●知事
皆さま、おはようございます。雲ひとつない秋晴れの空になりました。いよいよ鳥取県にはカニの季節がやってまいります。11月6日にズワイガニの解禁と相成り、松葉ガニは3月まで、そして、親ガニは1月までの漁期になるわけです。
ぜひ全国の皆様にもこの鳥取県のカニを楽しんでいただき、また、漁業者の皆様には無事、そして豊漁を期待を申し上げたいと思う次第であります。
●知事
今、当面する課題として、私どもの方で11月に開会されます[県]議会に向けて、政策の整理をさせていただいております。その中で、まずは、今国会の状況が非常に不透明感があるものですから、補正予算の審議は衆議院で佳境にこれから入っていく、そういう目処がついてまいりましたけれども、ただ、どういうことになるか、まだ不透明な部分があります。
従いまして、11月議会の対応として、補正予算は二段構えで行こうと考えております。まず、1段目のロケットとして、当面急いでやらなきゃならないこと、そして、県として単独に行うべきことを先行させまして、そのあと、国の補正予算も睨んだ予算の肉付けを行っていくという手法でまいりたいと思います。
ですから、当初提案は10億[円]規模くらいになるかなと思うんですが、その内、県単独でもできる県立施設の耐震化だとか、そうしたことを中心に組んでいくと思います。
今精査中ではありますけども、米価格の低落が非常に厳しい波紋を投げかけております。農業者の皆さんの就農意欲にも影響してくるわけでございまして、これを何とか打開しなければならないと考えております。
従いまして、鳥取県単独として、米価格低落に対する緊急融資を制度化しようと思います。これは全国でも、目立った規模になると思いますし、恐らくトップクラスの融資制度になると思いますが、農業団体と協調しまして、農業団体の方で3分の2、それから県で3分の1の支援を行うことで、無利子の融資をそういう米価低落で悩んでいる、苦悩に陥った農家の皆さんに対する緊急融資を作りたいと考えております。だいたい数億[円]規模にも上る大型の緊急対策とさせていただきたいと思っております。
また、これに続きまして、国の方の補正予算の審議を睨みながら編成作業を進めてまいりますが、後発の景気対策の本丸の部分、国関係の部分も加えますと100億[円]を超えてくるような規模になるのではないかと思います。
いずれにいたしましても、機動的に県民の皆様の現在の厳しい状況に対応するように県政を動かしてまいりたいと考えております。
●知事
また、当面、例えば、鏝絵(こてえ)なまこ壁のサミット(全国鏝絵なまこ壁サミットinとっとり2010)でありますとか、また、らっきょうのサミット(全国らっきょうサミット鳥取大会)でありますとか、様々な行事、全国的な行事も開催させていただきたいと思います。そういう意味で、鳥取県の秋を彩るようにしていきたいなと思います。
●知事
この記者会見の場をお借りしまして、一身上のことについてお話をさせていただきたいと思います。県民の皆様のご支援と絶大なご協力をいただきながら、私のような人間ではありますが、3年半にわたりまして、県政の運営を任せていただきました。
そして、様々な場面で一緒になって、例えば海外への進出話でありますとか、それから、打って出る農業、あるいはアンテナショップ、いろんなことがございましたけども、本当に県民の皆様にお力をいただき、今日この時まで県政運営をさせていただいたこと、感謝の気持ちでいっぱいであります。
いろんなことを手掛けてまいりまして、環日本海時代の扉を開けることに緒をつけました。また、国際マンガサミットの誘致に成功し、先般は高名なマンガ家の皆さんと準備委員会を立ち上げて、マンガというモチーフを活用して若い人も楽しめるような、そして住んでみようと思えるようなふるさとづくりに乗り出す手掛かりを得ることが出来ました。[山陰海岸の]世界ジオパークネットワークの加盟認定も勝ち取りまして、これで世界の大舞台の中で鳥取県を兵庫県、京都府と連携して売り出していくチャンスも作ることが出来たと思います。
子育て王国とっとりにも先鞭をつけさせていただき、明年度から小中学校の医療費助成を始める目処をつけるなど、全国に先駆けた施策も乗りだすことが出来始めたと思っております。教育では、情報公開で他県と違ったやり方をしまして、条例改正も行い、学力テストの公開を行う、大変な議論もありましたけども、教育を改めていく、そして住民の参加の下に教育を整えていく、環境整える、そうしたことも始められたと思っております。
新しい産業創造、雇用の場の確保も重要な事項でありました。残念ながら、マニフェストで有効求人倍率1倍というのを目標に掲げましたけれども、私が前政権から引き継いだ時に、全国平均を下回っていた有効求人倍率を平均以上に押し上げることはできたわけであります。そして、環境対策の要ともなるべき電気自動車の工場誘致の話など、数々の産業政策にも乗りださせていただきました。
