●知事
皆さま、おはようございます。この度の雪害がさらに日本海側各地で拡大しておりまして、福井県など北陸を中心として大変な被害が出ておりますことにお見舞いを申し上げたいと思います。
また、鹿児島、宮崎県境の霧島連山新燃岳の噴火につきましても、これも大変な被害が発生している状況でございまして、併せてお見舞いを申し上げたいと思います。私どもで何かお役に立てることがあれば、今後とも地域を越えた協力をしていく用意があると思います。
●知事
私どもも、雪害で大きな被害がありました。今日は晴れやかな日になりまして、雪のピークは一旦過ぎた格好であります。これから復興に向けて、私たちも力強く県民の皆さまと一緒に立ち上がっていかなければならないと考えております。
そういういろんなプロジェクトをこれから始めていく必要があると考えておりますが、例えば、[鳥取県豪雪災害復興]義援金を募集をいたしましたところ、大変に多くのご芳志が、今、寄せられつつありまして、ライオンズクラブさんだとか、あるいは[国際]ソロプチミスト[鳥取]の皆さんとか、各種団体なども含めて、今、続々と申し出が寄せられております、本当に感謝の限りだと思います。こういうように、今、雪害について多くの皆さんが支えて、そして、何とか鳥取頑張れよという声が高まっております。
ある投書が来ました。米子市民のかたでありますけれども、多くの松が失われて大変に悲惨な状況だと、それで、これをもう一度復活させる、そういう取組を全国の皆さんにも呼び掛けて、ボランティア事業でやってはどうだろうかと、こういう投書でございまして、私も、なるほどそうだと考えました。
部局の方で、いろんな調査をしてもらったり、計画を練ってもらったりしたところでありますが、この度、「白砂青松復活ボランティア」事業を全国の皆さまにも呼び掛けてやっていきたいというふうに考えております。
今、実は倒木したところが弓ヶ浜半島1つ大きなポイントがありまして、5,900本倒木をし、さらに枝折れも含めますと6,700本の被害があります。それから、鳥取砂丘の方もやはり白砂青松の松原がずっと[福部村]湯山だとか、海士(あもう)だとか、あの辺広がっております。ああいうところでも1,300本、これも被害にあっているという、景観上も痛ましい状況であります。
従いまして、その白砂青松の松原をもう一度復活させる、あるいは、もう一度綺麗にする。少なくとも景観上、重要な観光ポイントでもありますし、鳥取県民のシンボルでもありますので、そうしたところを皆の力で甦らせたいというように考えております。
この白砂青松復活プロジェクトでございますが、まず第1回目は2月19日、20日の週末に行うことといたしまして、鳥取砂丘の方のポイント、湯山だとか、海士といったポイント、それから併せて、境港市の佐斐神(さいのかみ)[町]の、空港の近所のところになりますが、ああいったポイントでこういうボランティア事業をまずやってみてはどうかというふうに考えております。
この後、そのボランティアの皆さんの力を借りながら、また、同じような事業をやったり、植栽をしたり、少しずつステップを上げながら皆で育てる、もう一度復活させるという、そういう息の長い話になろうかと思いますが、このような住民参加型の復興プロジェクトというのを、これも全国的にまだ珍しいかもしれませんけども、やってみる値打ちがあるんじゃないかと思います。
具体的に何をやるかと言いますと、この2月19日、20日のとき、東は鳥取市の湯山のあたり、それから、西は境港市の佐斐神のあたり、こういったところで、今、木は危ない状態は、これはプロが[伐採を]やらないと怪我をする可能性があります。従いまして、きちんと危険のない状態に切って、今、実は地面に寝ているというような状態になっています。
それで、この地面に寝ている切った幹、これには枝がついております。この枝をのこぎりで切って、それを幹の部分とも合わせて小さなチップにすると。このチップにしますと、燃料だとか、いろんな用途に使えるようになります。パルプの原料だとか。
それから、幹だとか、あるいは太い枝だとか、それ自体使えそうなものは、それ自体として用途があるかもしれないというふうに考えております。例えば、今、交渉をしておりますけども、県内の工場で、例えば、製紙系の工場で引き取っていただけるというような合意ができたり、あるいは、ペレットストーブのような、そういう燃料として使ってもいいよという、そういうご承諾を得たりしまして、民間の企業の皆さんも、このプロジェクトに参加しようという、そういう今、動きになってきております。
