●知事
皆さま、おはようございます。今朝は大変に明るいニュースが入ってまいりましたけれども、なでしこジャパン[サッカー日本女子代表]が見事に決勝進出を決めてくれました。震災という重い荷物を背負った日本にとりまして、大変にすばらしい出来事だったなあというふうに思います。ぜひとも、これからさらなる栄冠を目指してチームには活躍してもらいたいと思いますし、被災地にも勇気を与えていただく、こういう活躍に感謝を申し上げ、高らかに敬意を表したいというふうに思います。
我がガイナーレ[鳥取]の方もそれを見習って、ぜひ、さらに上を目指してもらわなければならないと思いますが、[7月]24日に、私もずっと怪我もありまして、スタジアムを離れておりましたが、バードスタジアムの方に行こうかと思っております。そのときに親子でブラインドサッカースクールというものをやってみようかということがございます。徳島ヴォルティス戦の前にブラインドサッカー、つまり目が見えない状態で楽しむというサッカーでございますが、障がい者の問題だとか、あるいは親子でのコミュニケーションだとか、そうしたテーマに当たっていこうというプロモーションイベントでございます。ぜひ多くのかたにスタジアムの方にも足を運んでいただきたいなと思います。鳥取市の方でもキャンペーンを打つみたいですし、いろんな形でこのサッカー熱、鳥取でも盛り上げていただきたいなと思います。
●知事
昨日まで出張をいたしておりまして、秋田[県]の方に行ってまいりました。全国知事会のことでございまして、その総会に出席をいたしました。大きなテーマ、論戦が戦われたのは、やはり震災対策でありました。私の方からも鳥取県の立場、あるいは今の地方自治や日本のことを考えて、これは必要だということを議論をしてまいりました。
その成果として、全国知事会としてもEPZ[防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲]の拡大に取り組むことを緊急アピールというかたちで出しました。この緊急アピールを出すにあたりまして、私の方からも申し上げましたのは、あまりにも今、国の対応が遅すぎると、会議だ、会議だ、何とか本部だ、ばっかりやっていまして、何時まで経っても瓦礫が片付かない。放射能の汚染の問題もそうでございまして、こういうことに対する現場のいら立ちを知事会としても表現しなければならないんじゃないか。そういう特別アピールを出すべきだということを申し上げました。
その結果として、異例のことでありましたけれども、全国知事会としては、菅総理[大臣]の説明責任を問うという内容で原子力[防災]対策を中心としたアピールを緊急に出させてもらいました。その中に、これ、島根[県]の溝口知事も発言をされておられましたけれども、私の方からはEPZのことが重要だと、これがない限り、国の方の防災の指針も改まってきませんし、地域での防災計画も避難の対策もできないような現状にあると、それを何とかしてくれということを申し上げました。
[原子力発電所]隣接地域では、滋賀県だとか、そうしたところも声を挙げましたし、長崎県もやはり隣接として相手にされないのはおかしいという話を言っていました。こういうようなことで、私ども周辺の自治体でも声を挙げた結果として、EPZの拡張など、周辺自治体を含む対策、避難対策など、そうした原子力防災対策を考えるべきだと、こういうアピールに繋がったわけでありまして、私としては評価できる内容になったかなと思っております。ぜひ、政府の方でもこうした地方の声に耳を傾けて欲しいと思います。
原子力安全を巡ることから始まりまして、今の環境対策なども含めて、菅総理が夕べ記者会見をされました。そして、この国として、原子力発電所は将来的に無くしていく方向での方向性をおっしゃったわけであります。実は、我々も[全国]知事会で立地の地域もあり、周辺の地域もあり、いろんな立場から議論を戦わせましたけれども、概ね同じような方向性の議論をみんなでコンセンサス[合意]をとりました。菅総理の夕べの発言は、その方向性自体は、私は間違ってないと思います。繰り返し申し上げておりますように、この国のエネルギーシフトを起こして行って、もっともっと安全な社会を次の世代、次の世代へと引き継いでいく、そういう決意を我々持たなければいけないと思いますので、その意味で評価できる内容は入っていたかなと思います。
ただ、中身がないですね。じゃあ、そのためにどうするのか、昨日、一昨日の議論でも一番議論の焦点になりましたのは、やはり政府が右往左往して、原子力発電所を、じゃ、動かすのか、動かさないのか、そこがさっぱり分からなくなってしまいまして、現場の自治体の方にその混乱のつけが回ってきている状況でございまして、この状況に対する反発が非常に強かったことであります。
また、福島[県]の知事は、今ちょうど牛肉の問題も出たこともございまして、大変深刻なお話をおっしゃっているわけであります。全国からみると、正直他の地域と福島県では温度差はやっぱりあるわけでありまして、切実感があります。そうした問題意識を考えていただくと、菅総理はあそこまで記者会見を開いておっしゃるのであれば、どういうスケジュール感で、今後原子力発電所に向き合っていくのか、そこを言わなきゃ意味がないと思うんですね。その意味では、その記者会見の本当の意図を図りかねるところがあります。
それは多分地方団体側としては、全国知事会の空気で申し上げれば、総じてそういう受け止め方にならざるを得ないのではないかなと思います。今、原子力発電所を再稼働をさせるかどうかということがイシュー[争点]になっているときに、遠い将来、原子力発電所を無くしましょうと言ったところで何の解決にもならないわけでございまして、もっと政府としてきちんとした対応をしていただく必要があると思います。
●知事
それから、環境問題ですね、これも主張させていただきましたけれども、環境エネルギーのことに舵を切って行こうという議論をしてまいりました。さらに、そのあと、35の道府県が集まりまして、自然エネルギー協議会を発足をさせました。この自然エネルギー協議会の中で、私たちとして、例えば送配電網を整備をしていく必要があって、これをやはり国としても支援するスキーム[枠組]が必要でないかとか、あるいは今の再生可能エネルギーの法案、これ今、参議院の自由民主党さんが菅政権のもとではなかなか審議が難しいという話もされておられますけれども、私たちはどの政権でも構わないわけでございますが、ともかく早期にこれを成立させる必要があるというようなことでありますとか、そうしたことを知事会の中でも議論をしましたし、この自然エネルギー協議会でもかなり具体的な議論もしました。
孫[正義ソフトバンク]社長からも考え方が述べられまして、子どもたちのために歴史的な一歩と言われるようにしようという決意をおっしゃっていました。自然エネルギー協議会自体は、企業関係としてはニュートラルに作ってありまして、どの企業さんでも準会員として登録ができるように、これは我々自治体側の議論もございまして、そういう動きになってきております。ですから、これからの礎を共同で作っていこうということになりました。
