防災・危機管理情報


知事定例記者会見(2012年4月19日)

平成24年4月19日(木)午前10時~
 県政記者室(県庁3階)

録画配信 知事記者会見動画(約71分) ※MPEG4形式

  

1 原発安全対策と島根原発等の視察 

●知事

 皆さまおはようございます。原子力発電所につきまして、その防災対策を進める必要があります。これにつきましては昨日私自身、大山町の方でモニタリングポスト〔放射能自動観測装置〕の視察をさせていただきました。今、まあまあ順調に県内のモニタリングポストの設置が進捗しつつあります。国の方からの交付金なりを取ってきてやるということでございました。昨日、実際に現場を見ましたけれども、もうすでにモニタリングポスト自体は設置をされていますが、それがデータベースにつながらないと実際の活用には効果が減殺されるものではありますから、そこはこれから来月中ぐらいに接続をするということであります。これによりまして県内のモニタリングポストが順次起動し始めるということになります。

 先般、国の方にこの関係では要請活動もしておりまして、その返答が返ってきておりますが、従来国の方では、例えば米子、境港に設置する交付金によるものと、それからあと昨日見た大山によるもの〔モニタリングポスト〕など、幾つか系統があるんですが、こういうものを接続をしながら鳥取県の方で一括してデータとして活用すると、そういうデータの接続をすることについて了承が取れました。従いまして、そういう接続をする方向でより使いやすいモニタリングポストにしていきたいというふうに思います。この情報につきましては、例えば米子市だとか境港市、また、昨日の大山町もそうでありますけども、そういう関係先なども県の方で1つにまとめ上げた、そういうデータを見られるようにしていきたいと思います。これは、願わくば隣の島根県とも接続をしながらデータベースとして皆で情報を瞬時に共有できる体制をつくる必要があると思います。

 こうした両県の共働をしながら原子力安全対策を進めていくということにはなりますけれども、鳥取県として住民の皆さまが原子力安全に対する関心が非常に深いということでございます。私自身も東日本大震災の発災、そして福島〔第一〕原子力発電所事故の状況を見るにつけまして、全国で最初に中国電力との安全協定を締結するなど、我々としてやはりできることはスピーディにしていかなきゃならないだろうと、こういう考え方でおります。今世上、〔福井県〕大飯原発が議論をされるようになってきました。これは先週の記者会見のときなど、これまでも随時いろんなやり取りを記者の皆さんともさせていただいておりますけれども、基本的なスタンスとしては、先般福島県に滋賀県知事が行かれまして、京都府知事と共同で出した国への提言書の説明をされたということでございますが、私も京都や滋賀の知事と、文面拝見させていただきましたけれども、基本的な考え方としては賛同するものであります。やはり透明性のある分析をしたり、それから中立的な検討をしたり、また、何よりも安全を第一義に考えていくと。将来的な原子力安全のこともございますけども、原子力発電所のあり方も含めてどういうふうに再生可能エネルギーなどでこの国のエネルギー政策を再構築していくか、その工程表のような今後の推移というものがやはり重要ではないかと考えております。

 そういう意味で、今の大飯原発の今後の動き、検討に注視をさせていただきたいと考えております。ひるがえって、私ども鳥取県としては島根原発が隣接地域としてございます。この島根原発の実情を、やはり私自身、それから防災の任に当たる職員と一緒に実地に見聞する必要があるだろうと考えております。そうしたことから中国電力さんやそれから島根県さんと調整をしてまいりましたけれども、この週末〔4月〕21日土曜日に〔午後〕1時15分から約3時間かけまして原子力発電所、それから島根県の原子力環境センター、さらにオフサイトセンター、この3つのサイトを相次いで訪問をさせていただき、いろいろと実情を見ていきたいというふうに考えております。今段階では大飯原発とは違いまして、島根原発についてすぐに再稼働をするなど動きが急ピッチで進んでいるわけではございませんけれども、今の段階からしっかりとした状況認識をさせていただく必要があると考えておりまして、関係者の協力も得て視察をさせていただくということにいたしております。

 具体的には島根原子力発電所にまず行きまして、それから島根県の原子力環境センター、これはそうしたデータなどが集積をされてくる、また分析をするところでございます。鳥取県では衛生環境研究所がございますけれども、ここなど鳥取県全体での機能アップを図らなければなりませんが、そういう意味で島根県の状況も拝見をさせていただこうということであります。また、オフサイトセンターは、いざことが起こったときに、その中心的役割を果たすサイトでございまして、そこの成り立ちや状況につきましても私どもとして共通認識を持つ必要があると考えております。これらに先立ちまして原子力発電所を見させていただきまして、ここでだいたい2時間ぐらい見ることになろうかと思いますけども、それが中心でございますので、原子力発電所を実地に見させていただきたいと考えております。

 中国電力側からは、中国電力としての説明の機会もほしいということでございまして、中国電力側の説明も拝聴させていただくとともに、実地に現場の状況も見させていただきたいと考えております。これから慎重に政府としては地域の安全を第一義として検討していただきたいと思います。また、具体的な動きは見えませんが、周辺地域の意見というものもしっかりと踏まえた慎重な判断が必要であろうと考えております。いずれにいたしましても、我々は我々として、今から準備作業に入っていくという気構えで視察をさせていただくことにしております。



2 北朝鮮「ミサイル」発射への対応 

●知事

 また、北朝鮮のミサイルが先週13日、発射をされたわけでございます。北朝鮮は人工衛星というふうに言っておりますが、この飛翔体が発射をされたわけであります。実は我々も正直、その朝は若干ばたばたしました。その混乱の原因は政府の方の発表の仕方にあったと思います。〔午前〕8時を回ってから政府の方からは「一部の報道でミサイルが発射されたという報道があるが、政府としては確認していない」というメッセージがEm-Net〔緊急情報ネットワークシステム〕で流れたわけでございまして、これが現場での混乱を呼んだという結果になりました。残念なことだと思います。そういう意味で、このことにつきまして国に対してやっぱり申し入れをしなきゃいけないだろうというふうに考えています。