ここで放りだすのは余りにも無責任だと自分は思います。次期に対する責任感を感じますし、また、それを自分自身でやはり継続して発展させなければならないだろう、県民の皆様もそれを望んでおられるのではないかというふうに手応えも感じるようになってまいりました。
事実、最大の会派を擁します自由民主党の政党の方からも要請をいただきました。また、実際に行政のパートナーとして、重い責務を担っておられます町村長の皆さんにも、「お前、出ろ」という話をいただきました。実は、このことにとどまらず、いろんな形で激励のメッセージをいただき、また、次もやるようにという厳しいぐらいのお話もいただいてまいりました。そこで、私としても、県民の皆様と一緒になりまして、次の時代を作る必要があると思います。
と申しますのも、昨日のオバマ政権が直面した大きな壁、すなわち、アメリカの国民が改革を望んでいるんだけれども、そのチェンジができきらない、将来の展望が開けないという閉塞感に極めて厳しい評決を下したわけであります。それは日本も同じ状況だと思います。今、混沌とした国政の状況の中にあって、でも、現場の地方自治体がここで歯を食いしばってやらねばどうするということだと思います。
私たちは、共にこの鳥取県の将来に対する責任を負っていると思いますし、それから、未来を作っていく、その役割を担わなければならないんだと思います。「やらいや、未来づくり」。「みんなでやらいや未来づくり」と県民の皆さまに呼び掛けて、一緒になってこれからの将来を形作っていく。今までとは違った閉塞感を打破するようなそういう地域づくりを実現させていく必要があると強く考えるようになりました。
その意味で、次の鳥取県知事選挙に、私も多くのかたのご理解を得ながら、候補者として戦列に加わっていこうという決意を固めさせていただきました。
具体的な政策のことは、私は、これは県民の皆さま、支えてくださる皆さまとの対話の中で作っていきたいと実は思っております。もちろん、その骨としては、閉塞感を打破するような未来づくり、これを自分の中心課題として考えていきたいと思いますけれども、具体的な個別の政策項目は、これから半年くらいまだございますので、じっくりと仕上げていき、選挙戦に臨んでいくことにいたしたいと思っております。
ただ、いろいろと頭をよぎりますのは、「パートナー県政」を行っていく必要があるだろうと。これは、これまでも県庁改革を進めてまいりました。県民のパートナーであり、市町村や地域のパートナーである県政、これに方向転換を図ってきたわけであります。このことをぜひ進めていきたいと思います。
鳥取力創造運動など、新しい新基軸も打ち出してきました。幸い、応えてくださる県民のかたが多いと思いますし、先日も早稲田大学の北川[正恭]教授と議論していて、若干の違和感を覚えたんですが、鳥取県は多分、他地域よりも先行して、市民、県民が立ち上がり始めていると思います。
それは、もう究極まで我々は追い込まれつつあるんだという、そういう危機意識を共有されている皆さんが、自分たちの手で地域づくりをやろうと乗り出してきておられるわけです。これに応えて、一緒になってやっていこうという思いが強くあります。
また、今の厳しい経済の状況を考えれば、産業の成長を果たし、そして、安心できるしっかりとした雇用の場を県内で作っていかなければならないと思います。新規産業、環境エネルギーだとか、新しいデバイス産業などはもちろんのことでありますけども、1次産業と言われる農林水産業、これも鳥取県の強みの部分だと思います。これから、国の産業政策の中で非常に厳しい局面はあろうかと思いますけども、そこで、我々はチャレンジしていく精神をたぎらせなければならないと思います。
そうした意味で、環日本海戦略は、重要な要素になると思います。鳥取県は結び目でありたいと思います。海外と日本を結ぶ結び目、環日本海戦略がその1つであります。また、中国地方と関西地方を結んでいく、その結節点としての役割も果たせると思います。
そういうことで、人の行き来や、ものの行き来を豊かにさせていくことで、新しい産業立地や、それから出荷、また観光などを呼び込んでいく起爆剤になるのではないかと考えます。その意味で、新規のチャーター便を、誘致してくるなどして、世界にも目を開いた戦略的展開をこれから図っていく必要があると思っております。
また、パートナー県政、産業雇用、それから3つ目には、安心できるそういう暮らしを形成していくこと、これが重要だと思っております。医療の面ではそういう医療スタッフの充実を図ったり、ガン対策を推進をしたり、命を助けられるような地域でなければならないと思います。
中山間地域の疲弊が、これから一層、向こう4年間進んでくると思います。そういう中で、鳥取県は、私が県政を担当させていただいた後、中山間集落見守り[活動]協定など、他地域ではない新基軸を打ち出してまいりました。これは、一定の成果を上げつつあると思います。
