●知事
皆さん、おはようございます。昨晩大変な豪雨が中国地方でございました。今、鳥取県内でも雨がまだ降り続いている状況でありますが、今のところ、智頭町の女性が水路の中の土砂を撤去しようとして、それで転倒して負傷されたということがございました。[県立]中央病院の方に運ばれて、今、加療中だということであります。
また、県道は智頭町の物見峠付近で土砂が一部道路に流出をいたしまして、この結果、不通箇所が1箇所出ております。この不通箇所は、今、土砂の撤去作業に入っておりまして、今日中に復旧できると見込んでおりますし、迂回路もあるような状況であります。
まだ、雨は降り続いておりますが、昼ごろまでには雲も薄くなってくるのではないかというふうに期待をいたしておりますが、依然、警戒態勢の中にあるという状況であることをご報告申し上げたいと思います。
●知事
先般、参議院議員の選挙が行われました。そのあと、活発に与野党で様々な動きが出始めている状況であります。国民の審判でございますので、その結果は、政府与党、それから野党のかたにも重責を担われるわけでありますから、その重みも感じ取っていただきたいと思っております。
国民は、今回の選挙の結果として、与党が一方的に物事を進めるのではなくて、野党との十分な協議をしたりして、国民の意識や地域の事情をよく汲み取ってやってもらいたいということではないかと、私は思っております。
ですから、いたずらに国政を停滞させるのではなくて、むしろ景気対策だとか、地域が求めている地域主権、地方分権といったような課題でありますとか、そうしたことに、迅速に対処していただくような新しい政治体制を構築して向かって行っていただきたいと思います。
私は、このあと[全国]知事会の方に向かいまして、本格的には明日、明後日が議論の正念場になってまいりますが、これからの新しい政治状況の中で、私たち地方自治体が向かうべき道筋について議論をしていくということにさせていただこうと思っています。
地方税の問題も消費税論議と当然絡んでくるわけでありますから、我々の立ち位置も話し合う必要があると思いますし、また、民生関係でも、例えば、新型インフルエンザの関係で大量に医療機関などに[ワクチンの]在庫がたまってしまったと。こういう問題について、国で対処してもらいたいというような要望をするとか、いろいろと我々の方でも求めていかなければならない緊急な課題が見えております。
そういうことに、やはりこれは与野党ということではなくて、対処すべきは対処するということでやっていただければありがたいというふうに考えているところであります。
●知事
いよいよ、夏も本格化してきた状況の中で、8月1日から4日と今予定をされていますが、ニコラス・ゾォウロスさんと、それから、イギリスからマッキ―バー先生がお見えになりまして、このイギリス、ギリシャの学者のお二人によります審査が、世界ジオパークネットワーク加盟について始まる運びとなりました。
私たちの鳥取県側から最初に入ってきて、それで、東に向かっていくという、そういうコース設定だと今のところは伺っております。最初の第一印象を我々が担うわけでありますから、緊張感を持って、成功に向けて、全力を傾けてまいりたいと思います。
これはワールドカップ[サッカー]と同じでありまして、日本の論理だけでなくて世界の舞台での挑戦であります。舞台の幕が開くまでは正直どうなるか分からない、予断を許さない状況であります。ですから、この際、兵庫県、京都府側とも一丸となって、私たちはこの世界ジオパークネットワーク加盟という果実を手にすべく、戦ってまいりたいと考えております。
これは行政の力だけでもありません。民間の皆様、住民の皆様にもいろんな形で協力をしていただいて、今回の審査の成功に導かれるようになればいいなと思っております。
審査団のご一行の方は、政治的介入はもちろんでありますけども、じっくりと見たいという、そういう気持ちだと伺っておりまして、あんまり大騒ぎをしてもいけませんけれども、それよりも、私たちに、今、出来る準備体制を整えたり、それから説明にあたるかたがただとか、周辺のかたがたにも心の準備をしていただく、いろんな打ち合わせをしていただくということは必要だと思っております。
今日、これから、県庁の[山陰海岸]ジオパークネットワークのプロジェクトチームを召集をいたしております。このチームの中には鳥取市だとか、岩美町も入っておられまして、事実上、それぞれの地域も代表して来ていただくことになっております。ここで、直前の心構えについて、大いに議論を交わすことにさせていただいております。
