●知事
皆様、おはようございます。このたび、菅総理[大臣]が新しい組閣を発表しようということになりました。昨日は、[民主]党大会が開かれていろんな議論もあったようでございます。正直申し上げて、国政の混乱が、地方の現場や住民生活に及ばないように願いたいものだなと思う気持ちもあります。
ぜひ、これから新しい組閣をされるんでしょうが、党内だとか、国会の中、自分たちの権力闘争を考えるのではなくて、もっともっと高みを望み、国益であるとか、住民益、地域の発展、現在の景気の状況など、きちんと見定めたそういう組閣をしてもらいたいと思います。
地方分権もお世辞にも今は進んでいるとは言えない状況になってきておりまして、もっと抜本的にエンジンをかけていけるような、そういう政治を望んでいきたいというふうに思っております。
●知事
昨日は、私の方で、溝口[島根県]知事と共に上京いたしまして、農林水産大臣の鹿野道彦大臣でありますとか、防災担当の松本龍大臣などに面談をさせていただき、現在の雪害対策につきまして、訴えかけをいたしたところであります。
激甚災害[指定]につきましては、非常にガードが堅いやり取りではあったとは思いますけれども、ただ、松本大臣の方から、我々の方で、まず被害状況をよく精査して分析してほしいと、その上で検討しますという、そういう話がございました。
我々としては、国の激甚災害の指定云々以前の問題として、これから鳥取県として独自にやるべきものを打ち出していき、漁業者のかたとか、農林関係者だとか、それから、商工、観光関係者に安心をしていただいて、意欲を持って事業に取組み、地域づくりに取り組んでいただける、そういう体制を作っていきたいと思っております。そんなわけで、このたび、いろいろと話をしてまいりました。
●知事
市町村とか、JA、漁協関係者などと、先週から今週にかけまして、精力的に調整作業を続けてまいりました。その結果として、全部で事業費ベースで、当面15億[円]規模の雪害対策を鳥取県独自でやっていこうというふうに考えております。
ただ、今、被害状況が集計中でございまして、この被害状況の推移によって、2月補正段階で、もっと規模を膨らませなければならないことは十分あり得ると考えていただきたいと思います。言わば、走りながら、然るべき対策を迅速に打っていくために、当面急がれるものから手を付けていく、そういう対策をオープンにしたいと思っております。
今日の段階では、現計予算の充当と、それから、予備費を新たに6,920万円余り行使をすると、解禁をさせていただくことにしたいと思います。今日付けで予備費を実行に移しまして、それで、既存の現計予算と併せて、住民のかたがたにご利用いただくようにしたいと思います。さまざまな事業はございまして、この後、財政課長の方から、その詳細を申し上げたいと思いますので、そちらの方でお聞き取りをいただきたいと思います。
いろいろと声が上がっておりました。その声に対しまして、私は、今、国政は混乱状態にあると思いますけども、地方の現場ぐらいはしっかりして、そうした声に正面から向き合っていきたいと思っておりまして、1つ1つ対策を立てていく所存でございます。
例えば、全国で初めてとなるかと思いますが、漁船を引き揚げて、その引き揚げた漁船の修繕を行っていって、もう1度漁に出られる、そういう体制を作る補助事業を鳥取県として創設をしたいと思います。今まで、私有財産という、そういう観念もございまして、漁船に対するこうした災害対策は、国全体として、また、各自治体としても皆無だったと思います。
鳥取県としては、このたび263隻の船舶が沈没[・転覆]をするという未曽有の事態になりました。大変に漁業者の落胆は大きいわけでありまして、年末、大晦日に慌てて雪かきに行ってかいたけれども、年が明けて正月の朝行ってみると船が無くなっていたと。とても年初とは思えない、そういう幕開けであった漁業者に対しまして、地域としてもしっかりとした支援をする必要があると思います。
この漁船の引き揚げやその改修につきましては、県として3分の1の助成を行うことにいたしたいと思っております。これに市町村とか、漁業団体も上乗せをして助成をしていくことになろうかと思います。市町村もだいぶ上がっておりますけども、かなり好意的にそれに上乗せを考えるようなところが出てきておりますので、最終的には漁業者の負担は保険の支払いなども含めて考えていただければ、当然一定の負担は残りますけども、せめて元気を出していただけるぐらいの、そういう負担感になればなあというふうに期待をいたしております。
