●知事
おはようございます。今週は[11月]21、22[日]と上京いたしまして、東京で[全国]知事会などの用務をしてまいりました。全国知事会議におきましては、野田[佳彦]総理や閣僚に対しまして私共地方団体から強く地域主権の確立、地方分権の推進を迫りました。野田総理の方からも地方出先機関については改革という言葉ではないんだと、廃止をするということを次の国会に出していくんだと、こういう力強い発言もありまして、その心意気に対しまして我々としても賛辞を贈りたいと思います。ただ、実質を作っていかなければなりません。地域として必要なこと、さまざまな課題があります。私自身もミッシングリンク[未整備区間があるため途中で途切れている高速道路]をつなぐこと、あるいは原子力災害に備えて周辺地域に対してもきちんとした措置をとることなど、[前田武志]国土交通大臣やあるいは細野[豪志]原子力[発電所事故収束再発防止]担当大臣などに申し上げたところでございました。
いずれにいたしましても、このようなことを皮切りにしまして年末の地方財政の折衝に向けまして消費税の問題も絡めながら早期に子ども手当、その他の対話を政府が開いていくことを求めていきたいと思います。また、ミッシングリンクにつきましては、10の県知事が賛同した会議をやりまして、これで[安住淳]財務大臣、国土交通大臣、あるいは与党の方で言いますと[民主党]幹事長に対しまして我々として主張をしてまいりました。輿石[東民主党]幹事長もミッシングリンクをつなぐことについては理解を示しまして、政府与党の会議の中でも取り上げていきたいという言葉をおっしゃられておりました。また、私共が財務大臣、それから国土交通大臣の方に相次いで要請をいたしましたけれども、政府としても予算編成の中で、例えば財務大臣であれば前原[誠司民主党]政調会長とよく話をしたいということでありましたし、国土交通大臣はそうしたミッシングリンクをつなげるということをしっかりやっていきたいと、そういう趣旨のお話がございました。
このような政府等への働きかけと併せまして、実は小学館とか、あるいは小学館集英社プロダクションの方にも訪ねさせていただきました。来年の国際マンガサミット、また、まんが王国建国イヤーの実施事業につきまして理解と協力を求めたところであります。その結果といたしまして、来年度コナンを描いたラッピング列車を走らせるということについて協力する、そういう合意が得られまして、あとはこれから実際に、じゃあどういうデザインの列車を走らせるとか、具体的な日を、いつから走らせるかとか、そういうことを今後詰めていくということに段取りとしてはなっていくと思います。コナンの列車が鬼太郎の妖怪列車と併せて山陰を走るということは、観光にとっても大きな魅力になると思いますし、まんが王国の建国イヤー、さらには国際マンガサミットの盛り上げに役立つというふうに期待をいたしております。
●知事
以上のような訪問と併せまして今回の上京で、私共かねて要請をしておりました鳥取から再生可能エネルギーの風を起こしていくんだということを、働きかけをし、協議に臨みました。具体的には自然エネルギー協議会[第2回総会]が開かれましたし、その直前に孫正義ソフトバンク社長とも面談をさせていただきました。ソフトバンクの孫社長とお話をさせていただいた後に、自然エネルギーの協議会が開かれまして、その記者会見の場で孫正義社長から鳥取県の[米子市]崎津[地区]を候補地として具体的に名前を挙げてもらいました。我々としても、最先端を切っていくバネがついたということでございまして、非常に喜ばしいことではないかと思っております。早速、野坂[康夫]米子市長にも電話で報告をいたしましたし、これから具体的な詰めの作業へと入っていくことになります。そのときの話もそうですし、その後の話も含めて、若干今の状況をご説明する必要があるかなと思います。
今、具体的に対象の候補地として崎津地区の3つの地域を挙げています。1つは私共の工業団地であり、それから米子市のアミューズメントパークと言われるような商業基地と言いますか、そういう地面であり、また住宅団地、これは県の住宅[供給]公社の方が運営をしているわけでありますが、この3つの土地を対象としています。若干、民有地が絡むとか、そういうところを少しお互いに整理をしていまして、具体的には49.1ヘクタールを対象として考えていこうということを、今、協議のテーブルに乗せております。その49.1ヘクタールのうち9ヘクタールぐらいが我々の住宅供給公社の方でありますし、あとは市とそれから県との公有地と言うか、そういうところでございまして、それを一括してテーブルに上げるということを考えております。