また、本日、鳥取空港に新しい掲示板を電光で設けることにいたしました。これは審査員の2人の先生が、こちらの方に入ってくるわけでありますが、ボーディングブリッジを経て空港ビル内に入りまして、そして、荷物を受取られるでありましょうから、その荷物室の方に、回転台の方に入っていくわけでありますが、そちらの方に、世界ジオパークネットワークについての我々の山陰海岸の掲示を出させていただくことにいたしております。
また、天候がちょっと、今、思わしくはありませんが、明日から緊急に、ジオパークネットワークについての道路標識を県内、順次、設置をして間に合わせたいと思っております。
また、鳥取の写真集、「写真集とっとり」というのをこの度出版いたしました。この中には山陰海岸ジオパークについての項目もございまして、是非、多くのかたにご参照いただきたいと思います。
この写真集の収益につきましては、[出版元となる]書店側、今井書店さんの方から、一部、このジオパークの取組について、寄付をするというお申し出もいただいておりまして、そういう意味で、CSR[企業の社会的責任]の中で、ジオパークヘ寄与したいと、こういうようなお話もいただいているところであります。
このような様々な取り組みをこれから8月1日、お迎えするまでの間にしっかりとやっていって、万全を期してまいりたいと考えております。
●知事
今、私達は、新しい観光需要を掘り起こさなきゃいけないと思っております。特に、中国のかたがたがノービザで日本に入国する機会が大変に増えてくるだろうということであります。これはアジア各国の他の地域についても同様に、将来の観光客として潜在需要があると見込んでおります。
折しもシンガポールの港が中心になりまして、アジアのこうしたクルーズフェリーを運航する、そういう目標を持って、その港の組合を作ろうじゃないかと、こういうお話がございまして、明年早々にでも立ち上げに向かおうということで、境港がいかがだろうかと、こういう打診がありました。
私としては、これから大型の客船がクルーズをしてアジアを渡り歩くという時代になってくると思います。シンガポールの方では、既にそういう実績も積み重ねておられるようでございまして、この船足を日本の方に向けるという場合に、他の諸国との関係もあるんでありましょうが、境港に白羽の矢が立ったことは歓迎すべきことだと考えておりまして、このアジアのクルーズフェリーの組合の方に、加入する方向で向かっていこう、検討していこうではないかと、このように考えているところであります。
今は、まだ見込みでありますが、こうした対応を、渡るクルーズの相手先としてシンガポール、それからフィリピン、また、香港、それから、青島とかそうした中国、仁川や済州といった韓国、こうしたところも仲間として、この組合に入ろうじゃないかという検討をしているということであります。
境港もその一翼を担わせていただいて、こうした新しい旅の需要を掘り起こす、海のロマンを掻き立てるような、そういう事業を国際的に共同で取り組んでいってはどうかというふうに考えております。
●知事
この後、私は関西の方に参りまして龍谷大学と鳥取県との協定を結ぼうと思っております。これは鳥取県内にUターンだとか、IJターンで就職していただくことなどを念頭に置いた、そういう大学との協力関係を締結しようと考えております。
また、知事会が終わりました後でありますが、京都の方でゲゲゲの鳥取県のキャンペーンを京都ロフトで行うことにいたしておりまして、私もそこに参画をすることにいたしております。
その他、今週末には三徳山の方で新しい建築の行事が行われるとか、様々な行事が行われるわけでありますが、いよいよ夏休みシーズンに入ってまいります。是非、県民の皆さまもご家族ともども、楽しんでいただければというふうに思います。
最近は、「GOPAN」という、三洋電機の新しいお米からパンを作るという商品開発が進んだとか、また、境港の方では海藻を使った食品の開発が進んだとか、そういう企業の努力も結実しつつあるように思います。
こうした動きを捉えて、新しい政府が出来ましたけれども、経済回復を地域から発展させるように、ぜひとも早急に取り組んでいただきたいと考えております。私からは以上です。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者(幹事社)