県漁[業]協[同組合]さんの方でも基本的には3分の1上乗せをするというようなことで臨まれているように伺っておりまして、これはまた今日の予備費の充当を含めて、各漁協、各市町村の対応も決まってこようと思います。この関係で3,800万円の予備費を導入をしたいと思っております。
または小さな漁船につきましては、冬の間の出漁もあまり見込まれないということもございまして、2.8トンというところを基準にして、あとは2月補正で追加で精査をしていきたいと思っておりますが、漁業者であれば、さかのぼって適用することを当然ながら考えていきたいと、県としては思っております。
それから、漁業者[向け]の融資も、これも既存の現計予算枠を活用しまして、末端金利が今1.5パーセントの利率を、県段階では1.0パーセントまで引き下げようと、[県が]0.5パーセントを持とうということにいたしております。これに、例えば市町村で3分の1、それから漁協で3分の1充当して上乗せをしていくということに仮になれば、末端金利はゼロという無利子融資にもなるわけでありまして、こういうような新しい漁業者向けの災害対策予算を予備費で作ってまいりたい、現計予算を活用してやってまいりたいと思っております。
また、農業対策でありますが、[ビニール]ハウス被害が非常に広がっております。475棟ということになっておりまして、園芸関係に予備費1,600万円を投入して、3分の1の助成制度を組んでいきたいと思います。先程の漁業者対策と同じように、これも市町村だとか、JAだとか、そうしたいろんな助成が加わってくれば、さらに負担感の少ないものになってくるだろうと思います。
特に、今回は雪が重たくて短期間で降ったこともありまして、475棟というビニールハウスの被害が広がりましたが、さらに畜舎も30棟を超えるものが、堆肥舎も含めて出ております。これも切実な声が上がっておりまして、解体撤去費など従来あまり対象となってなかったところも対象としてほしいという声も上がりました。
私どもとしては、その声も受けまして、畜舎についても3分の1の助成制度を作り、撤去費用も入れていきたいと思います。これまでも制度上、撤去費用を認めるような制度を組んだことはございましたが、明確に畜舎に対して投入をしていくと、県としての助成制度を入れていくというのは、おそらく実質上は今回が初めてなのかなというようにも考えております。こういう農林関係も融資で支えていくことも、現計予算などを中心としてやっていきたいと思っております。
さらに、商工関係の融資制度、これも口蹄疫関係などを参考にしまして、同様の融資体制を組んでいきたいと思っております。風評被害対策として、風評被害というよりも誘客キャンペーンと言っていただいた方がいいかと思いますが、お蔭様でスキー場も平年並みにお客さまが戻り始めているという情報もありまして、ただ、やはり正月、なかなか誘客が厳しかったこともありまして、取り戻す意味でも春に向けたキャンペーンをしっかりとやっていきたいと思います。これなんかも、予備費を投入して追加で組んでいきたいと思っております。
当県独自のものとしてワケあり野菜ですね、ぜひ全国の皆様にもご認識いただきたいと思うんですが、昨日も鹿野道彦農林水産大臣のところにもネギとかブロッコリーを持ってあがりました。ネギはかわいそうに葉折れしているようなものでございますけども、色艶もいいですし、正直申し上げて雪の中にしっかりと入っている分だけ、甘みも感じられるものだと思います。
そういう意味で、これから鍋の季節、本格化しますけども、こういうワケあり野菜、規格外の野菜も流通をさせていこうと。それで、その支援も予備費でこの度執行してまいりたいと考えております。
JAさんとも話をしておりまして、JAも市場関係者とも協議を進めているようでございまして、今回の雪害ではありますが、これを逆にバネにして売り込みをかけていきたいというふうに考えてございます。
その他、当然ながら県有施設で被害が出たり、いろいろとございましたので、そういう所要経費も除雪も含めて追加をさせていただく予備費を、本日6,920万円余り執行させていただきたいと考えております。これに、2月補正、さらに、一応の検討はつけておりますが、追加をしていき、現計予算も加えて、当面は15億円ベースでの事業費の対策を組むことにいたしたいと思います。
県としては、最大限の支援をしていこうということで、この度、こういう打ち出しをさせていただきます。ぜひ、関係者の皆様には、もう一度元気を出していただきまして、「食のみやこ鳥取県」の復活、それから、観光誘客の強化を皆さんと一緒にやっていければありがたいなというふうに考えております。
