●知事
皆さん、おはようございます。いよいよ新政権が予算編成へと向かってきております。例えば、母子加算問題などずいぶん政権の中でも右往左往と言いますか、いろんな話し合い、協議が行われる状況になってきていると思います。ちょっと懸念されますのは、何とか財源をひねり出したいからということで、かなり無理をされることが地方の方へ影響がないようにと願うことであります。
先般、中国地方知事会議が開かれましたが、この点について議論が、言わば沸騰したわけであります。象徴的だったのは子ども手当でありますが、この点について鳩山総理[大臣]が幕引きをされようという思いからだと思います、この点について国として公約をしたわけだから、子ども手当は国でやるんだというようにおっしゃっていただいたことは、私は評価をさせていただきたいと思います。
ただ、こういうことがかなり中国地方知事会でも議論になったことは事実でありまして、昨日、東京の方で政府の要人の皆さんにいろいろと要望活動をさせていただきました。その中で、こうした地方側の懸念も伝えさせていただきました。
前原国土交通大臣の方には、山陰自動車道をはじめとした第一次的な交通ネットワークをきちんと整備をしてもらいたいと。意外に思われたようでありましたけども、山陰自動車道は順番待ちをしていたわけでありますから、全国的に見て費用対効果、BバイCと言われるものが高い水準にある、そういうようなデータも実地にお示しさせていただきながら、お話をいたしたところであります。
それから、川端[文部科学]大臣の方にも面談をさせていただきました際に、私どもの方から米子の方でやろうとしていますバイオフロンティア事業、これも全額国がやらないということではなくて、[独立行政法人]科学技術振興機構という国の外郭団体が建物を建てることには、我々何の興味も、実はないわけでありまして、事業が進むように個別具体な配慮を求めたりいたしました。
また、長浜厚生労働副大臣の方に新型インフルエンザ問題でありますとか、地方交付税について、渡辺総務副大臣にお話をさせていただいたりしました。これから政府内でいろんな調整が行われることだと思います。ぜひ、地方側現場の視点で物事を考えていただくようにお願いを出来たらと念願をいたしております。
また、中井洽(ひろし)拉致問題担当大臣とも協議をさせていただきました。中井大臣の方には、訪韓を直前に控えたお立場でございましたので、ぜひ、拉致問題の解決を国際的な協調のうえにやってもらいたいということを申し上げました。
特に、昨日は、松本京子さんが拉致をされて32年目の10月21日という日付でありました。そういう痛切な日であって、お母様も非常に年もとられまして、早く会わせてあげなくてはならないということを切に訴えをさせていただきました。
中井大臣は、そうした家族会などの要望にも応えようという気持ちがお有りのようでありまして、政府が前面に出て、積極的にやるというお話を引き出すことができましたし、さらに、特定失踪者が県内でも他にもございます。
そうした問題についての捜査も県警本部長の会議で四達をするというお話もいただくことができました。そういう意味で、拉致問題について、政府側の取り組みを促すことは出来たと思います。
●知事
実は、来週はニューヨークにおいて、「食のみやこ鳥取県」などのPRをさせていただくことにいたしておりますが、その一環といたしまして滞在中に高須国連大使にも面談を求めておりました。これも面談させていただくことになるようでございますので、国際連合の舞台でもそうした拉致問題の解決に前進を図ってもらいたいことを申し上げようと思っております。
来週は、ニューヨークの方で「食のみやこ鳥取県」のフェスティバルを一連の行事としてさせていただこうと思っております。10月の28日にはニューヨーク大使の公邸におきまして、そこで向こうのシェフでありますとか、現地のバイヤーでありますとか、報道機関関係のかたでありますとか、そうした方々をお招きをいたしまして、鳥取県の食文化、そして食材の魅力を発信をしようと考えているところであります。
