知事年頭記者会見(2010年1月4日)

平成22年1月4日(月)午前10時30分~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約27分) ※MPEG4形式

  

1 年頭に当たって 

●知事

 明けましておめでとうございます。[県政]記者クラブの皆様、そして、県民の皆様におかれましては、輝かしい新春をお迎えのことと心からお喜びを申し上げたいと思います。随分雪が降る正月になりましたけれども、その雪が重なり合う程に幸せ多かれと、大伴家持が祈った正月と同じではないかと思います。

 ただ、現状は非常に厳しい経済、生活環境が続いていると考えております。年末に私共鳥取県で29、30日両日に亘りまして、生活経済雇用相談の窓口を設けましたが、昨年に倍する程のかたがお見えになりました。いずれも深刻なご相談が多かったわけであります。ですから、我々としてはこうした厳しい状況をなんとか打開していくように浮揚するような手を打っていかなければならないと思います。

 大交流時代がいよいよ今年は到来することになります。3月に鳥取自動車道が鳥取インターチェンジまで開通をします。まさに山陽、関西が山陰と直結する日が到来をするわけでございます。また、余部鉄橋の架け替えが進むとか、昨年末の2,500m化の米子空港滑走路延長、それからDBSクルーズフェリーの就航といったように、ここ相次いで山陰が世界に向けての窓口、日本国内を結ぶ結節点、結び目になろうとしております。

 そういう結び目としての機能を活かしながら、地域の次の一手を考えていく。これを県民の皆様にもお願いを申し上げたいと思いますし、私共行政としてもそれを積極的に支援し、展開をさせていただければありがたいと考えております。

 それから、経済状況に布石を打っていかなければならないと思います。注目いたしておりますのは、国の方の補正予算がこれからどうなってくるかという点でありますけれども、この点につきましては[1月]18日に通常国会を開会をするという方針が報道されるようになってきております。

 その通常国会での審議の状況も見ながら、鳥取県自身の独自の部分も盛り込みつつ、早い段階で経済雇用対策を実施に移していきたいと考えております。場合によっては、臨時[県]議会の招集も視野に入れなければならないと考えております。そうしたなかで、今年を展望いたしますと、いろんなチャレンジがあると考えております。

 1つは山陰海岸ジオパークの世界[ジオパーク]ネットワーク加盟をぜひとも果たしたいということです。昨年末に鳥取県も職員を派遣をし、そして新しい統合事務局[山陰海岸ジオパーク推進協議会事務局]を兵庫県の組織の中に作りました。このジオパークの事務局体制ですね、今、その認定に向けた活動を進めているところであります。

 いよいよ5月頃からだと思いますが、春になりますと本格的な査定と言いますか、実地検査が始まってくるだろうと思います。ぜひとも、この山陰海岸ジオパークネットワーク加盟を果たす中で、鳥取県の観光など、あるいは環境保全などに新展開を図っていければと思っております。

 また、年初は青山剛昌先生と面談をさせていただきました。実は昨年末に水木しげる先生の88[歳]、米寿のお祝いの会がございまして、その折にも里中満智子先生ですとか、ちばてつや先生ですとか、そういう水木しげる先生はもとよりでありますけども、そういう漫画家界の大御所の皆さんにもお会いをする機会を得ました。

 いよいよ今年、本格的に国際マンガサミットの誘致に向かって進んで行きたいと思います。目標としておりますのは、平成24年の国際マンガサミットでありますけども、今年の韓国でのサミットの時が焦点になると思います。年明けから春に向けて国内での候補地選びが本格化すると思います。

 対立候補もないわけではございませんので、これは予断を許さないと言いますか、言わば競争の部分がございますけれども、我々の考え方を理解してもらえるように全力を挙げていきたいと思います。

 年末に我々の考え方を事務ベースで説明をさせていただきました。その前にも、そうした里中満智子先生、これは会長さんなんですけども、そうした方々にもお願いをさせていただいたところでありますが、いよいよこの誘致が本格化してくるだろうと考えております。

 それから、新しい産業構造を呼び起こしていかなければならないと思います。この関係では、例えば森林なども含めた環境対策が求められると思います。新年早々にJ‐VER(ジェイバー)と言われます環境評価、要は森林の間伐などを進めまして、これを事業展開をして売っていくということ。そのシンポジウム[カーボン・オフセットシンポジウム]を開くことにいたしております。鳥取県庁自体がこれに参画をしようということで、今、その作業を進めております。