場合によっては、登り窯のように、薪を使う人たちがいますけども、そういうところに、折れた枝を、これを加工したものにしまして、折れた枝のものを薪にして、それをそういう陶芸なんかでも使っていただける可能性もあります。そういう意味で、ボランティアで参加していただくかたとか、これを引き取ってもいいよと、そういう企業さんを、募集させていただきまして、マッチングをしてやっていこうというふうに考えております。
ボランティアの皆さんは、横になって寝ております切り倒された危険のない状態になっております、そういう幹から枝を離しまして、その幹のような大きなところ、これをチップ化する場合は輪切りにする。そういう輪切りにしまして、これをチップ化の機械を現場へ持ちこみまして、そのチップ化の機械に投入をしていただくと。それで、最終的にはチップができたり、また、成型されたというか、ある程度形のいい幹だとか、枝だとか、そのまま使えるものもちょっと分別をさせてもらって、それで、引き取り手の方に渡していくと、こういうことであります。
地道な作業でありますけども、ただ、住民の皆さん、あるいは全国で、今回鳥取の白砂青松が失われたことに危機感を持って共鳴してくださるかたがたいらっしゃると思いますので、そういうかたがたにも参加をしていただいて、鳥取ならではの雪害復興プロジェクトをやっていきたいと思います。
それから、[豪雪になると]ハウスが倒壊をするわけでありますが、まだ、雪のシーズンが続きます。従いまして、こういうふうにして、ハウスに、例えば、少し木材を当てて補強をするとか、そういう技術があります。2月4日に、そうした技術の展示講習会をやろうと計画をいたしております。
また、雪崩がこれから心配なことがあります。その雪崩対策として、雪崩の危険箇所を今あぶり出しをいたしまして、点検をして、治山砂防系統の県の職員で見回りをしようと、これも2月4日に計画をいたしております。
●知事
それから、その他にも、いろいろとこうした雪害対策をやっていくわけでございますが、今回、雪の大渋滞が発生した反省もあります。国土交通省とは先般話し合いをしました。あともう1つですね、NEXCO西日本、旧道路公団の西日本がございますが、このNEXCO西日本とも、このたび[大規模災害発生時等における相互協力に関する]協定を結ぼうということになりました。
これは雪害に限らず、災害一般ということになりますけども、例えば、雪で言えば、2本、米子道と[国道]181号と並行して走っています。これらを相互に道路利用をできるような、そういう協定でありますとか、あるいは、除雪機などのいろんな機材が相互にございます。これをお互いに協力し合って、互いに出動し合う、そういうことを協定をしようということにいたしております。
これはもちろん雪に限りません。他のいろんな災害もありますし、いろんな能力がNEXCO西日本にもございますので、その辺の能力を地域で防災時に活用させていただくと、こういうことも含めた協定を結ばせていただこうと考えております。
●知事
いろいろ雪害対策、ハウスなども含めてやってまいりますが、当初予算、最終的にこういう雪害対策だとか、あるいは、子どもの医療費特別支援の経費をはじめ、さまざま経費を盛り込みまして、最終的には3,223億円の規模で提案をいたしたいと考えております。
昨年度当初予算と若干減った格好になりますが、骨格予算でございますので、さらに、選挙後に当選した知事の方で再編成してもらうと、そういう肉付けの余地を残すということで、若干減った格好に当初予算では去年に比べてなっております。
●知事
それから、新しいブランドを、いろいろこれから売り込んでいこうというのがテーマになると思っていますが、2月7日には、東京のアンテナショップでいろんな有名レストランなどを招待をしながら、試食発表会をしようと思っています。
昨日、私も参加しましたが、「因州しし肉」というイノシシの肉がございますが、これもそういう出品対象になりまして、いろんな県内各地の産品を集めて、有名レストラン等で使ってもらえないだろうかと、こんなレストラン展示をしようと考えております。
さらに、この牛肉でありますけども、牛肉も鳥取県は素晴らしい系統があります。全国の畜産農家がご存知なのは、「気高号」という、これ大きな牛でありますし、つまり造体がいい、発育がいい牛でありますし、また、今から調べてみますと、いい遺伝形質をいろいろ持っているんですね。