例えば、[社団法人鳥取県]調理師[連合]会の知久馬会長や秦副会長にも向こうにも行っていただきまして、ニューヨークでのフランス料理の三ツ星レストランのシェフとか、向こうで、要は、ワールドワイドな鮨(すし)をやっておられるシェフだとか、そうしたかたと競作と言いますか、料理の鉄人ではないですけども、料理の技を競い合うようなそういうことをやっていただこうと思っています。例えば、ハタハタとか、ノドグロだとか、そうした鳥取の食材を持ち込んでやろうと考えております。
県内の企業さんなどから、いろんな出品もしていただきまして、鳥取の食文化や伝統文化を向こうで見ていただこうと考えております。その翌日の10月29日から11月の初めにかけまして、ニューヨーク近郊の大規模ショッピングセンターで鳥取の食材のテスターをさせていただこうと考えております。
向こうでのバイヤーとの商談会でありますとか、現地視察を関連事業者のかたに企業回りをやってもらおうとか、そうした個別のメニューも用意をいたしているところであります。私もこちらの方に同行させていただこうと考えているところであります。
●知事
また、これから新政権の方で、農林水産業への誘導、雇用の創造とか、そうした新しい動きが出てきておりますが、移住関係を鳥取[県]の方に誘致をしていくこと、これも求めていきたいと思っております。
今週末は、鳥取青年会議所と一緒になりまして、移住についてのシンポジウムをやろうとしております。[元]ギャル社長として有名な藤田志穂さんをお招きをして、そういう農業談議をするとか、いろんなイベントにしていこうと考えております。今日は、今から実際に移住をされたかたとお会いをして意見交換をしようという趣旨で智頭町の方にお伺いをすることにいたしております。
併せて新政権の方で重要な課題になります[温室効果ガス排出量]25%カットの環境問題、これにも鳥取県として向かって行く必要があると思います。先般、グリーンニューディールの計画を取りまとめをさせていただきました。これを、例えばエコカーだとか、あるいは太陽光発電関連だとかで、産業誘致も含めて動き出さなければならないと考えております。
昨日も川崎[市]の方で、そうした動きを体験をさせていただきました。いろんな企業さんがこの動きに乗ろうとして、全国的に胎動を始めたところであります。流れを引き寄せるように鳥取県でもサポート体制を組んでいきたいと思っているところであります。
また、県民巻き込んで、みんなでそうした環境運動をやっていこうという取り組みも重要でありまして、今日はノーレジ袋の推進協議会を県の中部でさせていただこうと思っております。こちらには東部、中部、西部の関係者が一堂に会していただくことになっておりまして、来年度から、ノーレジ袋をやるという事業者を、その場で募りまして、賛同を広く得ながら、できれば全県的なそうした運動へつなげていけるんではないか。
今日は、そういう会議を中部の方でも企画をいたしております。そういうような、様々な運動展開を図りながら、鳥取県らしい、エコな鳥取県を作っていきたいと考えております。私の方からは以上です。
○NHK 松本裕樹 記者(幹事社)
では、各社、質問の方、お願いします。
○朝日新聞 井石栄司 記者
バイオフロンティア事業で、個別具体的に配慮を求めたとおっしゃったんですけど、具体の、具体的に説明されたのは、どういう中身になるんでしょうか。
●知事
川端[文部科学]大臣の方に申し上げましたのは、日本科学技術振興機構という文部科学省の外郭団体がやる事業を大幅に縮小するという補正予算の見直し案になっているわけです。ただ、その中には、いろんな事業が、実は全国、紛れ込んでいますよと。
鳥取県の場合は、マウスに人間の遺伝子を組み込んで、薬品の開発を速やかに進めようということでありまして、世界中の医薬品メーカーが注目するような、そういう研究開発であると。これをテコにして、鳥取県が初めてバイオフロンティアの領域に踏み込んでいこうという、その土俵を整える重要な事業なんだと、こういうものが、今入っているんですよということを申し上げました。
大臣の方からは、それは、例えば、中山先生ですね、京都大学の。ああいう研究なんかもありますけど、という話がありまして、あれとも、ある程度一緒になって研究している[染色体工学研究センターの]押村先生っていうかたですよというようなお話をさせていただいたりして。こういうような、いろんな事業が入っていますので、個別具体の事情もよく見て、今後の応援だとか、代替的な措置だとか、そういうことを考えてもらいたいということを申し上げました。
