内閣府は、平成23年7月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、このところ上向きの動きがみられる。
・生産は、東日本大震災の影響により減少していたが、上向きの動きがみられる。輸出は、上向きの動きがみられる。
・企業収益は、増勢が鈍化している。設備投資は、下げ止まりつつある。
・企業の業況判断は、東日本大震災の影響による厳しさが残るなど、慎重さがみられる。
・雇用情勢は、東日本大震災の影響により、このところ持ち直しの動きに足踏みがみられ、依然として厳しい。
・個人消費は、下げ止まっている。
・物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
先行きについては、サプライチェーンの立て直しが進み、生産活動が回復していくのに伴い、海外経済の緩やかな回復や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、電力供給の制約や原子力災害及び原油高の影響に加え、海外経済の回復がさらに緩やかになること等により、景気が下振れするリスクが存在する。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。
政府は、「政策推進指針」に基づき、大震災がもたらした制約を順次、確実に克服するとともに、日本経済の潜在的な成長力を回復するよう取り組む。このため、平成23年度1次補正予算の速やかな執行等により、震災からの早期立ち直りを図る。また、当面の復帰対策に万全を期すため、平成23年度2次補正予算を7月25日成立させた。
日本銀行に対しては、引き続き、政府と緊密な情報交換・連携を保ちつつ、適切かつ機動的な金融政策運営によって経済を下支えするよう期待する。
(各論)
○消費・投資などの需要動向
個人消費は、下げ止まっている。消費者マインドは、下げ止まっている。設備投資は、下げ止まりつつある。住宅建設は、東日本大震災の影響もあり、弱い動きがみられる。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は、上向きの動きがみられる。輸入は、横ばいとなっている。貿易・サービス収支は赤字傾向で推移している。
○企業活動と雇用情勢
鉱工業生産は、東日本大震災の影響により減少していたが、サプライチェーンの立て直しにより、上向きの動きがみられる。先行きについては、サプライチェーンの回復とともに生産が持ち直していくことが期待される。ただし、電力供給の制約や海外経済の回復がさらに緩やかになること等に留意する必要がある。第3次産業活動は、低下したものの、下げ止まりの動きがみられる。企業収益は、増勢が鈍化している。企業の業況判断は、東日本大震災の影響による厳しさが残るなど、慎重さがみられる。倒産件数は、緩やかな増加傾向にある。雇用情勢は、東日本大震災の影響により、このところ持ち直しの動きに足踏みがみられ、依然として厳しい。
○物価と金融情勢
国内企業物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。消費者物価は、前月比ではこのところ横ばいとなっているが、前年比では下落が続いている。株価(日経平均株価)は、9,400円台から10,100円台まで上昇した後、10,000円台で推移している。対米ドル円レートは、80円台から81円台まで円安方向で推移した後、80円台で推移している。
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需要面の個人消費では、大型小売店販売額(5月)が、全店舗計、店舗調整後(新規店舗を除く)とも前年を下回った。ホームセンター・家電量販店販売額(5月)は前年を上回ったが、乗用車新車新規登録台数(6月)は前年を下回った。
建設等では、新設住宅着工戸数(6月)、用途別着工建築物工事金額(6月)は前年を上回ったが、公共工事請負金額(6月)は前年を下回った。
産業面では、鉱工業生産指数(5月、季節調整済)が83.8で前月比4.1%低下した。なお、大口需要電力実績(5月)は、鉱工業用主要4区分のうち、パルプ・紙及びその他の製造の2区分で前年を上回った。
雇用面では、新規求人倍率(6月)は、1.12倍(前月差0.02ポイント上昇、前年同月差0.02ポイント上昇)であった。有効求人倍率(6月)は、0.71倍(前月と同水準、前年同月差0.11ポイント上昇)と、6か月続けて0.7倍台となっている。
きまって支給する給与(5月)は前年を上回り、所定外労働時間(5月)も前年を上回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(5月)は、全店舗計では49億5,100万円となり、前年同月比4.7%減と3か月続いて前年を下回り、店舗調整後でも前年同月比3.8%減(全国は前年同月比2.5%減)と前年を下回った。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が15億100万円(前年同月比8.2%減)、スーパーが34億5,000万円(前年同月比3.1%減)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(5月)は34億4,500万円(前年同月比4.9%増)と2か月ぶりに前年を上回った。内訳ではホームセンターが20億900万円(前年同月比0.9%減)、家電量販店販売額が14億3,600万円(前年同月比17.2%増)であった。
