●知事
おはようございます。今、景気の方、非常に厳しい状況が続いている中で、国会で補正予算の審議が11月16日に衆議院を通過をしました。今日も参議院の審議が緊張感をもって開かれております。
どうなるか、まだ、予断を許さない状況ではありますけれども、11月、12月の県議会も始まりますので、それに向けた準備を我々としては本格化させていくことにいたしました。今、補正予算の提案を10億円強させていただいておりますけれども、それに加えて追加の補正予算を準備するように各部局の検討を急がせております。
国会の審議も睨みながらということになりますが、来週中にでも集まった情報を基にして、それから、庁内でのいろんな知恵を出し合った上で、[鳥取県緊急]雇用経済対策本部を招集をさせていただこうと思っております。そこで、中身を粗々詰めていった上で、12月議会中に追加提案をできないだろうか、その方向性を模索していこうと考えております。
今日は、その中でも、やはり素形材と言われますが、素材型産業などの皆さんの実情を聞くようなプロジェクトチーム(ワーキンググループ)を発足させまして、円高だとか、厳しい状況の中で、これからどうやって鳥取県の産業が生き残っていくのか、成長していくのか、その戦略を話し合うことも始めさせていただいたところであります。
いずれにいたしましても、全力を挙げて、厳しい状況がこれから年末、あるいは年度末に山があるかもしれませんが、それを乗り越えるべく、準備をしてまいりたいと考えております。
●知事
昨日は、新しいアジアへの扉を開くことができました。ハバロフスク地方から、シュポルト知事はじめ、御一行をお迎えをしまして、それで、これからの友好交流の共同声明をまとめさせていただいたところであります。
早速来月に、ハバロフスク市内のイントゥーリストというホテルがあります。そこを会場にしまして鳥取県などの商材の紹介を行う、そういうイベントをすることにいたしまして、鳥取県からも代表団を出させていただくということにしました。
シュポルト知事も、快く協力をするということになりましたので、そうしたところから端緒を開いていきたいと思っております。
●知事
併せて、来月、GTI(広域図們江開発計画)という、グレータ-図們のイニシアチブなんですが、図們江開発のですね、UNDP(国連開発計画)の一部門であります、そういう図們江開発のプロジェクトがありまして、それの、運輸専門部会[専門家セミナー]を鳥取県の方で開かせていただくことになりました。
ここには、UNDPの事務局のかたが来られるのはもちろんのことでありますが、中国、韓国、それからロシアなどの、運輸担当の中央省庁の役人がやってくるということになります。例えば、ロシアであれば運輸省ということになりますし、それから、交通海洋関係の韓国の皆さんとか、中国も運輸関係の役所の皆さん、そういうかたがたがお見えになるということであります。
それで、この機会に、鳥取県としても今の環日本海航路だとか、釜山、上海などのいろんな航路があります。環日本海時代を睨んだ戦略を展開していることを、そうした皆さんにアピールさせていただくべく、県民の皆様も交えながら、フォーラムを開催しようと思っております。
現在、中国の方へ進出してアンテナショップを出された企業さんですとか、それから、中央の方から学者さんだとか、いろいろきていただきまして、意見交換のフォーラムを開催をして、国際的にもこの鳥取県の取り組みが認知していただけるような、そういう端緒を開いていきたいというふうに考えております。
●知事
それから、いろいろとこれから文化観光関係の動きが出てくると思います。近くは「恋谷橋」という、新しい映画の撮影が、この20日から12月10日頃までのスケジュールでクランクインをするということになります。
これも、松方弘樹さんとか、いろんなかたがたが来られますので、大変に楽しみにいたしておりますけども、鳥取県の三朝温泉の復活を目指すような、そういうストーリーでございまして、時宜にも適ったと言いますか、全国の皆様にも、「ゲゲゲの女房」みたいな感じで楽しんで見てもらえて、元気が出るような、そんな映画になりはせんかなと非常に期待をいたしているところであります。
県としても、その宣伝だとか、東京方面などいろんなところでの物産を絡めたようなイベントなんかもこれから、来年が公開になりますので、それに向けて協力をしていきたいと考えております。
●知事
それから、今日は、これから全国の団体でありますけども、三枝成彰さんとか、それから作家でエッセイストの林真理子さんとか、そうした皆さんが鳥取の方に来県をされることになりまして、「エンジン01(ゼロワン)文化戦略会議」という、そういう活動をされているんですが、来年度にそのオープンカレッジを開催できないだろうかという、そういう話し合いで来県をされることになりました。
今から、[11月18日の]11時半からお迎えをさせていただきまして、話し合いをさせていただくということにいたしております。そのメンバーの中には、国際マンガサミットの主要メンバーであります里中満智子さんとか、モンキーパンチさんなんかも入っておられますし、2012年、国際マンガサミットを控えた時期でもあったりしまして、鳥取県としてもアーティストリゾートを目指しておりまして、鳥の劇場など、ユニークな活動拠点も生まれてきております。
そんな状況もこの際、全国の主要な文化人の皆さんにも知っていただければと思っております。イベント自体、これからどうするかは今日話し合ってみなければいけませんけども、我々としては、全国に向けて鳥取県の文化戦略を今日の機会にアピールをさせていただきたいなと考えているところであります。
●知事
さらに、[韓国ドラマ]「アテナ」がいよいよ、韓国で放送が始まります。12月13日から全国ネットのSBSという放送局で放送されることが本決まりになりました。