私は、助け合い、支え合いながら、中山間地を盛り立てていく、これはバス路線などの交通戦略もそうだと思います。そうしたことを実践的に行っていくことが重要ではないかなと思います。
防災も、震災(鳥取県西部地震)から10年を経ました。この度、日野病院が移転改築10周年を迎えますけれども、そういう経験を活かしまして、私たちなりの自主防災組織などを充実していくことができるのではないかと思います。
また、環境とか、つまり消費者の生活の安心だとか、そうした面、それから環境の面での安心、いろんな安心を形作っていくことが重要だと思っています。
それから、4つ目には「人財鳥取」を推進していくことだと思います。子どもたちの健やかな成長を願う気持ちは地域の共通の願いだと思います。その意味で、「人財鳥取」、財は財産の財を本県ではあてるようにいたしましたけれども、「人財鳥取」を推進して教育改革を進めるべきだと思います。
鳥取環境大学のスタートを切ろうというのは、これは元よりの課題でありますけども、高校だとか、小中学校だとか、そうしたところでも鳥取型の教育システムというのを導入できるのではないかと思います。すなわち、地域の人材にも加わっていただきまして、未来の世代の人たちの成長を支えていこうということができないだろうかと考えております。
また、シニア世代の充実も必要であります。プロダクティブ・エイジング、生産的な歳の重ねかたという、そういう言葉があります。そういうシニア世代の人たちに活躍の場を是非取っていただいて、これも地域社会を盛り上げていくことに大変に役に立つと思います。
また、若手の経済人だとか、まちづくり人財、そうした人財の育成や連携、ネットワーク化、こうしたことで人財の厚みをもっていかないと人口減少に悩む鳥取県がこれから発展を遂げることは難しかろうと思います。それを打破する意味で、人財鳥取の推進ということが、1つの柱になるのではないかと思っております。
そして、最後に鳥取の誇り、これを県民の皆さんや全国世界の皆さんに実感していただける、そういう時代を作っていきたいと思います。幸い、私たちは世界ジオパークネットワークの加盟認定に成功しました。また、国際マンガサミットの誘致に代表されますように、本県にはポップカルチャーの素材があります。それがまだ原石として輝きを見せていないのだと思っています。そうしたことで、鳥取の誇りとも言えるべき輝きを増すような、そういう対策を取る必要があるだろうと思います。
文化芸術には適したところだと思います。アーティストリゾート構想を今後も推進をしたいと思います。鳥の劇場が実際に活動を始めたわけでありますけども、また別の劇団グループが活動しようという動きがあったり、また、美術系の皆さんが鳥取をフィールドにしようという動きが出てきていたり、国際的にも魅力のあるゾーニングだと思います。
国際リゾートとしても私は値打ちが出てくるだろうと思います。「アテナ」という[韓国]テレビドラマのロケに、これも誘致を首尾よく終えることができました。今度はお客さんが来られる番でありますけども、これを機会にして鳥取の国際的な知名度を高めていき、いろんな国のお客様に、日本人も元よりとして、楽しんでいただけるようなリゾート化を推進をしていく必要があると思います。
これは単に観光名所を巡るだとかいうことだけでなくて、健康づくり、例えば自転車を活用するとか、そうした新しいタイプの観光地づくりにも乗り出していくべきではないかなというふうに思っております。
以上、骨のような話を申し上げました。むしろ、これから細かいいろんなアジェンダ設定は、県民の皆さま、支援者の皆さまと一緒に進めていきたいというふうに考えております。そして、夢のある未来づくりを鳥取県から起こしていきたいというふうに考えております。私の方からは以上です。
○朝日新聞 倉富竜太 記者(幹事社)
各社さん、お願いします。
○NHK 月岡信行 記者
前回、平井知事は、自民党と公明党から推薦を受けて立候補されましたが、今回そういった、何か、無所属とか、政党との連携とか考えてるものはありますか。
●知事
私は基本的スタンスとしては、政党の枠組みに捉われない活動をしていくべきだと思っております。つまり、幅広い県民の皆さんと共に未来づくりに挑戦していかなければならないと思うんです。その意味で、一党一派に縛られるというよりは、幅広い人たちとの連携を大切にしたいと思っています。
ただ、そういう意味で県民党的な立場と言えるとは思うんですけども、県民党という新しい党を、例えば橋下大阪府知事のように維新の会のように立ち上げるつもりはありません。むしろ、鳥取県にはそういう余裕はないんじゃないかというのが私の政治、行政の実感なんですね。ですから、むしろいろんな方々と手を携えてやっていかないと力も出ないし、スピード感も出てこないと思っております。
