●知事
皆さま、おはようございます。台風12号が本州沿岸へと接近するコースを辿りつつあります。現在のところ[中心気圧]965ヘクトパスカルでございまして、大型で強い勢力を保ったまま、現在、日本の南方をゆっくりとした速度で進んでおります。このままの進路でいきますと、今週の末ごろ、私ども鳥取県の方にも最接近してくる可能性がございます。なにせ、大きな台風でございますし、今、季節も季節でございますから、今朝方、指示をさせていただきまして、急遽朝方、対策の[危機管理担当参事]会議を持ちました。今、農家の方にも呼びかけを始めておりますけれども、ちょうど梨の収穫時期でございます。せっかく[10kg詰/箱平均]4,044円という非常にいいスタートを今シーズンも切り始めたところでありましたけれども、梨の収穫時期に重なるようにこの台風12号が接近してくる様相がございます。
過去の経験則から言いますと、平均風速で[毎秒]15 メートルぐらい吹きますと果実が落ちる可能性が出てくるというふうに私ども経験則を持っておりまして、農家の皆さまにも現在呼びかけを始めました。中には収穫を早めるとか、それから落下対策を打たれて柵を強化するとか、それから吊り棚の手入れをされるとか、いろんな対策が取られようかと思います。また、ビニールハウスの方も、これは年初の雪害で我々経験したところでございますので、そうした教訓を基にした対策を取られるというふうに期待をいたしておりますが、住民の皆さまにも、農業だけでなくて、十分な注意と警戒を、お願いを申し上げたいと思います。
●知事
先般来、報道が散発的に続いておりまして、私自身も面談の申し入れなどを行っておったんでございますけれども、昨夜からのニュースで、「ジャパンディスプレイ」という新しい会社を作る構想が浮上をしました。これは、ソニーそして東芝、日立[製作所]の中小型液晶を扱う、そういう部門を経営統合をしようということでございます。私どもは、かねてここ[鳥取市]にはソニーモバイルディスプレイ[(株)]さんが立地をされておられまして、これは旧の鳥取三洋からエプソンを経て現在の工場に至っておりまして、この春からエプソンとソニーとの再編が行われたばかりでございました。
我々としては、ぜひとも、今回そうした再編が行われるということではありますけれども、これは日本を強くしようと、日本の中小型液晶を強化しようと、そういう合併であると伺っておりますので、ぜひ、鳥取の拠点においての生産の継続、あるいは雇用の確保ということをお願いしたいと思っております。かねて面談を申し入れておったんですけれども、なかなかタイミングが合わなかったのか、叶わなかったですけれども、急遽、明日、ソニーモバイルディスプレイ[(株)]の有賀[修二]社長と面会をさせていただくことが整いました。私どもの方から地元の実情を申し上げて、今後の再編において、ぜひ、鳥取を活用してもらいたいという申し入れをさせていただきたいと考えております。
●知事
9月[県]議会が開会をされることになりました。[補正]予算は編成作業を終えまして、約24億円の補正予算ということになります。中身としては、例えば、原子力関係の[放射線]測定装置などで9,300万円とか、それから津波の調査などで3,900万円とか、そうしたさまざまな経費を計上させていただいております。議会での活発な論戦を望みたいところだと考えております。
併せて、条例関係ではありますけども、懸案でございました生食[用食肉]問題につきまして、今、最終的な文案と言いますか、構成の詰めをこれまでやってまいりました。昨日、国の厚生労働省の方で規格基準というものが示されることになりまして、来月にも施行をすることでやっていこうという動きになりました。そうした厚生労働省の動きも下敷きにさせていただきまして、鳥取県としての独自の対策をこの度条例提案をさせていただくことにしようと思います。
1つには牛とか、また、馬も付随してそういう範疇に入るかなあと思いますが、牛とか馬の生食[用食]肉の衛生管理責任者というものを事業者さんの方に設置を求める義務化をしようと思います。そういう衛生管理責任者の下で、しっかりと県あるいは国の方から提示されます基準を踏まえた措置をとっていただくと。それで、安心してお客様には食べていただける、そういう体制にしたいと考えております。2点目には、生レバーも含めた掲示責任というものを、危険性が除去され得ないということの周知を図るということでの掲示責任を、徹底をさせていただく。これも条例に書かせていただき、さらに施設の基準、衛生的な処理方法が可能になるようなそういう施設基準も条例上設定をさせていただきまして、安心して生食[肉]を食べれる環境を鳥取県として整えたいというふうに考えております。
●知事