秋田[県]に入る前からいろいろと折衝をしておりました1つの結果として、孫社長と直接秋田のホテルで面談をすることが叶いました。孫社長やあるいは嶋さん、荒井さんといったソフトバンクの担当幹部も同席をしていただきまして、鳥取県側のプロジェクトの考え方についてご説明を申し上げました。私の方からは、51ヘクタール余りの土地がすぐにでも使えますよという点を強調させていただきました。
また、実は鳥取県内には水力だとか、風力だとか、地熱も本来、エネルギーの賦存量としてあるということを図表も使いまして申し上げました。特に強調したのは、よく山陰は太陽光発電に不利なんじゃないかということが言われますけれども、日射量というデータでいきますと、孫社長も指をさして、「ヘエ」と驚いておられましたけれども、実は、[米子]崎津[地区工業団地]のあたりは東京と同じ、同程度の日射量があると。これはNEDO[新エネルギー・産業技術総合開発機構]の資料の中でも出ているわけでございまして、そういうことからしますと、非常に有望性があるんですよということを強調をいたしました。孫社長の方は、慎重に言葉を選びながらお話をされていましたけれども、すぐにでも使える土地だというのは魅力があると、そういう意味では候補地の可能性があるというご認識をおっしゃいました。
それから、その場で同席したソフトバンクの社員の幹部のかたがたに、私が申し上げた地熱発電だとか、そのほかのエネルギーの可能性についてもソフトバンクとしてやっぱり、基礎的にちょっと調査をした方がいいんじゃないかと、そういうご指示をされておられました。鳥取県は、こういうようなかたちで全国のリーダーシップをエネルギー問題でとっていきたいというふうに考えております。今後のスケジュールについて、その場で孫社長はおっしゃいませんでした。また、私ども、知事の35人の集まりのときにも明確なことをおっしゃってはおられませんけれども、さまざまな情報を総合してみますと、とりあえずテストを、北海道の帯広[市]でされるということでありますが、10ヶ所ほどでも候補地を考えていこうというスケジュールではないかなと推察をされます。これから再生自然エネルギーの法案の成立云々と期を一にして、急速にこれ、ヒートアップしてくると思いますので、我々としても体制を整えてしっかりとした攻勢をかけていきたいというふうに考えております。
昨日の会合でも使われましたし、ユーストリームでも実際にプロモーションタイムのような、そういう時間帯がちょっとございまして、そこでも流されたそうでありますけども、これはびっくりしましたけれども、我々、ソフトバンクさんは事務的に現地調査なんかもしてもらってきておりましたので、そういうときの映像なのかもしれませんけれども、CG処理をされまして、私には明らかにそうだと分かりまして、他の34人の知事さんたちに分かんなかったと思いますけども、空中からこう迫ってきて、崎津が大写しになるんです。その崎津がだんだん、こうCG処理して、もうあっという間に太陽光のソーラーパネルが置かれていく、そういう一大太陽光発電所になる、そういうビデオが使われておりまして、びっくりしました。
ですから、これまで私たちが働きかけてきたこと、ソフトバンク側の心にもある程度響いているかなという手応えは感じられたと思います。ただ、実は適地だとか、こればっかりでもないと思うんです。これからエネルギーシフトについて、私たちとして鳥取環境イニシアティブの提言をまとめていこうと思っておりますけども、それと並行して、県内にこういう適地がいろいろありますよという調査を、市町村などとも協力して、さらにやっていくべきかなと思います。ソフトバンク1社の問題ではございませんし、崎津1ヶ所だけの問題ではございませんので、今後ウィングも広げていきながら、崎津については攻勢をかけながらやってまいりたいというふうに考えております。
例えば、場合によっては企業局とか活用しながらソーラー発電の可能性を探るっていうことも、小規模なものについてはあり得ると思うんです。大規模なものは、リスクはとてつもなくなりますので、民間絡めてということでなければならないかもしれませんけれども、小規模なものであれば、採算可能性もみて、我々として手掛けることもないわけではないだろうと思いますし、そういう可能性も含めて全県的に調査を拡大していきたいというふうに考えております。
●知事
来週からは中国の方に出張をいたします。これは関西広域連合として初めて一大プロモーションを中国大陸でかけていこうという、その実践行動でございまして、向こうで日本の観光庁長官に当たるかたに面談をしたり、上海市長と面談をしたり、そういう、いわゆるビッグネームと井戸[兵庫県]知事、それから山田[京都府]知事、飯泉[徳島県]知事、嘉田[滋賀県]知事と一緒に皆で協議をしてくると。さらに、北京でそういうお披露目的な会をもったり、上海で商談会を地元の観光業者の皆さんとやろうということを計画をいたしておりまして、来週の20日以降、20、21、22[日]を中心として、北京、上海でやってこようと考えております。
その関西広域連合の動きに先立ちまして、今までいろいろとアプローチをかけてきていたんですけども、春秋航空の王[正華(ワンジョンホア)]会長とアポイントがとれまして、面談を上海でしてくることにいたしました。この訪中の機会を捉えて、エアポートセールスにも向かっていきたいなというふうに思っております。いろんな可能性があり得るわけではございますけれども、国内外の航空路線というものを視野に、私たちとして国際リゾートを目指すぐらい向っていきたいと思っております。中国市場はこれから伸びていくと思います。今は非常に東日本大震災もありまして、苦労している面もありますけども、今回、関西広域連合としてもプロモーションをかけにいこうということになりました1つは、向こうの観光庁長官が北京などでマスコミを招いてプロモーションをかけるべきだというお話もございまして、それじゃあ実際にやってみようということでございますから、こういうことで空気を変えていきたいと思っているんです。
春秋航空さんにつきましては、茨城空港にまず乗り入れをされまして、この7月15日から高松空港へ乗り入れることが決まっております。なかなか山陰という地でできるかどうかっていうことがありますけども、この春秋航空さんに限らず、エアポートセールスをいろいろと今後も展開をしていって、実現できるところは挑戦をしていくということかなというふうに考えております。
●知事