その意味で、先般は自民党さんの方から、県連から出馬要請をいただき、今朝お返事を申し上げましたけれども、そうした様々な党派の皆さんとも関係を作りながらやっていくのが本来ではないかなというふうに思っております。
○読売新聞 野口英彦 記者
それは、政党に対して、推薦とか公認を求めないということになるんでしょうか。
●知事
そうした具体的な推薦とか、公認というのは、政党さんのお考えがいろいろあることでもあります。私は幅広い皆さまに、できれば支えていただきながら、次の県政を形成すべきだと思っています。理由は先程申しましたように、鳥取県の力を最大限発揮しようと思うと、そういうウイングの広さも必要でなはいかという基本的な理念があります。
そういう意味で、推薦とか、公認とかいう話については、今はただちに念頭に置いているわけではございませんが、これから政党の様々なかたと話し合いをする中で、まだ時間をかけてということだと思います。選挙までは日取りがございますので、時間をかけて、その辺は結論を出していく課題かなと思っております。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
政党に推薦を要請することもあり得るというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
●知事
今日それをするつもりはありません。ただ、今後、政党さんと協議をする中で、どういうスタイルがいいのかというお話はお互いのやり取りの中であるかと思います。今日は、まずは自分の気持ちをはっきりと県民の皆さまにも申し上げるべきかなと思ったところまでです。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
ただ、推薦党の申請というのは、あくまで候補の方が政党に求めるものであって、申請するものであって、政党とのお考えもあるというふうに知事はおっしゃいましたけれども、知事ご自身の希望というのが推薦といったものに影響してこようかと思うんですけれども。
●知事
私の基本的な考え方としては、非常に難しい時代に我々は差しかかっていることは間違いないです。将来が不透明であると。経済の状況をとってしてもそうでありますし、また、外国との関係をとってしてもそうであります。日本が置かれた立場の中に、鳥取県も翻弄される部分があるわけであります。
その中で、決して、自力が強いとは思っていないわけでありますが、鳥取県を発展させようと思えば、いろんな政治的なスタンスの皆さんとも協力関係を作っていくべきではないかというのが、私のコアの考え方でございます。
これについては、もちろん政党の方には政党のスタンスもございますし、なかなかすり合わせていくのは、時間がかかること、話し合わなければならないことはいろいろあるんだろうと思います。そういう中で、推薦とか公認とかですね、公認というのは多分ないですけども、推薦とか、そうした政党との関係のお話は、自ずから結論が出てくるんではないかなと思っております。私からは、今、今日の時点で、この政党、この政党に推薦届を出しますという考えはありません。
○日本海新聞 井上昌之 記者
知事が、県民党ということも今日おっしゃったんですが、そういう大阪府知事が作るような「維新の会」ですか、ああいうものではないということをおっしゃっていたんですが、具体的に県民党というのはどういうものをイメージしておられますか。
●知事
ですから、県民党的と申し上げたんですけども、要は、一党一派ということ、特定の政党の枠組みに捉われるのではない、そういう立場で、強力に県政を効率的、そして民主的に運営していきたいというのが基本的な政治理念であるということです。その意味での県民党的という言い方をさせていただきました。
○山陰放送 秦卓史 記者
最初の頃に、ここで放り出すのはあまりにも無責任だというふうに感じているというふうにおっしゃられました。そうであれば、かなり表明自体はもっと早くてもよかったのではないでしょうか。
●知事
自分自身ですね、先程申し上げましたような基本的なスタンス、今、国政の方でいろんな状況もございますし、私がどういう立場を取りながら政治的にいけるかどうかということの、自分なりの見極めと言いますか、感触も持ちたかったというのもあります。
ですから、その意味では、先般、自由民主党さんの方で、県連として要請という形でこられたことは、私にとって非常に背中を押される形になったと思います。また、町村長の皆さんのように、私と同じように、いわば県民党的立場でやっておられる皆さんからエールを送られたというもの心強く感じたところがありました。
ですから、この週末の直近の記者会見という形になりましたけども、私としては多分一番早いタイミングで明らかにさせていただいたと思っています。
○山陰放送 秦卓史 記者
