内閣府は、平成23年3月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、持ち直しに転じているが、自律性は弱く、東北地方太平洋沖地震の影響が懸念される。また、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。
・輸出は、持ち直しの動きがみられる。生産は、持ち直したものの、東北地方太平洋沖地震の影響が懸念される。
・企業収益は、改善している。設備投資は、持ち直している。
・企業の業況判断は、慎重さがみられる。
・雇用情勢は、依然として厳しいものの、持ち直しの動きがみられる。
・個人消費は、このところおおむね横ばいとなっている。
・物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
先行きについては、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待されるが、東北地方太平洋沖地震の影響に十分留意する必要がある。また、金融資本市場の変動や原油価格の上昇の影響、海外景気の動向によっては、景気が下振れするリスクが存在する。デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。
政府は、「新成長戦略」に基づき、日本経済を本格的な回復軌道に乗せるとともにデフレを終結させるよう政策運営を行う。これに加え、今般の地震の影響を十分注視して、国民生活及び経済活動の安定に総力を挙げて取り組む。
日本銀行に対しては、引き続き、政府との緊密な情報交換・連携を保ちつつ、適切かつ機動的な対応によって経済を下支えするよう期待する。
日本銀行は、3月14日、資産買取等の基金の増額を決定している。
(各論)
○消費・投資などの需要動向
個人消費は、このところおおむね横ばいとなっている。消費者マインドは、おおむね横ばいで推移している。実質雇用者所得はおおむね横ばいとなっている。設備投資は、持ち直している。住宅建設は、持ち直している。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は、持ち直しの動きがみられる。輸入は、持ち直しのうごきがみられる。貿易・サービス収支の黒字は、横ばいとなっている。
○企業活動と雇用情勢
鉱工業生産は、持ち直したものの、東北地方太平洋沖地震の影響が懸念される。先行きについては、輸出が持ち直し傾向で推移する中で、持ち直し傾向が続くことが期待される。ただし、当面、東北地方太平洋沖地震の影響による生産活動の低下が懸念される。企業収益は、改善している。企業の業況判断は、慎重さがみられる。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。雇用情勢は、依然として厳しいものの、持ち直しの動きがみられる。
○物価と金融情勢
国内企業物価は、上昇している。消費者物価は、このところ下落テンポが緩やかになっている。株価(日経平均株価)は、10,600円台から10,700円台まで上昇した後、8,600円台まで下落し、その後9,200円台まで上昇している。対米ドル円レートは、83円台から79円台まで円高方向で推移した後、81円台まで円安方向で推移している。
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需要面の個人消費では、大型小売店販売額(1月)が、店舗調整後(新規店舗を除く)は前年を下回った。ホームセンター・家電量販店販売額(1月)、乗用車新車新規登録台数(2月)も前年を下回った。
建設等では、新設住宅着工戸数(2月)、用途別着工建築物工事金額(2月)、公共工事請負金額(2月)のいずれもが前年を下回った。
産業面では、鉱工業生産指数(1月、季節調整済)が93.8で前月から3.3%上昇した。なお、大口需要電力実績(1月)は、鉱工業用主要4区分でみると、機械の区分で前年を下回ったが、それ以外の区分では上回った。
雇用面では、新規求人倍率(2月)は、1.17倍(前月差0.23ポイント低下、前年同月差0.22ポイント上昇)であった。有効求人倍率(2月)は、0.71倍(前月差0.01ポイント低下、前年同月差0.18ポイント上昇)と、2か月続けて0.7倍となっている。
きまって支給する給与(1月)は前年を下回ったが、所定外労働時間(1月)は前年を上回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(1月)は、全店舗計では56億200万円となり、前年同月比7.9%減と7か月続いて前年を下回り、店舗調整後でも前年同月比7.1%減(全国は前年同月比0.7%減)と前年を下回った。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が15億7,900万円(前年同月比15.5%減)、スーパーが40億2,300万円(前年同月比4.5%減)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(1月)は29億9,900万円(前年同月比7.3%減)と2か月続いて前年を下回った。内訳ではホームセンターが16億2,100万円(前年同月比3.0%増)、家電量販店販売額が13億7,800万円(前年同月比17.4%減)であった。