ソフトバンク側はこの度、SBエナジー[(株)]という会社を作っております。これはソフトバンクの100%子会社でありまして、ここが運営企画をしていくということになります。具体的な事業主体と言いますか、投資主体としては今の構想ではSPC[(特定目的会社、スペシャル・パーパス・カンパニー)]というものを作りまして、これに出資者も含めて経営にあたっていくということになろうかと思います。かねて報道されていたような県とか、あるいは地元の市に対して出資を求めるというような報道も一部ありましたけども、これは今、我々の構想の中にはございません。つまり、リスクテイク[危険を冒すこと]は完全に民間側でやるということでありまして、私共としてはそういう方が投資としては弾みがつくかなというふうに考えております。
これから具体的な条件づけなり、それから現実に向けて整備をしていくわけでありますが、孫社長は他の地域も含めて一括して記者会見に臨まれましたので、話として電力会社側などとの協議が整うことなどを条件に挙げておられました。実は鳥取県の崎津[地区]については、すでに県が調査をする目的がございまして、県として一括をして中国電力側と事前に立地可能性について話合いをしております。その結果として、1つの想定としては十分可能な地域であるという回答を仮に得ております。ただ、今後、事業会社側と中国電力側とのきちんとした折衝が必要になります。この間の表明もございましたので、私共の見込みとして今、受け止めているところでは、来月、要は年内に中国電力の方に事業会社側、ソフトバンク側から検討をしてくれという申込みをしていかれることになるだろうというふうに思っておりますし、それについて地元としても中国電力側との橋渡しの協力をしていきたいと考えております。
今後の具体的な折衝の焦点としては、要は、ぎりぎりのところでやっぱりやらざるを得ないということがあります。1つは買い取り単価がどうなるか、これは正直申し上げまして、今、決まってないということですね。国の方ではFIT[固定価格買取制度]法と言われます電力の買い取りの法律は成立しましたけども、じゃあ、どういう水準の単価で買い取りをするのかというところはまだ表に出していません。検討中ということでございます。これが決まってくるのは、まだしばらく時がかかる、来年の夏とかいうことになるかもしれません。ただ、我々としては可及的速やかに発電を行っていくことが、今の日本の状況打開に繋がると考えておりますし、地元としても協力をしながら、後押しをしていこうという気持ちであります。
従いまして、手続きとか、調査だとかできることをどんどん前倒しでやっていってはどうかということを、今、話をさせていただいているところでございます。そういうFIT法の買取単価が決まっていないという1つの制約はあります。ただ、それがどういう状況で決着するかということも睨みながらということになりますが、我々としては、今は、実はただ放っておけば借金が増えていくような、ただのペンペン草が生えた地面のままになって、平林[鴻三]知事から西尾[邑次]知事、片山[善博]知事とずっと引き継いできただけの土地でございます。ですから、そういう状況から脱却することを1つの目標にするのかなと考えております。これで、県としてある程度、若干でもリターン[見返り]があるということは最低条件かなと思っています。
それから、我々も角を矯めて牛を殺してはなりませんので、うちの方の、要はこれだけ取り分をよこせということになりますと、プロジェクト自体、今度は潰れてしまうということになります。ここのバランス感覚でありまして、ソフトバンク側も大儲けしようということではないと孫社長もおっしゃっていますので、その辺の折り合いをどこかでつけて、県としては、今はもう借金が増えていくだけの土地であるところを何がしかでも、毎年の収入になっていくというようなことを目指しながら決着を探していくのかなと思います。ただ、これは税金の問題とか、いろいろありますので、米子市側と協力関係を作りながら双方で知恵を出して、ある程度プロジェクトが前に進むように、双方で妥協しながらやっていかないといけないものだろうというふうに考えております。いずれにいたしましても、この新たな太陽光発電のプロジェクトが動き始めるというのは、我々としては歓迎をしたいと思います。来るべき議会でもいろんなご意見も出ようかと思いますが、そうしたご意見も含めながら、折衝に当たっていくということになろうかと考えております。
●知事