この気高号の遺伝系統を持っていて、しかも、オレイン酸という身体にいい脂肪酸がありますが、このオレイン酸を55パーセント以上含んでいるという基準でブランド化をしようと、畜産関係者が集まりまして、このたびそういう戦略を立てました。
これも、自分たちでブランド化だと言っているだけでは意味がないもんですから、全国の皆さんに、おいしくて健康にいい「[鳥取和牛]オレイン55」という新しいブランドがでましたよと、これを知っていただきたいと考えております。
ちょっとあまりにもいい肉すぎるものですから、ロットが沢山あるわけではなくて、本当に健康を大切にして、中にはセレブな暮らしを楽しんでおられるかたもいらっしゃいますから、そういうかたがただとか、健康志向のかたとか、あるいはちょっとプチ贅沢をしたいと、そんなときに使っていただけるんじゃないかなと、そんな肉で流通することを想定しまして、首都圏でも仕掛けていこうと、もちろん県内で発表会をやろうとしておりますが、首都圏では2月9日に、東京のインターコンチネンタルベイホテルのラ・プロヴァンスというレストランで、その試食発表会をしようとしております。
これ、いろいろ首都圏のそういうレストラン関係者だとか、マスコミさんのような、これは食だとか、そうした専門系も含めまして、ご招待申し上げたり、取材していただくなどして発表しようというふうに、考えています。
このラ・プロヴァンスでのイベントには石田純一さんに登場していただきまして、私も参りますけども、ちょっとスノッブに、味わっていただきまして、石田純一さん、健康志向とか、グルメ志向という、そういうキャラクターイメージもあるかたでいらっしゃいますし、その道の大家でもいらっしゃると思いますので、率直に食べていただいて、なめらかなトークをこの「オレイン55」でしていただこうじゃあないかと、こんな計画をいたしております。
この石田純一さんにも登場していただいて、「オレイン55」を、ぜひ全国の皆さんに認知をしていただく、そういう輪を広げていきたいと思っております。
●知事
環日本海時代をにらんで、これからリサイクルポート(総合静脈物流拠点港)が指定をされたわけでありますから、これからさらに前へと進めていかなければならないと思います。
東京に上京した際、直接お会いをしてお願いをいたしておりましたが、市村[国土交通省大臣]政務官が、山陰両県でございますが、鳥取県の方にも来ていただけることになりまして、今晩から明日にかけて、いろんな意見交換をしたり、境港を見てもらおうということにしております。
市村政務官は、環日本海時代をにらんだ拠点港の選定責任者でもいらっしゃいますので、そういう意味で、我々としても重点的に調整をさせていただいたわけでありますが、願い叶いまして、随分早く実現しましたけれども、明日、境港も実地に見ていただくという運びになりました。
大変歓迎をしたいと思いますし、我々として、環日本海航路だとか、それから、そうした港湾整備の必要性だとか、当然ながら新規事業も、今、要望中でございますので、こうした箇所を実地にご覧いただいて、認識を深めていただきたいと思います。
●知事
また、鳥取県の後背地として関西という大きなエリアがあります。このたび関西の財界人、経済人のセミナーが京都で開かれることになりまして、私も、パネリストとして参加をさせてもらおうと思っています。
大阪商工会議所の佐藤会頭とか、それから、関西経済同友会の大竹代表幹事とか、そういうかたがたとパネルを組みまして、テーマとしては「関西発 アジアとともに栄える道」という、そういうタイトルでパネルディスカッションを行うことにいたしております。
ぜひ、関西圏のかたがたにも、せっかく我々も関西広域連合に顔を出したわけでございますので、認知をしていただきまして、やっぱり境港を使うというのは効果があるなと、鳥取港も含めて、あるいは山陰も含めていろんな交流のルートを作ることは素晴らしいなというふうに分かっていただけるような、そういうパネルディスカッションでの発言をしていきたいと考えております。
●知事
この他、いろんな行事がございますが、2月5日には「鳥取力創造セミナー」でC・W・ニコルさんに来ていただきまして、環境問題も当然入ると思いますが、ちょうど今、鳥取環境大学の議論もしている真っ最中でございますので、そういう環境問題なんかもテーマに上がると思いますが、地域住民の参加について、いろいろご意見を交えさせていただきたいと思います。
