●知事
皆さん、おはようございます。いよいよ[第22回参議院議員]通常選挙も今週末と迫ってまいりました。我が国の近未来を決める大切な選挙でありますので、それぞれの候補者、またそれぞれの党のさまざまな政策やお人柄、それに対する思いなどを、ぜひ、県民の皆さまにもいろいろと考えていただき、熟慮していただきまして、神聖な一票を投じていただければと思います。
●知事
この選挙の1つの争点になっていますのは、これからの日本の財政、どういうふうにしていくかということだと思いますが、私ども、地方レベルでも全国知事会が来週15、16[日]と開催をされることになっております。その下準備として、昨日は東京の方に私も出張させていただきまして、いろんな県の知事と意見交換をしながら、特に税の問題について話し合いをさせていただきました。
急遽、消費税が争点に浮上してきているわけでありますが、与党の民主党、それから野党の自民党、それぞれに消費税を掲げておられます。
ですから、これまでとは全く違った展開が選挙後に起こってくるのではないかというふうに、私ども議論をしたところでございまして、その7月の15、16[日]の全国知事会の皆での議論の中で、この消費税だとか、これからの地方財政、税制の制度改革を巡って、ぜひとも知事会のはっきりとしたアピールを出していくべきではないかと、そういうお話を私からも申し上げました。
そういう流れで、来週いろんな議論が行われることになるのではないかと期待をいたしているところであります。
●知事
この度は、私もロシアの方に出張をさせていただきまして、先週末、特に7月3日には、ウラジオストクの大きな行事であります「太平洋経済会議」に出席をさせていただきまして、向こうの運輸大臣、それから沿海地方知事などとともに、メインスピーカーをさせていただきまして、鳥取県のDBSクルーズフェリーの航路や交通網、また、鳥取県の魅力などのPRをさせていただきまして、これからの時代はアジアと結びついてロシアが動いていくこと、これが大きな鍵を握ると、そういうお話をさせていただきました。会場からも、いろんな共感の声を聞くことができたと思っております。
また、併せて、その前日の7月の2日には、30余りの観光事業者のかたに来ていただきまして、鳥取県の観光の魅力や観光促進に向けた県の支援策を説明をさせていただきました。この席には、松浦松江市長さん、それから境港の中村市長さんもご同席いただきまして、それぞれの口から、それぞれの地域の魅力も述べていただいたところであります。
この環日本海を巡る動きが急速に、今、いろんなところで動き始めました。この夏、非常に動きが出てくるかなと思っておりますが、そのロシアの関係でいきますと、この度、訪露した機会に沿海地方[国]立のアルセーニエフ博物館を訪問させていただき、そこのソコロフ館長さんと懇談をさせていただきました。
ソコロフさんの方から強い申し入れがありまして、ぜひ、鳥取県の県立博物館と昨年から本格的な交流に入ったところでありますが、協定を結びたいというお話がございました。これ、今、早速、教育委員会の博物館の方でも検討を始めていただいておりますが、早ければこの秋にも沿海地方のアルセーニエフ博物館と私どもの県立博物館との間で姉妹交流的な協定を結ぶことになるのではないかと、今、その作業に入ったところであります。
また、ズブリツキーさんというロシア平和基金極東支部長さんとも面談をさせていただきました。この沿海地方にございますロシア平和基金は、ロシアの、例えば書物を各大学などに寄贈するような事業を行ったり、それからロシアの事情を説明するような、そういう事務所と言いますか、そういうものを設置をしたりということを世界中でやっておられるところであります。
我が国においては、北海道の函館[市]に1つその事務所が設けられたところでありますが、この際、鳥取県の方に開設したいというお話がございました。非常に良いご提案でございますので、我々としても、ぜひ、受け入れに協力をして具体化させたいと考えております。できれば今年度内に、要は図書の寄贈事業だとか、あるいは事務所開設だとか、そうした事業化を鳥取県内でできるようにサポートしていきたいというふうに考えております。
●知事
また、明日私も面談をさせていただきますけれども、ロシアの産業貿易省の沿海地方代表リパエフ[・オレグ]氏が来日をされました。このリパエフ氏は、沿海地方の経済についての国側の責任者に当たられるかたでいらっしゃいまして、今回の鳥取県のいろんな事業に非常に関心を寄せていただいております。その意味で、これからの経済交流について協議をする機会を得ることができると思います。
この週末の7月10日には説明会をリパエフさんの方からしていただこうと、講師になっていただこうと、そういう環日本海経済セミナーを開催することにいたしたところであります。