 国としてこういう、特に緊急で迅速性を要する情報ですね、この情報伝達をいち早くやってもらう必要があるだろうということであります。今回の、我々後追いでいろいろ調べていますと、国としては最初にSEWと言われます早期警戒情報の中で、実際には情報を取っているわけです。これはアメリカのデータに基づきまして情報を取っている。そして、PAC3の発射の体制を整えるなど迎撃態勢をすぐに整える体制に入っているわけですね。従いまして、政府と言うか、現場の自衛官たちは動き始めていたわけです。ただ、問題は政府の中枢部分のところでしっかりとした情報精査が速やかになされなかった。そして、もし万が一、本当に発射されていたらと思うと背筋がぞっとするわけでありますが、現場を預かる地方〔公共〕団体の方に何らの連絡がないまま20分余りが経過をしたということでございます。

 もし発射されていたならすでに着弾なり、上空通過なりの結果が出ていた時間帯でございまして、この間何の連絡もなかったということは今後の反省材料ではないかと思えるわけであります。従いまして、ぜひ速やかに情報を出す、そういう体制を整えてもらいたいと思います。また、国として今回の反省を踏まえて地方側とやはり情報交換もしていただいて、地方の意見も聞いて今後のやり方を考えてもらう必要があるだろうというふうに考えております。こうしたことなど、国の方に我々としても要請をする必要があるだろうと判断をいたしております。

 併せて鳥取県として、実は、その朝も若干混乱をしたんですが、それを踏まえて改善できることはないだろうかと、部局と話し合いを今日までしてまいりました。結論から申し上げれば、例えば、日本政府高官がこういうような発言があったとか、あるいは外国政府でこういう発表があったと。それをかなり信頼性の高い公的な報道機関が報道しているというような場合であれば、それを短い短文を用意しておきまして、「何時何分、何々が発射され、何々が起こったという報道がありました(何々通信)」と、そんなような簡単なメッセージをやっぱり用意をして、今回でありますと、実際、テレビなど早かったわけでありますけども、報道がなされた段階で、それは報道があるという事実を住民の皆さまにも知っていただくと、そういうようなかたちで備える気持ちを持っていただくというやり方も必要ではないかなと思います。

 実は、あの朝もそれを我々やりかけました。最初に私のところにも連絡がきまして、今、民放でこういう報道がなされたと。そういう一報がありまして、それで、その後の様子を見ているんですが、国から何ら連絡が来ないと。それで、私も対策本部の方に連絡をしまして、もう報道ベースで流そうやと、早速、案文用意をして流そうということをやり始めたんです。そうこうしている間に田中〔直紀〕防衛大臣の会見があり、それから、さらに、Em-Netでその田中防衛大臣の発表を伝える、そういうものが流れてきまして、結局、Em-Netの後に県としても情報を流すということになったんですけども、実は本県でもそういう対応をちょっとあまりにも時間が開くのでやりかけたという経緯がございます。

 ただ、反省を申し上げれば、やりかけはしたんですけども、想定していないことだったものですから、案文作りだとか、そういうことにどうしても時間がかかってしまった。また、反省点として申し上げれば、人工衛星ないしミサイルが発射されたということ、発射されてそれが上空を飛んでいっていると、いわば発射が想定どおり行われたことを想定した準備はしておりましたけども、それが失敗したときの準備はしていなかったというのが正直なところでございまして、その辺はいろんな場合を想定して、やはり案文を用意をして、我々としても瞬時に情報が流せる態勢を取ろうではないかと考えております。

 また、例えば平井〔知事〕と〔対策〕本部が相談をするとか、危機管理局長と現場でいろんな議論をするだとか、担当者同士で話し合うだとか、そういうのも時間の無駄でありますので、こういう場合には情報を出すんだというルールをこの際定律してしまいまして、現場判断で情報が流れるようにしたいと考えております。先程申しましたように、一例を申し上げれば、政府高官の誰々がこういう発言をしたという報道があったとか、あるいは外国の政府がこういう事態を公表したとか、そういうことがあって、特に切迫性を持ち、瞬時に県民にお伝えする必要がある情報というものであれば、その報道ベースにして県の防災関係の広報手段に掲示をさせていただくと、提供させていただくと、そういうことで我々の方の体制整備も併せて図っていこうというふうに考えております。



3 鳥取県版業務継続計画策定推進会議 

●知事

 また、大きな災害などに備えた危機管理として、BCP〔事業継続計画〕と言われるものを作成していく必要があります。来週の24日に、このBCPについての検討会議を行うことにいたしております。そこで、鳥取型のBCPでありますが、県だけでなくて市町村も巻き込んで、さらに医療現場だとか、福祉だとか、企業だとか、皆巻き込んだトータルでの、オール鳥取でのBCPを考えようという作業を前に進めたいと思います。ただ、その皮切りとして、県としてのたたき台のBCPの素案を我々としても出していって、それをまた、たたき台をいろんなかたの議論も伺ってバージョンアップさせていく。また、そのたたき台を見ていただいて、市町村だとか、あるいは企業さん、病院だとか参考にしてもらう。そうやって、県全体でのBCPを前に進めるということを来週24日にやろうと考えております。

 この県庁のBCPでありますが、特に緊急非常事態でも緊急に動かしていかなければならない仕事というものを、今、洗い出しました。まず、鳥取県庁の中で、本庁ベースの仕事から今回モデル的に検証させていただきまして、約300の緊急時にもやらなければならない事務というものを洗い出しました。これを例えば何時間以内に、こういう態勢を整えるとか、何日以内にこういう態勢を整えるだとか、そうしたタイムラインを設定をしまして、時限を設定しまして、その目標時限に向けて我々として努力をして、県民の皆さまに対する、特に命に関わること、財産に関わることなど、緊急性の高いものを優先してやっていくと。そちらに人的資源だとか、場所の資源だとかをある程度振り向けまして、最初にそれを重点的にやりながら、だんだんと平常業務を増やしていくというやり方を話し合いたいと考えております。来週の4月24日に改めて議論をして、我々として県庁のBCP、こういう考え方でやろうというたたき台を出したいと考えております。