それから、昨日は環境の会[とっとり環境イニシアティブ推進プロジェクトチーム]を立ち上げましたけれども、メガソーラー[大規模太陽光発電]につきまして、かねて[米子]﨑津[地区工業団地]が手を挙げているところでありますが、これ以外の適地についても市町村に照会をかけておりました。それで、三十数ヘクタールになりますけども、県内各地での候補地というのを市町村から提示をいただきまして、これを今日から公表させていただくことにいたしたいと思っております。そうした中で、マッチングができれば、ぜひ応援をしていきたいと思います。県としても、いよいよ再生可能エネルギーの法案が可決をされましたので、今後の動きを睨んで、なお一層そうしたメガソーラーに限らず自然エネルギーの対策の強化を図っていきたいと思います。
●知事
それから、これは懸案でございましたけれども、ツキノワグマの保護管理につきまして検討を行ってまいりました。そのための専門家の検討委員会も作りまして、8月に取りまとめをし、これからそれを基にしまして、9月6日に公聴会を開き、環境審議会も招集をさせていただきまして、新しいツキノワグマの保護管理計画を作ろうということにいたしております。専門家のさまざまな検討を経たり、それから、生息状況の調査を詳細に行いました。
その結果として、かつて本管理計画上想定されていたよりもツキノワグマの生息数が確実にかなり増えているという結果でございまして、平成21年以前の水準ぐらいを目標にした個体数の管理をやって、クマとヒトとの共生を図っていくと、そういう計画を策定してはどうかという専門家のご見解でございました。そうした取りまとめ結果を踏まえまして、これから広く公聴会という手続きに入り、ご意見を聞いた上で、環境審議会でもさらに検討を重ねていただきまして、できるだけ早くシーズンも始まります。8月もクマの目撃例などもございますので、そうした状況を踏まえて、対策をとってまいりたいと考えております。
●知事
これから来週にかけまして、環日本海関係でいろいろと動きが出てまいります。早速今日以降、春秋国際旅行社の[姜偉浩(ジャン・ウェイハオ)]副社長さんと面談をさせていただきますが、その春秋[国際旅行社]のご一行さんには県内、さらには島根県も含めて観光の魅力を見て歩いていただくようにご案内申し上げることにいたしております。
上海関係では9月23日~25日まで、上海で開かれます「[上海]ジャパンウィーク[2011]」に鳥取県からも参加をしたいというふうに考えております。また、環日本海地域の将来を望み、[北東アジア地域国際交流・協力]地方政府サミットを開催をすることになります。来週の[9月]5日に[北東アジア地方政府サミットの]本会議が開催をされますが、ここには中国[吉林省]、韓国[江原道]、ロシア[沿海地方]、モンゴル[中央県]からも知事、省長が集うということになっております。私も参加をさせていただきまして、環日本海航路の安定的就航へ各地域で協力していくことを求めたいと思いますし、それから、併せて、日本のかたに向けて観光客など風評被害がございます。そうした風評被害を防止をしていくこと、共通の認識を持って臨んでいただきたいと、その辺を強く関係地域に主張してまいりたいと考えております。
また、これは吉林省の長春、中国で開かれますが、その後、ロシアの沿海地方の方にまいりまして、沿海地方との[友好交流]20周年の記念行事などに臨んでまいり、向こうでメディアとの会見でありますとか、要人との会見を行ってまいろうと思っております。向こうでは、非常にメインな箇所におきまして食事を行うなどの友好交流行事を行うことにいたしておりますが、日本側でも、本日、この後になりますが、[県立]博物館におきまして、ロシア「[沿海地方]文化デイズ」をオープンさせていただいたり、交流20周年を記念をした植樹を行い、また、[県立]図書館の中の環日本海交流室にロシアの基金、文化関係の、国際交流関係の基金の支援によりますセンター[「ロシア平和基金」鳥取情報デスク]を設置をすることにいたしておりまして、本日そのオープニングのセレモニーも行うことにいたしております。
また、関係地域の間で、DBSクルーズフェリーがございますので、これを活用した青少年の船を走らそうではないかと、こういうことにいたしまして、DBSクルーズフェリーのダイヤを利用して、明日、日本の方では、米子市の淀江におきまして、「[とっとり]国際[芸能]こどもまつり」ということを行うことにいたしております。鳥取県からは、[米子]白鳳高校の生徒さんが淀江さんこ節で、この一連の行事に参加することにしまして、船に乗って東海だとかウラジオストクだとか、そうしたところに青少年の交流の流れを作っていくことにいたしております。
●知事
こうしたような環日本海交流の一環で、ロシアから変わった使節が訪れておられますけども、この週末、鳥取で「[とっとり]アニカルまつり[2011]」というのが開催されます。米子のコンベンションセンターが主会場になって開催をされますが、これにロシアのコスプレイヤーが県庁を訪問されることになります。そのアニカルまつりでございますけども、来年の国際マンガサミットのプレイベントとして、若いかたを中心にして、手作りで非常に内容の濃いイベントになってまいりました。アニメソングの歌合戦でございますとか、それから、コスプレとか、それから、痛車[アニメキャラクター等の装飾した車]と言われるような車のパレードでありますとか、さまざまな行事を行うことにいたしております。ぜひ、国際マンガサミット、あるいは、「まんが王国[とっとり]」の建国推進に向けまして、弾みになればなというふうに期待をいたしているところでございます。