 さらに、校庭の芝生化のような鳥取県らしい施策も強化はしていく必要があると考えておりまして、春に向けてシンポジウムを開いたりしようということなどを計画をいたしております。

 それから、農林水産業については就業サポート事業が非常に反響が大きかったわけであります。国の方で、今回当初予算で盛り込まれましたことは、我々から見ると不十分だという部分もありますけれども、それも一部活用しながら、県独自の施策も入れて、これからの産業展開の1つの基軸として農林水産業をテーマにしていく必要があると思います。

 それから、積極的な企業誘致活動の展開をしておりまして、太陽光関連の発電パネルとか、それから電気自動車関係でありますとか、そうしたところで新しい企業立地も含めて目指せないだろうか。これは、県内の中小企業の研究会なども作りまして、そういったプラットホーム作りを始めたところであります。これも、新しい年のテーマとして産業構造改革が入ってくるだろうと考えているところであります。

 その他にも、今、当初予算編成の作業中でありますけども、地域主権の確立に向けたことを鳥取県でも実施に移していく必要があると思います。今、研究会を開きまして、国、県、市町村の役割分担などを議論をしているところでありますが、私共のように小さな自治体でありますと、県と市町村との境目を、一部取り払いながら進めて行く、いわば共同のやりかたも有効だろうと思います。

 これも税の徴収ですとか、そうしたことなどを皮切りにして新年度予算の中でもぜひ、市町村と協力しながら議論してみたいと考えております。そうした鳥取県型の県と市町村の共同組織作り、共同の行政の共同化ということを新しい新年度の中で考えていければと思っております。

 また、我々の方ではインフラストラクチャーが十分ではありません。昨年の予算編成でございますが、我々としては、めでたさも中ぐらいなりという感じがするおらが春でございまして、確かに交付税だとか、地方財政対策には積極的な部分がありまして、これは大いに評価出来ると思いますけども、インフラストラクチャーなど十分とは言えないところがございます。

 これについては年明け早々から、一定の運動も展開しなければならないかなというように考えております。この点も、民主党の方々など政府への働きかけを相談をする必要もあるかなと思っております。

 いろいろと、今年は難題も多い状況ではありますけども、私は時代の転換点だと、今、思います。それは環境だとか、それから人間ということに着目をしたことへ政策自体が大きく世界的に転換をしつつあるだろうと思います。鳥取県にもその風を活用させていただきまして、新しいムーブメントを起こしていくべき時なんだろうと思います。

 ただ、気をつけなければならないのは、国の方の政策転換もなされる中で、地域に痛みも出るわけでありまして、そうした意味ではソフトランディングとか、一定の手当てが、ケアが必要だろうということであります。鳥取県も福祉など、あるいは教育、その他、非常にこれから力を入れなければならない分野があるだろうと思います。ボランティア活動とか、そうした地域の力、鳥取力というものを育成していくことも大事だろうと思っております。

 例えば、アマモのサミットを昨年やりましたけども、そういうアマモの藻場造成に、民間の皆さんがモデル的にやろうというのであれば、それを積極的に後押しをするような、そういう予算組みをこれから検討をしてみたいと思っているところであります。

 いろいろと課題も多いところでありますけども、ぜひとも新しい光が射すような年にこの寅年をしていきたいと思います。県民の皆様の格別のご協力とご支援を賜ることを、お願いを申し上げまして、年頭の会見の言葉にさせていただきます。


○読売新聞 北島夏記 記者(幹事社)

 では、各社から質問をお願いします。




2 臨時県議会の開催について 

○朝日新聞 井石栄司 記者

 臨時議会ですけど、具体的に事業規模とか、予算規模というのはどのぐらいを予想していらっしゃいますか。


●知事

 原資の問題もありますので、去年の1月議会程にはならないかもしれません。ただ、数十億[円]規模で、身の回りの公共投資を中心とした追加予算を考えたいと思いますし、それから雇用関係の施策を入れていく必要があると思います。我々の方ではその臨時議会を待たずして、100名以上の規模での県庁での受け皿作りも進めております。これは介護関係も含めまして。