また、ロシアの青少年が鳥取県の方に船でやってきて、私も来週12日だと思いますが、お会いしたいと思っておりますけども、その青少年の環境を考えるサマーキャンプを鳥取県で実施をすることになって、今、例えば、日南町のふるさと日南邑ですとか、各地を回ることになります。
これも鳥取県の中海の環境推進活動を子ども達がやっておりますけども、これを実際に体験をしてもらって、環境の素晴らしさ、環境活動の大切さをロシアの子ども達にも分かちあってもらおうと、こんなようなプログラムをいろいろと準備をさせていただいております。
●知事
また、韓国の関係でも、つい一昨日ですか、7月の4、5、6[日]と、アテナの撮影に向けましたチョン・テウォン社長はじめ、製作会社の一行の来県を得ることができました。
その皆さまにプレゼンテーションをしましたり、それから各地をご案内をさせていただきましたが、受け入れる前に恐らく頭の中にあった、作りかけていたシナリオよりも拡張して、鳥取県を取り扱いたいと。チョン・テウォン社長の方から力強いお言葉もいただいたところであります。
特に地元の方で、これだけ熱心に受入態勢を整えていることに、大変に驚いた様子があり、感動を覚えたというふうに自らもおっしゃっておられました。
そのチョン・テウォン社長は、例えば、桝水高原ですとか、それから[とっとり]花回廊ですとか、また、鳥取砂丘、それから倉吉の白壁土蔵群、三朝温泉、また、東郷湖とか、いろんなところを回られました。浦富では小さな船に乗られたり、中部では牛骨ラーメンも試食していただいたり、いろいろと鳥取県の風俗・習慣などにも親しんでいただいて帰ってもらったと思います。
これから、先方で一緒に、キム・チョンヨンさんという作家もついてきておられましたので、旅の間も熱心に話し合いをされておられましたので、シナリオを組み立てていかれることではないかと思います。我々も先方の動きを逐次聞きながら、私達として最大限の努力をしていきたいと思っております。
例えば、鳥取砂丘での撮影は、恐らく確実なんだろうと思います。 私もチョン・テウォン社長と砂丘のことについてお話し合いをする機会がありましたが、やはりドラマでありますので、その砂丘に主人公がやってくる必然性がないといけないと。そうしたストーリー作りだとか、その画としての見せ方、シーンの作り方、いろいろと研究しなければならないとおっしゃっていました。
砂丘でロケをするとなりますと、これは国立公園が絡みますので、ロケの許可を国からもらう必要があります。こういうことも我々の方で汗をかく必要があるかなと思いますので、支援委員会として動いていく必要があると考えております。
●知事
韓国との関係では、さらに、この7月9日には韓国のミスコリア[選抜大会]の候補者56人が境港[市]へやってくるということになりました。これは、我々としては、その機会を利用して鳥取県の観光地など魅力のPRをしようという気持ちがあるんですが、先方としては、そのミスコリア[選抜大会候補者]の合宿の一環として、境港から船で入ってくるということになったわけであります。
貿易の関係でも、新しい荷物が出てきておりますが、韓国からはパプリカの輸入が始まることになりました。これは、鳥取県内の事業者が幹事役になりまして、各地へ配送していくということになるんじゃないかと思いますが、韓国の生産法人の方で作っておられるその生産現場が東海港に、比較的近いということがありまして、こちらの港から境港に、鮮度の良い状態で運んでくるという航路を採用してもらったということであります。
また、スイカとメロンの輸出もいよいよ本決まりになりまして、この週末の11日に出港する船でロシアに旅立つことになります。スイカとメロンの選果は、今日、スイカは中部で、メロンは西部で行っているところでございます。このようにして、いろいろと環日本海交流も動いてきていると思います。
この度の訪露の中で、先方からご提案がありましたのは郵便事業にDBSクルーズフェリーの航路を活用出来ないかということでありまして、ロシア郵便の方にも働きかけるし、私の方から日本政府や(日本)郵便[事業(株)]、日本郵政の方にも働きかけてほしいというお話がありました。
昨日は、今、過中の人でありましたけれども、(日本)郵便[事業(株)]の鍋倉社長、それから、日本郵政の足立副社長に面談をさせていただきまして、こうした構想について申し入れをさせていただきました。
こういうようないろんな、環日本海を巡る動きが出てきているというふうに思っております。
●知事
いよいよ、夏らしく暑くなってきました。今日は白兎、それから小沢見で海水浴場が海開きになります。また、7月10日には、皆生、また石脇の海水浴場がオープンになりますし、12日には浦富や東浜といったところもオープンになってきます。