●知事
それから、本日、地震の関係のリスク分散で林純薬工業(株)が、こちらも工場を増設をされることになりました。また、ミネラルウォーターの工場[(株)サンエス]も、これも進出が決まりまして、本日調印式をさせていただくことになっております。併せて、昨日から東京の銀座三越で、そうした梨の季節ということもございまして、今、物産展を開始をしたところでございますし、名古屋の中日ビルで、明日から「ゲゲゲのふるさと鳥取県」のイベントを行うことにいたしております。
いよいよ本日から9月になりました。秋をぜひ、楽しんでいただきたいと思います。さらに、台風接近中でございますので、県民の皆さまには改めて、注意と警戒を呼び掛けさせていただきまして、私からの会見とさせていただきます。以上でございます。
○山陰放送 秦卓史 記者(幹事社)
では各社、質問がありましたら、お願いいたします。なお、関連のものはなるべく続けてお願いいたします。ありましたらお願いします。
○読売新聞 野口英彦 記者
生食肉の関係ですけども、衛生管理の責任者を置かれると、これは県が独自でやられるということでしようか。
●知事
はい。これは県独自で設置することをさせて、条例上盛り込まさせていただきたいと思います。これによって、例えば、生肉の深さ1センチのところを60度で2分加熱した状態にするとか、そうした実効的な担保を得ることにしたり、お客さんとの関係とか、そうした周知も図っていきたいと思います。ただ、こういう規制ばっかりでなくて今回の予算の中にも200万円かけまして、そのための施設設置の整備の応援もさせていただきたいと思っておりまして、できるだけ安心して食べていただける環境づくりを県としてもやっていきたいと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
責任者っていうのは、何か試験とか、そういったものがあるんでしょうか。
●知事
研修とかそうしたことをやっていきたいと思いますし、当然ながら従来からの実は一連の規定がございますので、報告を求めたり、調査をしたりとか、そうしたときの鍵になってくる立場になると思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
従来からの規定というと何がありますか。
●知事
従来からは食品衛生の一連の条例がございまして、そういう報告、聴取とか、さまざまな規定がございます。そういうところと組み合わせて考えていただきますとこういう責任者というものがおられて、しっかりとこういう基準を守ってやっていきますと。それで、それに対する報告を我々としても店側から求めていくということで、安心して食べていただける環境になるだろうと思います。当然ながら、そういう取扱責任者の設置とか、表示とかもございますから、そうした意味で責任の明確化などにもなってくるかなと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
では、鳥取県が独自に、特別にそういう責任者の制度を作るというわけではなくて、
●知事
作るということです。
○山陰中央新報 太田満明 記者
になるんですか。
●知事
はい。もちろん研修とか、そうしたこととセットで考えていますし、手引書の作成なども義務づけていきたいと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
それにしても県が認定するかたちになるんでしょうか。
●知事
これは、厳密な法的には届出という形態になるかと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
ただし、研修などを受けることは義務と言いますか、ある程度の、強制力を持っているということでしょうか。
●知事
はい。結局、ちょっとごたごたしかけたのは10月1日施行を目指すという国の方の基準との関係がございまして、それと組み合わせて考えていただきますと、全体として、パッケージの政策になるだろうと思いまして、こういう責任者の設置ということを求めたいと思います。
○NHK 杉山大樹 記者
お店としての免許というかたちには。
●知事
この辺は大分中でも議論をしたんですけども、結局、生レバーの問題に戻ってしまうわけですが、どこまで除去できるかという危険性の除去について、まだ、確たるデータがございませんので、その辺を考えますと、免許を取ったから安心だというところの、うちの方で行政的に判断することが難しい面があります。従いまして、その衛生についてのいろんな基準を作って、それを守る責任者を立てるというのが現状に則しているかなと考えております。
○山陰中央新報 道下健弘 記者