それから、ちょうど雪が降りましたけども、好都合なことに、智頭[宿]雪まつりというイベントがございまして、結構、年によっては雨が降ったりして、何のお祭りか分からなくなることがあるんですが、今年はしっかりとその雪を見ていただき、楽しんでいただけるそういう環境にあります。
いろんなイベントも冬ではありますがございますし、スキー場も足るほど雪がございますので、ぜひ、皆さまにもお出かけをいただいて、地域の活力、ご協力いただければありがたいなと思います。私の方からは以上です。
○NHK 月岡信行 記者(幹事社)
それでは、各社、質問がありましたらどうぞ。
○毎日新聞 遠藤浩二 記者
雪害対策のボランティアのことなんですけども、これ、知事に手紙が直接来たということで、知事宛てに。
●知事
ちょっと相手がたのこともありますが、メールです。
○毎日新聞 遠藤浩二 記者
その投書によって、知事さんが考えて動き出したということに。
●知事
そのメールでご指摘をいただきましたのは、今、全国で、我々も「[とっとり]共生の森」っていう事業をやっていますけども、そういう、皆で植林をする、皆で森を整備するという動きになっているんですから、こういう大規模な災害のときは、むしろ、全国に開いてボランティアを受け入れるようなことを考えてはどうかと、そういうご主旨でございました。
我々も、どうやってこれ、復活させるかなという頭を抱えていたところもございますので、そういう住民参加型でやっていこうというお話に共鳴しまして、事業化をしようと考えました。今の既定経費の予算だとか、それから、2月補正も含めまして、予算を作りながら、今後、息の長い話になると思いますが、やっていこうと思います。
○NHK 月岡信行 記者
今の時点で、例えば、どういった人に来てほしいとか、募集要項じゃないですけど、あと、多いに越したことはないですけど、どれぐらいの人が来てほしいとか、というのはありますか。
●知事
詳細は担当部局の方から今のプロジェクトをご紹介申し上げたいと思います。全国、もちろん県民の皆さんにも参加していただきたいと思います。それは、いろんな呼びかけかたがございまして、今、「toritter(とりったー)」とか、そういう雪害サイトと言いますか、ポータルサイトもツイッター上で作りましたし、いろんなかたちで呼びかけようと、それから、こういう植林とか、森の関係の専門メディアもございまして、そちらの方にも、我々の方から掲載を働きかけると言いますか、掲載してもらうようにしたり、全国のかたにも届くような、そういうPRをして当日を迎えられればと思っています。
○NHK 月岡信行 記者
マツのマツクイムシとか、そういったのを除去したりとか、そういったのは結構あると思うんですけど、こういう雪害とか、災害で、こういったマツの除去をするボランティアを、その行政が何か呼びかけてやるっていうのは、何かあるんですか。
●知事
ないでしょうね、ないと思います。ただ、今までも、例えば[国道]431[号]沿いのあちらについては、抵抗性のマツを植えるボランティアを、地元の地域と共同してやっていました。マツ守り隊というボランティア組織を作りまして、今でもやったことはあります。ただ、こういう雪で倒木をして、めちゃくちゃになった白砂青松を、もう一度取り戻そうっていうプロジェクトは、あんまり私もちょっと聞いたことはないですね。
○共同通信 仲嶋芳浩 記者
細かい話になるんですけど、投書があった時期はいつ頃になりますか。1月。
●知事
1月ですね、もちろん1月のまだ、10日か2週間かそこらと思いますが、ちょっと日づけは担当の方から、もう一度確認して。
○読売新聞 野口英彦 記者
予算の関係で、詳細は追って明らかになると思いますが、知事としてはこう予算を「何々予算」と命名するとしたら、どういった予算になりますか。
●知事
今回は、しっかり[継続]雇用を守る。それから、安心を、雪害からの復興、そうしたテーマなどだと思います。そういうことを中心として、とりあえずは、骨格予算でありますので、あんまり出しゃばったことを申し上げるのもエチケットに反するかなあと思います。
ただ、心がけましたのは、雇用の確保だとか、雪害からの復興、それから、あと、子どもたちの育ちですね、この3つは、だいぶん意を用いたつもりです。