 そういう取組もやっておりますけども、ただ、それは十分ではないと思いますので、臨時議会の中で新しい予算提案もしてみたいと思っています。今、予算規模自体は、これから各部局に作業に入ってもらいますので、目算は今のところはございません。


○日本海新聞 田村彰彦 記者

 招集のタイミングっていうのは、早ければいつ頃なんでしょうか。


●知事

 今、報道されているところで、皆さんの方がよくご案内なのかもしれません。国会がいつ始まるか、見たいと思います。1月18日という報道もあるようでありますが、そういうことになりますと、そこから補正予算の国の二次補正の審議が始まると思います。

 その状況をある程度見たような時期になろうかと思いますので、これはちょっと臨時議会招集するかどうか、決めた後にはなると思いますが、招集するのであれば、月末か、来月頭かぐらいではないかと思います。


○朝日新聞 井石栄司 記者

 先程のお話の中で、県独自の施策を盛り込みつつとおっしゃった部分ですけども、今、おっしゃった雇用関係の施策ということでしょうか。


●知事

 そうですね、雇用関係が中心になると思います。あと、農林水産業など、去年も就業サポート事業を独自に盛り込んだ部分が評価をされているところもありますので、その辺も、検討対象にはなってくるかなと思います。


○読売新聞 北島夏記 記者

 雇用関係の施策というと、具体的には臨時職員を雇用という。


●知事

 その辺の基金の活用なども当然視野に入れております。まだ、この年明けが作業になりますので、具体的に、これというところには来ておりません。




3 道路整備について 

○山陰中央新報 錦織拓郎 記者

 高速道路の整備なんですが、その仕事納めの日の幹部会議でも、ただ早い時期にという言いかたをされたと思うんですが、先程のお話にも、ちょっと触れられましたけども、いつ頃、その政府の方へ働きかけというタイムスケジュールは、今、お考えのなかにありますでしょうか。


●知事

 臨時国会の動きも見て、要請の時期は考えなければならないと思います。ちょっといろんな分析がありまして、我々も正直、真相を掴みきれないところもあります。現在は、総予算が決まった段階です。ですから、国全体で公共投資の減額は決まってきていると。

 それで、だいたいその道路関係も全国で1割台の半ばぐらい減るという、総枠は見えて来ているわけです。その中で、どこに、じゃあ、個所付けをするかということでありますが、その個所付けについて、できれば、今度の通常国会にある程度のものを示すような形にしたいと、国土交通省は言っておられます。

 ですから、そのぎりぎりのタイミングに、我々ももう一度、お願いをしておくべきかなというのが、今の考え方です。ですから、その国会の前の段階くらいかなと思いますが、ちょっと関係方面と、よく調整してみないといけないと思います。


○山陰中央新報 錦織拓郎 記者

 その際にあたって、この前のような他県との連携というのは、選択肢に入ってきますか。


●知事

 他の8県とも相談をしたんですが、今のタイミングではなくて、9県の統一行動はもっと後が良いんじゃないかと、お互いに今、相談をしています。それは、6月頃とか、要はいろんなその路線選定などの大きな動きが、この年度明けて今度、出て来るだろうということもいろいろ報道されているもんですから、次の統一行動の焦点は、そうした次のステップのところで持っていくのが良いのかなというご意見が強いです。

 これ、今、関係県と調整をしていますが、1月の早い段階で一緒にということには、ちょっと今、賛同は得られないかもしれません。


○NHK 宮本知幸 記者

 鳥取県独自では、国会前くらいに行きたいかなという考え方ですか。


●知事

 はい。個所付けについての要請活動、提言活動を考える必要があるかなと思っています。やはりちょっと年末ではまだ、そこは不透明でありまして、我々のところにはいろんな話は入ってくるんですけども、まだ不確かです。ですから、我々の気持ちを、状況を改めて説明する必要があるかなと考えております。



4 税収見込みについて 

○朝日新聞 井石栄司 記者

 今年度の当初予算で、県税収入が15%、前年比で落ち込んだんですけども、12月までの実績からの推計でどうだったのかというのと、あと、来年度の税収の見込みというのはどうだったんですか。