鳥取県としても、これは規定の予算を活用してということにはなりますが、それを目指して来月に入りましたら、ブログで、韓国での鳥取情報を発信するとか、さらにソウル市内の地下鉄に広告を出していくとか、そのように積極的なメディア戦略を仕掛けていって、鳥取への誘客に、ぜひ、繋がるように準備をしていきたいと思います。
また、随時、県内の観光関係者にもお集まりをいただいて、受け地対策を進めてきているところであります。いよいよ鳥取が国際リゾートになれるかどうか、1つの重要なステップだと考えておりますので、我々としてもこの機会を最大限に活用できるように頑張っていこうと思っているところであります。
●知事
物産関係では、来週の23日から鳥取県独自の新しい取り組みとして、ちょうどお歳暮商戦の時期になりますので、カニとか、お歳暮セットみたいな、そういう鳥取県の物産を取り揃えまして、京阪神で新聞折込を活用したPRをさせてもらおうと思っています。
県は、物産協会の方に委託をして、そして、その物産協会を経由をしながら、そうした注文を取っていこうということでありまして、新しい取り組みであります。
今シーズンはインターネットでも大手のインターネットサイトを活用しまして、同様の販路開拓の戦略を展開しておりますけども、今度はお歳暮時期を狙いまして、こういう仕掛けをしていこうと思っています。
これがうまくいけば、来年度に向けて、四半期ごとにこうした販売戦略、販路開拓の戦略を打っていきたいなというふうに考えているところであります。
これから、いよいよ冬も本番になってまいります。新型インフルエンザの報告も出ていている状況でございまして、ぜひとも県民の皆様にはよく注意をしていただきまして、この冬を過ごしていただければというふうに思っております。私の方からは以上です。
○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者(幹事社)
各社、質問お願いします。
○共同通信 仲嶋芳浩 記者
一昨日に県教委が[県立高等学校]専攻科の廃止を決定したんですけど、そのことについてどういうふうにお考えですか。
●知事
これは、相当長い議論であります。それで、議会での大議論の末に9月の[県]議会で結論が出たわけでありまして、それを県教委が尊重したと受け止めております。民意を受けとめて教育委員会が動いたということでありますから、それはそれとして、私は了とすべきものだろうと思っています。
問題は、学力向上など、しっかりとした子どもたちの教育レベルを上げていく対策を打つことだと思います。これを早速にでも教育委員会とよく話しをしてみたいなと思います。
例えば、小学校、中学校、高校というふうに教育現場が別れています。さらに言えば、幼児教育の現場として保育園とか、幼稚園があります。それで、こうしたところが、小さな鳥取県ですから、コミュニケーションよく、例えば、中学段階で中学のことは仕上げていく。小学校段階で小学校のことは仕上げていく。
そういうふうに連接をさせるとか、カリキュラム上も一体化させるとか、これは懸案になっていますけども、私学のプランも含めて、中高一貫校のような、そういうものをどういうふうに実現をしていくかとか、教材、テキストの問題もあります。
また、私は県民が参画をするような形で教育現場を盛り上げていく鳥取型の教育システムがあって良いと思っています。例えば、学校のOBの皆さんとか、いろんな人材がいらっしゃいます。そういう地域人材が加わってやっていくことは大切だと思います。
先般来、境港とか、日吉津とか、現場の若い皆さんのお話を聴きますと、園庭とか、校庭の芝生化にPTAが乗り出してやっておられる様子を伺いますと、こういうのが本当に住民の参画率が高い鳥取型の教育のあり方じゃないかなというふうに思います。
そういう良い面を活かして、教育レベルを上げていくことがないといけないと思います。こうしたことがおざなりになってしまって、単に専攻科を廃止したというだけでは、子どもたちの間に不安が残る結果になってしまいますので、もっと実感できるような学力向上対策、これは高校も含めて県教委とよく話をしてみたいと思います。
○時事通信 京正裕之 記者
UNDPの話なんですが、わかればでいいんですけれども、鳥取県で開催することになった経緯というのを教えていただければ。
●知事
はい。これは5月に[北東アジア地域]地方政府サミットが韓国で開かれました。それで、私も参加をさせていただき、韓国ではキム・ジンソン知事が出られて、それから中国も省長さん、それからロシアも知事さんが出られまして、皆、揃い踏みで話し合いをしました。モンゴルも実はこのGTIに入っています。
ですから、5人の知事が揃った形で話をしたんですが、その場で[韓国]江原道の方からGTIに対する非常に深い関心が、その公開討論の中で示されまして、それで、私の方からそういうプランであれば、鳥取県も新しい航路もありますので、その議論に加わらせてもらったらどうかと。それはUNDPは国連の機関なんで、できないのだろうかということを問い合せました。
その場で中国側や韓国側も、ぜひ入ってもらえるようにしたらどうかというお話がございました。その後、実際にGTIの会議が釜山で開催をされまして、そこに鳥取県からも代表を送り込みました。
その時に、鳥取県としては国連のプログラムの中に、その私どものウラジオストク、東海(トンヘ)、境港の航路を、そのGTIのプロジェクトの1つのプログラムとして明記をしてもらうことに成功したんですね。
そういうこともありまして、次の専門部会、運輸専門部会と言われる各国の交通担当者の集まりを鳥取県で開催してはどうかと召致をしまして、向こう側も、ぜひじゃあ鳥取県で開催をしたいという話がございまして、今回、12月にはなりましたけれども、GTI運輸専門部会の会合(セミナー)を鳥取県で開催することになりました。
○日本海新聞 井上昌之 記者