昨日も、国の方を回りまして、総務副大臣の鈴木副大臣からも特別交付税というかたちで、市町村、そして県の支援はしっかりやるというお話がございました。たとえ、激甚災害の適応がなくとも、我々としては確固たる信念を持ってこうした事業を執行してまいりたいと思っております。その詳細は財政課長から申し上げますので、お聞き取りをいただきたいというふうに思います。
●知事
それから、あと、明日は関西広域連合の初めての議会が開かれます。事実上、これがスタートということになろうかと思います。
それから明日は、倉吉駅におきまして、南北自由通路がオープンをすることになります。県としても上井のあたりでの連続立体交差事業ですとか、さまざまな県道関係などの事業も併せて行ってきました。この南北自由通路ができることで、「中部は一つ」の時代が生まれることを期待をいたしております。
先般は、東伯-中山道路が2月27日にオープンすることが発表になりました。新しい中部、そして鳥取県が開かれることを切に願っております。
●知事
[会見場の横に掲示しているイラストについて]こちらの方は、ちょっと皆さんびっくりされたかと思いますけれども、今日、「とっとりアニカルまつり」のメインキャラクターが決定をしてお披露目ということになりました。本県出身の赤井孝美さんがイラストを描かれまして、こういうようなデザインになりました。
お気づきと思いますけれども、いろんなところに鳥取県がちりばめられています。松葉ガニのハサミがこのようになっていまして、頭の髪飾りになっています。あちこちカニを思わせるような、そういうデザインも今の鳥取県のシンボルだろうというふうに思います。[吉本興業の]池乃めだかさんは、「松葉ガニのカニばさみだ」ということを言ってギャグにしていましたけれども、これは本物の松葉ガニでございます。
それから、このスカートの裾もちょっと変わっているなと思われるかもしれませんが、赤井さんの方で山陰海岸ジオパークをモチーフにしたというようなお話でございます。
この新しいキャラクターで2月にはアニメソングのフェスティバルを、若い人たちが中心となった実行委員会で行うことになります。さらに、秋には[とっとり]アニカルまつりを実施をするということで、今から当初予算など議論を深めてまいりたいというふうに考えております。いよいよ来年が国際マンガサミットでありまして、それに向けた準備を着々と進めていきたいと思います。新しいこのキャラクターも皆さんの方でぜひ愛してやっていただければありがたいなと思います。
それから、大型の行事として、鳥取県で開かれる全国植樹祭、テーマを募集をしています。2月14日に向けまして、今、その募集をかけております。このキャラクターの名称も今年度いっぱい募集をするということでありまして、ぜひ、どんどん応募をいただければありがたいと思います。
●知事
この度は私自身、体調の不良ということで、皆様にご迷惑をおかけをいたしまして、2日程公務を休ませていただきましたことをお詫びを申し上げたいと思います。今もインフルエンザの流行はだんだんと高まってきております。鳥取県は2週間ほど全国に遅れて流行がやってきたことになりました。
私もワクチンを打っていたものですから、比較的早めに軽快をしてきたということではありましたけれども、手洗いだとか、うがいだとか、私自身もやってまいりましたけれども、やっぱり罹るときには罹るんだなというのが、今回の率直な感想であります。ぜひ、県民の皆様にもご注意をいただきたいと思います。
明日、明後日はセンター試験も行われることになります。県も雪対策、怠りないように、通常よりは1レベル上げてやっていくことにいたしておりますが、ぜひ、受験生の皆さんにも体調によく管理をしていただきまして、ベストを尽くしてもらえればなと思います。私の方からは以上です。
○NHK 月岡信行 記者(幹事社)
それでは、各社、質問がありましたら、どうぞ。
○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者
菅内閣の改造なんですけれども、先程もちょっと触れられたんですが、片山総務大臣なんですけれども、地方分権に絡んだ発言、先程、知事からもございましたが、片山大臣の就任後、去年9月の就任後、これまでの知事ご自身の評価とですね、今後、再任が確実視されていますけれども、期待されることというのはどういったところがございますでしょうか。
●知事
ちょっとまだ組閣名簿が発表されていませんので、今の段階であれこれ申し上げるのはどうかなというふうに思います。率直な印象としては地方団体関係者、一般的な受け止めとして、分権改革が進んだとは思っていません。ですから、まだまだやるべき課題は多いのではないかと思います。今日の組閣に注目をしたいと思います。
