり4か月続いて上昇、電気機械が26.3%の上昇となり3か月ぶりの上昇、一般機械が13.3%の上昇となり2か月続いての上昇となった。
在庫指数(季節調整済)は95.4と前月比0.9%低下した。
【電力】
大口需要電力実績(7月)は139,270千kWh(前年同月比11.8%減)と12か月続いて前年を下回り、鉱工業用電力も主要4区分の全てで減少した。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(8月)は野菜が1,348t(前年同月比1.5%減)と2か月続いて前年を下回り、果実は1,063t(前年同月比3.5%増)と前年を上回った。
鳥取市場の青果物販売量(8月)のうち鳥取県産の卸売量は野菜が451tで市場全体に占める割合は
33.5%(前年同月差0.1ポイント低下)、果実は498tで市場全体に占める割合は46.8%(前年同月差0.6ポイント低下)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(8月)は7,333t(前年同月比58.6%増)と3か月続いて前年を上回った。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(8月)は0.88倍(前月差0.03ポイント低下、前年同月差0.23ポイント低下)であった。なお、新規求人数(8月)は3,171人で前年同月比12.9%の減であった。
有効求人倍率(8月)は0.46倍(前月と同水準、前年同月差0.21ポイント低下)と0.5倍を割っている。
【賃金】
現金給与総額(7月)は344,388円(前年同月比4.1%減)と7か月続いて前年を下回った。そのうち、きまって支給する給与(7月)は、240,043円(前年同月比3.6%減)で14か月続いて前年を下回った。
【労働時間】
所定外労働時間(7月)は7.1時間(前年同月比23.7%減)と12か月続いて前年を下回った。主力の製造業は41.2%減となった。〔産業別の前年同月比では、電気ガス水道業(前年同月比27.3%増)等で前年を上回り、飲食店,宿泊業(前年同月比40.6%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(7月末)は1兆9,493億円(前年同月比3.4%増)と7か月続いて前年を上回り、貸出金残高(7月末)は1兆1,395億円(前年同月比1.2%増)と3か月続いて前年を上回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(7月)は先行指数が5月75.0、6月87.5、7月87.5、一致指数が5月68.8、6月100.0、7月87.5、遅行指数が5月0.0、6月60.0、7月40.0となった。
・ 企業倒産(8月)は件数が5件で前年に比べて3件減少(前年同月比37.5%減)し、負債総額も2億
2,800万円で前年に比べて8億9,000万円減少(前年同月比79.6%減)した。
・ 消費者物価指数(8月:鳥取市総合平成17年=100)は100.1(前月比0.5%上昇、前年同月比2.6%低下)となった。
・ 鳥取県の推計人口(9月1日現在)591,406人で、前月と比べて43人(0.01%)減少し、前年同月と比べて3,778人(0.63%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成21年8月調査でみると、平成21年7~9月期は前四半期(平成21年4~6月期)に比べると景気が不調で、売上高、経常利益がやや不調となっている。