昨日、中国地方の知事会議がありました。その中で、国の出先機関の地方移管に伴って、どういった受け皿を用意できるのかというお話もあったと思うんですが、平井知事の方から協議会という形に法人格を持たせる新たな組織のありかたがあっても良いんじゃないかというご提案があったと思うんですけども、改めて、今後、この中国地方で国の出先機関の業務を受け入れるにあたって、どういうありかたが望ましいかというお考えをお聞かせいただけませんでしょうか。
●知事
これから年末を迎えまして、地方財政対策や、国と地方の関係について重大な時期に入ってくると思います。私も積極的に発言させていただいておりまして、先般の近畿ブロック知事会議、また、中国地方知事会議。さらに、この間は仲間の知事と呼吸を合わせまして、ポリテクセンターと言われるこの機関の移管があまりにも国の手前勝手な条件付けで、実際上、阻害されていることに対する懸念を表明をさせていただきまして、改善を強く求めるアピール行動を一切しております。
これから地方財政対策など佳境に入ってまいりますけども、ぜひ、地方の現場の声をしっかりと受け止める改革なり、予算編成を行ってもらいたいと思います。
今日も、これから一括交付金のプロジェクトチームが[全国]知事会で開かれまして、私はちょっと三枝先生とか林先生の[来訪の]関係もありまして、テレビ会議で参加をすることにするんですけども、その一括交付金も昨日も随分議論になりましたけれども、総額の問題だとか、それから配分方法の問題とか、未だ何も明らかになっていないっていうのは、政府は一体何をしているのかなという苛立ちを正直覚えます。
そういう意味で、我々としては主張すべきは主張していくべきだろうと。そして本当に現場で住民の皆さんの参画を得ながら、必要な事業を果断にやっていく、そういう分権国家を創っていくべきだと思っています。これは我々の大きなテーゼです。
昨日の中国地方知事会も、それを皆、頭に置きながら話し合いをしたと思います。その中で議論の1つの焦点になりましたのは、TPP(環太平洋連携協定)と合わせて、国から地方への権限移譲や出先機関の廃止問題であります。私は、ある程度のものは、もうほとんどすべてと言っていいぐらい都道府県で受ける受け皿は十分用意できると思います。
昨日も議論が少々混乱しましたけれども、あれはちょっと、これから検討しようというキックオフだったと思いますので、あれはあれでということだと思いますが、例えば、道路ということで言えば、道路を移管しようとすれば、当然ながら道路はそれぞれの都道府県の地面にあるわけでありますから、その都道府県で管理をすることは理論的には可能なわけですよね。
ただ、私や、溝口島根県知事も、重大な懸念をおっしゃっておりましたけれども、例えば、[国道]9号線を改良する形で、今、山陰自動車道を造っています。これは国道9号線という名前にはなっていますけども、高速道路を建設しているわけでありまして、国家的責任において、重点投資をしてもらわないといけないわけですね。
これを、地方にそれだけお金をあげるからやりなさいということになるかどうかということでありますが、そこまで正直、最後まで信用できるとは思っていないんです。従いまして、国が国の責任で、高速道路は造れと、この分は国の仕事じゃないかというふうに私は思っています。
それ以外のところは都道府県で大方受けられるだろうというふうに思います。河川も同様であります。河川も、要は、それが通っている県同士で話ができれば、ある程度の始末は受け皿として作れるのではないかというふうに思います。
ただ、これは、みんな、5つの県で、平仄(ひょうそく)が合わないといけません。昨日は、ちょっとそこまで十分な一致点は見出せませんでした。
だから、私はあの場で提案を申し上げたのは、1つ、まず、第1として、この5県は、分権に伴って、地方の出先機関を受け入れる受け皿を用意しますよと。このことは確認しましょうと、これを申し上げたわけです。これは5県とも異論はなかったと思います。
それから、あと、もう1つとしては、具体的にどういう事務の仕分けをするのか、これはこれから話合いましょうと、細部を検討させましょうと。これで、これも5県でいろいろと温度差はありましたけども、そういうことで落ち着いたんだろうと思います。
私は、例えば、経済産業局とか、それから、医務局とか、また、[地方]環境事務所なんかもあるわけですね、例えば、大山隠岐国立公園がありますよね。その大山隠岐国立公園を一体として面倒をみるというので、事務所があるわけでありますけども、こういうのは確かに県境をまたがっているし、自然保護の観点なんかもあるので、統一的にやらなきゃいけないということであれば、例えば、国立公園のいちいちの管理だとか、遊歩道の整備だとか、そういうのは各県で受けるようにして、コアの政策的な部分は、何か受け皿組織を中国地方全体で作ってやってみるとか、いうことも可能かなと思うんです。
ですから、この辺はよく議論を詰めていけば、私は出口はあるはずだろうと思います。大切なのは、今、各省庁が地方が受け皿を用意しないから事務の移譲はしないんだと言わんばかりの省庁もあります。だからこそ、私は昨日、中国地方として受け皿を用意するんだと、これは、はっきりと意思表示すべきだと主張させていただいたわけであります。
これから、昨日は、岡山県の知事や山口県の知事が時間軸という言い方をしていましたけれども、だんだんとこれ、時間とともに検討が進んでいくと思います。例えば、12月にアクションプログラムを示すというようなことも言われているわけでありまして、そういう国の方の検討の経緯と推移と、平仄を合わせながら我々も集まって検討していけばいいんだろうというふうに思いますので、これからが、具体的作業に入るということだと思います。昨日は、いいキックオフになったんじゃないかと思っています。
○日本海新聞 井上昌之 記者