[肉の]生食問題について、これも全国知事会で議論をしました。当初の知事会の考え方に私の方で意見を申し上げまして、発言させていただきました。現在、厚生労働省がされているわけでございますけども、重大な人命にかかわる結果を出したのは、曖昧な厚生労働省の規制のあり方があったと思うんです。肝心なところで強制的にやらないとか、それから曖昧な発言を繰り返していまして、指導の基準もはっきりしない。結局、現場任せという美名のもとで現場の方が苦しんできたということではないかと思います。知事会の方で議論をさせていただきましたのは、国としてやっぱり責任をもった規制を考えるなら考えるべきだと。特に普通のユッケなど、生食と併せて生レバーというのも、この度国の方の研究会の中で急浮上しているわけでありますが、この生レバーについては、都道府県で自粛するように指導せえということでありまして、これ、非常に現場として一番困るわけですね。責任はとりませんと、国は。それで、騒ぎになっても私たちは知りませんと。ただ、危ないので自粛してもらいたいと、だけど自粛してもらうのは都道府県で指導するっていうかたちでやってもらいたいと、こんなようなことがございまして、これは現場の職員は店に行ったら叱られるわ。それで、じゃあ、実際に被害が発生したときには、お前らがやっていないからだと言って、厚生労働省から都道府県が悪いばかりに言われると。非常にずるいやり方でございまして、国のこうした姿勢はおかしいんじゃないかということを、問題提起をしたわけであります。
そのあと、橋下大阪府知事だとか、石井富山県知事だとか、発言も相次ぎまして、知事会として、最終的に知事会の専門の委員会の方でこの生食問題、検討していこうということになりました。国に対して働きかけるべきもの、都道府県が共同でやっていく必要があるものとか、そういう仕分けをしながらこの問題に対処していこうということになりました。橋下知事の方からは、この生食問題については、都道府県としてある程度データを見ながらやっていく必要があるんじゃないかということが示されていまして、私ども鳥取県でも、これまでの研究成果を活かしていきたいと思います。
近々最終報告を専門の研究会の方からいただくことになっておりまして、明日その結果が出次第、昨日の全国知事会の結果もございますので、全国知事会の担当委員長の方にその内容をご説明を申し上げたり、国の方にも当然ながら鳥取県の研究結果はこうですよというお話を申し上げたり、関係県にもいろいろと、ぜひ、我々の今回の知見も発表してお送りを申し上げていきたいというふうに思います。そういう中で、鳥取県の現場が混乱するのも非常に厳しいものですから、これは前回申し上げましたけれども、今後、指導の指針をまず確立をして、事業者の皆さんの協力も得ながら進めていきたいと思いますし、条例改正も視野に入れまして、パブリックコメントだとか、そうしたことも、今後検討していきたいと思います。 鳥取県独自でそういうことは始めてまいりますけども、各県に共通する問題でございますので、全国知事会での議論もありましたから関係先にも、共闘体制を呼びかけていきたいと考えております。
●知事
いろいろとこれから観光シーズンに入ってまいりますけども、やっぱり海がテーマだと思います。海づくりの大会もいよいよ迫ってまいりました。この週末には105日からカウントダウンをしていこうと、いわゆる100日前イベントでありますけども、これをやることにいたしましたし、それから、24日の早朝には賀露の海岸で、この海づくり大会を前にした一斉清掃の皮切りを始めたいというふうに考えております。多くの皆さまに鳥取の海を愛していただける夏になればなあというふうに考えております。私の方からは以上でございます。
○山陰放送 秦卓史 記者(幹事社)
では、各社質問、お願いいたします。
○時事通信 小出秀 記者
昨日の総理の会見で、将来的に原発をなくしていこうという方向性自体は間違っていないという評価を、今、されまして、ただ、今現在どうするかがイシュー[争点]なのに将来の話をしてもあまり意味がないといったようなお話でしたが、知事としては今現在、原発そのものについてどうあるべきとお考えでしょうか。
●知事
昨日も[菅]総理は語っておられないんですけども、結局、何が問題かというと、将来的にはこういうリスクの高い発電システムとどう向き合うかというのは日本全体として考えなきゃいけないことだと思いますし、世界中が、今、動き始めています。昨日もお会いした孫[正義ソフトバンク]社長もイタリアから帰ってきたばっかりでございまして、世界の空気というのはやっぱり動いていることは事実なんですね。その辺は大方の人の共通理解に今なり始めているんだと思うんです。ただ、じゃあ、今、この原子力発電を止めてしまって、簡単に自然エネルギーで全部代替できるかと言いますと、これは懐疑的な見解が非常に強いわけであります。だからこそ我々がリーダーシップをとって、とにかくそうした新しいエネルギーをどんどん作り上げていく運動を起こそうとしているわけであります。
そうしたことが背景にあるわけでございますけども、じゃあ、その当分の間、原子力発電所を動かすんですかと言われれば、そこ、ストレートには答えてないんですよね。将来的にはなくしていきますということの表現でありまして、じゃあ、今動いている原子力発電所、これをどうしていくかということについて明確におっしゃってないと。だから、当面は、私は動かさなきゃいけないんですよと、思っていますとはっきり言うなら言えばいいんです。そうしないと、結局、立地自治体もその電力会社と協議をしながらこの問題を解決しなきゃいけないんですけども、答えが出せないですよね。それで、相変わらずちょっと引いた格好になっていまして、専門家の知見だとかいろいろ入れてストレステストをやって、皆さんがいいとおっしゃるのであれば、私もそれで差し支えないということになるでしょうなあという、ちょっと他人事的なことでありまして、それだけ明確に、いずれなくしていこうということをおっしゃるんだったらば、当面のことについても明確に言葉を発するべきではないかと思うんですね。
そこが、我々全国知事会でヒートアップした議論をやってきた者からすると、物足りない点であるということであります。それで、本来はその際に、昨日みたいな会見をするにあたって総理がおっしゃるべきなのは、ストレステストの問題ももちろん大切ではありますけども、今はやっぱり安心がなければ原発を動かすことは難しいと思うんです。単なる安全基準をクリアするかどうかだけではないんですよね。周辺の住民の皆さんにも理解をしていただきながら、今、将来はなくすけれども、いま今、こういうようなエネルギー需給なので私は動かさなければならないと思うと、ついては周辺の皆さんにも納得してもらえる、こういう新しいやり方をやりますよというぐらいのことを本来おっしゃるべきだと思うんです。