大臣は、正直申し上げて、「心に留めておく」という表現をされました。けれども、そうした非常に大切な研究が含まれていることへの認識を持っていただいたと思います。なかなか満額全部ということにはならないかもしれませんので、我々の方でも鳥取大学ともよく協議をさせていただいたりして、現実的に着地できるような姿を模索していかなきゃいけないなと思っております。
この点はまだ、とりあえず、見直し案の構想が示された段階でありまして、これから具体論に入っていく段階だと思いますので、今後とも文部科学省に働きかけをしていきたいと思います。
○朝日新聞 井石栄司 記者
以前の会議で、経産省とかの補助に切り替えるのも検討したらどうかみたいな話もあったかと思うんですけども。
●知事
経済産業省の方も、こういう研究開発の方は、特に施設整備を伴うようなものですね。新しい見込みがあるわけではないと承知をいたしております。ですから、今の手を挙げていた事業の後継と言いますか、そのフォローアップの仕組みを活用したり、文部科学省の方にもいろんな働きかけをさせていただいたりして、当然ながら、県の方でも対策も考えた上で、実現を目指そうと思っております。
その意味では、スキームを、今の大きなスキームからもっと現実的な、実現可能なスキームっていうことも考えなければならないかもしれないので、鳥取大学とよく協議をすることから始めなきゃいけないと思います。
○日本海新聞 田村彰彦 記者
バイオの補助事業の関係は、当初政府は、新しく建てるものについては、どんどん削っていくということであって、鳥大もそれに含まれてるわけですよね。そういうことについて、今回、訪問した時に、大臣の方から何らかのコメントはなかったのか。それと、平井知事自身の感触はどうだったのか。
●知事
内訳について、文[部]科[学]省の方からお話は具体的にはありませんでした。ただ、そういう施設整備以外にも、実は、当然ながら、先端研究でございますので、機器整備はばかになりません。おそらく、今、計上を考えようとしていただけでも、8億[円]・9億[円]とか、そういうオーダーですので。
そういうところが全部外れるということでもないのだろうと、期待をいたしておりまして、よくこれから国とも折衝をしなければいけないと思います。昨日の段階では、「心に留めておく」という表現に象徴されますように、まだ、最終的にみな決まっているわけではなくて、動いている中だというように判断をさせていただきました。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
鳥取の川上参議院議員らが、与党議員が、道路整備のネットワークを考える懇談会というのを設立されまして、昨日も会合があったんですけれども、こういった似たような境遇の県の国会議員の皆様方の会合だと認識しておるんですが、こういった動きを地方側から、現場からどう見ていらっしゃるかというのをお願いいたします。
●知事
私共で、昨日は、朝、[県選出の]与野党の国会議員の皆様に、山陰道の問題、当然のこととして、鳥取県が抱えるいろんな国に対する提案項目の説明をさせていただきました。その席上でも、川上参議院議員の方からは、今、政府側と与党の議員との間のコミュニケーションが必ずしも十分でないという認識が示されました。
その一環で、そうした、道路整備の懇談会を結成をされることに加わったんだと思います。私は、民主主義でありますので、いろんな意見が出てこなきゃいけないと思いますし、地域の政策課題を、全国的にも取りまとめて力を出していくことは必要だと思いますので、新しい懇談会の結成にも期待をさせていただきたいと思います。
昨日、前原[国土交通]大臣と面談をさせていただいたときにも、前原大臣に申し上げたんですけども、実は同じことは、地方団体としても当然あるわけでございまして、同じ境遇を持った地方団体が、このまま第一次的な高速道路のネットワーク。まずは、第二次的なものではなくて、まず、最初のものですね、ファーストロードを通そうという、そういう自治体がまずあるわけでございまして、こうしたところで、今、問題意識を共有してますという話を率直にさせていただきました。