一方で、昨日もちょっと一部の知事のかたから意見があったんですけども、鳥取県の場合、関西広域連合に、今度入ることになると思うんですけども、鳥取県の場合は、観光と医療、文化もですけども、そういった分野の一部参加ですが、その辺との整合性というのは、今後どういうふうになるんでしょうか。
●知事
私は、ある程度、こういうのはスムーズにやろうと思うと、現在の事実上、どういう単位で行政が行われているかは、ある程度は見ていかなきゃいけないんだろうと思うんですね。もちろんこれを、区域を変えることも可能だと思うんですよ。変えることも可能だとは思いますが、ある程度、今の現状も見ながら検討すべきものだと思います。
関西広域連合で、私が主張しておりますのは、山陰海岸国立公園の管理を近畿、大阪にあります近畿地方環境事務所がやっているわけです。こういうのは、京都府・兵庫県にまたがりますけども、一括して広域連合という受け皿で受けてしまえばいいじゃないかと。そういう主張を、今、させていただいておりまして、これは、おいおい整理されていくと思います。
こういうように、ケースバイケースで、その辺は考えていくべきではないかなと思います。
例えば、昨日も幹線道路の話がありました。例えば、[国道]9号線だとかですね、[国道]53号線というのが出ていました。9号線は実は兵庫県にも伸びていくんですよね。それで、京都の方にも行くわけです。そうしますと、これはどういう受け皿でやるのがいいのかっていうのは、まだよく分かりません。
昨日は、敢えて捨象していましたけども、[国道]29号線という路線もあります。この29号線という路線は鳥取県から兵庫県へ入っていくわけですよね。昨日は表には入っていましたけども、検討対象から外してありました。ちょっとどういう趣旨なのかよく分かりませんでしたけども。
ですから、まだまだ、議論が始まったばっかりでケースバイケースで議論して、処理していけばいいんじゃないかと思います。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
昨日の中国知事会に関連してなんですけど、TPPなんですが、農業に配慮し、議論を経て方針を決めようというアピールにまとまったと思うんですよね。その是非について強い文面ではないような印象を受けたんですが、ああいう形でまとまったことについては、どのようにお考えでしょうか。
●知事
5つの県で中国地方全体として意見を出すことは、私は意味があるとは思っていました。正直、出発点はだいぶん、お互いに考え方の差はあったと思います。
私とか島根県さんとか、山口県さんはどちらかと言うと慎重に検討すべきものだという色合いが濃いわけでありますが、広島県さんはマツダだとか、輸出型の産業も抱えておられますし、昨日もお話をされていましたが、工場自体が空洞化して外に出てしまうんじゃないかという危機感持っておられると。鳥取県ももちろんそういう面があるんですが、その辺の濃淡があったんだと思います。
ただ、大切なのは、これは、私は政府の進め方がちょっと上手じゃないなと思っているんですけども、昨日も経団連の会長が、農業団体の批判をされていましたけれども、これは商工業対農業の、何かバトルのようにしてしまう問題設定はおかしいと思うんですね。
どこの国でもそうです。ヨーロッパもそうです。韓国も今同じ議論やっています。それで、韓国も、例えばこの度、追加して畜産対策の支援を打ち出しているんですね、韓国政府として。
そういうふうなことから見てもおわかりいただけるように、要は貿易を自由化していこうというと、世の中を変えちゃうわけですから、競争力が弱いけれども、その地域にとってなくてはならないものがあります。
例えば、国土保全の観点だとか、食糧安全保障の観点とか。そういう意味で、農林水産業のことをしっかりと考えなければいけない。これがまず第一歩だと思うんですね。
それで、このメッセージが政府側から出てきてないと思うんです。それで、かろうじて出てきているのが農地の流動化を目指すとか、そういうフレーズが出てくるんですけども、おそらくこれで農業の競争性が飛躍的に高まるとは思えません。
ヨーロッパの場合ですと、かなり大きな補助金を投入をして、農業国というフランスでさえ、そうして自国の農業防衛を図っているわけです。その辺の決意が政府側から出てきていないのが、私も懸念をしておりまして、その辺はぜひ、政策のコアの部分として、クローズアップしてもらう必要があるだろうと思います。
昨日、いろんなやり取りの末でああいう文言で最終的には、広島県もわりとすんなり受け入れてしまったなと思うんですけども、ポイントとして、我々が入れておりましたのは、農業というのは非常に厳しい状況に置かれると。
その問題認識をまず書かせていただいた上で、そうしたものに対する対策というものを、まず検討すべきだという。それなくして、その協議を進めることはいかがかと。こういうことで書かせていただきましたので、5県の間で、広島県などの推進派も含めて、この問題意識は共有できたんではないかというふうに思っています。
我々は地方の現場の方でありまして、最終的には国政として決断すべきものでありますから、現場としての声をやはりこういう形で上げていって、農業だとかに皺が寄ることがないように、それを強く求める姿勢で臨んでいきたいと思います。そのことは中国地方知事会としても了解が得られたと思っています。
○読売新聞 野口英彦 記者
子ども手当に関してなんですけども、神奈川県の知事が地方負担に反対されるアピールを出されたということなんですが、知事はどのように対応されるのか、来年度予算ではどのように考えておられるでしょうか。
●知事
これは、まだ白紙です。と申しますのは、まだ議論の俎上でありまして、地方6団体と政府側の話し合いが始まったばかりです。先般も野呂[三重県]知事と、野呂さんが知事会の代表者で昨日出ていたと思いますけども、野呂さんと近畿ブロック[知事会議]の時に、いろんな意見交換をいたしました。それで、私の方の問題意識も伝えております。