4 環境イニシアチブの推進 

●知事

 環境イニシアチブを進めていかなければいけません。これについては、先般基本的な〔考え〕かたをとりまとめたところでございます。こういう流れの中で、民間の皆さまと精力的な協議会を重ねた結果、東部地区でノー・レジ袋、レジ袋有料化のコンセンサス〔合意形成〕が取れました。来週の〔4月〕25日ですかね、に調印式をしようと。24日ですね、24日だったと思いますが、調印式をしようということにいたしております。このノー・レジ袋、レジ袋有料化につきまして、今はまだ細部を関係者間で詰めているところではありますが、10月からいよいよ実施をしようということであります。私どもの気持ちとしては、今当面スーパーマーケットからスタートをしますが、当初鳥取県がこれを議論し始めましたときはその他の業態も含めて展開できないだろうかということで議論をしてまいりました。当然ながら東部だけでなくて中部・西部という圏域もございますので、こういう圏域に広げていくという課題もあろうかと思います。こういう縦展開、横展開、そうしたことを今後の課題としながら、まずはスタートを切るということになります。

 また、自然環境を復元していくことも大切なことでありますが、残念ながら平成22年末、23年当初の豪雪によりまして白砂青松が失われました。これに心を痛めているかたは多く、全国からもボランティアが集まってきて、その片づけをしたり、だいぶんそれは進捗をしてきました。そうした次の段階として、白砂青松を育てるプログラムが必要になります。県民の皆さま、各種団体にも呼びかけまして、そうした白砂青松をよみがえらせるそういうプロジェクトにご参加いただけるところを募集いたしましたところ、予想を上回る団体から応募がございました。30区画以上のところを30団体ほどでやっていこうと。それも2,000人規模の動員でやるということでございまして、「弓ヶ浜・白砂青松そだて隊」というのを組織されることになりました。これは来週〔4月〕25日にその結団式をやるということになります。豪雪で失われた鳥取県の有数の景観だと思いますが、弓ヶ浜の白砂青松が蘇えるように県民の皆さまの力を結集していきたいというふうに考えております。関係者の皆さまには改めて感謝を申し上げたいと思います。



5 「高校生まんが王国とっとり応援団」発足式 

●知事

 また、漫画関係でも、県民、特に若い人たちの声が上がり始めました。これにつきましては、今週末に「高校生まんが王国〔とっとり〕応援団」が活動を始めることになります。そのセレモニーが週末に開かれることになります。それで、高校生、学校を越えて協力をして1つの作品集を作ろうとか、また、鳥取県の「若鳥丸」という高校生の水産実習船がありますが、それを漫画、イラストでラッピングをしていくと、そういうプロジェクトにあたっていくとか、いろんなかたちでまんが王国を、学校を越えて応援をしていこうという試みでございます。早速、この週末から動き始めることになりますので、若い力に期待したいと思いますし、その若い力に負けないように地域全体でも活性化を図っていきたいと考えております。私の方からは以上でございます。



○中国新聞 円山文雄 記者(幹事社)

各社お願いします。




6 原発再稼働 

○山陰中央新報 桝井映志 記者

 改めてお考えのご確認なんですけども、再稼働に、これまでの会見でもおっしゃっておられました、政治的な判断ということじゃなしに専門的な知見を交えて検証をしていく必要があるという、それと、一義的には地域の安全を考えるべきだというお考えには変わりないですかというのが1つと、もう1つは、この福島の原発事故の原因究明がなされることと言いますのは、こちらの方で島根原発の再稼働を考える上で、その条件になるのか、どうかというところをお願いします。


●知事

 これは、今の政治の動きというのは、やや冷静さを欠くのではないかなと思います。原発を全部止めること自体が集団自殺になるんだという発言も出ていますけども、逆に言えば、どうでも原発を動かさなきゃならないということで突っ走るのも集団自殺だと思います。要は、安全が確保されて、そして大切な国民のエネルギーが再生産されることになるかどうかと、これがぎりぎりの国民的なコンセンサスとなり得るところでありましょうし、さらに、そうでなければいけないと思います。そういう意味で安全が第一義であるということになります。そういう意味で、もっと冷静な議論を政府にはしていただく必要があるのではないかなと思います。

 この点につきまして、私自身も知見を得る必要がありますので、今回実地に、検分にお伺いすることにしたんですけども、最終的にはやはり非常に複雑なシステムでありますし、どういうふうにしたら人間が原子力発電所の適正な運用を図るコントロールができるかということは、専門的な知見がどうしても必要だと思います。鳥取県としても、その専門的知見を得るための専門委員会をこの4月から強化をしました。従来は〔日本原子力研究開発機構〕人形峠〔環境技術センター〕対応でありましたけれども、その人形峠対応ではなくて、島根原発を念頭に置いて、人員の強化もさせていただきました。最終的には、こうした専門委員会のご議論なんかも当然考えながら、いただきながら、地域としての意見を出していくということになるんじゃないかなと想定をしています。

 今まだ、大飯原発がテストケースでありまして、どういうふうに国と地方との間での対話が開かれるのか、注目をしているというところでございます。福島原発の事故がございました。その原因についてしっかりとした分析が当然必要だと思います。それで、その分析した上で、どういう安全対策が必要なのか、これが、やはり考えられなければならないだろうと思います。それで、今の政府の考え方では3つの基準というものを示されました。1つ目は、緊急対策でございまして、これは既に原発であれば、大概これやるべきものでございます。すでに仕上がっているものが出てきていると。それから、2つ目として第一次のストレステストということでございまして、そのストレステストは、検証されれば終わったことになる、大飯原発がそのステージに入っているわけです。また、第3には30項目のいろんな懸念があるわけでありますが、それに対する対策の計画が策定をされて、それが誠実に実行されることと。言わば将来のあり方を示すということで、基準が設定されているわけです。