もう1つ、自民党の要請が1つ大きなポイントだったということですが、民主党からの要請なり、何か働きかけというのは、ご自身は望んでおられるんでしょうか。
●知事
これは、これから民主党の皆さんも政府与党でございますので、国政に対する責任あるお立場の勢力でございますから、この平井の話に対して、どういうふうに関係を取っていくかというのは、あちらの方でまた、議論していただけるんではないかと思っています。
もちろん、説明に来いと言われれば、いつでも説明をさせていただきたいと思いますし、私としても、しょっちゅうお会いしますので、また、近々に、ハイウェーの関係でも上京しなきゃいけませんし、いろんな形で、これからもコミュニケーションを取らさせていただいて、まだ、4月の選挙でありますので、しっかりと調整させていただきたいと思っています。これから、多分、今日の話も伝わりますので、民主党さんなりに御判断もいただければとは思っております。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
知事の側から民主党の方へアプローチをかけるお考えは。
●知事
もちろん立候補表明させていただいたことは、これは礼儀としてお伝えをさせていただきたいと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
一時は政権与党である民主党との関わり、関係について悩んでらっしゃったようなふうに思うんですが、今回表明したということは民主党との関係維持がある程度メドと言いますか、見通しがついたということなんでしょうか。
●知事
前回は自[由]民[主]党さんと公明党さんの御推薦をいただいて、それで立候補するという形になりました。その時に正直な話を申し上げますと、民主党さんとの関係は整理をするようにということが条件にあったんです。ですから、あの当時どこでも立候補がございましたけども、自公なら自公という、そういう立候補の形態が多かったと思います。そういう意味で、今回、自民党の県連の方から出馬要請という形で県連会長、幹事長、それから、会派自由民主の会長さんからお話をいただきました。
それで、これはそういう意味での、政府とのお付き合いを否定したものでもないと私は受け止めましたので、前回とは違った局面も作り得るのではないかという可能性を感じているところです。ただ、これは政治の話ですので、これから皆さんで議論があるだろうと思っております。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
前回、選挙の時は、当時与党であった自民、公明に軸足を置くというふうにはっきり明言しておられましたけども、今回は、今、国の与党は民主党なんですが、民主党に軸足を置くというふうにまで、今、はっきり言うつもりはないということなんでしょうか。
●知事
先程申しましたように、私は公平中立と言いますか、自分として最大限の県民、地域への御奉仕を申しあげなければならないと思います。その意味で、一党一派ということではない考え方を基本に、これから臨めればなあという思いであります。
○読売新聞 野口英彦 記者
知事としては1期目からそういう公正中立という形でいきたかったんだけども、当時の自民党、公明党からある程度民主党との関係を、一線を引くように言われたという経過があって。
●知事
それは選挙についてですね。
○読売新聞 野口英彦 記者
今回はそれが当初から思い描いていた形に近づいたんではないかということが出馬の。
●知事
そうですね、そこはこれから時局が推移する中で、段々見えてくるんだと思いますが、私としては、自分は真面目過ぎるのかもしれませんが、やっぱり一番いい仕事が出来なきゃいけないと思っているんです。そういう意味で、県民の皆さんに納得してもらえるような仕事をするためには、今の政治情勢の中で考えれば、政党の枠に捉われない形での選挙にしていかなければならないだろうというふうに思っています。
○毎日新聞 宇多川はるか 記者
その出馬要請という県連の形が政府との付き合いを否定したものではないと感じたっておっしゃられるのは、その推薦という、今までの枠組みではなくて、県民党という立場をはっきり明示されている知事に対して出馬要請をしたという、そういうことに対してということでしょうか。
●知事
その後、実は県連会長とか、幹事長さんなどともお話しをさせていただいております趣旨について、これはマスコミの皆さんに対しても語られたことと同じことをおっしゃっていると思いますけれども、推薦とか、公認を必須条件にしないというお話であったと私は理解をいたしております。
その意味で、支援はいずれにせよするけれども、形にはこだわらないと。こういう言葉がいいのかどうかということもありますが、形については柔軟に考えるというお話であったと受け止めております。その辺で、自分として目指したい、県民の皆さまに一番いい仕事ができるような形が作れないだろうかと思っているところです。