どうしても年度で始まるものもございますので、例えば、子どもたちの育ちで言いますと、先程申しました医療費の問題もありますけども、学力向上だとか、学校教育の場面でも、やはり4月から今度は、「スクラム教育」というような概念を立てようと。鳥取は、小さなコミュニティのところが多いですから、小学校・中学校・高校だとか、そういうところをつなげて教育をしていくことは、本来、やり易いと思います。大都市ではできないけれども、鳥取ならできる教育のシステムってあるんじゃないかと。
それで、こういうモデル地区を作って市町村の教育委員会と共同しまして、これを「タワー」と名付けようかと話をしているんですが、自治体によっては、幼稚園、保育園から始まりまして一貫した教育カリキュラム、例えば、相互乗り入れの授業があったり、それから、要は学習のレベルを埋め合わせをすることもあると思います。いろんな取り組みを支援をしようと、そのための教員配置も、ボーナスで付けたらどうかと、こういうプロジェクトを立ち上げようとしています。
こういうのは、どうしても年度で動かなきゃいけないので、そういう子どもの育ちの部分などは、どうしても年度事項になりますから、若干、政策経費的なこともありますが、入れていこうとしています。
経済雇用の関係でも、中小企業だとか、非常に雇用が難しくなってきている状況もありますので、全国で例はないかもしれませんが、この当初予算ベースから、これは、実は経済対策はやっぱり引き続きやらなきゃいけないと思っていますので、全国にまだあまり例はないかもしれませんが、雇用を守るのであれば設備投資なども助成しようと。
今まで、国の制度もそうでありますし、各県のいろんな企業立地支援、拡充支援をやっています。設備投資支援もあります。そういう時に、雇用人数を増やさなきゃいけないという、そういう[条件付きの]事業ばかりなんですね。実は、鳥取県もそうであります。
ただ、今はもう海外に工場が移転して、生産拠点が移転してしまうとか、そういう時代でございまして、どうやって、ラインを組み替えたりして、新しい雇用の種となる産業をそれぞれ企業が作っていくかと。そういう、商品アイテムの更新だとか、それから、他事業への転換だとか、そういうことを図りながら、企業さんが雇用をなんとか維持しようとしている。
この雇用維持のための設備投資であれば、従来よりもハードルを低くして、公共としても支援の対象としていいんじゃないかと、そういう、他県にはまだないと思いますが、そういう事業をやっていこうと考えております。
○読売新聞 伊藤晋一郎 記者
鳥取環境大学についてなんですけれども、昨日、知事も参加されている協議会が、カリキュラム案の最終案を取りまとめたと思うんですけれども、それについてご評価と、特に県の施策が、環日本海貿易であったりとか、漫画であったりとか、県の施策がかなり色濃く反映されたカリキュラムになってると思うんですけれども、それが果たして学生を獲得するのに、果たしてどれだけの効果があるとみておられるのか、その点を踏まえてちょっと。
●知事
いろいろ県の施策と関連したテーマが入っておりますが、それは、要は鳥取県自体が少し一歩先の未来を見ながら事業展開しています。
例えば、環日本海時代っていうのは、要は、どんどんグローバリゼーションが進みますので、当然ながら次世代を担う子どもたちにとっても必要な資質だろうと思いますし、たぶん、学生さんたちもそこは考えておられると思います。
それから、漫画といったようなクリエイティブな産業は若者の間で非常に人気が高いわけであります。そういう産業分野にいずれは進んでいく、進路を選んでいく、そういう可能性も考えれば、そういう漫画関係のメディア授業というのも面白いんじゃないかなというふうに思います。これも学生さんには、むしろ、聞いてみたいなという講義になるだろうと期待をいたしております。
こうしたテーマを、だんだん入れてきましたのは、これは県議会の議論もございまして、県議会で、もし、[鳥取]環境大学を公立化するのであれば、こういうことをやはり地域としても求めていくべきじゃないかと、それに、今、協議会の議論が応えてくれているという状況があると思います。
今のは、鳥取環境大学[改革案]の最終案でございますが、これ、最終案というか、要は粗々のフレームワークを今、作っています。本当に詳細なものは、さらに時間を掛けて積み上げていくことになると思いますが、原則的な地域の合意は取り付けなきゃいけません。それの原則合意の案となるような、そういうフレームワークを昨日取りまとめました。