いよいよ夏の海のシーズンでありますが、ぜひ、鳥取の自然を各地の人に満喫をしてもらいたいと思います。くれぐれも事故がないようにお祈りをする次第であります。私の方からは以上です。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者(幹事社)
各社、質問がありましたらお願いします。
○山陰中央新報 太田満明 記者
ロシアとの郵便事業の件ですけど、実現性というのはどうなんでしょう。
●知事
郵便ですか。これは行政マターではなくて、(日本)郵便[事業(株)]にしろ、ロシア郵便にしろ、採算性だとか、それから速達性とか、そういうところで判断をされるんだと思います。
昨日は私の方から鍋倉社長様初め、皆様がたに2日で到達すると、しかも毎週出ていますということを申し上げました。今は、郵便は不定期航路などを使って出しているようでございまして、その辺の優位性は一定程度あるとは思いますが、搬送だとか、それから通関業務だとか、いろんなことを判断されてということになろうかと思います。
実は、ウラジオストク側が非常に熱心でありまして、今回、来日されます産業貿易省のリパエフ代表も、この点はロシアポスト[郵便]の方に提案をされているようです。まだ、実現性は分かりません。
○山陰中央新報 太田満明 記者
いろいろとロシア側から、いろんな提供というか提案があったようですけども、まだ、みんな走りと言いますか、とっかかりに入ったみたいな感じですよね、具体性がもう1つ見えてこないのかなと。
●知事
いや。ただ、例えば、今、お話申し上げた博物館同士の交流だとか、それから事務所をこちらに開設するとか、先般の「ロシアの柱」の話もありました。
今回はラザレフさんという沿海地方のウラジオストク国立経済サービス大学の学長が鳥取県に来られまして、他の、全ロシアだったもんですから、他の地域の大学にもおられましたけども、鳥取大学とか、[鳥取]環境大学を回られまして、鳥取大学とは教員だとか、人の交流を始めようと、具体的に担当者を決めようというように話もまとまってまいりましたし、[鳥取]環境大学も、これは学科再編が絡むのかもしれませんが、新しい講座として沿海地方との国際交流、経済交流をテーマにした講座を作るんだそうであります。
そうしたことにも、ロシア側も協力していきたいというふうな話があったとか、具体的なものが生まれてきていると思います。実際に、今、荷物も少しずつでありますが、1つずつマッチングが出来始めたという状況かなと思っておりますが、まだまだ、当然道のりは遠いと言わざるを得ないと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
そうすると、やっぱりDBSの鳥[取]-ロ[シア]線というのが、大きいわけですね。
●知事
これが、ロシア側にとっては唯一の、毎週通う船になりましたので、その意味で向こう側は鳥取熱が高まっているということだと思います。山陰側の方が、むしろそれを上手に利用して、これからのビジネス展開につなげていければ、本来だと思っております。その意味で、リパエフ産業貿易省沿海地方代表が来られた機会に、地元の人にもお話していただくのは、1つのステップかなと思っています。
○山陰中央新報 太田満明 記者
DBSで、日本側に利用勝手が悪い、日程的な問題ですね。というのがあると思うんですけれども、この点の改善というのは進んでいるんですか。改善というのもおかしいんですけれども、DBS側に申し出をするしかないんだろうと思いますけれども、何か、これ。
●知事
これはもちろん申し入れを今までもしてきておりますし、先般は、ユン副社長が着任をされたばかりのときに、話し合いをさせていただきました。船会社側も、今が正念場だと思っておられますので、今まで意思決定が遅かったとか、それからいろんなある意味、交渉事ですからね、ここまで譲るとか、いろんなことがあると思いますが、そういう判断が上手く出来ていなかったようなことを改善していきたいと言っておられました。
これは、粘り強く会社側にも働きかけていく必要があると思いますし、あと、荷受けの問題もありますし、その他陸送の問題もありますので、多面的なアプローチが必要だと思います。
○NHK 宮本知幸 記者
パプリカの件に関して、どういう経緯で入ってくるということなんですか。
●知事
これは、パプリカは我国の場合は輸入というもんでありますけども、韓国は生産地でありますが、その生産地から、例えば、一旦釜山へ運ぶとか、ぐるっと回って、日本の方に入ってくるというような経路でありましたけども、大阪に運ぶにしても、境港に真っ直ぐ、産地に近い港から入れた方が早いですし、鮮度も良いですから、そういう意味で、わずか12時間で、夜だけで辿り着くこの航路の優位性というのが、ご理解をいただけたということじゃないかと思います。