また、エネルギーと関連して、冬の節電対策が、今、焦点になっております。幸い、中国地方につきましては、中国電力が数値目標で節電するということにはなっておりませんが、中国地方知事会が開かれた折に、民間の代表者のかたも交えて、今後の取扱いについて協議をしました。その結果として、中国電力側として数値目標は出さないわけではありますが、それぞれの県、地域で節電を呼びかけていくと、そういうスタイルでいこうじゃないかと、中国圏はそういうことになっております。隣の関西地域は10%節電目標ということになっておりますが、鳥取県でもその意味で民間の皆さまに対して、数値目標の節電目標を設定することはいかがかと思います。
ただ、日本全体のエネルギー需給が逼迫する中でございますので、家庭では20℃以下で空調を管理してください、あるいは、オフィスでは、オフィスというのは工場とかではなくて、事務オフィスという業務オフィスと言うんですか、そういうところでは19℃以下をやっていただけないだろうかと、そんなことを柱にした節電の呼びかけを、関西でやっているようなキャンペーンと併せて我々としても呼びかけはしていきたいなと考えております。県庁サイド自体は18℃以下を[目標]設定基準として厳しくやっていこうと考えております。対前年で5%程度、節電を県庁サイドとしては目標にやっていきたいと考えております。そうしたようなことで、日本全体のエネルギー需給の逼迫にも、地域からある程度貢献をしていくということを呼びかけていきたいなと考えております。
サイクルトレイン[自転車を鉄道車両内に持ち込むことができるサービス]のようなエコな生活のライフスタイル、これも我々の1つの目標かなと思いますが、この週末には若桜鉄道を活用しまして、列車に自転車を乗せて運んで、帰りは若桜から郡家まで自転車で帰ってくると、そんなようなツアーを計画をしたりしまして、エコなライフスタイル、これからも呼びかけをしていきたいと思います。
●知事
また、障がい者の社会参画なども重要なテーマでありまして、鳥取県としてはかねてから「あいサポート運動」をやっているところでございます。これにつきまして、12月11日に広島県も私たちの運動に参画をするということになりまして、協定を結ぼうということにいたしました。広島[県]の方に私出かけていきまして、向こうであいサポート運動の大会[(第1回あいサポートひろしまフォーラム)]をされる席上で、私と湯崎[英彦]広島県知事との間で協定を結ばせていただこうかと思います。これによりまして、3月には島根県と鳥取県が協定を結んで、鳥取県の「あいサポート運動」が山陰全体に広がりました。今度は広島[県]と「あいサポート運動」の協定を結んで、いよいよ尼子と毛利が手を組むということになりますので、その意味では大変に大きなモーメント[契機]かなというふうに思っております。また、私自身も手話のセミナーに参加をしたりしまして、社会参加と言いますか、障がい者と健常者の共生の社会、こういうことを推進していきたいなというふうに考えているところであります。
●知事
これから、いろんな年末にかけまして動きが出てこようかと思います。当面は議会が開かれるということになりますけれども、東京ではこの間も、[全国]知事会のときに秋田[県]の佐竹[敬久]知事と話をしまして、じゃ、2人で一緒に出ましょうということにしたんですが、12月11[日]と、東京で、秋田[県]と鳥取[県]のハタハタ対決をしようと。対決と言っても、別にハタハタが相撲を取るわけじゃございませんで、それぞれのハタハタの素晴らしさをアピールしてこようじゃないかと。やはり秋田県にとっては、ハタハタは言わば我々の二十世紀梨のようなところがございまして、ハタハタの行事とあらば、私は行かざるを得ないと、こういうように佐竹知事もおっしゃっていまして、それだったら、私もじゃ、乗り込みましょうということにいたしまして、ハタハタの対決フェアをやっていこうということにいたしております。
また、黒にんにくを使った健康食品の[(株)]エムコの事業所を設置をすることにつきまして調印をしたり、それから、LED[発光ダイオード]の光電気通信システム[(株)]の工場拡張、この竣工式も開かれるということになります。さらに、この週末でございますが、殿ダムがいよいよ完成をするということになります。これは長く、着工から20年かけてやってきた事業であり、平成19年に本体着工ということになっておりました。本当に、地権者のかたがた、地元のかたがたの献身的なご協力もいただきながら、この治水、それから利水を行うダムとして建設を進めてきたところであります。一時はダムの見直しもありまして完成が心配された時期もございましたけれども、この度、竣工の運びということになりました。本当に多くの皆さまのご協力に感謝を申し上げたいと思います。