だからこそ、我々知事会として提唱させてもらって、私も提唱させてもらって、EPZの問題なんかをクローズアップして画期的なことだと思いますけども、立地[自治体]と周辺[自治体]が混在する[全国]知事会の中で決議をしてもらったというのが大きなことだと思うんです。そういうことをやはり制御していかなきゃいけないと思うんですが、相変わらずこのEPZの議論については、政府側から明確なメッセージは何一つ発されてこないと。それで、これでは周辺自治体として私たちはなかなか議論のしようがない状況であるということでありまして、その辺の不満があるということです。
○読売新聞 野口英彦 記者
そのEPZに関連して、全国知事会では周辺何キロというような数字は出たんでしょうか。
●知事
あえてそこの議論はしてないですね、どなたも。ただ、今まではこのEPZのことを[全国]知事会でコンセンサスとるのはなかなか難しいことでありましたので、EPZの拡大ということに立地も含めて承認をしたということは、私は大きな意味があると思っています。[全国]知事会を離れては、いろんな数字の議論も飛び交いましたけれども、我々としては、今、当面の目標として島根県とやっております、まずは30キロメートル圏内の整理からかかっていこうというふうに考えております。
溝口[島根県]知事ともずっと合宿状態でありましたから、何度かお話しをする機会がございましたけれども、これまで両県で進めてきた、もう国のことは放っといてとりあえず避難対策などを詰めていきましょうということをお互い確認をしましたし、それで、避難だとかいうことをやろうとすると、島根県の行政機能のこともひょっとしてあるかもしれませんけれども、島根県だけで全部抱え込むことは難しいですから、鳥取県で、例えば避難されるかたを引き受けますよということは明確に申し上げていますし、鳥取県だけでもなくて、広島[県]とか、岡山[県]とか、そうした周辺地域もあるわけでございまして、両県として、お互いの話を詰めながら中国地方の他の県にも、いざというときの協力を求めていこうかと、そのような話もさせていただきました。
○読売新聞 野口英彦 記者
メガソーラーの関係で孫社長とは何分くらいお話になられたんでしょうか。
●知事
イメージ的には、もう、10分かそこらかなと思いましたけど、現実は30分くらい。お時間をいただけました。だから、たっぷりと意見交換もさせていただきました。
○読売新聞 野口英彦 記者
知事が何か、iPadを使って説明されたという報道もあるようですけど、そういう知事からの説明の時間が何分くらいで、あと質疑って言いますか、意見交換はどのくらいでしたでしょうか。
●知事
お互い同程度しゃべっていると思います。もう、さしに近い状態ですので、まず長々と説明してということよりも、関西広域連合でまずは提案していますから、それを下敷きにして、率直な意見交換をしたということです。その際にiPadを持ち込みまして、そこに日射量の日本地図を映像で出して、それを崎津あたりをクローズアップしたり、東京と比べるとか、全国の状況を見ていただきまして、ここは非常に納得いただけたかなと思っております。
○読売新聞 野口英彦 記者
10ヶ所の候補地の中に含めるというところまではおっしゃられなかった。
●知事
昨日は、報道で10ヶ所とかいろいろ出ているんですけども、孫社長ご自身は10ヶ所っていう表現をされてなかったように思います。私との話し合いのときには、これはやっぱり話し合いの、こちらとしては攻勢をかける意味でお会いしているので、あんまり余計なことをあちらと議論してもしょうがないっていうのもございまして、10ヶ所っていう言葉は、孫社長はおっしゃいませんでした。ただ、非常に鳥取県に対する認識は深まったようでございまして、地熱発電だとか、そういう他の可能性などにも興味を持たれたようであります。
○読売新聞 野口英彦 記者
孫社長を県内の方にお招きするということは提案されたんでしょうか。
●知事
ええ、提案しました。それにはお答えはなかったです、正直申し上げて。これは大人の会話をしておりますので。ただ、スタッフのかたはおそらくまた近々来られると思います。
○共同通信 中川亘記者
県内の雇用政策について2点お伺いしたいことがあります。三洋問題なんですが、パナソニックと三洋[電機(株)]の再編が来年に向けて進む中で、県内の事業拠点も当然、削減の可能性があります。その中で現在県としては、現状どのような対策を取ろうと思っているのか。それで、今後、来年に向けてどのような対策を取ろうと思っているのか、その2点についてちょっとお願いします。
●知事
この三洋問題は、今、若干神経戦になり始めていまして、我々としても慎重に考えながらやるべきことはきちんとやっていこうということであります。経緯的なことを申し上げれば、先般、鳥取の市長と足並みを揃えて、三洋[電機(株)]の佐野[代表取締役]社長の方に直談判にお伺いをしたわけであります。その際に、最近の報道状況から我々が気になっていたのは、今おっしゃるように、事業所自体がなくなってしまうとか、縮小してしまう可能性がやっぱりないわけじゃないと。そういうことでありますので今の主力の製品を、ぜひ、三洋の現在の拠点、三洋[電機]CE[コンシューマエレクトロニクス(株)]で製造するという体制を続けてもらいたいということを申し上げました。
それから、一人ひとりの雇用について、これは確保してもらうようにしていただきたいと。これ難しいところがいろいろありまして、要は今回のパナソニック[(株)]と三洋[電機(株)]との合併自体は世界を巻き込んで、世界的な意味での企業再編でございますので、人間がそういういろんな拠点の間を動くことは、それは想定されると思うんです。それは1つのパナソニックと三洋の統合の核心部分でありますので、それについて、地元として云々言うのは若干難しいところがあります。ただ、一人ひとりの現在県民であり市民である従業員のかたの雇用、これは守るべきであるということは我々として言えるところなんで、そこは強調させていただきました。
それから、単に後ずさりするだけではなくて、未来に向かった布石として、環境関連という例をこちらでは挙げましたけれども、PHV[プラグインハイブリット車]だとか、さまざまな関連品目もあると思うんです。そういう未来に向けた新分野に対しても、地盤を作ってもらいたいと、こういうことを申し上げました。そのときに佐野社長として、パナソニックも含めたグループ全体で、重くその言葉受け止めますよと、ご事情はよく分かりましたということをおっしゃっていましたし、大坪[パナソニック(株)]社長とも話をするとおっしゃっていました。多分、これは、誠実にされていると思います。ただ、その片方で、今、社内での議論が始まっているようでございまして、今の従業員のかたに対する処遇についての具体的な動きもあると、これ、報道ベースで出てきておるわけでございます。この夏はそういう意味で、1つの山場になるかなという展開になっておると思っておりまして、県として、この三洋[電機]CE問題ですね、労働局だとか、鳥取市だとか、そうしたところと一緒になって、私は対策のプラットフォーム[基礎構造]をいずれ作らなければいけないかなと思っています。