食品衛生全般の責任者というものは前からあったかと思うんですけど、それに新しく肉に関してのものを新たに作るということでよろしいんでしょうか。
●知事
ええ。生食について、そうした衛生基準を徹底するという意味で責任者を置かせていただくということであります。
○NHK 杉山大樹 記者
今回の9月の予算の中で、それに関わる何か研修費とか、そういうのはまだ入ってこないわけでしょうか。
●知事
研修費は、それは当然ながらやっていくと思います。既存の食品衛生上の関連予算がございますので。今回、計上させていただきましたのは、今までにまったくない話として、機械が必要ですね、例えば、上流から下流の方に生肉が流れていきますので、上流の方で、言わば除染をするために加熱をしてもらうと、それで、それを真空パッケージをしてもらって、それが流通すると。それで、これでないと後でトリミング[一部切除]をして表面を切っても細菌の除去が出来ているかどうかっていうことになりますので、そのパッケージっていう非常に特殊な工程が出てくるんです。それで、これについて規制する整備の援助を県費でもさせていただくことを考えておりまして、これは予算計上させていただきます。
○読売新聞 野口英彦 記者
今回示された国の基準との関係、何かこう割と具体的に示されていたような気がもするんですが、これまでの県の想定と変わってくるところなどありますでしょうか。
●知事
だいたいこういうことかなと思っていたことが書かれておりまして、結果的には鳥取県で調査・研究をして、専門家のかたからいただいた知見と一致しているなという印象であります。国の方がひょっとすると鳥取県の施策もある程度調べながら動かれているのかなという気すらするぐらい大分、一致してきています。
○毎日新聞 遠藤浩二 記者
衛生管理者なんですけれども、これ置くのは飲食店。
●知事
飲食店とか流通。
○毎日新聞 遠藤浩二 記者
流通。食肉処理場。
●知事
食肉に関わる、生食に関わる、一連の流れの中ですね。
○毎日新聞 遠藤浩二 記者
各1人とか。
●知事
人数はちょっと今書いてないかなと思いますが、そこはこれからよく検討したいと思いますが、責任者を置くということです。
○毎日新聞 遠藤浩二 記者
最低1人は必ず置くと。
●知事
最低1人はですね。最低1人はという意味です。
○NHK 杉山大樹 記者
県としては義務づけるっていうようなニュアンスですか。
●知事
そうです。置くものとするということでそれを届けてもらうと。
○山陰中央新報 太田満明 記者
何か、事故というか、あった場合には、この責任者を取り消すとか、そういった罰則というのか、そういったことはあるんですか。
●知事
結局、我々がちょっと想定していたよりはややちょっと上回って、国の方は規格基準をかなり変えてきたんです。昨日の審議会にかけたものがそのまま発効してくるんじゃないかなと思うんですが、そこでかなり向こうも書いてきましたので、それを守っていただくというようなことで、基本的には十分だと思うんですね。それで、あとはそうした組織的な手当だとか、施設の基準だとか、そうしたところを県として独自条例で変えていくと、そういうようにさせていただきました。だから、これについて、その人だけ重罰規定をおく、いわゆる普通の人よりも重たい過失責任を問うとか、そういう法制ではございません。むしろ、こういう一連の衛生法規をきちんと守ってくださいと、そのための責任の所在を明らかにしてもらうということだと考えております。
○山陰中央新報 太田満明 記者
特別罰則っていうようなものはないけれども、安心を植え付けるためにという意味ですか。
●知事
そうですね。それで、そういうことを置かなければ当然ながら我々の方の行政命令の対象になってくると。
○日本海新聞 井上昌之 記者
メガソーラーの関係です。今回32ヘクタールの新しい土地を出すという資料が配られたんですが、これはいつ頃から市町村に対して照会をかけていっておられたのかということと、あとソフトバンク[(株)]の場合は、メガソーラー、かなり大規模な土地でということだと思うんで、これは普通の一般事業者を想定したものではないかなと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
●知事
だいたいこの夏に照会をかけておりました。ただ、やっぱり15地区ほどですか、で32ヘクタール、そんなに大きくはないです。[米子]崎津[地区工業団地]ですと51ヘクタールでありますから。ただ、いろんなソーラーの形態があろうかと思いますので、マッチングができれば、ぜひ推進をしていきたいという考え方でおります。また、いろんな支援策とか、必要になってくるかどうかは今後、動きを見て考えていこうと思っております。これはメガソーラー的なものではございませんのでしょうから、非常に大きな資本投下が必要となるような、ソフトバンクさんが構想されているようなものとは、ちょっと受け皿としては違うだろうと考えております。また、もちろん県として直営でやるような適地なども今後も考えていきたいと思っております。
○日本海新聞 井上昌之 記者