 それで、この3番目の基準の中には、ほんとに将来まで待たなきゃいけないものなのかどうか、もう既に当然やっておくべきことというのはないのだろうか、この辺の洗い出しがまだ十分でないんではないかなと思います。この辺は、今後、もし島根原発の方に議論が移ってくれば、我々としても専門家の知見も交えて検証して、意見を出すべきことがあれば意見を出していくということになるのかなあと思いますが、いずれにせよ、まだ十分な国民的納得が得られているとは言い難いんではないかなあというふうに見ております。今回大飯原発の課題が動き始めていますので、その動向に注目をしながら、県民の安全というものを第一義に、これからもこの問題に向き合っていきたいと思います。


○山陰中央新報 桝井映志 記者

 視察では、1号機や2号機の原子炉を見られるということですか。


●知事

 ええ。当然原子炉の建屋の中に入りまして検分をしたいと思います。ただ、2つのタイプがあるんですね、大きく言えば1、2号機はある程度似かよったタイプでありますけども、3号機はまた別のタイプということになりますので、3号機と1、2号機のどちらかは必須マターとして見ておこうかなというふうに考えております。それで、もちろん職員もある程度連れて今回いきますけども、これが1つのファーストステップ〔第一段階〕でありまして、我々としても随時原子炉の中の、我々なりの調査もさせていただいて、今後の知見の重要な参考資料とさせていただきたいと考えております。



7 道州制推進知事・指定都市市長連合 

○日本経済新聞 大橋正也 記者

 明日ですね、岡山〔県〕の知事、あるいは大阪〔市〕の市長が中心となった、道州制を目指す首長で、旗挙げをするということですけども、平井知事としては、この連合〔道州制推進知事・指定都市市長連合〕に対してどういうふうにお考えになってますか。


●知事

 私は、今、地方側でそういうコンセンサス〔合意形成〕が得られているとは思いません。私自身のことで言えば、その連合、首長連合の皆さんと行動を共にするのは時期尚早かなと思います。と申しますのは、今関西広域連合で事務事業の移譲を求めているわけであります。それで、国においてそういう地方分権の推進、地方出先機関のまるごと移管の問題について、法案化を目指して、この連休をまたいで議論が進められると思います。ただ、漏れ聞こえてくるところでは、非常に波風が強いんですね。ということはどういうことかというと、やっぱり霞が関の中央省庁が、要はこの国をグリップ〔動かす〕していきたいという意思が非常に強く出ていると思います。それで、こういうような中で、そうした要は限定的な権限移譲ですら、非常にリラクタント〔いやいやな〕、消極的な現在の国の中央集権体制を考えますと、仮に道州制ということになった場合に、地方自治が大きく損なわれる危険があるだろうと思います。

 私はかねていろんなところで、議場でも、記者会見で申し上げておりますけれども、道州制の導入には前提条件があって、霞が関〔中央省庁〕の解体が必要だろうと思います。それで霞が関が解体をされて、その中央省庁のおおかたの権限を再構築して、住民に身近な道州制の政府で捌いていくという、そういう言わば連邦国家に近いような、連邦国家的な国家の大改革が行われるんであれば、道州制は議論の値打ちがあると思います。しかし、そうでなくて、要は国の傀儡として道州制ができるということになりますと、これはただでさえ、遠い自治体になりますので、自治体とはいえ、住民のコントロールから遠いところになってしまう。それは我々鳥取県もそうでありますけども、小さな自治体ほど不利益を被る危険があると思います。

 ですから、このことは慎重に考える必要があるだろうと思います。先程申しましたような環境の中でございますので、今この段階で道州制を導入するということになりますと、それはあまりにも国の思惑の方が優先してしまって、リスクが大きいんではないかなと思います。ただ、私たちとして、中長期的に、この国のあり方を変えていくという議論は、それは大きな視点でなされていいと思います。それは先程申しましたような霞が関を解体して、また永田町〔国家中枢〕もかなり解体をされるような状況で、それで道州制という新しい国づくりをすると。その際には、おおかたの主権的なことは文字どおり道州の方に移って、地域主権が文字どおり行われるというような世の中になるんであれば、それはそれで望ましいことではないかなと思います。現在はまだそういう環境ではございませんので、今回の首長連合の動きに、私が参加をするということはないと思います。



8 北朝鮮「ミサイル」発射への対応 

○山陰中央新報 桝井映志 記者

 ミサイルのことでお尋ねしたいんですけども、国から発射確認から連絡が来てから、鳥取県さんも県民に発信するまでに5分間かかりました。これは、お隣の島根県の10分と比べれば早いんですけども、訓練のときにやっておられた2分以内ということから考えてちょっと時間がかかっておりますし、それから、ミサイル発射されてから結局1時間近くかかった。これはもちろんお話がありましたように、国の情報の出し方を悪かったということがありましたし、鳥取県の担当職員のかたの臨機応変に一生懸命されておったと思いますけども、改めて、対応は、今、先程お話をお聞かせいただいたことですから、どのように、今回の鳥取県の対応を知事としてはどう評価していらっしゃるのか、お願いします。


●知事

 ですから、先程ちょっとルールを申し上げましたとおりになりますが、まず今回は、国の方の第一報が遅かったことと、それから、第一報の出し方が、そういう一部報道があるが、政府としては確認していないと。言わば否定情報に読み取れる情報が出てしまったとか。それで、これが混乱の元になりました。その否定情報が出てからも30分くらいですかね、また宙ぶらりんの状況が続きましたので、我々はたまりかねて動き始めようとしたんですけども、ちょっと想定外のことになりましたので、少し時間を使ってしまったと。その意味で、先程おっしゃったように、鳥取県の場合5分で出たということでありますが、それがなぜ他の県と比較して若干早めになったかというと、実はもう準備をしたから、そういうのを出そうと思って準備をしているところに、改めてEm-NeTがきたもんですから早く対応ができた。今回のEm-Netの出方もイレギュラーな出方になってまして、当初想定されていたものではなくて、〔防衛〕大臣のコメントがこうこうだったよとか、そういうようなことになりまして、かなり長文のもので定型的なものでなくなった。