ただ、今、話の展開が完全に読み切れないところがございまして、例えば、月内ないし来月頭にかけてくらい、関係機関とも話をしてみて、庁内のプロジェクトはもちろんでありますけども、この三洋[電機]CE再編問題について対策本部的な体制は取る必要があるだろうと思っています。最終的には、2つの方向性が出てくると思いますが、1つは、雇用の問題ですね。実は、エプソン[イメージングデバイス(株)]のときもそうだったんですけども、エプソンさんに我々もかけ合いまして、雇用は全部引き受けるというお話も言質を取ったんですが、現実問題、生身の働いている人間として、住民のかたが、他へ行くには、子どもさんの事情だとか、いろんなことが絡んできますので、どうしても当初、エプソン側、ソニー側で描いた戦略どおりに動いてなくて、本来ソニーとしてもいっぱい抱えたかったそうなんですけども、従業員として。なかなか話が、個別の労働契約としてまとまっていかないということがあったようでございまして、現実に、職を失うかたが発生したと。
今回、三洋[電機]CEのことでもですね、同様なことが予想されますのである程度、我々としては、対策本部的な体制は作って、精一杯雇用の安定に我々としても汗をかかなきゃいけないかなというのが1つです。ただ、基本的な思いとしては、やっぱり今のグローバル戦略がありますので、パナソニックは決して労働条件の悪い会社ではありませんから、できるだけ良い方向で、1人ひとりの問題も解決してもらいたいというのが本音であります。
あと、もう1つは、これからどういう事業戦略を三洋[電機]CE、三洋グループ、パナソニックで打ち出すか、これは分かりませんが、新分野展開などがあった場合は、単なるじり貧の産業にすることなく、むしろ、未来に向かって成長させていくという方向性を作っていかなきゃいけないと思うんですね。これは、地元としても支援策も含めて考えるべき分野かなあと私は思っています。こうした対応策も検討していかなきゃいけないと思うんですね、その必要性の有無も含めて。そういう意味で、庁内体制、それから庁外も含めた行政機関同士の連絡体制、それは作っていく必要があるだろうと思っております。商工労働部長にはきちんとホットライン体制で三洋[電機]CEと連絡を取り合うようにと、こういうように先週からだったですかね、指示をしておりまして、今、情報収集を我々としても行いながら、神経戦的な展開ではありますけども、時期を見て対策本部的な組織を庁内、それから庁外との連携で作っていきたいと思っております。
○読売新聞 野口英彦 記者
それに関連して10月1日に家電部門が統合されるという報道があるんですけど、そうすると、あまり時間がないと思うんですが、例えば、雇用という面で言いますと、どういった支援策が考えられますか。
●知事
これは1つひとつのマッチングを図るという、基本に立ち返る以上のことはなかなか難しいですね。あと、鳥取市だとか、鳥取県内での雇用の場づくりをしていく必要があるだろうと思います。例えば、あまりこういうことを言うと、いろいろ差し障りが出てくるかもしれませんけども、家電の技術者は素晴らしいものがあるんですね。そういう家電の技術者がいるということを1つのセールスポイントにして、こちらの方に何人、何人というレベルかもしれませんけれども、そういうレベルで事業所を作る。そういう企業を誘致するとか、そういうこともあるだろうと思いますね。いろんな雇用の場づくりを強化していく必要があると思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
そうしますと、短期的には職業紹介の充実と言いますか、そういう部分で、長期的には、こういう家電産業の集積があるということを活かして、他から企業を呼び込んで雇用の場を作るという理解でいいですか。
●知事
そうですね。最終的にはミクロの一人ひとりの問題と、それから、マクロとして地域の活力の問題と、これは若干アプローチが違いますので、この2つを、よく調整を取りながら進めていくべきだと思っています。
○NHK 月岡信行 記者
先程、春秋航空の会長と、今度、会うという話をしていましたが、具体的に、どういった内容を向こうに言うような感じなんですか。
●知事
この度、[上海―]高松便が就航するということであります。LCC[格安航空会社]で日本でも実績を上げている企業さんでいらっしゃいますので、私たちとして山陰の可能性を王[正華(ワンジョンホア)春秋航空]会長の方にも述べていきたいと思います。
○NHK 月岡信行 記者
具体的な何か、乗り入れを要請したりするんですか。
●知事
もちろん、乗り入れ、エアポートセールスですから、乗り入れの可能性を要請をするというか、働き掛けをするというか。
○NHK 月岡信行 記者
鳥取とか、米子とか、どちらかですか。
●知事
今まで、実はいろんな、国内外の各社と、このエアポートセールスを行ってきております。春秋航空さんで言えば、2,500メートル滑走路が必要だと、そういうクライテリア[選択基準]がありまして、そういうことで行きますと、この山陰では唯一、米子鬼太郎空港が対象となり得るわけであります。ただ、これ、正直な話申し上げれば、ご想像に難くないと思いますが、メガソーラー以上に、これは争奪合戦になっていまして、各地が名乗りを上げているという状況ですね。
○読売新聞 野口 英彦 記者
昔の、私の記憶では、自衛隊との共用空港であって、共産圏から飛行機の乗り入れはできないということを聞いたことがあるんですが、その点の問題はないんでしょうか。
●知事
それは、具体的には伺っていません。もちろん、これから、仮に実現するとしたら、CIQ[税関・出入国管理・検疫]だとか、当然ながら空港の使用だとか、最後は詰めていかなきゃいけなくなりますけど、それ以前の問題として、頭の中にインプットしてもらえるかどうかというところですね。
○NHK 月岡信行 記者
多分、これまで水面下の交渉を続けていて、ようやく直接面談という話になったと思うんですけど、向こうの方は何かしら、何て言うんですか、前向きなこととか言ってたり、するんでしょうか。
●知事
今まで、我々として、この春秋航空さんに限りませんけれども、鳥取や山陰のメリットを伝えてまいりました。春秋航空さんのビジネスモデルは、大量に中国の観光客を連れてくると。そして、中国の場合ですと、1週間とか、そういう長いスパンで日本国内をとにかく見て帰るんだと、買い物もして帰るんだということです。ですから、例えば茨城空港を降りて、多分高松がそうだと思うんですが、高松で出口で出てくると。それで、高松[空港]で入って、茨城で出口に出てくると、そういうことは当然あるわけですね、旅の効率化からすれば。西の方に拠点というものを設けて、そういう全国の中国人のツアーで、ぜひ鳥取も1泊なり2泊なり泊まっていただいたり、買い物をしていただいたり、観光もしていただいて、日本を楽しんで帰ってもらうというような旅のスタイルは可能だと考えてきました。その辺のモデルをいろいろ今までも話し合いをしたりしてきました。