いずれ政府側にも、そうしたところで、実情を、例えば、BバイCの問題だとか、あるいは隠れた道路の効果とか、費用はどの程度見込まれるものかとか、いろんな調査や検討をお互いにやった上で、政府側にも政策提案をしていくことを考えたいということをぶつけてみました。
前原大臣は、当然そういうことは考えられるし、ぜひやってもらったらいいと。そういうようなことで、政策提案をすると、平井[知事]たちの方でいうのであれば、協議をさせていただきたいというお話がありました。11月以降だと思いますけど、仲間の地域とも、今、相談している真っ最中でございますので、我々の方も体制を整えて行動を起こしていかなきゃならないと思っております。
そうした地域の中には、まだ若干の温度差がございまして、きれいに今、今後の行動計画をまとめているわけではありませんけども、いずれそういう運動を展開する時期が11月以降、到来するだろうと、私は思っております。
○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者
昨日、1日かけて国会要望というか、復活かけて要望活動をされたわけですけども、去年までの要望と比べて、どこが変わったというようなところって、実感として感じられる部分がありましたか。
●知事
まず、昨日の朝、勉強会をするために、与野党の国会議員の本県選出の皆様にお集まりをいただきましたけれども、やっぱり政策決定のスタイルが様変わりしているということを印象付けられました。与党の議員の皆様の中にも十分な情報が伝えられて来ないということへの不満を漏らされたり、当然その地方の公共投資とかやらなきゃいけないじゃないかと。
政府側はどうも、そういうことに対して理解が本当にあるのだろうかという懸念が与党の議員から示されたり、そういうようにだいぶ従来とは政治の仕組みが変わったことを感じました。
実際に回ってみて思いましたのは、昨日は県[議]会議長や市町村の関係者と一緒に回ったわけでありますけども、政治家同士で意見交換をする、協議をしていくということには、政府内の大臣とか副大臣、積極的に応じてくださるという感触は持ちました。
内閣府にお伺いをした時、津村[内閣府]政務官がおっしゃっていましたけども、これからもっとそういう政治ルートでの、地方と中央との対話というものに移行させていく必要があるとおっしゃってました。益々、こういうやり方が表面化と言いますか、中心になってくるのかなと思います。
今までですと、実は昨日もそうであります、別動隊で各部局長が、それぞれの担当部局の方に各省庁回ってお願い事をしているわけですね、要望活動をしているわけであります。そういう要望活動よりも、政と政とで、政治と政治とで、中央と地方が直接対話をして物事を決めていくと、その材料を作っていく。そういうふうに時代は動き出したなと、その心臓の音を感じた、心音を感じた感じがいたします。
このままですと、多分、年末の要望活動も様変わりということになるのではないかと思います。年末に大要望団が出て、各省庁を回るという恒例行事がありましたけれども、役所ベースをいくら回っても結論が出ないということになるんじゃないでしょうか。
ですから、我々も運動展開を考えなきゃいけないと思います。先の道路の問題のように、関係地域と一緒になって政策提言をするというような要望スタイルっていうのは、これから工夫されなきゃいけないと思います。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
その関係地域というか、仲間の地域と先ほどおっしゃっていますが、どこになるんでしょうか。
●知事
今、そこは相談をいろいろしているところでありますけども、当然ながら山陰の辺りとか、あるいは四国のまだ繋がっていない所とか、それから東北地方のまだ繋がっていない辺りとか、あるいは九州の方でも東九州の方とか、そういう所がございますので、今いろいろと意見集約をしようといたしております。
私は、共通点はあると思ってるんです。それは、今までずっと順番待ちをして、そこは取り残されたわけです。当然ながらBバイCだとか、費用対効果、建設の必要性から言えば高順位のものばかりが残っていると思います。