再生[可能]エネルギー法案が成立して、一般の事業者ですとか、他業種からもこういったエネルギー事業に参加しやすい素地が整ってきたのかなと思うんですが、先程、知事も県営でもぜひというふうにおっしゃっていましたけども、民間、県内の民間事業者が、こういったエネルギー事業に参入するときに、県として何か制度的な助成をしたりとか、そういったことは今のところ考えておられませんでしょうか。
●知事
はい。検討に値すると思っています。ただ、今、とりあえず法律が通ったとこで、例えば、どういうような買い取りのやり方になるかとか、それから、結局、送配電のことが結構問題になります。そうしたことだとか、その辺の今後出てくる基準をある程度見ながら、県として対策というか、支援策、どういうものが考えられるのかっていうのは検討に値すると思っています。
○日本海新聞 井上昌之 記者
県の企業局が発電事業もやっていますけども、水力と風力が今メインになっていると思うんですが、ここで太陽光にかなり比重をおいてやっていくというような、お考えというのはないですか。
●知事
大規模なものは、さすがに資本力の問題がございますし、それから、企業局とは言え、やっぱりリスクを県民全体で引き受けることになりますので、過大なことをやるつもりはございません。ただ、例えば、県有地などで非常に屋根の有効利用だとか、そうした中小規模のもので、これは県がやった方がいいかなというものがあれば、それは県営でのことも考えようという方針でおります。
○NHK 杉山大樹 記者
これ、あくまでも相談窓口でやって、特に県からは直接ありますよというかたちで、一般の事業者、発電事業者に対して提案していくっていうことは、まだ、考えられませんでしょうか。
●知事
今、他所の県でも似たようなことが、今始まりつつあるところもありまして、そうやって公開すると、またお問い合わせが出てくるようになりますのでね、その辺を期待をいたしております。最終的には相対で、これ、ご覧いただくと市町村などが、いろんな経緯で持っているような土地でありますので、相対で条件交渉も含めてやっていただくということになろうかと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
野田[佳彦]新首相が[9月]2日にも組閣をするんではないかという見通しが立っておりまして、以前知事が野田新首相に対して、リーダーシップは大事であるということをおっしゃったんですけども、鳥取県知事として、具体的な政策で一つ求めるとしたら、どういうことになりますでしょうか。
●知事
やはり今の経済状況ということを考えて、我々の地域としては雇用なども十分でありません。どちらかって言うと、首都圏出身のかたでありますので、なお一層、そうした地域間格差の是正だとか、現在の円高の状況など、これは目を向けていただきたいというのが、まず第一かなと思います。それから、その他に東日本大震災の復興とか、地域主権改革の前進であるとか、それから、今後の税財政制度を含んだ地方の制度改革、そうしたことを望みたいと考えております。
○読売新聞 野口英彦 記者
先程、首都圏出身の首相であるということをおっしゃったんですけども、ご本人はドジョウに例えられたり、あるいは、坂道を転げ落ちる雪だるまを皆で持ち上げたいというふうなことをおっしゃって、こう非常にある種泥臭いっていうか、謙虚なイメージでいらっしゃるんですけども、そういった姿勢に対しての知事の評価と言いますか、これはいかがでしょうか。
●知事
今までは、総理がポンとものを言って、それが、閣僚と発言が異なったり、それから実現可能性としてどうかなあということであったりという、そういうシーンを数多く見せられました。ですから、むしろ今の野田新総理が描いておられるような、きちんとした実効性のある施策を打っていくという姿勢には期待をしたいと思います。あとは、あまりにも根回しだとか、それから党内バランスだとかに明け暮れてしまいますと、今度は答えは出るかもしれませんがスピード感が失われることもあります。その辺はよく配慮をしていただきながら政権運営していただきたいなと思っております。
○読売新聞 野口英彦 記者
その実行力ということで関連しますと、閣僚の人事などが今後焦点になるかと思うんですが、その点で、こういうかたを起用してほしいというような願望のようなものはありますでしょうか。
●知事
やはり今の東日本大震災というような国難がございますので、それに対して挑戦していく、そういうファイトを燃やすようなかたをぜひ登用していただきたいなと思います。今は非常に難しい局面だと思うんですね。例えば、中長期のことと短期的なことが交錯をせざるを得ない、それは財政のことで言えば、中長期的なこと、これを議論せざるを得ないんですけども、片方で短期的に今すぐやらなきゃいけないことがある、その辺を言わば、国民の理解も含めて交通整理をしなきゃいけないですね。そこでスピード感が求められるという、非常に運営として難しい局面であろうかと思うんです。