○日本海新聞 井上昌之 記者
10月下旬に、自民党県連さんと、あと町村長さんが要請に来られまして、それからちょっと目まぐるしく動きが変わってきたのかなと思うんですが、その間、他のいろんな方面のかたから知事に対して出て欲しいというような声がたくさんあったんでしょうか。
●知事
それはございました。いろんな団体とか、あるいは政治家と言いますか、首長さんですね、市長さんのような立場のかたとか、いろいろと話はいただいております。そういうのをやっぱり自分なりに考えますと、もうここで腹をくくって、むしろ、もう1点の曇りなく決断すべき時かなと思いました。昨日遅くまでかかりましたけども、家族の理解も得まして、最終的に決断をさせていただいたということです。
○読売新聞 野口英彦 記者
知事は、先程、昨夜とおっしゃいましたけど、いつ決断されて、それを誰にどのように伝えられたということになるんでしょうか。
●知事
昨夜です。それで、今朝になりますけども、順次自民党の方には県連会長さん、また県連幹事長さん、それから前回一緒に要請に来られた会派自由民主の会長さんなどにお話をさせていただきましたし、町村会の代表者であります吉田[秀光]町村会長にも、これも電話ではありますけども、朝、電話をさせていただきました。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
前回の初めて出馬するときも、本来は県民党として来たかったと、そこが言ってみれば自民・公明の方の主張というか、そういう支持のようなもので、民主党との関係を断ったというふうな受け止めかたになるんでしょうか。
●知事
前回は、実は、私はあんまりこっちにいなかったんですね。この時期っていうのは、もうずっと異国の地におりまして、あんまりタッチできていません。むしろ、どういうことかと言いますと、自民党県連さんでいろんなご議論がございまして、自民党県連さんの方から出馬要請をいただいたんです、今回も似たようなことでありますけれども。その時に、それで、私としては、じゃあ帰っていこうということになりまして、帰国をするということであります。
走りながらやっていますので、その時に公明党さんの推薦も決まりましたけれども、民主党さんの方ともメールだとか、電話だとかでやり取りはあったんですが、こちらの方で報道があったようです、私が帰国してくる前に。それで、民主党として政策協定を平井候補と結ぶ方向というようなことが出たときに、それはちょっと待ってくれと、いや、そういうことは待ってくれという話が正直な話としてはございまして、私としては、当時の自民党公明党の方で呼ばれて帰国する途上だったものですから、まさに切符を買った後の話でありまして、それはそういうことだと割り切って帰ってきたということです。
私の方から、県民党を指向したとかいうことでは正直ありませんで、前回は、言わば遠くにいた人間を呼び戻したような格好のことでございますので、私は一切工作的なことはやってないんですね。それは何か、こちらで誤解が当時あったように思いますけども、全くないんです。
むしろ話は逆でして、言われるがままに来たという感じでありますので、そういう選挙活動に入ったと。ただ、当選した後は、議会の最初の6月議会で申し上げましたけども、不偏不党と言いますか、県民、地域皆で答えを出していくようなそういう公正中立な県政を目指したいと、これは最初から県政運営としては申し上げておりました。
それを私のモットーにしております。当選した後、それでずっと貫いてきていますので、「平井は県民党的」というイメージが今では出来ているわけでありますが、今回はその後の選挙になりますので、自分としてはできるだけいい仕事ができるかたちを考えていければなという思いですね。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
つまり4年前は政権与党に軸足を置きたいと言われた、今回は決してそうではないというふうに言ったら。4年前と今回との、その違いというのは。
●知事
正確に言うと4年前は、政権与党に軸足を置くという立場で臨んでもらいたいという話をいただいたんです。それで、私としても、そこは男の子ですから、もうこの際、それで割り切っていくしかないなということで、そういう立場で動いていたわけであります。今は、その後この県政を担うことになりまして、政権交代があったりして、政治情勢が変わってまいりました。いろんな立場のかたとパートナーシップを組んで政策立案や執行にあたっていかなきゃならないもんですから、悩ましい状況はあるんですが、県民党的立場でこれから向かっていきたいなと判断したわけです。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