また、かつてアシアナ航空を誘致したときも、前任者の片山[善博知事]さんは結構思い切った誘致を、誘致の支援策をやっていまして、そういう支援策、今も続いているものも当然ありますけども、そうした支援策なんかも、今後、詰めていく必要が出てくるかも、出てくるんじゃないかと思います。ただ、高松にしろ、茨城にしろ、そういうことをしながら誘致を実現してきていますので、そうした他地域の状況も見ながら、我々としても働き掛けをするのかなというふうに考えております。決してその可能性がないわけではないと思いますし、王会長がお忙しい中で、鳥取県のために時間を割こうということ自体は、小さな一歩かもしれませんが、一歩前進だと思っています
○読売新聞 野口英彦 記者
そうすると、県として何らかの支援策もあり得ると、そういうお話もされるということですか。
●知事
その可能性も、それは高松にしろ、茨城にしろ、他地域でもやっているようなことでありますが、当然、県内を観光してもらうとかいうことで、県内での経済効果が期待できるような支援策を考えていくということだと思いますけどね。
○読売新聞 野口英彦 記者
春秋航空、要するに東京から大阪に抜けられるルートがゴールデンルートだそうですけども、春秋航空にとって鳥取に就航するメリットっていうのは、どういうものが考えられるでしょうか。
●知事
我々は、山陰のすばらしさ、これを、今までも強調して情報を伝えてまいりました。ある程度理解されつつあるのかなと思います。高松にも就航されるわけですから、むしろ陸続きで、高松に行くよりは大阪から大型バスを使われると思うんで、ビジネスモデルとしては、アクセスは、米子は決して悪いわけではないと思いますけどね。だから、そういう意味では可能性はあると思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
着陸料が安いとか、そういうことも言えますか。
●知事
着陸料については、これやっぱり考えなきゃいけない部分だと思います。
○山陰放送 秦卓史 記者(幹事社)
ほか、ありますでしょうか。
○読売新聞 野口英彦 記者
先程のメガソーラーの話でありますけども、実際に、太陽電池を置くということになった場合に、県として、設備投資に対して補助をするということは考えられるんでしょうか。
●知事
これは、メガソーラーのソフトバンクとの折衝のことで言えば、まだスキームがよく分かりません。昨日も明示はされませんでした、個別でも全体でも。それで、広島県知事からも質問があったようですが、そこらは、あんまりはっきりと。そのビジネスのやり方については、考慮中というのが現状のようです。それを見て、我々としても考えていくということだと思いますが。当然、最後は、これウィンウィンの関係じゃなきゃいけませんので。地元としてもメリットのあるかたちでないと我々も合意できないかもしれませんね。またあと、それとは別に、さっき申し上げましたように、例えば企業局とかで直営でやるとかいうことであれば、当然ながら県の方で投資をして開始をしていくというモデルになると思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
全国知事会の関係なんですが、大阪府の橋下知事が地方消費税の税率を、知事会って言いますか、地方側で決めるようにという提案をされましたけど、それについてはどうでしょうか。
●知事
これは、私は1つの見識だと思います。実は、[全国]知事会の真っ最中ですね。これ最終的な仕切りとしては、地方税財政[特別]委員会で議論することになるんです。この地方[税]財政[特別]委員会は富山[県知事]の石井委員長で、私がその知事会の最中に副委員長に指名されまして。結局、私もタッチしていかなきゃいけないことだと思います。それで、石井委員長と合間に話をしましたのは、例えばカナダであれば、調整売上税ってやつですかね、日本流に言うと。要は、国税とそれから州税として元々アメリカ大陸は小売売上税という形態を基本にやっていました。それで、ヨーロッパの考え方で消費税的な付加価値税が入ってくるんです。それで、国の方の付加価値税体系と、それから、州の方の小売売上税体系を統一をしまして、そして、その中でこれは州の取り分、これは、国の取り分というふうに分けるんですね。それで、徴税は基本的には州の方がイニシアティブ持ってやれるような仕組みになっていまして、税率の設定からなにから。
これは売上税からさらに付加価値税に州でもオンタリオ州だとか、それからブリティッシュコロンビア州というカナダの中の大きなところでは移行してきていましてね、こういうようなことで、税率を自ら設定をして、そして、徴収をしていくと。それで、国とも調和的にやっていくと、そういうふうなやり方は、海外にもあります。また、アメリカ合衆国でも小売売上税を州が取るというのは、非常に一般的でありまして、こういうようないろんなやり方が海外にもありますので、課税自主権を強化をしていくという意味で、財政自決のために県が消費税を自ら運営していくということは可能だと思います。それは1つの研究課題として、これから取り組んでみる値打ちがあるなと思っています。
○読売新聞 野口英彦 記者
ここ数年来、全国知事会としては、その地方消費税の税率アップを、国に要望しているんですが、なかなか動かないという事情があって、ここで、もうそろそろ知事会として強力にそれを提言する時期かなと思うんですが、知事のマニフェストの委員長をされているということで、そのあたり重い荷物を背負ったという感じでしょうか。
●知事
そうですね、これから知事会でも私も提言させてもらいまして、議論を皆さんでしていただきましたけども、想定されるものとしては代表選挙とか、場合によっては総選挙というような声すら聞かれるわけでありまして、そういうタイミングを捉えて、地方の財政の自決権、これを確立できるように訴えかけを強めていきたいと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
知事会のあり方そのものについて橋下知事が、サロン的なものでは意味がないというふうなことをおっしゃったという報道があるんですが、今の知事会のあり方について何か。あるいは今回の震災後の初の知事会ということで、何かお感じになったことはありますでしょうか。
●知事
今回は、例えば先程申し上げた緊急アピールで、総理の説明責任を問うというような表現というのは、[全国]知事会史上最大級の過激な問題だったと思いますね。今回は時期が時期だっただけに、皆が一致結束して声を挙げたということだったと思います。そういう意味で、知事会は一定の機能を果たしていると私は思います。橋下[大阪府]知事とは別にその後もいろいろと意見交換、タイミングいろいろありますので、やっていますけれども、特にそれ以上のことはないみたいでして、皆でワイワイガヤガヤ議論はしていくと、議論の進め方についても、皆が意見を出していくと。それは、私は民主主義の運営として大切なことではないかと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