そこで、そういった局面でありますので、先程申しましたようにファイトを燃やしてタフにやっていく、しかも現場というものをちゃんと見ながら進めていく、そういう人材が必要かなと思います。ミッドフィルダーというのは、1つの発想だと思いますし、そうやってパス回しをしていくこともいいと思うんですけども、ゴールを決める人もいなければいけませんので、その辺、バランスのある布陣を求める必要があるかなと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
新しい政治体制にこれから期待するわけですけれども、その一方で、やはり菅内閣の1年3ヶ月というのは何だったかという総括も必要だと思うんですね。それで、知事から見てこの菅首相のキャラクターであるとか、あるいは政策決定の過程について、どのように感じていらっしゃるのか、お願いしたいと思います。
●知事
はい。評価できるところもあるとは思うんです。例えば、エネルギーシフトなどに挑戦していこうという、そういう姿勢を示されて、これは時代として求められることだったと思います。賛否両論は具体論ではいろいろあるとは思うんですけども、大きな方向性としてそういう流れを作ったことは功績であったかなと思います。ただ、残念ながら、東日本大震災であるとか、急速な円高が進行するとか、そうした我が国の難破しかけた状況には、救命ボートにはならなかったなという感じがするのはちょっと残念なところでございまして、新政権にはその辺の立て直しを求めていきたいなと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
この前、[鳥取県]議会の代表者会議の中で知事の議会での答弁が長いという話が出ていたんですけども、報告はきっと聞いていらっしゃるのかなと思うんですが、そのときの報告は聞いていらっしゃるんだろうと思うんですが、感想があれば一言お伺いしたいなと思うんですが。
●知事
これ、いろいろ誤解もあるんじゃないかと思うんですけど、私の前任者のときと比較していただければ、だいたい一般質問お一人様1時間ぐらいで仕上がるように時計見ながらこっちもやっていますので、そういうこともないんじゃないかなとは思うんですけども、改善の余地があるのであれば、それは耳を傾けたいと思います。ただ、そこで議論されていることはずいぶん誤解もあるなと思いながらちょっと読ませていただきましたけども、例えば、質問の時間よりも答弁の時間が長いというふうにおっしゃったご意見とかございますけども、例えば、「環境問題について基本認識を問う」と1文言われて、答えが長くなるのは当たり前のことでありまして、普通は質問よりも答えの方が長くなるもんです。
それをなんとかこう、集約をして、県民の皆さんに分かりやすい、つまり今はインターネットでもテレビでも即時中継されていますから、そういう言葉を選びながら、こちらも工夫をして答弁をさせていただいているつもりでありましたので、その辺のご理解はまだいただけていないのかなというような感じもいたしました。ただ、私自身は、議会をより分かりやすく活性化することには大賛成でございますので、その辺では謙虚な気持ちでご意見を拝聴しながらやってまいりたいと思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
例えば、知事があまりにも細かいところまで答弁しすぎるんだ、部局長に振ればいいんだみたいな意見もあったんですけれども、そういったところっていうのは、今度の9月[県]議会では反映されていくんでしょうか。
●知事
そこはちょっと工夫が必要だと思うんですね。私なりの悩みはまだちょっと理解いただいていないのかもしれませんが、部局長さんに振ると、調べていただければ分かりますけども、時間が長くなるのは部局長さんに振ったときの方が長くなります。ですから、なるべく早く仕上げようということで時計を見ますと、もう自分で全部しゃべっちゃえということがあります。それから、今回は職員の超過勤務の関係で、どういう説明をちょっと執行部側がしたのか私もよく分からないんですけども、ちょっと誤解もあるかなと思うし、執行部側の提案の仕方にも問題があるのかもしれませんが、答弁資料として用意をするものがございます。それと私がしゃべっているものと見比べていただければ一目瞭然だと思いますけども、全然違います。
つまり、だからその辺で、何かその超過勤務云々のことでその答弁の中身のことを言われても、本当はしょうがない面もございまして、私としてはとにかく早く出してもらえばいいわけでありまして。だから、その辺はちょっと難しいんです。正直申し上げて、僕が全部しゃべって、自分の頭で考えたことを、今でも実は議場でしゃべっているんですけども、全部しゃべるだけの議会にしてもいいんですが、そうすると組織の中全体で動かしながらいくムーブメント[動き]とならないんですね。だから、こういう部局の方から出てきている考え方というものを見て、これはおかしいよっていうんだったら、事前に言った上でこうやって答弁するだとかいうこともあるでしょうし、あるいは、それとはまったく関係なく、しゃべっていいことは関係なくしゃべっていることもありますし、そういうことでございまして、いろいろと試行錯誤でやってみればいいんじゃないかなと思います。議会を分かりやすくしていこうということは大賛成でございます。
