防災・危機管理情報


平成22年2月定例県議会付議案に対する知事提案理由説明要旨

 

 これより本定例県議会に提案いたしました諸議案につきまして、その概要を御説明いたします。

 今議会に提案いたしました議案は、
  予算関係    32 件
  条例関係    28 件
  その他の案件  17 件  の合計77件であります。

 最初に、議案第1号 平成22年度鳥取県一般会計予算についてであります。
 
 今日、リーマンショック以来の経済・雇用の厳しい状況は続き、閉塞感が我が国を覆う一方、政府は「地域主権革命」を掲げ地方が主役の国づくりを進めようとしています。私たちは、経済・雇用のセーフティネットを強化し、「産業構造の変革」を図り、「暮らし安心」、「輝く人財」の地域づくりを断行しなければなりません。このため、国から地方への権限移譲にとどまらず、県民のみなさま、企業、NPO、地域組織、学術研究機関などが主役となり行政と協働して地域を創り上げていく「真の地域主権」を、ふるさと鳥取県から進めていかなければなりません。
 本県財政は、公債費負担が大幅に増加する一方で税収は昨年度に引き続き大幅減となるなど、依然として厳しい状況にあります。しかしながら、財政的な制約がある中でも、時代が大きく変化しつつある今こそ、地域の資源、人財の持つ可能性を見据え、中長期的な視点での大胆な政策展開をとるとともに、きめ細かな経済・雇用・生活への配慮が求められていると考えます。
 知事に就任して3年が過ぎようとしております。この間、マニフェストに盛り込んだ多くの施策を進め、「子育て応援パスポート」の創設、「食のみやこ鳥取プラザ」の開設、鳥取自動車道等の整備、環日本海定期航路の実現など一定の成果をあげつつあります。しかしその一方で、世界的な経済不況の影響などもあり、本県雇用情勢は、有効求人倍率が0.5を下回るなど、依然厳しい状況にあります。このため当初予算に加えて臨時議会でご議決いただいた1月補正予算、今回提出した2月補正予算案とあわせた15ヶ月予算により、国財源を有効に活用しながら総事業規模約720億円、約4,100名の雇用を創出する緊急雇用経済対策を実施し、可能な限りの対策を講じることといたしました。
 今春には念願の鳥取自動車道が鳥取インターチェンジまで開通し、新年度には山陰道東伯・中山間の開通も期待されます。米子空港の滑走路延長や環日本海航路など北東アジアへの玄関口として飛躍を遂げつつあります。こうしたチャンスや地域主権の流れを礎として、残任期の1年全力をあげて「活力 あんしん 鳥取県」実現に取り組んでまいります。
 予算編成に当たっては、最少の経費で最大の効果を上げるよう、本県独自に行った「事業棚卸し」の結果も踏まえ事業全般にわたって内容を精査し、県庁組織のスリム化を図りました。そして、交付税等の財源確保や財政健全化を断行した結果、今回の予算編成で「財政運営の誘導目標」達成の見通しをつけることができたと考えております。
 
 それでは、平成22年度予算案の概要について御説明申し上げます。

 はじめに「新時代への扉をひらく」についてであります。
 閉塞感が続く経済・雇用状況打開に向けてとりまとめた「鳥取県経済成長戦略」に基づき、県内の産業構造の改革、高度化を戦略的に展開することといたしました。
 例えば、企業連携によるLEDを利用した製品開発、バイオフロンティア関連の施設整備、農商工連携ビジネスモデル創出などの各種産業振興に戦略的に取り組むこととし、鳥取自動車道開通等をとらえた「物流革命」を目指し、効率的な物流システムの構築に取り組む事業者を支援するとともに、さらに、企業立地事業補助金の補助限度額を最高40億円まで大幅に引き上げ、本県産業を牽引する投資促進を図ることとしました。
 公共事業については、国は対前年比18%の削減ということとなりましたが、本県としては、厳しい財政状況ではありますが、単独事業を1月補正前倒し分を含め対前年比24%増とし、県内経済への影響を極力緩和し、県民に身近な基盤整備を実施することとしたところであります。
 観光振興につきましては、鳥取自動車道開通の好機を捉え、県外での観光情報発信を大幅に拡充するとともに、NHK「ゲゲゲの女房」放映にあわせ「ゲゲゲのふるさと鳥取」をテーマとしたキャンペーンを展開することとしております。また、国内旅行誌と連携したラリーイベント、県内温泉地の新しい魅力創出支援などの緊急対策を行うとともに、山陰海岸の世界ジオパークネットワーク加盟に向け、外国人対応ガイド配置、ジオツアー実施などを積極的に進めてまいります。
 「食のみやこ鳥取県」にふさわしい農林水産業の展開につきましては、農業者の創意工夫を活かした「チャレンジプラン支援事業」を拡充し販売額1,000万円以上を目指す挑戦を支援するとともに、新規就農者につきましては「就農応援交付金」の創設や研修充実など、農林水産業を支える人材確保を他県に先駆けて展開することとしました。また、食のみやこの拠点となる県産農畜産物等直販施設整備を支援するほか、育てやすく発育が良い鳥取独自の系統牛の保存・活用などの和牛王国再生の推進、「鳥取地どり」のブランド確立振興策を実施します。更に、低コスト林業に取り組む事業体の機械化支援拡充など林業経営の安定化を図るとともに、「全国豊かな海づくり大会」プレイベントの実施や潮流観測体制整備など水産業の発展を図ってまいります。
 