今までいろいろ議論があったんですけども、私も少し意を強くしましたのは、アンケート調査で公立化に賛成するというご意見が8割と非常に高率だったと、高い率であったということでございます。また、今、県と市で協議会を作って進めようとしております大学改革、今の方向性を評価するというところが、過半数のアンケート結果でございまして、もちろん、これから、大学自体どんどん進化させていかなきゃいけないと思いますが、とりあえず、急いで、今、カリキュラム編成をしたり、教員を採用したり、そういうことを作業しながら、文[部]科[学]省の大学の認可を取らなきゃいけませんので、そのスケジュールを考えますと、今、だいたい県民の皆さんにもご理解をいただけた案になってきたかなという手応えは感じさせていただきました。
ぜひ、これから、市もそうでありますが、県としても議会がやってまいりますので、こうした、今、フレームワークを作ったものを、議員の皆さんにも聞いていただいて、議論していただこうと思っております。
○日本海新聞 川口耕 記者
先程、雇用維持のための設備投資資金のお話がありましたけれども、これは大企業とか、エプソンがいい例だと思うんですけれども、そういう場合、ケースだと想定しやすいんですけれども、例えば、中小企業、零細企業なんかで、どういうフレームを考えておられる、想定されているのか。
●知事
例えば今、ちょっとドラスティックな話で申し上げれば、今、じゃあ三洋やエプソン[イメージングデバイス(株)]の話みたいなケースだと、要はそういうことで企業再編がいろんな系列で、大企業系列で起こることがあります。
それで、そういう所から受注を受けている、そういう企業さんが県内多いですね。それで、その元となる、発注元の方が、もう、これ要らないよとなったら、その製品が作れなくなってしまう。販路を他に求めるという手もありますけども、じゃあ、いっそ、この固まりの分を別の我々の技術を使って新しい商品で、別の企業へ売り込んでいこうとか、この企業にもう1回売り込み直そうとか。
そうすると、設備更新が必要な場合があります。こういうことをやってもらって、雇用を維持するというのであれば、それの企業努力に応えてもいいんではないかと、こういう考え方です。
○読売新聞 野口英彦 記者
環境大のことでもう一度お尋ねするんですが、やはりこう、カリキュラムが総花的な感じがするんですが、知事がお考えになる新生鳥取環境大学の強み、コアコンピタンス(核となる)という部分は何処にあると思いますか。
●知事
今は、これからやはり地球環境のこと、あるいは身近な地域の環境のこと、そういうマインドを持ちながら、企業がビジネスチャンスを増やす時代になってきていると思うんですね。だから、社会全体がそういうものを求めるわけでありますから、今のカリキュラムが経営と環境と両方の学部になりますが、地域の要望に答える面があるかなと思います。
あと、経営学部につきましては、山陰では唯一のものになりますので、幅広い地域から学生を集めることができるのではないかという期待もあります。実は、アンケート調査とか、今の入試状況をみておりますと、ある程度その狙い目が評価されているかなという思いであります。
今、センター試験利用入試の募集が昨日で締め切りました、鳥取環境大学ですね。昨年は、これについて40数名の志願者であったんですけども、昨日の夕方時点で140名を超えていました。
だから、40名が140名を超えるぐらい来ますので、3倍増ですね。3倍以上のレベルで、おそらく締め切るともっと伸びると思いますから、そういうレベルで志願者が急増しています。これは、鳥取環境大学が公立化されて大学改革をするということが、受験生とか、あるいは受験産業の関係者、それから学校の先生、そうしたところで評価され始めているんじゃないかなと思います。
また、アンケート調査でも、進学先として考えたいというパーセンテージは夏に調査をしたときよりも確実にこれも上がってきております。いろんな議論を通じて県民の皆さん、あるいは県外のかたも含めて、環境大学の改革がある程度の評価をいただきつつあるかなと思っております。
○読売新聞 野口英彦 記者
知事のお考えとしては、公立化が実現すれば一段落というお考えなのか、あるいはその大学法人が、さらにもっと抜本的な改革をどんどん進めていくのか、どうなんでしょうか。
●知事
私は、今までは若干、硬直的と言ったら言い過ぎかもしれませんが、マーケットリサーチをして、それで大学がどんどん変わっていくと、本来、公設民営方式、私学でありましたからそういう機能を期待していたんですけども、そこがうまくいかなかったというふうに思うんです。残念ながら、志願者がどんどんと減っていったと。