各社、お願いいたします。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
この[港の]組合についてなんですけども、シンガポールが呼びかけて、シンガポールが鳥取県に打診してきたということなんでしょうか。
●知事
おっしゃるとおりです。今、仲間をこう集めて、締めくくろうとしているところなんですが、韓国とか、中国、中国国内でありますと香港とかですね、フィリピンだとか、こういうふうにクルーズ船ですから、ぐるぐるぐるぐる回って航路を描いていくという、そういう構想であります。今までもそういうツアーは、東南アジア方面で一部なされているそうでありまして、やはり今後の旅客需要を考えますと、日本というのも魅力的なゾーンになって来るんだと思います。
ただ、言わばこう一筆書きのように歩くわけでありますから、あんまり入り込んで来ると、韓国とか中国とか遠くなりますので、境港の優位性が認められたのかなと私は思っておりますが、いずれにいたしましても、良い話だと思いますので、加わっていきたいと思っております。
この新しい組合で、そういうツアーの企画を、造成をして、具体的にオペレーションを行うような、そういう旅行会社など共同で売り込みをかけていこうと、こういう構想であります。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
シンガポールのその政府とか、観光局か何かから鳥取県にあったんですか。
●知事
これは、港が中心ですね。港の運営会社がございまして、そちらの方が最初にリーダー役を買って出たということだと思います。ただ、シンガポールの国情かもしれませんが、以前私もシンガポールからお客さんを受け入れましたけども、そういう政府側も、この計画を応援しようという形で動いていまして、そうしたシンガポールの大使館関係者とか、そうしたところからも我々の方に、お話が来ております。
○日本海テレビ 山本愛 記者
そのクルーズ船の具体的な時期っていうのは、どのあたり。
●知事
まずは、ひとつ組合を作りまして売り込みをかけるということになりますが、新年からこの組合を立ち上げようと、それから、そういう具体的な活動に入りますので、来年度以降が現実の話だろうと思います。ただ、船の規模としては、かなり大きなものも含めてということになると思いますので、我々としては、魅力ある話だと思っております。
○山陰中央新報 太田満明 記者
かなり大型の船っていうのは、境港に入りますか。
●知事
境港に入る船です。その程度の大型ということかもしれませんけど。
○山陰中央新報 太田満明 記者
あっちの機材の方でしょうか。この前、境港の中に入りましたよね、飛鳥でしたっけ。
●知事
「飛鳥」ね。ちょっとそこはまだ、そこまで船が具体化していませんので、要は、これは港同士で連携をして、それで、お互いの間を行き来をするような、そういうクルーズ客を呼び込もうという、そういう作戦でありまして、そういうことで今までも商品造成をしてきた経緯があるそうです。この際、アジア、かなり広げてみて、やっていこうじゃないかというのがシンガポールからの呼び掛けであります。
○NHK 松本裕樹 記者
これは、日本では境港だけになるんでしょうか。今のところ、打診があるのは。
●知事
そうだと思いますけどね。そこは先方に聞いてみないと分かりませんが、我々としては手を挙げさせていただくという格好で、今、臨んでおります。
○日本海新聞 田村彰彦 記者
組合に加入することで、県費の新たな持ち出しというのはあるのかどうか、これが1点。ちょっと具体的なメリットというのはいまいちピンとこないのですが、どこになりますか。そのあたりを。
●知事
はい。これは、県費の持出しは事務費的な持ち出し程度だと思います。だいたい、そうですね、200万[円]もいかないんじゃないでしょうか。要は、事務費的な、組合ですので、そういう持ち出しになるかなと思います。
ただ、問題は、お互いに港の受入体制も整えて、そういうような、お客さんの受け入れができるようにしていきましょうということがあります。これはまた別途、当然ながら、客船が入ってくるのであれば、一定の我々の方のお付き合いと言いますか、手出しはあるかもしれませんけども、基本的にはそんなに大した[金額ではなく、]事務費的な負担にとどまります。
メリットの方は、もちろん、組合を作って、どれだけ実際にツアーが造成できるかというのは、みんなでやってみなければというところではありますけども、実際にお客さんが動くようになりますと、これは、今の境港が年間受け入れております海外からのクルーズ船ですね、海外客向けのクルーズ船とは、桁が1つ2つ変わってくるなぐらい大きな経済効果はあるだろうと思っております。