 次に「力をつなげ、魅力あふれる地域を創る」についてであります。
 鳥取県を活力と魅力あふれる地域とするため、住民が互いに結びつき合い地域おこしを牽引する「鳥取力」の高揚を図るため、「鳥取力創造運動推進基金」の運用益により意欲ある活動を支援するほか、実践団体の登録や交流、活動表彰を行い、併せて、鳥取方式の芝生化、河川・道路ボランティアなど鳥取らしい活動支援も充実してまいります。
 県内外をつなぐ交通基盤整備が急務であり、山陰道、北条湯原道路、鳥取豊岡宮津自動車道、江府三次道路などの高速道路整備を積極的に進めるとともに、「北東アジアゲートウェイ構想」を見据え鳥取空港、米子空港、境港等を介した「空の道」「海の道」の利用促進を図るほか、上海万博へ出展し、マンガ王国や、観光地紹介、商談会開催など、文化・観光・産業等の情報発信を行うことといたします。
 また、商業者グループによる「まちなか」にぎわい向上活動を支援するほか、地域景観上重要な建造物の修理助成制度の創設、鳥取県の住文化「鏝(こて)絵(え)」・「なまこ壁」をテーマにしたシンポジウム開催など、景観保護・活用を展開します。

 次に「自然の豊かな恵みと生活を守る」についてであります。
 豊かな自然を守り持続可能な生活や社会の実現に向け、地球温暖化防止活動推進センターを設立して、温暖化対策を県民運動として展開するとともに、県とレンタカー事業者が電気自動車のカーシェアリングを実施し率先導入と県民・観光客への普及を同時に進め、充電設備導入支援を行うEVタウン推進策を講じることとしました。
 普及が進む住宅用太陽光発電につきましては、助成制度を拡充するほか、LED照明の県庁率先導入、LED製品開発支援など環境関連産業の活性化を進めます。
 また、木質バイオマス発電の事業化調査支援、賀祥ダム放流水での小水力発電など未利用エネルギーの活用を図り、オフセット・クレジット取得経費を支援しカーボンオフセットによる資金で新たな間伐を促進するほか、ラムサール条約湿地登録5周年を記念し、島根県等と連携し中海・宍道湖の生物多様性展示やシンポジウム開催などを行うこととしております。
 また、甚大な被害を及ぼした鳥取県西部地震から10年目にあたることから、9月・10月を防災強化月間とし、震災についてのフォーラムや防災フェスタを開催し、教訓を今に活かしてまいります。
 
 次に「楽しみながら充実した生活を送る」についてであります。
 県民の皆様が優れた文化芸術に親しめるアーティストリゾートを進めるため、日本・中国・韓国の3カ国による「BeSeTo演劇祭」を鳥取県に招聘するとともに、地域活性化や観光に資する劇場の創造活動支援、アーティストの県内滞在、現地制作支援などを展開することとしました。
 昨年の「日本のまつり・2009」の成功を引継ぎ、市町村と協働で地域伝統芸能の祭典を実施するとともに、平城遷都1300年祭に参加し万葉集にちなんだ展示など鳥取を“万葉有終の郷”としてPRしてまいります。
 本県の競技力向上を図るため、ジュニア期一貫指導体制推進など体制強化を図るほか、陸上と相撲の全国中学校体育大会を本県で開催することとしました。
 また、生活環境の良い鳥取県を活かして、移住定住サポートセンターによる支援に加え、県内暮らし体験ツアー支援など、市町村や地域の皆様とともにIJUターン促進を図ります。
 
 次に「互いに認め、支え合う」についてであります。
 障がいのある方を手助けする鳥取発の「あいサポーター」の輪を広げることはもとより、障害福祉サービス事業所の運転設備資金を無利子融資する制度を全国に先駆けて創設するとともに、障がい者が農業を体験し作業を行う農福連携事業を導入することとしております。また、刑務所を出所した障がい者等を福祉サービスにつなげる地域生活定着支援センターの設置や、薬物依存症社会復帰施設の助成を行うことといたしました。
 さらに、認知症の方を地域で見守る「認知症サポーター」の養成や介護人材の処遇改善のため、介護サービス事業所に交付金を交付することとしました。
 社会全体で「健康づくり文化」を創造していく一環として、「ウォーキング立県とっとり」を全県的に推進するとともに、休日がん検診の充実、がん検診キット送付など、がん対策の充実を図ることとしました。
 また、脳卒中などにおいて、医療機関が連携する「クリティカルパス」構築を支援するとともに、兵庫県、京都府とのドクターヘリ共同運航や消防防災ヘリコプターへの医療チーム搭乗により、救急救命機能の飛躍的向上を図ります。
 医療スタッフ不足に対しては、鳥取大学と連携して地域医療を志す医師を育成する講座を設けることとし、倉吉総合看護専門学校10名定員増に向け増改築を行うこととしております。
 