今年はむしろ、またバネになって戻りましたけども、志願者がどんどん減っていくという中で、特に平成15~16年頃ですね、急激に落っこちていたときに、このままでは大学のカリキュラムを全部見直さないとだめなんじゃないかと言って動き始めるところが、実は動かなかったと。
それで、その間に経営基盤を揺るがす事態になってしまったということがあります。だから、今後は、もちろん公立化はされまして、県議会や[鳥取]市議会を含めた民主的なコント[ロール]の中に入りますが、大学としての一定の独立性を持っていただいて、その中で経営委員会だとか、あるいは企画系統だとか、教学系統だとか、そういうところがPDCAを回して、やっぱり自立的に発展してもらう、そういう仕組みも必要だと思います。
それに住民サイド、財政サイドから県や市が意見を出していくと、新しい大学のスタイルを作っていかないと、また同じことが繰り返されてしまうかなと思います。
○共同通信 仲嶋芳浩 記者
民主党の小沢さんが強制起訴された件についてお伺いしたいんですけど、司法の判断はまだ今後、長い期間待たないといけないんですけど、各社の世論調査では、起訴された段階で議員辞職か、離党すべきではないかという意見もある一方で、小沢さん自身は、党に残り続けるというふうに言っているようなんですが、そのあたりの身の振り方についてはどのようにお考えでしょうか。
●知事
これは、政治家の出処進退の問題でありますから、小沢一郎議員のような、言わばスケールの大きな政治家でいらっしゃいますので、自ら判断をしっかりとすべきではないかと思います。民主党の黄門さまが自分でいい判断してくれるよと、こういうふうにおっしゃっていましたけど、そういうことに期待したいと思いますね。国民世論はやっぱり政治と金の清算を求めていますから、そうした空気と言いますか、国民の心をよく感じとっていただきたいと思います。
○時事通信 京正裕之 記者
先日ですね、新潟県と新潟市が合併をして、新潟州をつくるという構想を発表したんですけども、それは政令市と県の二重行政を解消するということが目的だと。それで、背景には国の地域主権改革が遅れているということもあるようですけども、こうしたこれまで大阪とか、名古屋といったのとはちょっと違った動きが新潟で出てきたんですけども、こういう動きに知事はどう思われますか。
●知事
私は大いに議論したらいいと思います。鳥取県は幸か不幸か政令[指定都]市はございません。従いまして、事業の重複とか、そういう二重行政的な色彩が薄いですけども、[政令]指定都市と県や府となりますと、いろんな意味で重なりあっていて、コントロールタワーが2つ存在するというようなことになっていると思います。
これは住民として住民自治を行使するのに、ここで決定すれば決まりだというのができませんので、そこが難しさが残るだろうなと思います。
よく言われるのは、例えば県議会議員と、それから指定都市の議員とおられますよね。それで、神奈川県でもそういう議論があったそうでありますけども、結局、県も指定都市も同じようなことやるわけでありますけども、県にも指定都市にも代表を住民が送り込むということになるわけでありまして、それの調整と言いますか、重複と言いますか、そういうものは拭い切れない面がどうしてもあると思うんですね。
この辺は、今、指定都市がどんどん増えてきていますので、もう一度自治行政を組み変えなければいけないと思います。そこは政府の検討は遅れているなと私も思いますんで、新潟県、新潟市でそういう議論がおきたことは、ぜひ、展開を早めていただければありがたいのではないかなと。今大阪でも同じような議論がありますので、住民自治が促進されるためにも効率のいい地方自治を設計するためにもメリットのある話だと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
その地方自治に関連しまして、今度6日に愛知県知事選、名古屋市長選、住民投票というトリプル選が行われることになりまして、我々も大変注目しているわけですが、首長が地域政党を組織して、代表なり党首に就任して議会で過半数を目指すと、こういう動きが憲法93条における地方自治の二元代表制にそぐわないんじゃないかという指摘があります。これについて知事の見解をお願いします。
●知事
地域政党は決して否定されるべきものではないと思います。これは政治的結社の自由が憲法上ございますし、民主主義の手段として公器である政党を地域ローカルに設計することは、それはそれで正しいだろうと思います。