 だから、我々としても、そこのところの処理に若干時間がかかってしまったわけです。先程申しましたように、いろいろ相談をするとどうしても時間がかかります。なにせ1分1秒争うということであれば、ある程度、機械的に、定型的に処理できる短文を何パターンか用意をしておくと。あとはそれに当てはめるだけでパッと流せると。これは上司に相談しなくてもいいですよと、こういう報道があった場合には出していいですよというふうにあらかじめ決めておくと。このようにすれば、瞬時に動けると思います。県としてもそういう改善を図りながら、国の方の今後の対応の改善を強く求めて、反省を活かせるようにしたいと思います。


○山陰中央新報 桝井映志 記者

 県としては、ああいう状況の中で、ベストを尽くされたというふうに評価をされておられるんでしょうか。


●知事

 ベストを尽くしたというか、混乱しました。ええ。〔その〕混乱の原因は申し訳ないですが、やっぱり国の方の情報の出方でありました。皆さんもご覧になったと思うんですけども、最初に韓国の方から国防軍の発表がありまして、それがリアルタイム的に、ちょっと遅れたのかもしれませんが、ほぼ同じようなタイミングで世界中に報道されたわけですね、日本もそれを配信をした。しかし、それの直後に、今度は国の方から政府は確認していないという情報がくる。この政府は確認していないという意味は、私はやっぱり役所流の責任回避行動だと思うんですね。結局、前に誤報を出して失敗をしたことがあります。仮にこの報道どおりでなかった場合に、私は責任取りませんよという担当者の意思ですよね。それが確認していませんということであります。その流し方も、もう少し、何て言いますか、考えてやってもらえばよかったのは、こういう報道がありました。で1回切って、これについては日本政府も確認中が本来正確なんですよね。

 それで、それをつなげてしまったわけですね、文章として。「こういうような一部報道がありますが、政府は確認していません」、つなげた文章にしましたので、これは否定情報に普通は読み取られるものであります。この辺がまず災いをしたことと、その後少し空白の時間が出来てしまったことですね。空白の時間ができると、我々現場の人間は何を考えるかというと、ひょっとして韓国の発表は誤りであったんではないかという疑念がやっぱりどうしても担当者には生まれます。そうすると、果たして情報を出していいものかどうかということになってくると思います。私はどっちかというと、いらち〔せっかち〕なもんですから、もう出してしまえということを途中で横槍を入れるわけでありますが、なかなか現場の良心もありまして動きにくいと。ただ、文案をこう、準備をし始めます。文案を準備し始めるところにようやっとEm-Netがくると。そうしたら、そのEm-Netの、かねて今まで用意しかけてた、この数分間で用意しかけてたものをEm-Net流に修正をして出すと。そうすると、また修正に手間がかかりますので、どうしても5分ぐらいかかってしまったということなんですね。これが若干の混乱と申し上げた実情でございます。

 ですから、根本は国の方の情報の出方がありますので、それは正していただかなければならないと。また、県としても、もうこの際、政府は当てにならないのであれば、住民の立場に立てば住民が欲しい情報を出すのも我々の役割でありましょうから、公的な報道機関が、例えば政府高官、あるいは外国政府、そうした一定の情報分析のもとにコメントしたと思われる報道であれば、それを右から左に流すようなかたちで事実としてお伝えをするというのは1つの知恵かなと思います。今回それをやりかけましたけれども、どうしても時間がかかりましたので、短文の例文を何パターンか用意をしておくとか、予めルールを決めてすぐに出せるようにしておく。こうしたことで改善を図っていきたいと思います。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 そのルールというのはマニュアル化されて残しておくようなかたちにするんでしょうか。


●知事

 それはもうこの際決めようということで、昨日も改めて危機管理局と話をしましたし、先程申しましたような要件が満たされる場合には県としても、住民の皆さまにあんしんトリピーメールだとか、とりったーなどで連絡をするというルールを作りたいと思います。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 さっきのお話の中で、知事とのお話の時間ももったいないから、もう現場の判断で出せるようにするというお話もあったんですけれども、そういったこともそこに入ってくるようなかたちになるんですか。


●知事

 ええ。そうやってルールを決めてしまえば、その通り出しますから。実はそのルールはEm-Netについてはあったわけですね、今回も。Em-Netが来たらそのままパッと出そうということだったんですが、Em-nETの最初の情報が、何かイレギュラーな内容のものであって、しかもこれ、どういうふうに伝えたらいいか分からない、混乱を呼ぶものでありましたので、1報目が使いにくかったと.それで、2報目でようやく使える内容だったのかもしれませんけれども、イレギュラーの内容であったということですね。だから、Em-Netについては、とにかくもう1分以内、2分以内とそういうことで速やかに流そうという体制で準備してたんですけども、その準備していたものが、今回使えなかったということですね。


○日本海新聞 井上昌之 記者

 かつて誤報もあったんだというお話がありましたけども、情報が早いと誤報と隣り合わせなところもあって、逆に混乱を招いてしまう可能性もあるわけなんですけれども、その場合やっぱり早く伝える方が重要だとそういうことを知事考えておられるんでしょうか。


●知事

 これ、だからものによると思います。いわゆる風聞に基づくパニックを引き起こすような、例えば大きな震災があって、それで、何かとんでもないデマを流すと、それも混乱して略奪暴動だとか、そんなことになるというようなことを懸念するのであれば、そういう場合には情報は出さないと思いますね。それで、今回のケースは、要は1分1秒を争うものでありまして、発射されればいずれ着弾なり、上空通過なり、そういう結果が瞬時にして出ると、時を争うものであります。そういう類の情報なので、これは報道情報などを基にして出すようなルールもあっていいんじゃないかと、要は手遅れになるわけですね、今回もそうでありますが、〔午前〕7時38分ないし39分といったタイミングから、もう1時間も経ってからようやっとこの騒動が何であったのかということが政府側から情報が出てくるということでございまして、こんなようなことでは、もうことが終わったあとになってしまいます。

