内閣府は、平成21年12月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。
・輸出は、アジア向けを中心に、増加している。生産は、持ち直している。
・企業収益は、大幅な減少が続いているが、そのテンポは緩やかになっている。設備投資は、下げ止まりつつあるものの、このところ弱い動きもみられる。
・企業の業況判断は、依然として厳しい状況にあるものの、全体として持ち直しの動きが続いている。ただし、中小企業では先行きに慎重な見方となっている。
・雇用情勢は、依然として厳しい。
・個人消費は、持ち直しの動きが続いている。
・物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
先行きについては、当面、厳しい雇用情勢が続くとみられるものの、海外経済の改善や緊急経済対策の効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される。一方、雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ懸念、デフレや金融資本市場の変動の影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。
政府は、家計の支援により、個人消費を拡大するとともに、新たな分野で産業と雇用を生み出し、日本経済を自律的な回復軌道に乗せ、内需を中心とした安定的な経済成長を実現するよう政策運営を行う。このため、「緊急雇用対策」を推進することとし、また、現下の経済・雇用情勢への「緊急対応」、「成長戦略への布石」の2つの視点に基づき、「雇用」、「環境」、「景気」を主な柱とする「明日の安心と成長のための緊急経済対策」を12月8日、閣議決定した。
政府は、日本銀行と一体となって、強力かつ総合的な取組を行い、デフレの克服、景気回復を確実なものとしていくよう、政策努力を重ねていく。日本銀行に対しては、こうした政府の取組と整合的なものとなるよう、適切かつ機動的な金融政策運営によって経済を下支えするよう期待する。日本銀行は、12月1日、新しい資金供給手段を導入することを決定した。
(各論)
○消費・投資などの需要動向
個人消費は、経済政策の効果もあって、持ち直しの動きが続いている。消費者マインドは、おおむね横ばいとなっている。実質雇用者所得は緩やかな減少傾向にある。設備投資は、下げ止まりつつあるものの、このところ弱い動きもみられる。住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。公共投資は、堅調に推移している。輸出は、アジア向けを中心に、増加している。輸入は、持ち直している。貿易・サービス収支の黒字は、増加している。
○企業活動と雇用情勢
鉱工業生産は、持ち直している。先行きについては、輸出の増加傾向などから、当面、持ち直しが続くことが期待される。企業収益は、大幅な減少が続いているが、そのテンポは緩やかになっている。また、企業の業況判断は、依然として厳しい状況にあるものの、全体として持ち直しの動きが続いている。ただし、中小企業では先行きに慎重な見方となっている。倒産件数は、緩やかに減少している。雇用情勢は、依然として厳しい。
○物価と金融情勢
国内企業物価は、横ばいとなっている。消費者物価は、緩やかな下落が続いている。株価(日経平均株価)は、9,400円台から9,000円台まで下落した後、10,100円台まで上昇している。対ドル円レートは、88円台から86円台まで円高方向で推移した後、89円台まで円安方向で推移している。
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需要面の個人消費では、大型小売店販売額(10月)が、全店舗計では前年を上回ったが、店舗調整後(新規店舗を除く)では前年を下回った。ホームセンター・家電量販店販売額(10月)、乗用車新車新規登録台数(11月)は前年を上回った。
建設等では、公共工事請負金額(11月)、新設住宅着工戸数(11月)は前年を上回ったが、用途別着工建築物工事金額(11月)は前年を下回った。
産業面では、鉱工業生産指数(10月、季節調整済)が98.7で前月比1.1%低下した。なお、大口需要電力実績(10月)は、鉱工業用主要4区分のうち、パルプ・紙で前年を上回った。
雇用面では、新規求人倍率(11月)は、0.86倍(前月差0.07ポイント低下、前年同月差0.05ポイント低下)であった。有効求人倍率(11月)は、0.49倍(前月差0.02ポイント低下、前年同月差0.10ポイント低下)と0.5倍を下回っている。
きまって支給する給与(10月)、所定外労働時間(10月)とも前年を下回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(10月)は、全店舗計では52億4,700万円となり、前年同月比10.4%増と4か月続いて前年を上回り、店舗調整後では前年同月比2.6%減(全国は前年同月比7.2%減)と19か月続いて前年を下回った。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が16億6、000万円(前年同月比10.7%減)、スーパーが35億8,700万円(前年同月比23.9%増)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(10月)は31億8,600万円(前年同月比3.9%増)と2か月続けて前年を上回った。内訳ではホームセンターが18億9、600万円(前年同月比1.3%増)、家電量販店販売額が12億9,000万円(前年同月比8.1%増)であった。