ただ、あとは運用の問題だと思うんですね。運用の問題として、その地域政党を何のために作るかというときに、首長の意向が、結局議会との対峙の中で反映できないと、それでフラストレーションの中から単純に地域政党を作って過半数を取ればいいという、こういうロジックを立てるわけでありますが、やや、それは権力志向の議論ではないかという感じがいたします。
私は、政治的アプローチが、多分根本的に違うんだと思いますが、百家争鳴の中に民主主義っていうのはあると思います。いろんな議論があることを受け入れながら、執行部である首長部局が議会との対話、時に対立、この中で結論を導いていく方がより広い民意が反映されるのではないかと思います。
結局、マルかバツかの議論をしますと、捨てられる世論も大変に増えてきます。しかも政治的なパフォーマンスが先行することにもなりますし、それは民主主義のコストとはいえ、時間と経費を使う面があるんじゃないかなと思っておりまして、そういう地域政党は否定されるものではないし、むしろあってもおかしくない存在だと思いますが、それを首長がヘゲモニー(支配権)握るための手段として、要は首長が自ら議会に乗り込む、その手段として使うというのには、私の政治信条からは違和感を覚えます。
○山陰中央新報 太田満明 記者
当初予算に対してなんですけども、国の当初予算、今年度の予算そのものは衆議院の優先権で、通過するんだろうと思うんですけども、予算の関連法案が、これがどこまで成立するかというのはちょっと不透明だなというところがある。これがもし通らなかった場合、県政、この3,200億幾らある予算に対して、執行できるかどうかという不安が出てくると思うんですが、そのあたりはどうなのかという。
●知事
そこは大いに不安があります。与野党でよく議論をしていただいて、これは民主主義のルールでありますから、国会で政府案通り認める必要はないとは当然思いますけども、よく議論していただいて現場の混乱を最小限にしていただく努力は、ぜひ、お願いを申しあげたいと思います。
我々も防衛措置が必要だと思っておりまして、例えば子ども手当については、これも法案が成立しないといけません。現在の政治情勢をみていますと、公明党が反対に回るという報道になっていますので、子ども手当の法案が成立をせずに終わってしまう可能性があると。そうしますと、どういうことなるのかと言いますと、原則に戻るんですね。日切れになっていますから、原則に戻って児童手当が復活をすると、こういうことになります。
だから、これは我々も小者の知恵としまして、今、ちょっと財政当局に申し上げているんですけども、議案書の作り方として、子ども手当が成立しなくて児童手当になっても、今の予算で遅滞なく、遅れずに執行できるように、そこは予算書を作る作成上の工夫ができないかと、今、そういうことを指示をいたしております。
こんなようにいろんな混乱があると思いますので、我々も防衛措置を取る必要があると思います。一括交付金につきましても、今、最終的には計上しておりますのが5割程度、半分程度の分でございまして、この辺も万が一の影響も回避するためにもなろうかというふうに思っております。
○読売新聞 野口英彦 記者
国が社会保障と税の共通番号制度を打ち出しておりまして、将来的な話になるんですが、これに関して知事の見解をお願いいたします。
●知事
私はプライバシーの問題が当然あると思います。そのプライバシーの議論で、こういう[共通]番号制の導入には十分な時間をかけて議論をしなければならないものだろうと思います。
ただ、そのプライバシーを前面に出して財産を秘匿する、それから、支払うべき国民の義務であるようなそういうお金を免れるというのは、これはプライバシーの濫用と言ってもいい場合もあると思うんですね。
ですから、そこは、もちろん番号制を使うことでその情報が流出してしまうというというようなことがあったりしてもいけませんし、きちんとしたその慎重な議論をして徹底的な措置を講じながら、ということになろうかと思いますが、そういう社会保障と税と共通する捕捉を行政的に行う仕組みを作ることは否定されるべきものでもないと思います。
ただ、十分な議論をかけていかないとプライバシーの問題もありますので、軽々には結論を出すべきものでもないと思います。
○NHK 月岡信行 記者
各社、いかがでしょうか。よろしいですかね。じゃあ、質問がないようですので、これで。ありがとうございました。
●知事
どうもありがとうございました。