今日は[第145回]芥川賞の発表があるようでして、鳥取出身の水原涼さん。このかたはペンネームだそうですけども、の「甘露」という作品がノミネートされているんですが、知事はお読みになられたんでしょうか。
●知事
ええ。目を通しました。
○読売新聞 野口英彦 記者
どうでしたか。感想はいかがでしたか。
●知事
今日、芥川賞発表になりますが、ぜひ文学界の登竜門でございますけども、朗報が聞かれるように、胸をワクワクさせて、期待をしたいと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
鳥取の具体的な地名であるとか、あるいは登場人物の会話が鳥取弁であるというところは、どうでしょうか。
●知事
当然モチーフ、鳥取を念頭に置いて書かれていることが伝わってきます。その意味で、地元の特徴と言いますか、そうした鳥取らしさと言いますか、そういうものを全国的に発信する1つのツールにはなるだろうと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
全体のストーリーの中の一部なんですが、やや物議を醸す場面もあるかと思うんですが、そのあたりはいかがでしょうか。
●知事
これは、芸術の世界でありますので、自由な中で、創造とクリエーションを作り上げていくというものだと思います。ただ、その中には、おそらく人間としての成長だとか、あるいは生きるということに対する問題意識とか、筆者の水原涼さんは、そこに書き込もうと、魂を入れようとされたんじゃないかなというふうに私は思っております。
○山陰放送 秦卓史 記者
知事、すいません。生レバーの規制についてのことですけども、店によってはかなりこれで規制をされると売り上げがかなり落ちていくんだということで、鳥取県が打ち出した方針に驚いている業者もあるようなんですけども、県としては9月議会での条例化、これについては線を引いて提供しないようにというようなところを目指していくという方針には変わりないんでしょうか。
●知事
これは鳥取流に条例策定させてもらいますので、鳥取流っていうのは、要はオープンな形で、原案策定から入っていきたいと思いますから、大いにいろんな議論を出していただいて、討論したらいいと思います。我々として、1つの雛形としては当然ながら食品衛生の体系でありますので、一定の強制力を考えるというのは想定され得ると思うんですけども、そのあり方についても、いろいろご議論があるのであれば、それは正々堂々議論をして、我々としての成案につなげていきたいと思っています。最終的には議会の場で議決をもらえればいいと思います。
ただ、ポイントになりますのは、冒頭申し上げましたように、今回、人の命にかかわるという重大な結果を呼んでいるわけです。その根源のところは、私は、国は都道府県の保健所行政に背負わせようとしているのかもしれませんけれども、あるいは業者の問題に背負わせようとしているのかもしれませんけれども、本来、厚生労働省として危険を察知していたんですよね、生食問題について。これは我々都道府県レベルでも保健衛生関係者は、この危険性については察知していたわけであります。それにもかかわらず、実効ある対策をのらりくらりとってこなかったわけですよね。これは結局、あってはならない結果につながったというのは私たちに対する教訓であったと思うんです。厚生労働省に対する教訓でもあったと思うんです。
それで、そういう厚生労働省は世論の動きもありまして、自ら、鳥取県も勉強し始めましたけども、彼らも勉強し始めて、調査会で検討したと。その結果として、彼らも生レバーはいけんって言っているんですね。だから、そうしたらその生レバーいけんと言うんだったらば、前回の教訓に因んで、やはりこれはやめるべきだと、あるいは加熱をすべきだと、レバーを食べるなではなくて。そういうことで、きちんとした体系を作るのが本来の国民の健康に対する責任だと私は思います。それで、鳥取県は非常に悩ましいんです。別に業者のかたがどうのこうのっていうことで我々やっているわけでは何でもないです。むしろ、今回の例もそうでありますけども、食べに行って、子どもに食べさせてしまったと、それが重大な結果につながったとか、高齢者のかた、元気な40代のかたもいらっしゃったりしますけども、果たしてそういうことを可能性があるのに放置しておいていいのかどうかです。
例えば、私であれば、家族と一緒に焼き肉屋に行って、自分の頭の中で、これ、危ないなと思っていたら、それを家族に食べさせるかどうか。この辺はやっぱり非常に厳格な人間の生命にかかわる、あるいは健康にかかわるところでありますので、無視できないものがあると思うんです。だから、それにふさわしい規制なり、行政的なアプローチを的確にとる必要があると思うんですけど、今の国のやりかたは正直、責任逃れにしか見えないわけでありまして、私たちは警鐘を鳴らす必要があるだろうと思っているんです。鳥取県として、少しとんがったやり方をする必要が、今回はあるかもしれないなと思いますが、もちろん、行政指導はともかくとして、一定の強制力を持つ条例ということになれば、それは公明正大に全ての条例、我々は議論していきますので、多くのかたがたのご意見も入れながら最終的な成案につなげていくということだと思っています。
○山陰放送 秦卓史 記者
では、議会の議論によっては一定の強制力という部分が弱まったりとかっていうような落としどころもあるというふうにお考えでしょうか。
●知事
落としどころというか、そこは前提を置かずに、これからきちんと議論をしていきたいということでありますが、私たちの現場の気持ちとしては、やはり県民の健康が守られることを究極の目標にすべきではないかと思います。
○山陰中央新報 道下健弘 記者
規制をするとなると、根拠がやっぱり必要になってくるかと思うんですけども、県として独自に科学的なデータ、例えばそのカンピロバクターがどれぐらいの割合でとかいうのを調べたりするという考えは。
●知事
いや、それ調べてきたんです。そのためにこの大慌てでしたけども、この春から問題が表面化したときから、もう国は放っといて、県として調べようじゃないかと。それで、実際に、衛生環境研究所とか、そういうところでも実験を繰り返してきておりますし、そういう知見に基づいて、この度、多分明日になると思いますけども、報告書がまとまってくるということです。国もおそらく同じ事をやっているんですね、多分自分たちでも実験を繰り返してきた結果、生レバーは問題があると。今回改めて表面化させて、議論の場に提起したんだと思うんですね。
○山陰中央新報 道下健弘 記者