乗用車新車新規登録台数(11月)は1,868台(前年同月比21.4%増)と6か月続いて前年を上回った。内訳では、普通車、小型車の区分が6か月続いて前年を上回ったが、軽自動車は前年を下回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(11月)は169戸(前年同月比28.0%増)と2か月続けて前年を上回った。内訳では、持家系(前年同月比16.7%増)、貸家系(前年同月比47.9%増)ともに前年を上回った。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(11月)は4億7,700万円(前年同月比69.2%減)と5か月続いて前年を下回った。用途別では、医療,福祉(前年同月比68.8%減)等で前年を下回り、卸売業,小売業(前年同月比皆増)、情報通信業(前年同月比皆増)で前年を上回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(11月)は52億2,100万円(前年同月比36.6%増)と4か月続いて前年を上回った。発注者別内訳では、国(前年同月比55.8%増)、市町村(前年同月比104.4%増)等で前年を上回り、県(前年同月比16.6%減)等で前年を下回った。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(10月)は生産指数(季節調整済)が98.7となり前月比は1.1%低下、原指数は108.1となり前年同月比では3.5%上昇した。
内訳を前月比で見ると、食料品・たばこが4.8%の低下となり2か月続いて低下、電子部品・デバイスが0.1%の上昇となり7か月連続の上昇、電気機械が5.6%の低下となり2か月続いて低下、一般機械が3.1%の低下となり2か月ぶりの低下となった。
在庫指数(季節調整済)は101.8と前月比5.5%上昇した。
【電力】
大口需要電力実績(10月)は135,873千kWh(前年同月比1.2%減)と15か月続いて前年を下回った。鉱工業用の大口需要電力は主要4区分のうち、パルプ・紙(前年同月比8.1%増)が14か月ぶりに前年を上回った。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(11月)は野菜が1,469t(前年同月比11.5%増)と3か月続いて前年を上回り、果実は1,019t(前年同月比7.9%減)と3か月続いて前年を下回った。
鳥取市場の鳥取県産青果物卸売量(11月)は野菜が742tで市場全体に占める割合は50.5%(前年同月差1.2ポイント上昇)、果実は345tで市場全体に占める割合は33.9%(前年同月差0.8ポイント低下)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(11月)は13,361t(前年同月比17.8%増)と6か月続いて前年を上回った。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(11月)は0.86倍(前月差0.07ポイント低下、前年同月差0.05ポイント低下)であった。なお、新規求人数(11月)は3,136人で(前年同月比1.5%減)と26か月続いて前年を下回った。
有効求人倍率(11月)は0.49倍(前月差0.02ポイント低下、前年同月差0.10ポイント低下)となっており、0.5倍を下回った。
【賃金】
現金給与総額(10月)は241,757円(前年同月比1.9%減)と10か月続いて前年を下回った。そのうち、きまって支給する給与(10月)は、241,417円(前年同月比1.9%減)で17か月続いて前年を下回った。
【労働時間】
所定外労働時間(10月)は7.9時間(前年同月比16.5%減)と15か月続いて前年を下回った。主力の製造業は18.3%減となった。〔産業別の前年同月比では、電気ガス水道業(前年同月比28.0%増)等で前年を上回り、飲食店,宿泊業(前年同月比39.0%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(10月末)は1兆9,295億円(前年同月比4.9%増)と10か月続いて前年を上回り、貸出金残高(10月末)は1兆1,296億円(前年同月比0.9%増)と6か月続いて前年を上回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(10月)は先行指数が8月87.5、9月75.0、10月75.0、一致指数が8月100.0、9月62.5、10月75.0、遅行指数8月40.0、9月20.0、10月40.0となった。
・ 企業倒産(11月)は件数が3件で前年に比べて5件減少(前年同月比62.5%減)し、負債総額は37億8,900万円で前年に比べて5億2,400万円増加(前年同月比16.0%増))した。
・ 消費者物価指数(11月:鳥取市、総合、平成17年=100)は99.5(前月と同水準、前年同月比1.9%低下)となった。
・ 鳥取県の推計人口(12月1日現在)591,025人で、前月と比べて131人(0.02%)減少し、前年同月と比べて3,636人(0.61%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成21年11月調査でみると、平成21年10~12月期は、平成21年7~9月期に比べると、景気、売上高及び経常利益のいずれもがやや好調となっている。また、平成22年1~3月期は、平成21年10~12月期に比べると、景気、売上高及び経常利益のいずれもがきわめて不調となる見通しとなっている。