挑戦してみなければ始まりませんので、まずは、そういう組合に加入するということで競争状況を整えたいと思っております。
○山陰中央新報 太田満明 記者
境港は、こう、客がありますと、拠点港指定というのはどうなんでしょうか。
●知事
我々の視野の中に、当然、そこを入れて考えているわけでありまして、重点港湾を、ぜひ、ご指定いただきたいと。これは国[土]交[通]省の方にも要請活動をさせていただいております。さらに、環日本海の拠点港として、日本海側の拠点港湾の中に、今後、入れていただきたいと、こういう運動もしていきたいと思っています。
今のDBSクルーズフェリーというユニークな航路に加えて、こうして実際に、客船がいずれ、いつか入ってくるようになってきますと、これは、国としても、判断材料の中にはプラスに働くだろうと思っておりまして、そういう意味でも、私たちとしては積極的に検討したいなと思っています。
○山陰中央新報 太田満明 記者
確認のすべがないんですけれども、一説によりますと前原国交相は、日本海側は各県に1箇所ずつ拠点港湾を作るんだと。それは、知事の推薦を受けたものにしたいんだというふうな話が伝わっているんですけれども、その辺りは、知事の方に何か伝わっていますか。あるいは、真意というのはどうなんでしょうか。
●知事
そこは、我々は審査を受ける立場なので、正直分かりません。ブラックボックスだと思っています。ただ、我々としては、境港がパルプや紙、それから新しいDBSクルーズフェリーという航路、こういう意味でユニークな他の地域にはない港湾の体裁を整えていますから指定していただきたいと、これは熱心に働きかけていこうと思っています。
○山陰中央新報 太田満明 記者
もし、その県1箇所、知事の推薦ということになれば、知事としては県内の鳥取港もあれば境港もあるわけですけれども、やっぱり境港の方を推薦するという形になるんでしょうか。
●知事
これは、先の6月議会でも、国への要望事項の中で整理をさせていただきましたが、それでも境港を重点港湾として指定してもらいたいと、こういうように盛り込んでありますので、その方向で行くべきだと思っています。
○日本海新聞 河崎誠 記者
話は変わりますけれども、余部鉄橋なんですけれども、[7月]16日で約100年の歴史に幕を下ろすということになるんですけれども、その余部鉄橋に対する知事の思いと、また新たに架け替えられる鉄橋に対する期待の部分をお聞かせ願いたいのですが。
●知事
はい。余部鉄橋は、[昭和61年12月に、列車転落という]非常に悲しい事故がありまして、その意味では交通のいわば難所と言いますか、改善しなければならないそういう個所として、鳥取県も負担を払いながら整備をしてきたわけであります。
ただ、景色がものすごく良いところでありますし、詩情性豊かでありまして、例えば、映画の「夢千代日記」の中でも、あの余部鉄橋のところで、列車から飛び降りる人がいたのを主人公が目撃するシーンがあったり、そういうように、いわば人の想像を掻き立てる、そういう有力な観光資源でもまたあると思います。
今回、余部鉄橋の架け替えに伴いまして、まずは、現橋を走る列車を止めて8月には新橋を走りだすということになりましたけれども、時代の流れとして受け止めなければならないことだろうと思っています。
我々としては、定時制が確保できることになりますから、ぜひJRとして利便性を高めてもらいたいと、このことは井戸[兵庫県]知事とともに、JR西日本に要請に行きましたし、今後も強く要請していきたいと思っております。また、その旧橋を一部保存をしまして、観光資源としての値打ちも残そうということは、我々としても歓迎すべきことだと思っています。
山陰海岸の[世界]ジオパーク[ネットワーク]の指定がどうなるか、今、非常に興味が持たれているところでありますが、そのジオパークエリアと重なるところに、この鉄橋がございますので、周遊ルートを作って、鳥取県側ももちろん含めた形での人の動きができる起爆剤になるんじゃないかなと、このように期待をいたしております。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者(幹事社)
他には、よろしいでしょうか。では、ありがとうございました。
●知事
どうもありがとうございました。