乗用車新車新規登録台数(6月)は1,769台(前年同月比7.1%減)と10か月続いて前年を下回った。内訳では、普通車及び小型車の区分は前年を下回ったが、軽自動車は前年を上回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(6月)は270戸(前年同月比98.5%増)と2か月ぶりに前年を上回った。内訳では、持家系(前年同月比37.6%増)、貸家系(前年同月比344.4%増)ともに前年を上回った。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(6月)は22億4,300万円(前年同月比108.8%増)と前年を上回った。用途別では、製造業(前年同月比約40倍)等で前年を上回り、卸売業,小売業(前年同月比38.1%減)等で前年を下回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(6月)は63億7,200万円(前年同月比34.6%減)と12か月続いて前年を下回った。発注者別内訳では、国(前年同月比12.2%減)、県(前年同月比24.3%減)及び市町村(前年同月比64.9%減)等で前年を下回った。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(5月)は生産指数(季節調整済)が83.8となり前月比は4.1%低下、原指数も77.2となり前年同月比では19.8%低下した。
内訳を前月比で見ると、食料品・たばこが4.8%上昇となり2か月ぶりの上昇、電子部品・デバイスが11.1%の上昇となり3か月ぶりの上昇、電気機械が2.1%の低下となり2か月連続の低下、一般機械が7.9%の低下となり2か月ぶりの低下となった。
在庫指数(季節調整済)は79.3と前月比1.5%低下した。
【電力】
大口需要電力実績(5月)は121,354千kWh(前年同月比24.2%増)と8か月ぶりに前年を上回った。鉱工業用電力を主要4区分でみると、パルプ・紙及びその他の製造の区分で前年を上回った。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(6月)は野菜が1,436t(前年同月比8.3%減)と6か月ぶりに前年を下回り、果実は814t(前年同月比7.0%減)と2か月続いて前年を下回った。
鳥取市場の青果物販売量(6月)のうち鳥取県産の卸売量は野菜が550tで市場全体に占める割合は38.3%(前年同月差0.8ポイント上昇)、果実は254tで市場全体に占める割合は31.2%(前年同月差2.9ポイント低下)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(6月)は12,141t(前年同月比85.1%増)と6か月続いて前年を上回った。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(6月)は1.12倍(前月差0.02ポイント上昇、前年同月差0.02ポイント上昇)であった。なお、新規求人数(6月)は3,601人で前年同月比3.7%の増であった。
有効求人倍率(6月)は0.71倍(前月と同水準、前年同月差0.11ポイント上昇)と、6か月続いて0.7倍台となっている。
【賃金】
現金給与総額(5月)は239,568円(前年同月比0.5%減)と2か月続いて前年を下回った。そのうち、きまって支給する給与(5月)は、238,437円(前年同月比0.6%増)で2か月ぶりに前年を上回った。
【労働時間】
所定外労働時間(5月)は7.4時間(前年同月比1.4%増)と18か月続いて前年を上回った。ただし、製造業は前年同月比6.6%減となった。
【預金・貸出金残高】
預金残高(5月末)は2兆484億円(前年同月比3.2%増)と29か月続いて前年を上回り、貸出金残高(5月末)は1兆1,291億円(前年同月比1.6%減)と3か月続いて前年を下回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(5月)は先行指数が3月50.0、4月50.0、5月31.3、一致指数が3月62.5、4月50.0、5月0.0、遅行指数が3月50.0、4月60.0、5月40.0となった。
・ 企業倒産(6月)は件数が皆無で前年に比べて1件減少(前年同月比100.0%減)し、負債総額は3億6,000万円減少(前年同月比100.0%減)した。
・ 消費者物価指数(6月:鳥取市、総合、平成17年=100)は99.1(前月比0.1%低下、前年同月比0.3%上昇)となった。
・ 鳥取県の推計人口(7月1日現在)584,860人で、前月と比べて131人(0.02%)減少し、前年同月と比べて3,248人(0.55%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成23年5月調査でみると、平成23年4~6月期は前四半期(平成23年1~3月期)に比べると、景気、売上高及び経常利益のいずれもが不調となっている。