○日本海新聞 川口耕 記者
これは、どのくらいの量が入ってくる見通しですとか、ありますでしょうか。
●知事
詳細、後でご報告いたしたいと思いますが、定常的に入ってくるという荷になりますから、その巨大なものではないんですけども、ベースカーゴ的なものになればと我々は期待をいたしております。
○山陰中央新報 太田満明 記者
パプリカは[韓国の]東海(トンヘ)でやった商談会で確か話はまとまったと思うんですけど。
●知事
ええ、あの時も言ってましたですね。
○山陰中央新報 太田満明 記者
他にもなんかそういった。
●知事
いや、いろいろ仕掛けています。全面的に前線を拡大しながら今やっておりますので、いろいろと、今、構想はあります。例えば、ロシアの方に日本のカレールーだとか、お菓子を持って行けないかとか、そういうようないろんな、今、和与仲立ちしながら折衝事をしているという段階ですね。たくさんそういう種があるなかで、今回、パプリカが1つ動き出したということであります。
○山陰中央新報 太田満明 記者
先ほど、パプリカをメインカーゴという話がありましたけども。
●知事
メインカーゴというか、ですから、要は定常的な荷として期待をいたしているということです。
○読売新聞 鷲尾有司 記者
博物館の分と、あと、もう1つ言われていた事務所開きというのは、これは、どれぐらいまで進んでいる話なんですか。
●知事
このたびやってきたような話がございますので、今、これから詰めていくということだと思います。アルセーニエフ博物館は沿海地方随一の博物館でありまして、いろんな展示をしています。アジアの展示も非常に多いです。ソコロフ館長は歴史学者でいらっしゃいますので、日本の歴史にも興味を持っているだろうと思いますね。
そういう意味で、今も、日本も含めた北東アジアの測量だとか、探検のテーマ展示なんかを今、やっているんですけども、そうした分野でありますので、私どもの博物館とも交流、いろんなネタは出来てくるんじゃないかなと思います。
ただ、どういうような分野で実際に共同事業をやってくかとか、学芸員の交流はどうするかとか、そうしたところはこれから詰めていくことになると思いますが、この秋にも訪問団を鳥取から出すことにしたいと思います。昨年は向こうからやってきたわけでありまして、今回はこちらから出したいと思いますが、先方のご希望としては、早ければその機会に協定を結びたいという話をされておりました。
それから、もう1つのロシア平和基金でありますが、これはモスクワに本部がある基金でありまして、連邦の息がかかったものだと思っていただいた方がいいかもしれません。それが、ロシア国内ではサンクトペテルブルクと、あともう1つはウラジオストクと、この2つ支部組織を持っておりまして、だから、全ロシアの東側の責任者ということですね、そちらの方のズブリツキーさんが鳥取の方にも来られたことがありまして、鳥取に、ぜひ、こういう船の問題もあるんで作るべきだと、モスクワの本部とかけあって了解を得たと言っていました。
典型的な事業は、ロシアの学術書などがありますが、こういうものを大学にその希望を聞きながら提供していくと、そこを事務所的に使っていくというようなことが、1つ選択肢としてあります。あと、もう1つは、もう少しPR効果を高めるために、DVDだとか、展示だとか、工夫をしながらやっていく事務所の形態もあるんだそうです。それはこれから急いで詰めましょうということにいたしました。
県内にもいくつか候補地になりそうなところがあると思いますので、それのリスト、写真など参考資料も付けて、至急ズブリツキー支部長の方にお送りするということにいたしております。
○読売新聞 鷲尾有司 記者
候補っていったら、やっぱり境港とかになるんですか。
●知事
境港に限らないと思いますね。割と大学と連携した事業も多いようでございますので、大学機関と連携するやりかたも選択肢に入ると思います。
○日本海新聞 川口耕 記者
ミスコリアの件なんですけど、鳥取で合宿を開くという理解でよろしいでしょうか。
●知事
1つのスケジュールの中のプログラムの一環として鳥取にやってきて、また韓国へ帰るということ。それで、何をするんでしょうね、審査をするんでしょうか、ちょっとそこはよく分かりませんが、合宿ということです。56名か、随分大所帯だったと思いますけどね。これもあれでしたら詳細を、我々知ってる情報を提供させていただきたいと思います。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者(幹事社)
その他何か、ありますでしょうか。では、これで終わります。ありがとうございました。
●知事
どうもありがとうございました。