 次に「次代に向けて、ひとを育む」についてであります。
 安心して子育てできる鳥取県を目指し、「子育て王国とっとり建国運動」をスタートすることとし、認定こども園に対する施設整備助成制度及び運営費助成制度を創設し幼保一元化を先導的に進めるほか、私立保育所の乳児受入体制充実、私立幼稚園の耐震診断助成新設、一時預かりサービスなどを体験していただく「とっとり子育て応援券」の充実などを展開してまいります。
 また、民間団体と協力して縁結びパーティーによる出会いの場を提供するほか、高校生に子育てへの関心を高めていただく助産師出前教室を実施するなど、少子化対策を推進します。
 「人財」の育成に関しては、30人学級を継続するための定数増や職員待遇改善を図るとともに、「とっとり人財育成プロジェクト」も1億2千万円から1.3倍に増枠することといたしました。
 学校・家庭・地域が協力して学習習慣の定着を図るモデル的取組を支援するとともに、県立高校の他校生徒や教員を巻き込んだ学力向上事業を行うほか、エキスパート教員の認定増を図ります。
 全国学力・学習状況調査が抽出方式に変更されますが、全県的な学力向上を進めるため、抽出対象外希望校にも県で支援を行うこととしました。
 中高一貫校につきましては、鳥取大学での設置が難しくなったことから、次代を担う人材育成のため県立での設置に向け具体的な調査検討を始めるとともに、障がいのある子どもの自立を支えるため、県立高等特別支援学校の開校に向けて調査に着手することとしました。
 
 以上のほか、「県庁次世代改革」を推進するため、コンプライアンス徹底など県民の視点にたって仕事を進める「庁風改革」を推進することとし、外部有識者を交えた「鳥取県版事業仕分け」や、税徴収などの市町村との共同化を行う経費等を加え、平成22年度当初予算案の総額は3,344億7,600万円、平成21年度当初予算に比べ1.3%減となりました。
 
 続きまして、議案第21号 平成21年度鳥取県一般会計補正予算につきまして御説明いたします。
 
 この度の補正予算では、JR西日本が行う鳥取駅バリアフリー化事業の支援に要する経費、将来の起債償還に備えるための基金積立金などを計上する一方で、現時点で確定できる不用額を精査することなどにより、113億円を減額することとし、補正後の平成21年度予算総額は、3,969億円となるものであります。
 
 次に、予算関係以外の主な議案につきまして御説明いたします。
 
 議案第33号 県の事務からの暴力団排除等のための関係条例の整備に関する条例の設定につきましては、暴力団による公の施設の利用を制限できるようにする等の改正を行うものであります。
  
 議案第34号 鳥取県立むきばんだ史跡公園の設置及び管理に関する条例の設定につきましては、誇るべき妻木晩田の歴史遺産を次代に引き継ぐとともに、その魅力を県内外に発信するため、ガイダンス施設を設置し、むきばんだ史跡公園として広く利用に供することとするものであります。
 
 議案第38号 鳥取県知事等の給与及び旅費等に関する条例の一部改正につきましては、選挙管理委員会委員等一部の特別職の職員報酬を月額から日額に改めるなどの改正を行おうとするものであります。
 
 議案第39号 鳥取県職員定数条例の一部改正につきましては、職員定数の見直しを行うこととし、これにより、マニフェストに掲げた職員定数の5%以上削減への道筋をつけるものであります。
 
 議案第44号 鳥取県知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部改正につきましては、パスポートの発給事務などについて市町村に移譲しようとするものであり、議案第45号 鳥取県福祉事務所設置条例の一部改正につきましては、日吉津村、日南町及び江府町が福祉事務所を設置することに伴い、県福祉事務所所管区域から除外するものであります。
 
 議案第54号 鳥取県県立高等学校授業料等徴収条例の一部改正につきましては、県立高校の授業料を原則として不徴収とする改正を行おうとするものであります。
 
 議案第71号 県営土地改良事業等の施行に伴う市町村負担金についての議決の一部変更及び議案第72号 土木その他の建設事業の施行に伴う市町村負担金について改正する議決の一部改正につきましては、県営公共事業に係る市町村負担金の事務費負担を廃止しようとするものであります。
 
 議案第75号 鳥取県税条例の一部改正につきましては、地方税法等の改正に伴い、軽油引取税、自動車取得税について原油高騰時の特例税率を設けるなど、所要の改正を行おうとするものであります。
 
 以上、今回提案いたしました付議案につきまして、その概要を御説明いたしました。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 
  

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