 ですから、これは、私は誤報はやむを得ないと思うんですね、ある意味。ただ、失敗を恐れるあまり甚大な被害をもたらしてはいけないだろうというふうに思います。言わば、コスト〔費用〕とベネフィット〔利益〕の比較だろうと思うんですけど、つまり間違ってた場合のコスト、それから、それが正しかった場合のベネフィット、これ比較してみて一般的にはこういう緊急情報であればベネフィットの方が高いだろうというふうに思います。ただあまりにも内容がいい加減なものは、さすがにどうかなあと。ですから、先程申しましたように一定の要件を付ける、例えば、政府高官の発言、あるいは外国政府の発表、これらはその背景にはその発表に至る前段階があります。例えば、韓国国防軍は自分のところの情報分析に基づいて発表しているはずです。ですから、それは単に、ある報道機関がミサイルが発射されたと一文流すのとは全然意味が違うと思うんですね。そういう一定の内容の報道であって、しかも信頼できる報道機関の発表が流れてくる、信頼できる報道機関の発表ということをかませる趣旨は、それは報道機関も責任ある媒体でありますので、必ずそれを流すときには何らかの判断をしているはず。従いまして、これは流してもいいと、流すべきだと判断して流されたんでありましょうから、それの判断を我々としても準用させていただくと、それを流させていただくと、住民の皆さまに流させていただくと。こういうことは、私はギリギリのルールとしては有り得るんではないかなと思います。政府が信頼できない場合ですね、こういうことも考えざるを得ないというのは残念でありますけども、ただ現実に即して言えば、住民の生命、身体、財産を守るためにこういう苦肉の策もルールとして考えておくべきだろうと思います。


○時事通信 小出秀 記者

 関連しまして、国にその件で要請に行くということですが、これはいつ頃行くのかというのと、あと、鳥取県で単県で行くのかどうか、あるいはこの今回の要請の中身そのものについてなんですけども、その趣旨としてはもう現場を混乱させるようなことをするなって言ったことが要請のその一番のポイントになるんでしょうか。


●知事

 要請のポイントはやっぱり情報を早く出すべきだと。今回ダブルチェックということを考えられたわけでありますが、何が起こったかっていうと、地球は丸いわけでありまして、自衛隊が探知できる能力の域外で事が終わってしまったということだったわけです。ですから、ダブルチェックが効かなかったわけでありますが、そりゃもう冷静に考えればそうでありますけども、〔北朝鮮〕東倉里〔トンチャリ〕から南に向けて発射をされるものと、それから前回のように東北〔地方〕の上空を飛び越えていく方向に出るものと、我が国探知能力に差がありますよね。我が国探知能力としては捉えきれないところであればダブルチェックっていうのは本来やるべきでありますけども、ただ、それで情報を遅らせる必要まではなかったはずです。

 特にこういう緊急情報については、スピード重視をして提供すべきだということを、まず第一義的には求める必要があると思います。また、今回沖縄県も含めて各地に混乱を生じたことは間違いないです。ですから、この反省を将来に活かすために、地方側と協議をしてもらう必要があるだろうと思います。そうした率直な現場の気持ちを政府の方にもお伝えをしたいと思いますが、これはまずはこう事務的に要請活動をさせていただいて、いずれ機会が来れば然るべき要請活動をさせていただきたいと思います。また、例えば関西広域連合とか、いろいろと県同士で議論する場合もあるでしょう。中国地方知事会も6月の頭に開かれます。そうしたときにも我々として議題に出させていただきたいと思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

 それに関連して、1分1秒争うような場合というのはミサイル発射以外どのようなことが考えられるでしょうか。


●知事

 ちょっとそこは今現在としてはミサイルないし人工衛星の発射という事象を考えます。それ以外に準用できる場合、また、我々としても頭の整理はしてみたいと思いますが、私たちも鳥取県西部地震を経験しましたけども、それについて経験から言えば、ああいう地震災害などは、結局デマによる影響もございますので、我々としても確認しながら情報を出してもいいのかなというふうに思います。しかしながら、例えば、この間の福島〔第一〕原子力発電所の〔水素爆発〕事故で言えば、政府からはなかなかコメントが出てきませんでした。ただ、あれは生中継したんですよね。だから、テレビ、民放さんかどっかだと思いますけども、そちらの方では映像が流れて、ニュースとしてはすでに伝わり始めていました。ああいうようなケースとかは、我々としても報道情報によればこういう情報がありますということを出す値打ちがあるかもしれません。1分1秒争う必要のある情報については、先程申しましたような対応を取りたいと思いますが、どういう部分が想定されるかはちょっとこれからもう少し詰めていきたいと思います。



9 原発再稼働(再質問) 

○共同通信 中川亘 記者

 原発に関してお願いします。これまで知事が会見ですとか、議会などで話していたことと少し重複する内容なんですが、要するに今の大飯原発と島根原発、それが絡む構図や考え方の違いについて教えていただきたいと思います。というのも、今、大飯原発、京都、滋賀などの周辺地域があって、鳥取の場合は島根原発と鳥取などの周辺自治体があってというので、今は大飯原発で再稼働の協議ですとか、安全協定の協議などもあるのですが、それと比べて鳥取はどういった点が大飯〔原発〕とはちょっと違うのかというのを、地理的とか、これまでの経緯とか、どういうふうに考えていらっしゃるのかというのを聞かせていただけますか。


●知事

 基本構造としては、大飯原発も島根原発も県境をまたいで影響があり得るということでは一緒だと思います。ただ、そこに対するアプローチとして、我々の方では、実は端緒をたどりますと3月11日にまず地震がありまして、福島原発の事故がそのあと発生をするわけでありまして、非常に原子力安全に対する関心が深まったんです。それで、そのときに幸か不幸か我々は統一地方選挙という県民の皆さまのご審判を受ける立場になりまして、それで、選挙戦に入るとなかなか身動きがとりにくくなるわけです。もちろん私自身、今回の選挙について言えば、半分公務をしながら半分選挙戦と非常に変則的なことにならざるを得なかったわけでありますが、ただ、そうは言っても従来ベースでなかなかやり辛いですし、また、いろいろと話をぶち上げたりすることあると思うんですが、そういうことがなかなかバイアス〔偏見〕がかかって見られる可能性がありますので、非常に行動が難しくなる。