これはあれですか、現職でもありますし、そういった決断、何て言うか、党の事情ではなく自分の中の意思、判断で決められるっていうことはやっぱり大きい。
●知事
それはあります。自分としては、できるだけいい仕事をして、県民の皆さまに還元をさせていただきたいと、その一心です。それ以上のことは何もありません。
○時事通信 京正 裕之 記者
立候補表明する場に定例会見を選んだ理由というのは何故でしょうか。
●知事
これは自分の性格かもしれませんけれども、誠実でありたいと思いましたので、先般、出馬要請をいただいた以上は早めにお答えを申し上げるべきだというふうに判断をしたわけであります。その意味で、[県]議会という場もあると思いますけども、議会を待っているとまだ一月ありますので、この記者会見という場であえて表明をさせていただきました。
○NHK 月岡信行 記者
細かい政策については、今後詰めるということですが、いつぐらいを目途に、さっきアジェンダという言葉を使いましたが、どういう形で、有権者が今のところ平井さんしか立候補されてないので、市民的な面もあると思うんです、これまでの県政について判断評価をするということもあると思うんですけども、そこを今後どういうふうになっていくか、1つの判断基準の1つになると思うんですね。それはいつ頃、どういう形で表明されるということを考えているんですか。
●知事
それは法律の規定に基づけば、選挙の告示の前までにまとめるべきであります。そこで、配布出来る文章が、いわゆるマニフェストと言われたりするようなもの、政策文書なんですけども、それをどういうタイトルとか性格で作るかも含めて、これから詰めていきたいなと思っています。
○NHK 月岡信行 記者
そうはいっても、実際ある程度、告示前に民主党のかた、いろんな形で、前回の例えば4年前とか、結構いろんな形でマニフェストを出している現職のかたとかもいましたけど、そういった形で公に明らかにする必要があると思いますが。
●知事
もちろんそうです。ですから、それは選挙の前がデッドラインだと思っています。それまでいろいろと有権者のかた、県民のかたのご意見を拝聴しながら、自分として次の4年で取り組むべき課題というのを見定めて、政策化していきたいと思っています。
○NHK 月岡信行 記者
結構、ゆっくり考える感じですか。そこだけでも。
●知事
前回もそうだったんですけども、前回のマニフェスト作りも自分としての思いはもちろん持っていました。2月に帰ってきたんですけど、その時も飛行機の中で草案は作っていたんですけども、あえてそれは表に出していません、当時。
むしろそこにいろいろとご意見を聞くわけですね。いろんな活動をしたり、いろいろなかたと会合をしておりますと、そういうものを盛り込んでいって、最終的なものを選挙の告示前に取りまとめたと、それで、発表させていただいたということです。
みんなそうしていると思うんですけども、私は特にそういうデモクラシーを大切にしたいと思っていまして、なるほどと、これはやるべきだと思えることは取り込みながら、その政策綱領を作っていきたいと思っています。
○読売新聞 野口英彦 記者
それに関連して、民主党なり他の党から政策協定を求められた場合はどう対応されますか。
●知事
それはちょっとまだ想定しておりません。ただ、自分の考え方は、何があるかといったら、先程も申し上げましたけども、こういう思いを持っているということは、当然、お話をしたいと思いますし、何かメモを作れと言ったらメモは作りますけども、まだそれは、いわゆるマニフェストとか、アジェンダというものではなくて、自分としての思いの範囲です。
○読売新聞 野口英彦 記者
他党から支持の条件に何か、これをやって欲しいと言われた場合にはそれを盛り込まれる。
●知事
もちろん内容によります。
○日本海新聞 井上昌之 記者
前回は2月に出馬表明をされて、4月の選挙に時間がなかったんで、なかなか窮屈な面もあったと思うんですけども、今回はまだ5ヶ月あります。知事の公務をしながら、ということでなかなかお忙しいとは思うんですけども、これまで3年半県民のかたとの触れ合いの中で蓄積された分もあるでしょうし。
ただ、今後県民のかたと直にこのマニフェスト作りという観点でお話し合いの場を持たれたりとか、集会をされるとか、そういうご予定というのは今のところ考えていませんでしょうか。
●知事
それはちょっと私的な部分になりますので、この場で申し上げるのもどうかと思いますが、そういう場も用意しつつあります。ただ、そういう支援者系統の話だけではないと思うんですね、いろんな形で県民の皆さんのご意見は県政に寄せられます。そういうものもきちんと前向きに取り組みながら、やはり4年間の課題を整理すべきだと思っています。
○読売新聞 野口英彦 記者
政権交代に関連して悩ましい思いがあったというようなことをおっしゃったと思うんですが、自民公明推薦を受けて当選をしたことで、今の民主党政権下で、何て言いますかね、ちょっと壁を感じたというか、ちょっと何か難しい部分があったということは、身につまされたことがあるんでしょうか。