○山陰中央新報 太田満明 記者
総務部長のために一言言っておきますけど、総務部長の提案の仕方がきっと悪かったのではなくて、何て言いますか、日頃、議員の間にきっとそういう思いがあったところのうっ憤みたいなものがあそこで出てきたのかなと思っていますので、提案自体はもう少し早く質問書を出してほしいということだけだったと思いますので、それは、提案の仕方が悪かったというのはないと思います。
●知事
提案の趣旨は、要は9時から5時までのナイン・トゥ・ファイブの中で仕事ができるようにするために前倒ししてもらえませんかということだったと思います。
○NHK 杉山大樹 記者
予算の話に戻りますが、24億円規模ということで、原子力の測定装置、あのモニタリングポスト[放射能数値自動観測設備]5か所の設定という理解でよろしいでしょうか。
●知事
それとあと、その他にも、手で持って歩くポータブルな計器とか、そういうものも入っています。あるいはゲルマニウム測定器というような、そういう精密性の高いもの、こういうものも入れておりまして、例の5か所のモニタリングポストだけではございません。内訳が必要でしたら、また後ほど。
○NHK 杉山大樹 記者
津波の調査というのは、
●知事
津波の調査は河川の遡上ですね。河川の遡上の中で特に被害が大きく広がるような可能性があるものとか、他の参考になるようなものをピックアップをしまして調査をしていくということにいたしました。
○NHK 杉山大樹 記者
浸水域の想定だとか、
●知事
そうですね、浸水域の想定につなげます。
○読売新聞 野口英彦 記者
先程9月補正予算にも原発安全対策を組む予定だということなんですが、先日、国の方が土壌の汚染の地図を発表しまして、それを見ますと同心円的ではなくて、風向き等でかなり汚染が強いという地域があったりということが明らかになったわけですけども、地図を見られて知事の感想をちょっとお願いしたいんですが。
●知事
さもありなんというところであります。結局、風向きだとか、あるいは雨などの気象条件だとか、そういうことで、これは自然の中でそういう事故が起こりますので、大自然との兼ね合いで、いろんな広がり方をするだろうなというのは当然のことだと思うんですね。それで、今回の対策の問題でありましたのは、最初こう、元々経済産業省が設定しているのは同心円状の対策でありまして、それも8km、10km圏内をやればいいという、そういう一種のフィクションに基づいていたわけです。最初動き始めたときも、そういう10kmだとか、20km、30kmといったそうしたコンパスで絵を描いてやり始めたわけでありますが、これは実際の状況を反映してなかった、そういう1つの失敗として教訓を考えるべきだと思います。
その意味でスピーディ[SPEEDI(緊急時迅速放射能影響計測ネットワークシステム]というシミュレーション装置があって、これが土壌汚染図とかなり密接に連携をしているわけでございまして、そういうことからスピーディのようなシミュレーションを基にして事後的な対策は速やかに行うべきであるなというように痛感をいたしました。国の方にそのスピーディの活用をぜひ求めたいと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
島根原発に関しても同心円状の、そういうのではあまり意味がないというふうなことをおっしゃったと思います、改めてそういった思いを強くされたということでしょうか。
●知事
そうですね。結局、事前と事後と2つこれ分けて考えなきゃいけないと思うんです。実際にあってはならない事故が起ってしまうという場合には、これは事後の問題としてスピーディなど、そうしたシステムを活用して実情に即した対策が必要になります。事前の問題ですと、ある程度こういう範囲でやろうということを決めてかからないとモニタリングポストの設置もできませんので、その意味では今の8km、10km圏内というのは、今回の土壌汚染なんかを見てもナンセンスでありますから、少なくとも20kmとか、30kmとかそうした区域の中に濃淡をつけながらということになるかもしれませんけども、緊急時にも対処しうる態勢を整えるべきだと思いますので、EPZ[緊急時計画区域]などの変更が必要だと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
あと安全協定に関連して、徳島県が四国電力に協定の締結を求めたんですが、四国電力が正式に拒否したということがありまして、関西広域連合としての話なんですが、これ、例えば知事としては戦線の一角が崩れたというような受け止め方をされているのでしょうか。
●知事