 そういうときに、確か、告示日の前日、直前ですね、直前だったと思います。隣の〔島根〕県の溝口〔善兵衞〕知事と電話で話をして、原子力安全対策については協調しながら両方でやっていきましょうということで、お話をお互いさせてもらいました。その言葉に違わず、選挙戦に入った後ではありますけども、担当者レベルでの会議が立ち上げられまして、両県での共同での体制作りがスタートしたわけです。その後の展開は、その延長線にございまして、本県の場合は大飯原発と若干異なるんですけども、避難対策、具体的な避難計画の策定なども両県共同でやっているということがございまして、現場の状況に非常に素直に両県が共同してやっていく体制を今、構築しつつあります。この辺は、大飯原発を巡る状況と若干、うちとは違うところがあろうかなと思います。あと、大飯原発の場合は、福井県の特性もあると思います。日本で一番多く原発が集中立地しているところでございまして、また、関西電力が原発に依存する割合も、従来は非常に高かったわけでございます。中国電力エリアの実状、また、サイトの大きさですね、その辺も大飯原発ないしその福井県全体とは、山陰の場合は様相を異にするところがあろうかなと思います。
 
 そんなようなことなどいくつかの相違点があると思います。私は、第一義的には、住民の安全を図るということを基本にして考えて、どういうアプローチがそれに繋がるのか、そこを考えながら進んでいきたいと思います。山陰両県の連携が有効に機能するものについては、これは向こうも同じ気持ちでありましょうから、共同してやっていくということを考えていきたいと思います。それで、また、政府との向き合いかたですね、これ若干立地〔地域〕と周辺〔地域〕で若干の課題の違いはあろうかと思いますけれども、我々としては政府に対して周辺地域特有の悩みもしっかりと訴えかけていきたいと思います。その辺は、何を基準に考えるかというと住民の安全安心がどういうアプローチをしたら図られるかと、そこを起点として考えていきたいと思っています。


○読売新聞 野口英彦 記者

 先程、その避難計画の話が出ましたけども、避難計画がまだできていない状態ですよね、現状では。それで、その避難計画と例えば島根原発の再稼働はリンクするとお考えでしょうか。


●知事

 これは、やはりリンクするでしょうね。その避難計画が出来てないと言いますけども、これは実は濃淡がありまして、例えば誰の誰それさんは、どこの避難所に入りますということが、もう一義的に全部決められる必要があるかどうかということはあると思います。要は、概括的に、例えば県内で言えば6万5千人というような人が動けると、それで、その動く目処が立つかどうかと、その辺が最大のポイントではないかなと思います。ですから、事前にすべて想定することはできないもんですから、受入側とまた送出側とのマッチングが図られて、それで、実際に事が起こったときに、行動できる状況ができるかどうかと、この辺だと思いますね。避難計画自体、そうした概括的なものにおそらくなるんだと思いますが、これは島根県と共同作業になっていまして、両県で歩調を合わせながら進めているところはございます。

 島根県の場合は60万人という大きな規模になりますので、ちょっと我々と比較にならない規模になりますから、その辺でなかなかちょっと作業大変かなと思います。最終的には両県合体をして1つの計画にしていきたいと思っておりますが、実は鳥取県内の動き方については、その想定をかなり前に進めてきておりまして、目処が全然立っていないかというと、もう立ちつつあるというぐらいにはなっております。


○読売新聞 野口英彦 記者

 先程、京都や滋賀の姿勢を支持をされるような発言だったと思うんですが、今後滋賀や京都の知事となんか共闘体制をとるようなことは、なんか考えられてますでしょうか。


●知事

 今は、関西限定での話が進んでいると思うんです。我々求められればどうするかということはありますけども、同じ気持ちを共有しているなという、そういうところだと思いますね。共同して大飯原発に働きかけるというのは、やや越権行為になったり、正直ちょっと混乱を増幅させることになるかもしれません。ですから、私のところはむしろ今週末も行きますけども、やはり島根原発のことを頭に置いて行動していきたいと思います。


○中国新聞 円山文雄 記者

 知事が行かれることで、中〔国〕電〔力〕とか、島根県とか、特別に迎える体制をとるとかというのはあるんですか。


●知事

 そこは、先程も申しましたけども、これまでちょっと数日かけて調整をしてきておりますが、ご協力いただくという体制になっております。今、伺っているところでは、中〔国〕電〔力〕さんも副社長さんが出てこられて説明をされるというお話も伺っております。あと、島根県の原子力環境センターでございますので、そういうところは島根県さんがご説明くださるということになろうかと思います。


○時事通信 小出秀 記者

 知事、今回の視察に関して、目的として今の段階からしっかりとした状況を認識する必要があるといったことですが、知事が今までおっしゃっているとおり、周辺地域の意見も踏まえて対応してもらう必要があるということで、今回の視察の目的の1つに、いずれ1、2号機の再稼働ですとか、そういったことに関して意見をいう際の参考にしたいといった気持ちもまた、当然。


●知事

 そうですね。1、2号機の問題も当然ありますし、あと3号機の問題もあります。今は多分、全国なんとなくこう順番があるようなふうに見えるんですね、政府の頭の中では。まず大飯原発の議論をすると。次は〔愛媛県〕伊方〔原発〕の議論をすると。この辺のなんか報道で感じられる、なんか既定路線みたいな話っていうのはどうも違和感があるんですけども、現実問題どうもそういうふうに綱を手繰り寄せるように、事を動かそうとしているんじゃないかなという感覚を持ちます。そういうことからいきますと、まだ島根原発に焦点が当たる時期ではないとは思いますが、いずれ、遅かれ早かれ、そういう時期がきますので、県民の皆さまのお気持ちも非常に深いものがあると思いますから、私自身も実地に見させていただく必要があると考えました。