東日本大震災につきまして、その状況について検証する写真展を県東部と西部のショッピングセンターで来週から行うということになります。年末にかけてもさまざまな行事もございますし、新しい事業の展開も始ります。医療関係では、がんの先進治療、これを進めていこうというプロジェクトをやっておりまして、鳥取県では所得のいかんということではなくて、[(がんの先進医療に係る費用融資に対して)利子を6%相当補給をしていくという、そういう医療助成を独自にやることにいたしました。これ、12月からスタートということになります。それに向けて金融機関のご協力をいただく必要がありますが、12月1日に県内2つの金融機関とこの事業を実施する協定を結ぶことになりました。安心してがん治療を受けていただく条件を、そういうファイナンスの意味でも整えていきたいと思います。
先般、私自身、鳥取大学の「ダヴィンチ」という先端的な[内視鏡手術支援]ロボット医療のシステムを見聞させていただきました。非常に優れたシステムでございまして、ただ、今は自由診療になっておりますので、高くつくわけであります。そのために金融機関と連帯をして、そうした先進的ながん治療のローン制度を作り、その利子を県で助成をするというかたちで、他県よりも前に一歩進んだ医療支援を行っていこうということにいたしました。
年末、大変な時期でありますし、三洋[CE(コンシューマエレクトロニクス)]の問題もまだ最終的な展開があるだろうと思います。この12月議会で追加の支援策も含めてしっかりと話し合いまして、県民の皆さまが安心して年の瀬を迎えられる体制を作ってまいりたいと思います。私の方からは以上でございます。
○山陰中央新報 道下健弘 記者(幹事社)
質問がある社はどうぞ。
○日本海新聞 井上昌之 記者
メガソーラー[大規模太陽光発電施設]の関係なんですけれども、来月、年末までに中[国]電[力]に対してソフトバンク側から検討してくれという申し込みをされると、こういう見通しを示されたんですが、これは具体的にどういった協議になるんでしょうか。
●知事
結局、他地域ではすごく問題になるんです。それは電気をつくっても、それを送電してもらわないと意味がないんですね。それで、その送電は、正直申し上げて、地域独占です。それで、このエリアで言えば中国電力さんの協力がないと送電ができないと。つまりその意味で中電さんもこのプロジェクトにある程度関わっていただく必要があります。具体的には発電機がございますので、そこから電線を繋げて、今ある送電網の中に入れていくということですね。それで、この、接続と言うんですけども、この連係接続と言うんですが、系統接続、これをすることについて検討してくれというアクションを起こさなきゃいけません。
それで、我々県の方ではソフトバンクと折衝をこれまで水面下でやってきましたが、そのためのインセンティブと言いますか、動機づけと言いますか、促進策として中国電力側に、例えばこういうようなルートで、今の送電網に繋げられませんかと、そういう予備的な調査を申し入れておりました。これについては我々の地域では受け入れ可能であるという、一応のご回答は得ているわけでありますけども、具体的にやっぱり事業者と電力会社との間で協議のパイプを開いてもらわなきゃいけません。それが年内になるのかなということであります。まずは話し合いましょうという申し入れをソフトバンク側が中国電力側にするということだと思います。
○日本海新聞 井上昌之 記者
孫[ソフトバンク]社長は、そういった電力会社側との交渉が済み次第直ちにやりたいというようなことをお話になったようなんですけれども、具体的に7月から買取制度が始まりまして、来年度ですね、そこからになると思うんですが、知事としてその来年7月からでももう運用できるようなかたちで進めていけたらというお考えなんでしょうか。
●知事
理想形というか、1つの理念形としてそういうことあり得るかと思いますが、現実にはやっぱり工事もありますし、それから、そういう工事を始めるためには先程申しましたSPC[特定目的会社]と言われる、要は資金を集めて運用する会社を立ち上げるわけですね。それを、そういったいろんな手続きだとかの条件整備を考えるとやっぱりFIT法の発効時期というのはかなり大事なことになってくると思います。そこから本格的に動くということが通常でありましょうから、現実問題としては、平成25年度中には遅くともというのが今の正直なスケジュール感ではないかなと思いますよね。この辺はこれから詰めていくことになろうかと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