それから、都会地で第2次的な高速交通を造ろうというのと違いまして、費用も用地買収だとか、あまりかかりません。それから、例えばトンネルで山を抜くとか、そういうのが多い地域もあります。ですから、事業費が都会地とは随分違ったことになってるのが現状なんです。このことがあまり世の中に知られていないです。
そうした共通項目を拾っていけば、なるほど、こういうところは、限られた公共投資の予算の中で1つの有効なポートフォリオを組もうと思えば、優先すべき道路でしょうねと、こういうふうに言ってもらいたい。それを世間に訴えていくことは可能だと、私は思ってます。今、関係地域で、まずは寄り集まって意見交換、情報収集をしております。近々、我々の運動についての構想をまとめていきたいと思ってます。
ちょっと難しいのは、実は、全国知事会でも別途公共投資についての国との協議の場を作ろうとしておりまして、そういうところの動きをあまり邪魔してはいけないだろうと思いますので、その辺も配慮をさせていただきながら、ただ切実な地方の声を国に届けるのは地域の首長の役割だと、私は思いますので、賛同者を集めていこうかなと思っているところです。
○朝日新聞 井石栄司 記者
先ほど挙げられた地域の数でいくと、山形、島根、鳥取、高知、宮崎の5県ぐらいで終わるんでしょうか。それともそれより多い。
●知事
それ以外のところでも、いろんなパイプを通じて、平井側の構想に興味を示してくださる首長さんもおられます。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
4、5県より上回るような段階、今段階では、
●知事
これはいろいろですね。我々も敵を作るための運動をするのは得策でないと思うんです。ですから、私たちは地域の切実なこういう状況だということ、それは決して無駄遣いを迫るというものではなくて、リーズナブルな公共投資の執行方法としての提案、その辺を目指せればなと思ってます。
共鳴してくださるところでということになりますので、あまり数が多くなって多数決の原理みたいに、みんなでやれ、っていうことではないだろうと思います。今、調整しているところです。
○朝日新聞 井石栄司 記者
国への要望スタイルでいったら、従来は、旧5県知事会、今、4県知事会になってますけど、25日に宮城県知事選が終わるまで動けないのかもしれませんけども、終わったらまたそれはそれで、枠組みとしては活用されていくんですか。
●知事
私どもは、これは政策集団でありますので、5県知事会であったもの。昨日もそういう意味で古川[佐賀県]知事と、飯泉(いいずみ)[徳島県]知事と随分、相当調整をしまして、長浜[厚生労働]副大臣の方に持ち込んだわけです。
それは新型インフルエンザについて、センター試験を受験する子どもたちが受験の前に接種できるようにしてくれとか、弾力的運用を地方が現場で出来るようにしてくれと、こういうようなことを柱にして要望させていただきました。
こういう非常に緊急を要することで、単県で動くよりも、その方が相手に対して、説得力あると考えれば、共同でプラットホームを組んでいきたい、提言態勢を組んでいきたいと思います。これは今もやっておりますので、選挙中ではありますけれども、宮城[県]は、今後も続けていくと思います。
何れ宮城県知事選挙が決着したあと、これからどうしようかっていうのを話し合おうかと。本当はお互いに言ってたところでありますので、当然新政権のあり方と、我々の行動とはお互いに影響しあうことになると思います。
○読売新聞 高山千香 記者
ちょっと話が変わるんですが、新政権が学力テストを、抽出に切り替える方針を示しているんですけれども、抽出の効果をどういうふうに見ているのかということと、あと市町村の希望を取っての参加方式にしたいという方向性もあるようなんですが、そういった際には、市町村に参加を促していくようになるのかというのをお願いしたいんですけども。
●知事
この手の話はやっぱりどうしても、今、私はその地方自治として、教育委員会制度は改めるべきだと思っていますんで、あんまり本意ではないんですけども、教育委員会の方が主として決定権を持っていることでございますので、教育委員会で市町村の教育委員会と、良い方向に相談をしてもらいたいと思います。