国の方はちょっと強引に、今、やろうとされていますけども、やはり現場をよく見て動いていただかなきゃいけないだろうと思います。
神奈川[県]の松沢[知事]さんがどういうアピールをされようとしたのか、私はまだ情報がございませんね、それは文面を見て参加するかどうかを考えたいと思います。ただ、いたずらに、何と言いますか、肝心の子どもたちを人質にとってというような、そういう闘争のやりかたは、私はあんまり、どうかなという気がいたします。
ただ、これは、その子ども手当に留まらないんですね。その向こう側に、三重[県]の野呂知事とも意見交換をさせていただいたんですが、これからの児童政策。全般が絡んでくるんです。
これについて、凄く国が今、設定しようとしているのは不思議な制度でありまして、国が交付金を出すから、その分で市町村に特別会計を作れというような、そういう言い方なんですね。
本来、これはおかしいのでありまして、特別会計っていうのは、例えば、収支相継ぐようなことあるとか、それを明確にするためということでありますが、補助金を使っているかどうかを明確にするために、特別会計を設けるなんていう、そんな地方自治はないわけでありまして、これは、国の方もちょっと思い上がりじゃないかなと思うんですね。
そして、その特別会計から、現物サービス、現金サービスを出すと。現金給付というのは、これは、基本的には生活保護もそうでありますが、国家としてやるべき部分だと思うんです。これは、所得格差は地域間にも存在をします。
ですから、地方が現金給付ということに、基本的な責務を負わされてしまいますと、鳥取のように税収が少ないところは、その辺ができなくなってしまうと。生活保護もそうでありますけれども、結局、地域の中で、社会的に生活水準を調整をするとかいうのは、国全体でやるからこそ、意味があるというところであります。
ただ、地方の方は、むしろ、現物だとか、サービス給付を主として担うべきものではないだろうかと思っています。そういう整理をしながら本来は、これからの児童政策について議論をし、子ども手当についても、来年度どうするか、その道筋の中で結論を出すというべきものだと思います。
まだ、国と地方の丁々発止のやり取りが始まったところでありますので、私たちとしても、良く関心を持ってその状況を注視したいと思いますし、我々の考え方も伝えていきたいと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
子ども手当というその制度に関しては、所得の制限を設けるとか、あるいは、現物とのバランスだとかありますけど、知事の考える、知事はこうあるべきだというのは、何かありますでしょうか。
●知事
これは、国民的議論の末に始まったものでありますし、北欧、ヨーロッパとか、フランスもそうですけども、同様の制度が海外でも認められますので、100パーセント否定するものでもないと思います。ただ、その組みかたは非常に財政負担を伴うものでありますから、良く国民合意を得て進めるべきものだと思います。
私は、住民の皆さん、国民の感情からすれば、現金をもらいたくて子どもを作っているというよりも、むしろ、その子どもを安心して育てられる環境がほしいという方に、力点があるんじゃないかと思うんですね。
だから、こういう分野は、地方の方で現物やサービス給付をし、それができるように、国の方で支えていくという制度の方を重視してプログラムを組むべきではないかと思います。
あんまり現金給付に過度に依存しますと、実際、現金をもらったけれども、子どもを預ける場所もなければ、それから、例えば、教育だとか、そういうサービスも手に入らない。結局、親が使ってしまって終わっちゃうということになっては、これは、スピルオーバーが多すぎると思います。無駄が多い政策になってしまうと思います。
ですから、現金給付以上にサービス的な側面に注目をしながら、子ども政策は考えるべきではないかと基本的には思っています。いずれにせよ、国民的合意を得て、議論すべき課題だと思います。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
参院選の1票の格差についてお訊ねなんですが、昨日、東京高裁の方で違憲という判断が下されまして、知事の自治省時代は選挙管理の部署にも携わっておられましたし、鳥取の有権者数というのは、まさに、計算式の根拠にもなっているんですけども、そのあたりも踏まえて、この判決、どう見られましたでしょうか。
●知事
まだ、これは、私はプロセスだと思っています。まだ途中、これから最高裁に上がりますので、その判断を見なければいけないなと思っています。2つ、判決が出ました。同じ東京高裁で、論理的には正反対といっていい判決だと思います。
片方は、現在の1票の格差と言われるものを、合憲の範囲内、憲法に違反しないという言いかたですけどね、憲法に違反しないというものをおっしゃっていました。これ、多分、過去の最高裁の判例なんかも念頭において書かれた非常にオーソドックスな考えかただと思います。
あと、もう一方の違憲状態にあるというように判断をした方の判決は、これは、都道府県を、何だったら合区させてみてもいいんじゃないかと、衆議院だって、ブロックで比例代表選挙をやっているとか、そういうようなことを言っているわけですね。これは従来の判決からするとオーソドックスではありません。
むしろ、立法権の裁量に対してかなり踏み込んだものでありまして、そこを司法がどこまでできるのかということは、本来、純粋法律論としてはあり得る部分だと思います。
だから、まだ判決としては確定もしていませんし、今回の裁判もまだ未成熟な段階、最高裁の判決まで他の高裁の判断も出ますし、まだ未成熟な段階ですから、よく見る必要があるだろうと思います。