○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者
じゃあちょっと質問を変えますけれど、これまでの、ちょっとしつこくて申し訳ないんですが、4ヵ月間の評価というところで、もう少し、ちょっと突っ込んでお話を伺いたいんですけれども。
●知事
そうですね、まだ、よく輪郭が見えないというのが率直な印象ですね。[全国]知事会でも強調されていましたけれども、一括交付金を導入したということで、5,000億[円]規模のものが導入できたと、胸を張っておられましたけれども、その内容がまだ見えていません。残念だなと、そこは正直思っていますね、みんなそう思っています。
というのも予算が組めないんですね。来週に、その辺のどういう事業に充当できるということでの「切り出しと」言っていますが、切り出しが内示できるだろうというお話でありますが、じゃあいくら鳥取県でそれを充当できるのか、どういう予算が組めるのかということが分からないと、内容は自由に使えますということで向こうはおっしゃっていますから、例えば、学校に幾ら、道路に幾らということで、振り分けをしていくことが本来可能なんでしょうが、その予算が組めないですね、このままでは。もっと危機感を持って急いでやってもらいたいなと思っております。
こんなようなことがいろいろございまして、いろいろとご奮闘・努力されていることは評価したいと思いますが、まだ、輪郭がはっきりと見えないなというのが、地方一般の受け止めではないかなと思います。組閣に注目したいと思います。
○山陰放送記者 秦卓史 記者
この関連ですけれども、元日に片山総務大臣が来られまして、昨年も平井知事の方から、一括交付金であるとか、まだ、こうよく分からないというような発言もあってですね、そのことについてどう思われますかというふうな質問に対して、片山総務大臣の方からよく理解してほしいというふうに、地方へ理解を求めるような声があったんですけれども、やっぱり一括交付金自体の輪郭というか、趣旨自体は前回の議会でおっしゃっていましたけれども、やはりお認めになるというか、そこは賛同できるということなんですか。
●知事
本来の一括交付金が求めているものは、地方[公共]団体が等しく求めていたものだと思います。つまり、自由度が高いもので、国庫補助金のしばりのナンセンスさを排除していこうと。本当に、住民が必要としているものを地域の創意工夫でやれるような、そういう財政構造にしていこうということでありますので、これは評価できると思うんです。
ただ、今回出てきた一括交付金は、結局、会計検査の問題なども含めて、補助金の束のまんまをおいている感じなんですね。だから、そこの効果が、よく皆さん理解し難いところがあるわけであります。結局、充当している補助金を束にして計算の計を置くというぐらいなのかもしれません。そこはまだ、よく分からないところであります。
実は、説明会がこのたび開かれました。内閣府の方で。しかし、内閣府で開かれたところでも、例えば、こういう配分基準で、どこの団体に幾らほどいきますよというような推計ができるものは示されていません。これでは予算組めないと思うんですね、何のための一括交付金なのかなという、要は、体裁を整えるための一括交付金の域でしかまだないかなと思います。
これは別に、総務大臣がどうのこうのということではなくて、政権全体の問題として各省の当然ながら調整もあるでしょうから、一括交付金についてはもっとストレートに分かりやすいかたちで制度設計をすべきだと思いますし、さらに今年度の予算編成のことで言えば、一日も早く予算が組める状態に情報を開示してもらいたいと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
それに関連しまして、改造内閣全体に対してこういうことを、まず、ぜひ、いの一番にやって欲しいということと、あと、国会での与野党に対する対応と言いますか、要望、こういうような議論をして欲しいということがありましたらお願いしたいと思います。
●知事
やはり国民生活の方にストレートに目を向けて、ねじれだとか、政治とカネの問題だとか、いろんな問題はあるのでしょうけども、現場の方は一日も猶予を許さないことが多いです。今回の雪害対策もそうでありますけども、日々競争のようにして政策をつくっていかないといけない時に、党の中の事情ですとか、あるいは党の間の論争ですとか、そういうことに手や足を絡め取られているような国政から脱却してもらいたいと思います。