乗用車新車新規登録台数(2月)は1,704台(前年同月比14.7%減)と6か月続いて前年を下回った。内訳では、普通車、小型車及び軽自動車の全ての区分で前年を下回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(2月)は120戸(前年同月比7.0%減)と4か月ぶりに前年を下回った。内訳では、持家系(前年同月比4.7%減)、貸家系(前年同月比11.4%減)ともに前年を下回った。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(2月)は21億1,300万円(前年同月比1.6%減)と前年を下回った。用途別では、卸売業,小売業(前年同月比約40倍)等で前年を上回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(2月)は44億4,600万円(前年同月比31.2%減)と前年を下回った。発注者別内訳では、国(前年同月比51.7%減)、県(前年同月比6.4%減)等で前年を下回ったが、市町村(前年同月比32.4%増)は前年を上回った。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(1月)は生産指数(季節調整済)が93.8となり前月比は3.3%上昇となり、原指数は81.0となり前年同月比では2.9%上昇した。
内訳を前月比で見ると、食料品・たばこが7.6%上昇となり2か月ぶりの上昇、電子部品・デバイスが0.3%の上昇となり3か月ぶりの上昇、電気機械が2.7%の上昇となり3か月ぶりの上昇、一般機械が35.0%の低下となり4か月連続の低下となった。
在庫指数(季節調整済)は86.7と前月比1.4%低下した。
【電力】
大口需要電力実績(1月)は122,879千kWh(前年同月比2.0%減)と4か月続いて前年を下回った。鉱工業用の大口需用電力を主要4区でみると、機械の区分は前年を下回ったが、それ以外の区分では前年を上回った。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(2月)は野菜が1,335t(前年同月比8.5%増)と2か月続いて前年を上回ったが、果実は572t(前年同月比16.5%減)と7か月続いて前年を下回った。
鳥取市場の青果物販売量(2月)のうち鳥取県産の卸売量は野菜が403tで市場全体に占める割合は30.2%(前年同月差3.1ポイント低下)、果実は17tで市場全体に占める割合は3.0%(前年同月差0.2ポイント上昇)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(2月)は9,3761t(前年同月比19.7%増)と2か月続いて前年を上回った。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(2月)は1.17倍(前月差0.23ポイント低下、前年同月差0.22ポイント上昇)であった。なお、新規求人数(2月)は4,101人で前年同月比17.5%の増であった。
有効求人倍率(2月)は0.71倍(前月差0.01ポイント低下、前年同月差0.18ポイント上昇)となっており、2か月続けて0.7倍をとなった。
【賃金】
現金給与総額(1月)は238,828円(前年同月比0.9%減)と7か月ぶりに前年を下回った。そのうち、きまって支給する給与(1月)は、235,097円(前年同月比1.6%減)で2か月続けて前年を下回った。
【労働時間】
所定外労働時間(1月)は7.9時間(前年同月比2.5%増)と14か月続いて前年を上回った。主力の製造業は1.1%増となった。〔産業別の前年同月比では、生活関連サービス業・娯楽業(前年同月比122.2%増)等で前年を上回り、医療・福祉(前年同月比20.5%減)等で前年を下回った。〕
【預金・貸出金残高】
預金残高(1月末)は1兆9,853億円(前年同月比2.3%増)と25か月続いて前年を上回り、貸出金残高(1月末)は1兆1,418億円(前年同月比0.8%増)と21か月続いて前年を上回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(1月)は先行指数が11月75.0、12月68.8、1月31.3、一致指数が11月37.5、12月50.0、1月37.5、遅行指数11月33.3、12月50.0、1月40.0となった。
・ 企業倒産(2月)は件数が4件で前年に比べて1件減少(前年同月比20.0%減)し、負債総額は8億円で前年に比べて6億9,000万円減少(前年同月比46.3%減))した。
・ 消費者物価指数(2月:鳥取市、総合、平成17年=100)は98.7(前月比0.1%低下、前年と同水準)となった。
・ 鳥取県の推計人口(3月1日現在)586,635人で、前月と比べて301人(0.05%)減少し、前年同月と比べて3,495人(0.59%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成23年2月調査でみると、平成23年1~3月期は前四半期(平成22年10~12月期)に比べると、景気及び経常利益がきわめて不調、売上高が不調となっている。