昨日の違憲の方の高裁判断をそのまま適用していきますと、衆議院と参議院と同じような選挙制度になってしまいます。そうしたら、衆議院と参議院と、果たして何が違うんだということですね。これの結論がわからなくなってしまう恐れがあると思うんですね。
元々、日本国憲法ができて参議院をセットする時に、アメリカの上院制度が下敷きになっていたと思います。アメリカの上院制度は、各州に均等に2人ずつ与えるわけです。鳥取県のような58万人規模のバーモント州にも2人ありますし、ニューヨーク州だとか、カリフォルニア州のような巨大なところも、たった2人です。
日本の場合は、参議院で言わばアメリカの上院を作るわけでありますが、その際には、都道府県代表という位置付けを与えるわけでありますけども、ただ、緩やかに人口格差には配慮をして都道府県代表にしようと。ですから、2の倍数で2人、4人、6人と、こういうように定数を割り振ったわけです。
その考え方が、立法裁量として許されるかどうか、これについては、過去の最高裁の判決は一貫して是認されるものだというふうに言ってきました。今回はそれを踏み越えていますので、果たして、このまま判決が維持されるかなというのは、最高裁に行ってみないとわからないと思います。
そういう意味で、冷静に最高裁を見ながら議論を進めていただければいいんじゃないかと思います。ただ、いずれにせよ、司法側は司法側でどこまで踏み込めるかというところでの判断になりますので、立法府としては、もちろん自由に、ここは自由に裁量権を持って、その選挙制度をセットできる立場でありますから、参議院でも、衆議院も勿論でありますが、国会における議論がこれから行われると思います。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
選挙区、仮に合区というふうにでもなれば、いわゆる都道府県代表という側面は失われようか思うんですが。
●知事
だから、ブロック制にすればいいんじゃないかっていうのは、過去の判例とは違って、そもそも選挙制度は立法に基づいてできるものですから、その立法府の裁量の範囲内かどうかということを見なきゃいけません。立法府の裁量の範囲内と憲法上言えれば、これは合憲になりますので、そこはよく議論していただきたいなと思います。
私は、参議院に1つの意義を認めるとしたら、都道府県代表という性格が残されていること、これは重要だと思いますので、その点もよく斟酌しながら、国会での選挙制度の枠組み議論をしていただきたいと思います。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
確定しない状態でまた聞くのもあれなんですが、改めて国会の方に知事の側から、こういった議論をというところで求める部分と、また、こういう判断を突き付けられた鳥取の有権者に対して、挙げるべき声と申しましょうか、どういうふうに主張していくべきだといったようなお考えはありますでしょうか。
●知事
今はそんな、慌てず騒がずの段階だと思っています。まだ、最高裁まで上がらなきゃいけませんし、他の高裁の判断もあります。それから、新聞の扱い方がちょっと不公平だと思いますけど、2つ判決が出ていて、片方の判決だけ、だいぶ取り上げて書かれていますが、実際には対等な2つの判決が、言わば反対の結論を出していますので、これは裁判としてはまだ未成熟な段階だと思います。
○日本海新聞 井上昌之 記者
さっきお話にもあったんですけど、ポリテクセンターのことなんですけれども、今、おそらく法案が参議院で審議中だと思うんですが、共同声明の、5県の知事が出しておられましたけども、今のままの移管条件でしたら、鳥取県は手を挙げないという、そこまで言えますでしょうか。
●知事
挙げないでしょうね。それは挙げられないですよ、どこも。冷静に考えていただければお分かりいただけると思うんですけども、今まで国は、雇用保険特[別]会[計]という自分のところの大切な財源を囲い込んで、これを使っているんです。
それで、これを毎年、それに充てて、それが無駄遣いだと言って指弾されて、じゃあ、この事業団どうするんだということですね、団体自体の存続に関わることになってきたわけですよね。
この仕事を、じゃあ、次、続けていきますと。例えば、職業訓練なんかは必要な仕事です。これ、じゃあ、次も続けていきますということになれば、当然ながら、今、雇用保険ということでやっているお金を回して、そうした職業訓練を続けるのが当たり前だと思うんです。
ところが、そういうことを考えてないんですね。何か、自分のところのこれは施設だと、財産だからこれをあげるかどうかは、恩恵的なもんだと言わんばかりにその施設の譲渡についても、有償か、無償かの判断基準を作ってみたり。
それから、あと2年間で、その支援も打ち切ると、この支援というのも、これも非常に不遜なことだと思うんです。本来自分たちは、雇用保険のお金を使ってやっているわけですから、ここが続ければ続けられるわけでありますけども、その雇用保険のお金から補助を出してやると。それで、地方なんで、これは補助でいいと。それで、補助で2年間に限って補助してあげると、こういう制度なんですね。
それで、だけど、2年で職業訓練なんか終わるはずがないもんですから、そのあとのことを、財源的な手当を考えなければ、現場は回りません、当然、人も雇うということになるわけでありますから。今の国のスキーム自体がナンセンスだと思うんですね。
それで、平成20年に前のこの法案をセットする前の議論では、地方の方に移管しやすい条件を整えて、それで、移管を募りますということで、政府全体としてはセットをしているんですけども、出てきた結果が全く違う内容になっているものですから、これは、これからいろんな機関の地方移管が出てくると思いますが、その地方移管の悪しき先例になるんじゃないかと、我々は思ったわけであります。