具体的な政策テーマと言えば、景気・雇用の問題、それから地方分権の推進のこと、そうしたことに果断に取り組んでいっていただきたいなと思います。
○日本海新聞 井上昌之 記者
境港のリサイクルポート(総合静脈物流拠点港)の指定の関係なんですが、県の方に、何か国の方からご連絡ありましたでしょうか。
●知事
私どもはきちんとした連絡は受けていません。ただ、これまでの長いやり取りからしますと、我々としては期待感を持って朗報を待っているという感じです。リサイクルポートは鳥取県が環日本海時代の玄関口にならんとしている際の一つのキーポイントだと思います。その意味でリサイクルポートの指定がなされますと、静脈物流の施設整備などにメリットが出てまいります。
この辺の期待感は非常にございまして、今までもいろいろとやり取りはしてきましたが、日本海側でもこの辺ですね、この一角のところにリサイクルポートらしいリサイクルポートはございませんので、感触としては比較的いい感じで、今まで要望活動などもさせてきていただいていますので、朗報を待っているというところです。
○中国新聞 円山文雄 記者
雪害対策の県の独自策について、知事の考え方を。個人の財産に関わるものについて、よく考えたことはありませんけども、県が支援していこうというところがあるみたいなんですが、年末・年始来の現地視察を踏まえて、知事はその独自策を打ち出す思いですかね。漁業者とか、農業者とか、そういう基幹産業、生産者の担い手を何とかして県で支えたいとか、そういうことも含めて知事の独自策についての思いみたいなのがあれば聞かせてください。
●知事
今回は、おそらく時期のこともあったんだと思いますが、皆さん、大晦日から正月にかけてご家族だとか温かい気持ちで過ごしかけていたところに、冬将軍が到来をしたと。そうして、年が明けてみると生活の糧が奪われていて、失意のどん底に落とされたという状況があったと思います。
私も漁業者、それから畜産関係者、農業関係者と相次いでお話をさせていただき、率直なお気持ちを伺いましたけれども、皆さん、心に傷を負われた、そういう様子でございまして、一言、一言、絞り出すように話されるんですが、涙腺が潤んでくると、そういうかたがたに多く出会いました。
これは、如何ともしがたい、個人としては如何ともしがたい状況だと思います。こういうときに、「自助、共助、公助」と言いますけれども、共助だとか、公助というところの出動があってもいいのではないかと思います。
今まではやっぱりドグマ(教義)が確かにありました。例えば、個人の私有財産に対する公費[投入]の問題があります。これも、徐々に失われて来ていると言いますか、変貌してきていると思うんです。例えば、農業用施設などは、従来から復旧対象として公費が入っていたところもございますし、それから、住宅につきましても、国全体として、そういう制度も今では出来上がっていると。
水産関係のところは、どうも今の集中豪雪型の雪害のようなものは想定がないんだと思うんですね。私は、ここは国として、制度に欠陥があると思っています。ですから、昨日も、激甚災害[指定]の要件の問題など、繰り返し各大臣に訴えましたが、この辺は制度のことでありますので、急には変えられないこともあるかもしれません。
ただ、国の制度として穴が空いているのであれば、県として、地域として、地域の必要に正面から答えていくべきだと思います。今日に至るまで、漁協関係者だとか、市町村とも話をしてきましたが、皆でやらいやという空気で、皆まとまっていますので、これであれば、県としてもイニシアティブを取って打ち出していくべきではないかと判断をいたしました。もちろん、納税者のかたのご理解も得られるものと信じております。
○日本海新聞 井上昌之 記者
関連してなんですけども、激甚災害の指定について、要件が非常にハードルが高くて、逆に農業の農業施設の被害の場合は、そういう共同選果場というような、共同施設でないと対象にならない。いわゆるビニールハウスみたいな個人の私有財産は対象にならない。あと、漁船の関係でも、非常に厳しいですよね。こういった国の制度自体に問題があるんじゃないかっていうことでしょうか。
●知事
国の方の制度には、欠陥があると思いますね。結局、どこかで財源を絞るという発想が制度全体に行きわたっているんじゃないでしょうか。道路だとか、ダムだとか、そういうところの修繕は、足りるほどお金が回されるんですけども、じゃ、そういうところは直ったところで、生活を営める基盤があるかというと、そこは、ノータッチということであります。