失礼しました。カンピロバクターは一定割合いると言われているかと思いますが、カンピロバクターで亡くなった人というのは、おそらくいないというふうに聞いておりまして、問題になるのは、O[オー]なになにという方が命に危険を及ぼす、あっちの方がどれぐらいいるのかというのは、まだよく分かってないかと思うんですけども。
●知事
ただ、そのレバーの問題は、肉の場合ですと表面に[菌が]つくわけであります。レバーの場合ですと、中に入り込んでしまう。ですから、表面をトリミングしたりして、加熱処理ということは今回、国も出していましたし、我々も実は考えかけていたわけでありますが、加熱処理とトリミングで、想定的には除去できるということですね。ただ、そのレバーの場合、その中にカンピロバクター[菌]であれ、O157菌であれ入ったとします。これを取り除くすべがあるだろうかと。非常に簡単に言えば、こんなのは煮ればいいんですよ。煮たら83度でこれ死滅するわけでありますから、別にそうやって死滅させればいいんですけども、あえてそれを生で食べなきゃいけないかどうかでありまして、そのカンピロバクター菌やO157が入ったとして、それを除去する術がどうもないんですね。これはいろいろと実験を繰り返して、我々もそうだったですし、国も期せずして今回生レバーを出しておられますのは、同じそういう検証に基づくもんだと思います。
カンピロバクター[菌]は死に至るもんではないとおっしゃいますけども、食品衛生法上は、それも提供してはならないわけでありまして、当然ながら罰則の対象にも今でもなっているわけであります。そういうことで、考えていただきますと、何かそこの感情的な議論と、それから冷静に子どもたちの命、お年寄りの命を守っていこうじゃないかという議論とは、どうもごちゃ混ぜになっているんじゃないかと思うんですね。1つのショーとして、政治ショー的に議論を戦わせるのは面白いかも知れませんけれども、ただ、肝心なことはやっぱり健康をどうやって守るかということでございまして、今回は一生懸命関係当事者もやっていたつもりでも、実際にあれだけの人が亡くなってしまったという結果を出してしまったわけでありますから、その教訓に基づいて、軌道修正をすべきだろうと思うんですね。私は、正直、鳥取県がこの役回りをやるのが好きでやっているのではなくて、国がやらないのが問題だと思っています。
○山陰放送 秦卓史 記者
時間がなくなっておりますけども、もう2点お願いします。生レバーに関してですけども、国のその検討の途中でもレバーに関しては加熱の処理、加熱のやり方は、まだもうちょっと検討するんだというような文言がまだ入ってきたと思います。鳥取県としては、もうこのレバーに関しては生レバーで加熱をすれば、もう、加熱をせずに提供するということ、他のこう加熱のやり方で工夫してももう無理なんだと、生レバーとしてはもう提供できないんだということで、生レバーの提供を一切禁止するということなんでしょうか。その場合はもう、検討されないんでしょうか。
●知事
加熱はいいですよ。加熱して実際に、加熱して死滅した状態になれば、それは結構だと思いますけども、その時はもう定義上、生レバーではないですよね。
○山陰放送 秦卓史 記者
申し訳ありません、ちょっと変な話をしました。すでにこれまでの食文化としてあるものを、それを規制して厳格にやっていくというのは、やっぱり抵抗感があるというのは、感情論的にこれからも議論があると思います。その中の一つかも知れませんけども、子どもには提供したくない、自分だったらやめるというような考えもあると思いますが、そういうリスクだけをこう明らかにして消費者に選択させるというような考えはどうでしょうか。
●知事
それは選択肢としてはあり得ますよね、理論的には。ただ、ベストはやっぱりその菌が入っている可能性が除去できない以上は、それは提供するなというのは本来でしょうね。例えばフグの白子もそうです。それは美味しいから食べてみたい。だけど、毒が入っているかもしれないんで、それはやっぱり行政的にはシャットアウトしなきゃいけないと思っています。たまさか違反して食べている人がいて、どうのこうのということが起っても、それはあれかもしれないですけどもね。いろいろとやっぱり食文化としては確かにあるかもしれませんけれども、それは健康を守るための1つのスキームですね。社会的防衛措置、これとはまたちょっと別の次元の問題だと思いますよね。
これが相容れるものができれば、それでいいと思います。例えば、加熱処理の方法で、なんか特殊なことをやって、生だけど加熱されているというのができるんであれば、それはいいんですけども、そういうことがない限りは、これは危ないよということに基づいたアプロ―チをせざるを得ないと思うんですよね。それ、今問題なのは、繰り返しになりますけども、国の方は生レバーは危ないと言っているんですよね、報告書でもそうであります。だからこそ都道府県に各業者に自粛するよう指導してくれと言ってるわけですよ。これは非常に指導する方も困りますし、業者も困るんですよね。国は、いや、別に禁止しているようだけど禁止しているとも言えないから、お客さんが言ってきたらもう出さざるを得ない。それで、出したらそこで実際食中毒が発生してしまった、その責任は店が被るということになってしまいますよね。だから、店にもこのやり方は非常に困る部分があるんだと。それで、行政の方も指導したけども、もし被害が発生した場合、それは鳥取県の指導が徹底してないからだと言って厚生労働省がわあのわあの言ってくると。これもいかんわけでございまして、結局、きちんとした、打ち出すのであれば、生レバーが危ないと、それに相応なそういう対策をやっぱり国としても取らないといけないと思います。
現実のデータは、どこの都道府県も知っています。厚生労働省もよく知っているんです。それは生レバーとユッケと比べますと、圧倒的に生レバーの方が食中毒が多いんです。これが現実なんですよね。それで、夏のシーズンが来るたびにみんなが頭を痛めていると。それで、店側の方としても、結局メニューに載せた以上は出さなきゃいけませんし、それからメニューになくともお客さんが食べたいと言ってきたら規制がなければ、それは出さざるを得ないという立場もございますので、焼いて加熱すれば何も問題ないんですけども、その辺は今の非常に不幸な状況が、これについてはあると思うんです。でも、私は、その焼き肉屋さんもきちんとした商売ができるような体制を明らかにすべきことは明らかにしてやっていけばいいと思います。
それは県民みんなで議論をしてメニューに書いて、それで表示したらそれでいいじゃないかというのも1つの選択肢として考えられますけども、それはベストな選択肢ではなくて、次善の策的なものだと思います。それでもやっぱり食中毒被害は確実に発生すると思います。
○山陰放送 秦卓史 記者(幹事社)
ほか、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
●知事
はい、どうもありがとうございました。