ただ、抽出調査で果たしてどれ程効果があるかっていうことですね、この効果というのは、何のための効果というと、個々の子どもに対する指導が果して抽出効果で万全かどうかということだと思うんです。
ただ、そこで、もの凄いお金をかけて、国全体で50億[円]ですか、使ってやるのが正しいのかどうかというと、それは確かに疑問はあるとは思います。いろんな工夫をして、個々の生徒さんの、生徒・児童の指導に役立つようなやり方を、私は工夫できるのではないかと思いますので、文[部]科[学]省の方で、柔軟な対応をすべきだと思います。
地域には地域の実情がありますし、せっかく今、学力向上に向けてやろうとしている気運にも支障が出ないようにしていただきたいなと思っております。
○朝日新聞 井石栄司 記者
それは、去年の学テのときも議論、あるいは元々悉皆(しっかい)調査が全国的になかった時に、県は独自にやっていたというところから考えると、仮に抽出になった場合に、県教委の方で悉皆やりたいといった場合には、これ、知事としては予算を付けても良いということですか。
●知事
それは積極的に協議に応じたいと思います。ただ、効率性のこともありますので、例えば、文[部]科[学]省が作った問題をそのまま使わせてもらうとか、いろんなやり方、本当はあるんじゃないかと思います。そこらは、市町村の教育委員会も絡む、当然ながらお金の問題も含めて絡むところでありますから、これはちょっと話し合って結論出さないといけない部分だと思います。
○山陰放送 秦卓史 記者
新型インフルエンザのワクチンなんですけれども、接種が始まりました。医療機関によっては、オーダーした数が100%まだ届いてなくて、まだ始められない、あるいは数人だけでも始めた、接種をですね、対応がまちまちになっていると思うんですけれども、知事の認識として、順調に今接種が始まっているというご認識なんでしょうか。
●知事
これは、実は、私どもの方で、新しいプロジェクトチームを作って、そこで精力的に関係機関と調整しながらやってます。今、初動段階で、実は、想定をだいぶん上回る数の接種依頼が寄せられてしまったんです。
ただ、それは緊急性ということで考えますと、いろんなかたが入っていたという状況でございまして、それを整理していけば、今、最初に第1次のグループとして医療機関関係者がありますけども、医療機関関係者の数は確保できる見込みだと思います。想定していたところで、本来納まるものでありますので、それは、今、医療機関とやり取りをしております。
ですから、これは早晩解決できますので、調整されると思います。これから順次、その医療機関以後のグループ分も配布が国の方で始まります。我々としては弾力的に運用させてもらいたいと、国の方に、今、精力的な要請をしたとこでありますけども、我々もその対策を組んでいきたいと思います。
例えば、センター試験を受験するような子どもたちに、ある程度早いタイミングで接種できるようにするために、大きな枠の中で融通をするとか、必要になってくると思いますので、実際の接種状況を見ながら、そこは動かしていきたいと思ってます。今、何か7,000人やりたいとか、何か、報道もされてますけども、ちょっと膨らみ過ぎてますんで、内実は。それは自ずから調整されますので、ご安心いただけると思います。
○山陰放送 秦卓史 記者
要望された受験生への接種なんですけど、これは期限を切られた、期限とか盛り込まれたんでしょうか、要望の中に。
●知事
要望の中に、センター試験をあえて、3人の知事で話し合って盛り込まさせてもらいました。センター試験が当然期限ですから、その1週間前だとちょっと効果とか、いろんな別の作用の問題もありますので、もっと前の段階だと思いますが、ある程度前の段階で、そうしたセンター試験受験者には接種できる体制を、鳥取県としては整えたいと思っております。
これは、これから順次ステージが動いていきますので、その中で、そういう調整枠を作っていかないといけないと思います。必要な人に接種することを優先しながら、そういう柔軟な接種枠、センター試験接種枠を作っていこうということです。これは可能だと思いますけどね。