だから、最近でようやっと住宅被害など制度が国全体でもでき始めたわけでありますが、まだまだ、不十分なところがあるんではないかと思います。もちろん財政上の制約などに注意する必要はあるかと思いますが、私は今回打ち出したようなスキームであれば、本来は国でも取り得るモデルの範囲内ではないか、恩恵の範囲内ではないかと思っておりますので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
話は変わるんですが、広島市の秋葉市長が4選不出馬をユーチューブで表明したということが話題になっておりまして、政治的なステートメントを動画共有サイトで行うということについて、知事のお考えがもしあれば、お聞かせ願いたいと思います。
●知事
政治的ステートメント(声明)を動画で行うこと自体は、政治活動の自由、これは憲法[第]21条で保障されている表現の自由の一番大切な部分だと思います。それは国民が政治的な選択を行う前提となるものでありますから、政治活動の自由の表現っていうのは重要だと思いますし、当然、ユーチューブを活用したいと考えられるのであれば、活用することは、結構かなと思います。
ただ、いささか今回の秋葉市長のやりかたにつきましては、民主主義として、結局、公人を選ぶ、憲法に保障された選挙権っていうものがございます。そういうことに密接にかかわる分野について、やはり対話の中で、市民との対話の中で、きちんと説明責任を果たしていく姿勢というのは求められるんじゃないかなと思います。
この辺は、ユーチューブだけに限って、その他のコメントを拒否する理由は何なのかよく分かりませんが、よほどの理由でない限りは、そういう態度よりもオープンな道を選ばれる方が政治的には適当なんではないかなと思います。
私も秋葉市長は以前から存じ上げていまして、非常に賢明なかただと思います。何らかのご配慮があるのかもしれませんけれども、私はその辺の非常に重要な情報というのは得ているわけではございませんので、本心はよく分かりません。一般論として申し上げれば、もっとオープンに明らかにしていくべき事柄ではないかなと思います。
○NHK 月岡信行 記者
ちょっと大雪の話に戻るんですが、昨日東京で、激甚災害の要請をしたという話ですが、なかなかガードの高いこの話し合いと言いましたが、現時点ではちょっと難しいというような感触でしたか。
●知事
はっきりとノーということはおっしゃらなかったです。ただ、松本[防災担当]大臣の言い方を正確に申し上げれば、「まずは、島根・鳥取両県で現在の漁船の被害状況を精査してもらいたい」とおっしゃいました。それで、「その状況にしたがって、激甚災害の適用について、要件に則った判断をする必要があると思いますし、それから対策について国として考えてまいりたい」と、このような言い方だったですね。
はっきりとノーとおっしゃったわけではございませんが、まずは被害状況を把握して政府側とコミュニケ―ションをとってもらいたいということだったと思います。ただ、私としての感触は、非常に壁は厚いなという感触は得ました。これからまだ議論はしていこうという姿勢ではおられました。
○NHK 月岡信行 記者
あと、ちょっと国道[9号]の件についても国交省の方で、一応昨日、確か国交省の方に行かれて国道の話をしていますよね、それは相手方というか、どういうような反応というか、レスポンスはあったんですか。
●知事
昨日は政務官の方で国[土]交[通]省に受けていただきました。私の方からは、率直な地元としての問題点の指摘をさせていただきまして、それから要望を、そもそも山陰道がないこと、それから[大山町]松河原など、そういうよくスリップ事故が多発するところでの雪害対策、融雪消雪事業というようなことも視野に入れてもいいんではないかとかですね、そういうお話を申し上げました。
特に体制については、抜本的に改善してもらいたいと、雪が降った時、速やかにかいてもらうとか。それから我々は地元に住んでいますから、地元と協力をしながらやっていく体制を組むことなどが必要ですよということを申し上げました。
政務官からは、率直な謝罪のお言葉がありました。大変に地元にご迷惑をおかけしたというお話がございました。それから、体制については見直すように指示をしていきたいというお話がございまして、私の方からも、現場ではもう既に対話を始めておりますと、そういうことを申し上げまして、これから万全を尽くしていこうという話し合いになったかなあと思っております。
○NHK 月岡信行 記者(幹事社)
他に各社、質問ありませんか。じゃあ、ないようですので、これで。どうもありがとうございました。
●知事
どうもありがとうございました。