●知事
やはりコミュニケーションは、どうしても感情が絡む部分もございますので、ないわけではないですよね。ただ、それを克服しながら、今、県政運営をさせていただいております。
○日本海テレビ 馬田勉 記者
先程も少しあったんですが、4年前のマニフェストで求人倍率が1に達してなかったですとか、農家の1,000万円の所得が1,000戸というようないろいろマニフェストがあったと思うんですが、知事の中で1期目のマニフェストは達成できた部分が多いとお感じなのでしょうか、それとも少ないから2期目で課題を持ち越すというようなことなんでしょうか。
●知事
丁寧に、これは検証していただければと思いますが、半分以上は達成、数値目標ですね、例えば、ふるさと認証食品3倍とかですね、いろんなものを作ってあったんですけども、自然エネルギーの発電量とか、概ね達成しつつあります。
ただ、やっぱり大きなところでは有効求人倍率が達成できてないという思いは残念なところです。ただ、これは正直、ちょっと国全体の経済がこれほどになるとは思ってなかったところもありますので、全国平均を上回るように、前政権の時とは局面を変えたことは出来ましたけど、まだ力及ばずだったなと、そこはそういう感じを持っています。
農家所得は、実は私のマニフェスト設定が悪かったんだと思いますが、統計がありませんで、ちょっとこれ4年間で検証できなかった部分ですね。だから、その意味で数字がないので、数字的な検証ができていません。むしろこれから新しいマニフェストないしアジェンダを考えるんであれば、例えば作物ごとに、目立った作物はこういう目標を持とうとかいう方が良かったかなと思っております。
そういう意味で、今はまだ3年半しか経っていませんので、これから仕上げなければいけない、一生懸命にその仕上げにかかりますけども、マニフェストの達成については、一定の手応えは感じることはできたと思っています。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
今現在も仮に自公政権というのが続いていたら、仮定の話になるんですが、今回もそのままストンと与党に軸足、自公に軸足というふうな立場で臨まれた格好になっておったんでしょうか。
●知事
私は、基本的には、これは自分の行政理念として一党一派とか、政争ということを地方の現場に持ち込み過ぎない方がいいだろうと思っています。そういう意味で、前回と同じことになったかどうかというのは分かりません。いずれにせよ仮定の話なんで、ちょっとお答えのしようがないですけれども、前回自分としてはそういう感性であると思います。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
今回、県民党という主張、言葉を盛んに主張していらっしゃるというのは、やはり3年半公務を務められて、県民の支持を得られたというその自信であったり、手応え等、多分何かそういうふうに言わしめているような部分もあるでしょうか。
●知事
やっぱり幅広い皆さんと一緒に仕事をしてきました。住民の皆さんとNPO活動だとか、あるいは自治会活動だとか、いろんな局面がありますが、自分自身も手伝わせていただいたり、一緒になってやったりしまして、そこに手応えを感じることが出来ました。ただ、やっぱり県政の基本は1人1人の住民から説き起こしていくべきものだと思いますので、あえて言葉を作れば県民党的な立場ということを申し上げているわけです。
○山陰中央新報 錦織拓郎 記者
総括的な質問になってしまって恐縮なんですが、最後に、県民党とおっしゃいますが、知事ご自身おっしゃったように県民党という名前の政党というのは存在しないわけでして、実際、選挙戦というものがある公算が高い、大きいとは思うんですけども、中で各政党との距離感、立ち位置というのはどういったのが、あるべき姿、望ましいとお考えでしょうか。そのお考えが実現できると、実際にそういった姿で臨めるというふうにお考えでしょうか。
●知事
ちょっとさっき質問があったもんですから、県民党的と申し上げたんですけども、基本は無所属ということですよね。前回も実はその意味では無所属なんです。無所属で、後は政治的に既存の政党との関係をどうするかということでありますが、私はあまり特定の党派に捉われないような、そういう形が出来ればいいなというふうに感じています。
そうした土俵が作れるかどうかというのは、これはこれからの努力次第ということだと思っていまして、私としてはそういう方向を望んではおりますが、これから自分なりに努力していきたいということだと思います。
○朝日新聞 倉富竜太 記者(幹事社)
よろしいでしょうか。ありがとうございました。
●知事
はい。どうもありがとうございました。