国の方は、昨日の段階で、今、高校3年生までしか打てないことになっています、それを広げるとは明言はされませんでしたけども、長浜[厚生労働]副大臣も、実は、私の方から、とっても現場で説明がしにくいと、高校3年生はいいけども、浪人して後がないと思ってる人や家族に対して、我々も現場で説明しにくいという話を申し上げました。
これから国の方でも、そういう余裕しろを地方が作って、接種していくことについて、少なくとも反対はしないのかなという感じは思ってます。いずれにせよ、これは国に要望したばかりでありますので、向こうの動きを見たいと思います。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
前原大臣との昨日の面談なんですが、大臣が、ご両親がこちら鳥取にルーツのあるかただということで、ちょっと地元色を折り込んだ話と申しましょうか、ちょっと引っかけたようなお話があったかと思うんですが、そのあたりの効果といったような言葉は変かもしれませんが、郷土色を出したことへの感触であったり、大臣の反応というのはいかがお感じになったでしょうか。
●知事
私は、実は非常にラッキーだなと思いましたのは、以前だいぶ親しくお話しをしたことを大臣の方で、向こうから切り出されまして、覚えていてくださったことに本当に感謝をしました。それで、氷が解けたような感じで始まりましたので良かったと思ってます。
大臣のお父様、お母様が鳥取県西部にルーツがございますので、そういうお話も交えながら、させていただきました。ただ、正直に申し上げて、ビジネスはビジネスでありますので、殿ダムの問題だとか、それから高速道路の問題だとか、あるいは羽田[空港]での国内線枠の問題だとか、こうした部分は、政策的な検討をされると思います。
たぶん前原[国土交通大臣]さんはそういうタイプのかただと思いますので、我々も、だからといってこれでよしということではなくて、きちんとした材料を、今後も提供していかなければならないなと話をしていて思いました。データを示すと非常に納得していただく部分もございましたので、効果的な運動方法を、これから展開していきたいと思います。
○山陰放送 秦卓史 記者
逆にそう考えると、大臣がゆかりがなかったら会えなかった可能性もあるということで、こういうふうなスタイル、政治がこういうスタイルになった時に、先ほど言われました、政と政との対話ですね、政治と政治の対話が、ある程度そのチャンスが担保されないと、すべての時点で、いけないというふうに思うんですけども、そういうふうな新たなルール作りが必要だというふうにお考えでしょうか。あるいは先ほど、今も動いているように、グループをどんどん作っていって、プレゼンテーションをした自治体が勝ち上がっていくといったら変ですけども、突っ込んだ政策を実現していけるという時代に入ったというご認識でしょうか。どちら。
●知事
私は、今おっしゃった通りだと思ってまして、政務三役と言われる方々に権限と責任が集中しちゃってるんですね。これはご本人たちも大変だと思いますし、パイプも細ってる、ある意味で細ってるわけです。
ですから、中国地方知事会にも私の方から提案させていただき、ご了承いただいたわけでありますが、例えば、知事の代表者で、そういう政策項目ごとに協議をする集団を作ってでも国との協議を、こうした時期にやっていくべきだと思います。それを早く立ち上げろと、昨日も鳥取県の要望としても申し上げました。
これは、[全国]知事会でもそういう動きをしてきておりまして、私も先般、麻生[福岡県]知事から依頼をいただきました。地方環境税だとか、暫定税率の問題ですね、地方税の問題の検討グループと、それから後期高齢者医療の検討グループ、また補助金を一括交付金にする検討グループ、3つに平井[知事]の方も加わってくれというお話をいただきました。
ちょっとグループの数が多くてというふうに麻生さんも何か遠慮しがちにおっしゃいましたけれども、何か知事会の方でやっぱり考えられた結果、そういうこうとで指名してくださったようであります。そうしたいろんな項目ごとに、例えば、[後期]高齢者医療について、これから精力的に、来年度が中心になると思いますが、協議をしていかなければならないと思うんです。