従いまして、あえてこのタイミングではありますけども、異を唱える形でアピールをさせていただいたわけです。
○日本海新聞 井上昌之 記者
その雇用保険特会の部分が、いわゆる、2年間の補助金というところでしか担保されてないわけなんですけれども、その後もやっぱり継続して補助金みたいな形で国からその辺の財源を見てもらわないと受けることができない。そこが最低条件になるわけですね。
●知事
補助金というか、財源自体を地方に渡すべきですよね。つまり、労働関係の仕事は地方の方に移していきましょうと。例えば、これからハローワークの問題とかもあります。それから、その他にも失業保険の給付のことだとか、地方で絶対できないものかどうかというのは、よく検証してもらったらいいと思うんです。
それで、そういうようにしていきますと、今の企業から集めて、自分たちの財源のようにしてプールしてしっかり守ろうとしている厚生労働省の姿っていうのは、ちょっと奇異に感じるところがありますね。
素直に考えて何のための行政かと言えば、これは利用者のための行政でしょうから、仕事がなくて大変困っていると。それで、その職業訓練を受けたいという人たちにサービスをするために、企業から集めたお金を回すという、雇用保険特[別]会[計]のお金が一部給付に回るような仕組は何で作れないのかっていうのは、ちょっと合点がいきませんけどね。
それは、あくまでも地方には恩恵的に自由裁量的に補助で2年間だけあげるんだっていうのは、理屈にかなわないと思っています。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
今回の、府県知事のアピールっていうのは、鳥取の方から持ち出したものなんですか。
●知事
そうですね。それであと、佐賀県が中心になって納得してくださいまして動いていただきました。同様のことは、最近の近畿ブロック知事会や昨日の中国[地方]知事会でも主張させていただいておりまして、各県とも、昨日もそうでしたけども、そりゃそうだと言っていました。岡山の方も、これはやっぱり条件付けるのはおかしいとか、岡山[県]の石井知事もおっしゃっていましたし、広く理解は得られるんじゃないかと思っています。
○NHK 月岡信行 記者
予算の絡みなんですけど、追加の予算っていうのはやっぱり、前回の知事会見なんかで総額で100億円ぐらいいくんじゃないかという話をされていましたが、既に10億円つんでますが、やっぱり90億円ぐらいになるんですか。
●知事
これはちょっと、まだ、今、これから規模はですね、ただ、足して100億[円]くらいにはなるかなと思っていますけども、100億[円]超えてくるかもしれません。この辺は公共投資が入ってきますし、その辺の状況をみなきゃいけないと思っています。
今、いろいろと我々も数字を掴みかけているところもありまして、例えば、子宮頸がんのワクチン、それからヒブワクチン、また肺炎球菌のワクチン、これについては、だいぶん政府内での折衝があったようでありますけども、結局、国2分の1で市町村2分の1という、そういうスキ-ムを考えて県の方にお金がきて、これを県から市町村へ渡すというような仕組みで動かそうということになりそうです。まだ、詳細はこれからという面もありますけども。
だいたいこれで7億[円]ぐらいあるかなと思っているんです。今回このようなスキ-ムを組むんでしたら、県があまりしゃしゃり出なくても、国と市町村とでやってもらえばいいのかなと思っていますが、こういういろんな細かい事業がたくさんあります。
それを積み上げてみないと全体で100億[円]いくかなというのが、ちょっとまだ読み切れません。その辺を目標にして、100億[円]位になるのを目標にして、今、作業はしているという感じですかね。
○NHK 月岡信行 記者
やはり主要なのは、やっぱり経済雇用対策ということですか。
●知事
そうです。今のこのヒブワクチンの関係なんかもそういう一環で政府は位置付けで出してきているわけです。例えば、公共投資の関係とか、それから交付金による地域振興だとか、そうしたものも入ってくると見込んでおります。
○NHK 月岡信行 記者
それと関連して、先ほど素材型産業の実情を聞くプロジェクトチームを発足させると、これはもう近々。
●知事
これは今日、プロジェクトチーム(ワーキンググループ)を発足させて。
○NHK 月岡信行 記者
プロジェクトチームを立ち上げると。じゃ、何か集まって。
●知事
はい。企業の皆さんが来られまして。これからやはり競争性のある産業体質に変えていかなきゃいけないわけでありまして、特に円高等がありますと、その素材型[産業]に対する影響が心配されます。結構リスクヘッジもしっかりやっておられますので、企業によって事情は個々に分かれていますけども、我々としてはその実情も聞いてみたいという思いです。
○NHK 月岡信行 記者
そこは集約した意見が、やはり予算に何かしらの形で入ると。
●知事
実は11月の初めに締め切りましたが、県内の企業にかなり幅広くアンケート調査しました。いろんな意見が出ています。
例えば、ある企業さんでは円高の関係で、韓国向けに出していた材料なんかが、受注が止まってしまったとか、それから、今は大丈夫な状況ではあるけれども、これから見通しが分からないとか、それから、自動車でエコカー補助がなくなったら、大手の企業さんからの受注ががっさり減ったと。他の大手さんからの受注も減ると経営上打撃だとか、いろんな声が上がってきています。
流通系だとか、いろんなところ、結局、買うのも売るのも国内なんで、あんまり影響が出てないというところもあれば、やっぱりデフレ対策をしっかりやってもらわんと、という声があったり、いろんなご意見を、今アンケートで集めました。この辺を参考にさせていただきながら、経済雇用対策を組んでいくことになると思います。
○山陰放送 秦卓史 記者