それはそれぞれの原発サイト[事務所]からの距離の問題があろうかと思いますので、それぞれの対処かなと思っております。中国電力については苅田[知英]社長さま、それから先般も山下[隆]会長にお会いする機会がございましたけども、都度にそうしたEPZの拡大のことだとか、協定のことなど、これまでも申し入れをさせていただきまして、中国電力側は正面から受け止めていただいて協議のまま作っていただいておりますので、その中で議論をしていこうということでありますから、我々としても関西広域連合のこともその中で議論していけばいいかなと考えております。
○読売新聞 野口英彦 記者
関西広域連合全体の協定締結という動きに影響は出るとお考えでしょうか。
●知事
これは多分、関西広域連合の非常にコアな感覚からしますと、特に関西電力がメインターゲットであると思います。ただ、中国電力も当然ながらその我々鳥取県からすると近いわけです。徳島[県]と伊方原発は我々とはちょっと距離感が違います。従いまして、いろいろ濃淡が出てくることはあるかなと思います。
15 ソニーモバイルディスプレイ(株)社長の知事訪問
○日本海新聞 井上昌之 記者
明日ソニーモバイルディスプレイの社長さんと面談されてお話をするということなんですが、知事もそのジャパンディスプレイの話に触れられましてね、鳥取県内でも、今、雇用問題ですとか、いろいろと県の方でも努力されていると思うんですが、明日はどういったお話の流れになりそうかというのが分かれば。
●知事
これはちょっと想像がつかないし、非常に胸をかきむしるような気持ちも半分ございますけども、ジャパンディスプレイにしようという構想が、昨日発表されました。この構想については、ちょっと前から東芝とソニーが提携するんじゃないかとか、いろんな報道が散発的に出ていまして、我々もその意味でソニー側にお会いして話をしたいということをかねて申し入れていたんですけども、いよいよ明日面談させていただくということになったわけです。今出されているのでは、こういうことがございまして、[(株)]産業革新機構ですか、産業を立て直していこうということで、投資をする主体がございます。この主体が7割の出資をして、そしてソニー、東芝、日立[製作所]がそれぞれ1割ずつ出資をして、ジャパンディスプレイという枠組みを作ろうということでございます。
これは、今、世界首位のシャープを越えてトップシェアになるわけですね。それで、今、中小型液晶のところはテレビでは随分やられちゃいましたけども、やはりタッチパネル的な要素だとか、精細画面だとか、日本の技術の優位性もあるところでございまして、この辺を生かした展開をやって、かつての他の家電のように韓国だとか、海外勢力に席巻されないように反転攻勢をかけるという趣旨であります。従いまして、前向きな部分というのは多分にあるんだと思うんです。
ただ、所帯が大きくなりますし、国内での拠点の数も当然ながら今、ソニーモバイルディスプレイは、ここ鳥取市と愛知県の東浦町という2か所でございますから、これが増えて石川県とか、他にも出てきますので、どういうような役割分担なり再編を行うかというのは、我々としても深く関心を寄せるところでございまして、その辺の実情とか、構想について、明日ある程度はお話をいただくのかなというように思っております。ただ、まだ現在進行中のことでございましょうから、我々としてはここでの事業活動の継続だとか、それから、雇用の確保、そうしたことを液晶産業の集積地である鳥取の魅力を訴えながらご理解を得たいなと思っております。
○日本海新聞 井上昌之 記者
知事が今回のマニフェストの中に1万人雇用の話をされて雇用問題に非常に力を入れておられると思うんですけども、それを推進する上で、この問題は本当に避けて通れない一番重要な課題かなと思うんですが、やはりそういうご認識で説得していかれるというようなことになるでしょうか。
●知事
最終的にはやっぱり経営でありますので、実利としてのプロフィット[利益]を上げていかなければならない、利益を出していかなければならない宿命にはあるんだと思います。ただ、その展開の中で鳥取を活用する道というのは十分にあると思いますので、その辺を強く訴えかけをさせていただきたいなと思っております。ここはかつて三洋城下町と言われて、今の三洋CEさん、それからソニーモバイルディスプレイさんというふうに分かれてはおりますけども、その背後として支える中小企業さんだとか、技術者の集団が確実にございます。また、鳥取県も関わって鳥取大学の中に液晶とか、LED[発光ダイオード]も今回やろうといっていますが、研究所を立ち上げたりしてございまして、そうしたことのメリットは理解を、ぜひ、していただきたいなと思います。
ソニーモバイルディスプレイ(株)の有賀社長さんは、エプソンからソニーの方へ移られたかたでございまして、これまでの鳥取の魅力なり、特質いろいろあると思いますが、そうした実情はよくご認識いただいているかたでありましょうから、私の方からぜひ事業活動の継続発展と雇用の確保について要請をさせていただきたいと思います。
○山陰放送 秦卓史 記者(幹事社)
他ありますでしょうか。よろしいでしょうか。知事、ありがとうございました。
●知事
どうもありがとうございました。