それをやらないと、こういう少人数で政策決定をする時に現場から離れてしまったり、大きな間違いを起こす危険性がどうしてもありますので、我々を政策決定のパートナーとして、国に活用してもらうということが絶対なければならないと思います。これは今後も粘り強く、国に訴えていきたいと思います。
おっしゃるようにアポイントが取れなければ終わりっていうことになっては元も子もありませんので、ちゃんとそのパイプがいつでも開かれている、そういう新たな仕組みを作ってもらわないといけないと思います。
○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者
これに関連してなんですけれども、先ほどの例えば役所回りではなかなか物事決まらない時代になったというふうにおっしゃったんですけど、知事の実感としては、新政権になって、要するに地方の声を国にどう反映させてもらうかということで、地方としてやりにくくなったと思うのか、それとも今後理想的な姿になっていくというふうに思われるのか、実感としてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
●知事
それは、今、重大な岐路にあるんではないかということだと思います。諸刃の刃になってまして、地域の言うことを聞こう、それから政治的に物事を決めていこう、だから官僚主導でやっていた前例踏襲を離れていく、これはおそらく、意思決定プロセスとして正しいと思います。そういうふうにしてもらわなきゃ本来いけなかったわけでありまして、押し進めてもらうと、地方にとっていいことになるだろうと思います。
ただ逆に、それと併せて、非常に政策項目が増えてきて、特にお金の張る政策項目で、子ども手当にしろ、あるいは高速道路の無料化にしろ、そういうことをあれもこれもやらなきゃいけないというような状態になっていて、片方で財源があるかというと税収は減ってきているという状態になってますから、これを何とかしようと思うと、じゃあどっかにしわ寄せをしようということになります。
地方自治体に全部権限もお金も合わせてやらせてみようではないか、その中で工夫させてみようというんだったら、我々は受けて立ちたいと思います、それが地域主権だと思うんですけども。
ただ残念ながら、中途半端に物事が進む危険も十分あるわけであります。そうしますと、財源はなくなるわ、仕事はやらされるわ、地方は空前の困窮事態に落ち込む可能性もないわけではありません。
その辺がこないだの子ども手当騒動もそうなんですけども、あれで例えば2兆円ほどのやつを1兆円以上でも地方に払えということになってしまいますと、これは交付税1兆円渡そうかと言っているのと帳消しになるぐらい大きなインパクトがあります。それぐらいのことは起こり得るわけでありまして、いわば諸刃の刃の上を私たちはそろそろと歩いているという感じかなと思います。
○NHK 松本裕樹 記者
拉致問題に関連してなんですけども、来週の国連大使との要望では具体的にはどういう。
●知事
国連大使に今、アポイントをいただけたということになりましたのは、10月27日にアポイントの目途がたちました。これは、私はいくつかの手法が複合的にいかなければいけないと思うんです。
対話と圧力という言葉がございます。片方で、今、中井[拉致問題担当]大臣が韓国ときちんとしたパイプをつくって、拉致問題に正面から当たっていこうじゃないかということがあります。あと、国連という場で、対話と圧力をかけていく。そういういろんな手法が絡み合わなければいけないと思います。
これから1つの大きなテーマは、いずれ6カ国協議とかになる、その6カ国協議になるような状況の時に、味方を増やして実現を求めるというのは1つありますし、あともう1つは、やはり国際舞台の中で処理をしていくということも必要であります。
国連で度重ねてこの北朝鮮の拉致問題は決議をしてきていただいてます。そちらの方での、国連でのロビー活動といいますか、しっかりとやっていただいて、国際協調の枠組の中で拉致問題の解決を目指してもらいたいと、それは鳥取県として意思表示はさせてもらおうと思っております。
○NHK 松本裕樹 記者
それは、県単独で。
●知事
これは県単独で、今、考えてますね。
○NHK 松本裕樹 記者(幹事社)
他にはございませんか。ありがとうございました。
●知事
はい。どうもありがとうございました。