11月議会でガイナーレに関してなんですが、バード基金の取り崩しが提案されると思うんですけども、昨日も社長から来シーズンの見通しなどもありました。スポンサー集め、あるいはお金の収入の面で苦しくなった場合、経営状態が悪化した場合に、来年度以降、県からの今回のようなバード基金取り崩しのような緊急的な措置というのは、考えておられるんでしょうか。そういう可能性はあるんでしょうか。
●知事
いや、私、今はそういうのは想定しておりません。前からこのバード[スタジアム国際交流]基金を取り崩して支援を行うタイミングとしては、J2に上がる時に、その条件クリアに協力をしていくということで、鳥取市とこれまで協議をしてきましたので、今回がそのタイミングだと思っています。
今後のことは、まだ何の想定もございませんが、ただJ2に上がっていろいろPR、鳥取県のPRにもなるでしょうから、そうした意味でチームの従来やってきたような応援のやり方は今後も考えられるとは思います。
つまり遠征とかいろいろと、あるいは県内での例えば健康づくり事業に参画をしてもらうとか、いろんなコラボレーション事業がございますので、そういうことは考えられるかと思いますけども、まだ例えばバード基金を取り崩して、現ナマで支援をするというのは想定しておりません。
○山陰放送 秦卓史 記者
現在の食のみやこ鳥取県のような、そういうスポンサー料としての増額というようなことでしょうか。
●知事
それはちょっとまだ考えてないですね。これからチームの実際の状況だとか、考え方を見ながら、お付き合いの仕方を考えていくことだと思いますけども、基本的には民間、住民の皆さん、あるいは今度は全国区になりますので、全国からの支援というのをガイナーレ[鳥取]は幅広く集めて、戦っていただきたいなという気持ちです。
○山陰放送 秦卓史 記者
鳥取県版の事業仕分けの今年分のその後についてなんですけれども、今、国でも仕分けの結果、再度やってみると増額になっていたとか、併せて、結局予算が変わっていないとか、いろいろとケースがみられますけれども、鳥取県版事業仕分けの結果で「廃止を含む見直し」っていうふうになった事業については、やはりこれは予算的には当然削られるべきだというふうに、知事、お考えでしょうか。
●知事
中身をよく聞かせていただいて、1つ1つ処理していきたいと思いますけども、私は仕分けのご意見は最大限尊重させていただきたいと思っています。県民の皆様にも、その仕分け事業が、最終的にこういう形で計上されることになりましたとか、こういう形で廃止されることになりましたとか、それは分かりやすく公表させていただきまして、また、県民の皆さまからのご意見もご批判もあろうかと思いますが、そういうのもいただいて、年々歳々見直していくということだと思っています。
○山陰放送 秦卓史 記者
あくまでケースバイケースであるということでしょうか。
●知事
そのまま丸ごと残るということではないかもしれませんけれども、ともかくちょっと中身もよく具体の議論を見てみないといけないと思っていますので、いろんなタイプの議論があったみたいです。ですから、額そのもののことなのか、方法論のことなのかということもありますし、中身をよく精査して結論を出したいと思います。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
それと、もう1点。国民健康保険の運営主体について、厚生労働省が一昨日ですか、都道府県が担うべきだという案を示したわけなんですが、そのメリット、デメリット両方あろうかと思うんですが、知事ご自身はこの案というか、考えについてはどういうお考えをお持ちでしょうか。
●知事
昨日も中国[地方]知事会で、私も議論提供しましたが、都道府県が一定の役割を果たすことは議論に値する内容ではあると思っているんです。ただ、今の議論の誘導のされ方が、結局国の方の財政責任放棄ではないかという思いが強いです。これはおそらく仲間の知事さんたちも同じような思いを持っていると思います。
まずは国がこれからどんどん高齢化に伴いまして、医療費が増えてくるわけですね。この増えてくる医療費に対して、財政責任をきちんと果たしていきますよと。それで、地方の方では、やりくりをしてもらうわけではありますけども、せめてこういう手間を取ってもらって、保険の枠組みもこのようにいじらせてくださいというなら分かると思うんです。
しかし、全部これはもう、国はもう手を離して県の責任だと、それで、市町村ではかわいそうだから県がやってやれと、後は県の責任だと、こういうことでは増高していく、どんどん増えていく医療費に対する解決には何もならないわけですよね。
我々には、例えばその税制の設定権も厳密にはございません。国であれば消費税を上げるとか、思いきった財政増を図ることは可能でありますけども、そういう手段がない地方の場合は、それに対する財源の保障をどうするかということも当然ついて回るわけです。
だから、まずは今の厚[生]労[働]省の試算でありますけども、このあいだその保険についての試算を示しましたが、今後高齢化が進んで、地方側の負担増の方が国の負担増よりも大きいという試算をあえて出しているわけです。
この辺にやはり本音が見え隠れするわけでありまして、これがどんどんと増えていくわけですから、国家として、国民皆保険制度をどうやって作り上げていくかということを考えなければならないわけで、国がまず正面切って自分のところでこれだけ負担すると、心配ないと、後は保険者の枠組みについては都道府県も意見聞いてやってくれと、そういうようなことを考えるのが本来ではないかと思います。そうでなければ、結局医療保険自体が破たんしてしまって、迷惑を被るのは国民全体になってしまうと思います。
○山陰中央テレビ 勝部正隆 記者(幹事社)
ほか、おられませんか。どうもありがとうございました。
●知事
どうもありがとうございました。