10 島根原発等の視察 

○読売新聞 野口英彦 記者

 この先週配られた知事の週間予定で、松江出張というのが土曜日に入っていた、今週末に入っていたんですが、


●知事

 入っていました。


○読売新聞 野口英彦 記者

 入っていました。ええ。島根原発とは書いてなかったですけども、松江出張というのが書いてありまして、知事はいつ頃から見学したいという思いを持っていらっしゃったんでしょうか。


●知事

 特にこの1週間程、精力的にその辺の調整をさせていただいております。元々松江に行くといっても、昨日は山陰デスティネーションキャンペーン〔協議会総会〕やっていましたけども、両県で今共同して観光キャンペーン組んでいます。今年は古事記1300年と、それからあと漫画がテーマになるわけでありますが、特にその古代、神話関係のイベントが松江の方でございますので、そちらに溝口知事とともに出席をさせていただこうと、元々そういう想定をしておりました。ただ、せっかく松江に行くんですので、やはりかねて我々の方でもタイミングをとろうとしておりましたので、打診をさせていただいたということです。精力的に調整が進んだのはこの1週間程ではないかと思いますね。


○読売新聞 野口英彦 記者

 その祭りに溝口知事も参加されるとなると、お二人で話し合われることもあるんでしょうか、原発問題について。


●知事

 それは佐陀神能〔島根県の伝統芸能〕を話し合うことはあるかもしれませんが、原発問題を話し合うかというとそうではないかもしれません。ただ、溝口さんとは、繰り返し申していますけど、今までもいろんな認識の交換をさせていただいております。昨日も山陰デスティネーションキャンペーンで共に主催者のものですから出会いまして、席を並べてお話もさせていただきました。この週末、島根原発を拝見に行きますよということも溝口知事にもお話をさせていただいていまして、溝口さんも、島根県にも協力を呼びかけていましたので、どうぞ、どうぞということであります。そういうやり取りもさせていただきました。随時、この原発についてお互い出会える機会も多いものですから、話は随時させていただいていると思いますが、例えば、再稼働を決めるタイミングだとかいうことではまだないと思いますので、今段階で、このことを焦点にして話し合う状況ではないんではないかなと思います。ただ、気持ちとして、溝口知事が前からおっしゃっておられる両県市町村の首長を交えた協議会は、ぜひ立ち上げてもらいたいなというふうに思っております。共通のプラットホーム作りが今段階は重要ではないかなと思います。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 知事、今度の土曜日ですか、3つの施設を見に行かれるそうですけれども、島根原発の再稼働の場合に問題になるというのは、宍道断層、あるいは海岸の方に3つある断層、島根原発の場合はこの断層というのが問題になると思うんですけれども、断層を見られる計画というのはありませんか。


●知事

 そういう議論はしてみたいと思います、もちろん、それに対する考え方とか、実情について。先般も国と中国電力で、その辺のやり取りがございます。鳥取県沖に広がっている断層と連動するのかどうかというのが1つの焦点になろうかなと思います。そうしたことについての考え方だとか、そうした議論は当然現場でさせていただこうかなと思います。


○山陰中央新報 太田満明 記者

 宍道断層の長さというのもあると思うんですよね、長さ。元々中国電力は12kmと言っていたのが今22kmまで延びていて、さらにもっと長いんじゃないかという話もあったりするんで、このあたりの検証というのもやっぱりちゃんとやってもらわないといけないのかなと。


●知事

 やはり想定をどの程度に置くかですよね。昨日も東京都が、新しい地震被害の想定を出されました。ああいうことをどういうふうに中国電力が考えておられるのか、この辺はよく正していく必要があると思います。



11 原発再稼働(再々質問) 

○読売新聞 野口英彦 記者

 再稼働に反対する立場のかたからすると、知事が原発に行かれるということで、再稼働に向けた地ならしではないかと警戒されるかたもあるかもしれませんが、知事としては今の段階ではもう白紙の状態で見学に臨むということですね。


●知事

 そうですよね。まだ我々のところで、再稼働云々、あるいは3号機の立ち上げ云々という、そういう段階には来てないと思います。今回新しく原子力安全対策室を設置したところでございますし、関係の人間も同席をさせていただいて、実地に行って、実地に議論をしたり、見物させてもらうと、白紙であります。当然ながらその再稼働を目的したものでは一切ありませんで、それは誤解ということになろうかと思います。


○読売新聞 野口英彦 記者

 原発の再稼働に関連して、国の安全体制が整っていないということが再稼働の反対の理由、これちょっと島根原発ではありませんけど、という意見もありましたけども、それについてどうでしょうか。


●知事

 ですから、これも冒頭申し上げましたとおり、私はもっと冷静な議論が政府としても必要ではないかなと思います。なんか既定路線のように走っておられますけども、電力需給がひょっとして優先しているのかなと思われる節があります。例えば関西電力管内での計画停電を急浮上させて、今、持ち出されてくるようになりました。これなんかも要は電力不足になるんだよという1つのブラフ〔はったり〕のように思えなくもありません。私は前回の記者会見で申し上げましたけども、やっぱり住民の安全が第一義だろうと思います。それで、その後、枝野〔幸男経済産業〕大臣が国会での答弁を若干修正されるような発言をされて、当然ながら安全が優先するなんていうことをおっしゃっていますが、ただ、周辺を置いてきぼりにしたり、あるいは安全が置き去りにされるということは断じてあってはならないので、まずは専門的な知見も交えた検証が必要だろうと思います。その上での政治判断というのは真っ当な進み方ではないかと思っております。


○読売新聞 野口英彦 記者

 原子力規制庁ができるかどうかということが条件となるんでしょうか。


●知事

 それはちょっと、どういう、いまだ修正協議も自公〔自民党と公明党〕と民主〔党〕の間でもどうなるか分かりません。その辺も見てみないと何とも言えませんが、もちろんその機構の問題もあると思いますけども、機構以上に大事なのは中身ということですね。本当に安全対策ができているのかどうか。それが具体の原発サイトでどういうように1つ1つ検証されるのかというところが一番の焦点になってこようかと思います。


○中国新聞 円山文雄 記者(幹事社)

 よろしいですか。じゃあ、会見を終わります。ありがとうございました。


●知事

 はい、どうもありがとうございました。


  

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