●知事

 今年度の税収については、今おっしゃった、当初予算でかなり厳しく見積もりましたので、税収自体でそんなに大きな欠損が出る状況ではないだろうと見ています。ただ、地方消費税の精算ですね、これは各県とのお金のやり取りがあります。この分などで、やはり数億円単位で、5億円、6億円単位で、歳入不足を生じるかなというような状況を、今、見ています。

 新年度の税収見積もりは、現在まだ作業中のところでございまして、国の方の地方財政計画だとかの見込み具合なんかも見ながら、これから詰めていきたいと思います。




5 政府予算について 

○日本海新聞 田村彰彦 記者

 改めてなんですけども、政府の予算案が昨年末、決まりましたけども、鳥取県内の各事業が個別にどうなるかというのは、まだ不透明な部分が多いと思うんですが、こういった不安な要素が多い中で、知事としてどのような心境で年を迎えられたのか。それともう1つ、この鳩山政権に今年どう対峙していくのか、一言お願いできますでしょうか。


●知事

 まず、予算関係は年末ぎりぎりの12月28日まで、情報収集しましたけれども、確たる個所付け等の情報はダムのところ以外、うまく入っていないという状況であります。ですから、その情報の収集を進める必要がありますけども、先ほども申し上げましたが、個所付けについて、国の方に改めて我々の考え方なり、要望なりを伝える必要はあるのではないかと思っております。そういう意味で、まだ予算的には、例年よりも定まってない、不確かなフワフワした状態で年明けを迎えたという印象があります。

 鳩山政権につきましては、私どもは地方の立場でありますので、是是非非でお話をしていくべき筋合いだと考えております。私は地域主権を目指そうという総理[大臣]の姿勢自体は時代を変える可能性があるなという、そういう気配を感じておりまして、期待しているところも大きいわけでありますが、ただその実像がきちんと見えておりません。

 それから、鳩山総理[大臣]ご自身で政治資金の問題など、国民に対する信の回復を、信頼の回復を図るべきだろうと思っております。ですから、いろんな不安定要素もあるのだろうと思いますけれども、私は、ぜひ大きな流れの中で、世界は環境志向だとか、あるいは地域主権に向かっていくと思いますので、その辺を積極的に政府でリードしていただきたいと思います。

 我々鳥取県もそういう流れであれば、風向きは変わってくる、いい方向にフォローウィンドに変わってくる可能性があるだろうと思っております。




6 大交流時代に向けた実証事業について 

○読売新聞 北島夏記 記者

 講堂での挨拶の中で、大交流時代を迎える。その中で、そのための予算も必要であるし、そのあたりで実証実験をするというお話がありました。その予算、可能な限りでいいですが、具体的にはどんな予算を、どんな事業を。


●知事

 私もまだ、当初予算編成に入ってないもんで、今、各部局で議論はしているところでありますが、私の方から申し上げておりますのは、例えば関西とか海外に、荷物をまとめて出していくと。そうすると物流コストが下がってまいります。現に鳥取自動車道ができますと、朝取れ状態で野菜などを阪神などに出荷しやすくなるわけであります。

 ですから、本当の意味での物流コストが下がるメリットだとか、そういうものを、体験してもらって大交流時代の運輸、交通、産業の在り方を、皆さん自身で考えていただけるような、そういう予算が必要だろうと思います。併せて首都圏の方にも、今アンテナショップ効果もありまして、広がりを見せているわけでありますが、やはりその物流コストが課題になっています。

 この物流コストも下げていくために、そうした新規の高速道路なども活用しながら、私たちの方で、鳥取県内で荷をまとめて持っていくような、そういうやり方はできないだろうか、この辺も、研究課題としてあると思うんです。この辺は実証事業をやってみてはどうだろうかという話を、今、しているところであります。


○山陰中央新報 錦織拓郎 記者

 今日の午後、また幹部会議、早速ありますけれども、やはりその予算編成ないし、経済雇用対策といった観点が一番中心では。


●知事

 そうですね。おっしゃる通りです。それで、年末に皆さんの方から新しい事業だとか、それぞれのチャレンジ、施策について考えてみてくださいと、こういう話をしていますので、そういう話が中心になろうかと思います。


○読売新聞 北島夏記 記者(幹事社)

 その他、質問ありますでしょうか。じゃあこれで終了いたします。


●知事

 どうもありがとうございました。本年もよろしくお願いします。


○読売新聞 北島夏記 記者(幹事社)

 どうもありがとうございました。



  

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