それに関連して、先程知事は県としては若干リターンがあることが最低条件だとおっしゃったんですが、そうなると、今のこの借金というか債務の多分利子分とか、その分がリターンの目安になるんでしょうか。
●知事
それは、今、実はかつて造ったとき、かなり膨大なコストを使ってやっているんですよね。それで、それを時価相当では相当、正直下がっています。さらに収益というか、土地の収益性のベースからするともっと下がっているかもしれません。従いまして、何でもかんでも値段をつければ、それで市場で売れるかっていうと現実はそうじゃないもんですから、今何が起こっているかというと、ずっと、塩漬けの土地のまま遊んじゃったということになったわけであります。ですから、ある程度年々何某かのペイバック[返済]がこちらに入ってくるというぐらいが、我々として最低限のところかなというふうには思っておりますが、これ今後の交渉事ですので、そこは分かりません。
○読売新聞 野口英彦 記者
イメージとしては土地の賃借料のような感じでしょうか。
●知事
そうですね。もちろん賃借料的な、何かお金のやり取りが組めればいいのかなと思います。
○NHK 月岡信行 記者
中[国]電[力]側は、一応乗り継いだ感触としてどんな感じなんでしょうか。
●知事
今正直な県と中[国]電[力]とのやり取りで言えば、系統連係と言われます、こういう電線をつなげて、この崎津地区に発電所を作って受け入れると、それは基本、根本的に可能でしょうかということの問いかけをしているわけですね、これ予備的な調査として。それについて中電側は、受け入れは今の想定を前提とすれば可能でしょうというやり取りであります。従いまして、具体の計画になって、じゃ、どうだというのはこれからの話でありまして、今は1つの理念系として、ここに例えばこの程度発電したとして、それを中電側が受け入れて送電していく用意はありますかと、それについては受入可能なレンジ[範囲]でしょうなと、このような言い方ですね。
○NHK 月岡信行 記者
ニュアンスとしては、受け入れ可能だけど、今後の交渉次第というか、なんか。
●知事
そうですね。一応受け入れは可能なレベルだろうと。ただ、具体の交渉してみないと結論は出せませんというのが現状ではないかと思います。
○日本経済新聞 青木志成 記者
ちょっと先のことですけども、電力会社側の買取価格、問題になると思うんですけども、もし低かった場合、ソフトバンク側に何らかの支援っていうのはあり得るんでしょうか。
●知事
孫社長の経営理念としてはやっぱり自立可能で、持続可能なものでなければ、多分踏み切らないと思いますね。非常に、民間としての気概のある会社でございますので、その辺のプライドもございましょうから、もしFIT法に基づく価格が相当低く設定をされてしまって、これではとても10年、20年経営できないということだと、今度は参入できなくなるということになるかもしれません。
○日本経済新聞 青木志成 記者
県側は特に支援をしてまでやってもらおうとは考えてないのか。
●知事
我々としては、先程申しましたように最低限のリターンがあるぐらいでないとやっぱり、やはり県の土地でありますのでね、最低限は維持していきたいと。そうすると、結局、年々再々補助金出して、赤[字]になってしまっては意味がありませんので。
○読売新聞 野口英彦 記者
今後は民-民の関係で、なんか交渉事が進むと思うんですが、最低買取価格のこともありますし、あと送電コストですね、これ、どれ程のものを提示しているのか。あるいは自然エネルギーというのは、太陽光で、昼と夜と発電の差があることで、なかなか電力会社が接続を消極的だということがありまして、そのあたりの後押しを県が関係省庁を行うという可能性はあるのでしょうか。
●知事
県として中国電力に、再生可能エネルギーを鳥取県もいろんなかたちで作っていくんで、それを協力して、中国電力と協力してやっていきましょうという何らかの合意を作っていきたいなと考えております。これは、そうしたソフトバンクのプロジェクトにも有効に作用するだろうと思っております。あと、各省庁への働きかけは、規制緩和が主になると思いますし、あとFIT法の問題ですね、この辺は先般、会長県である岡山県[知事]などと孫社長が、国の方への要請活動を行われました。
○NHK 月岡信行 記者
候補地が10数か所あるうちの1つということなんですけど、その1つに選ばれた理由というのは、知事ご自身はどういったことだとお考えでしょうか。
●知事
議論の熟度が高まってきていると、ソフトバンク側も判断をされたんではないかなと思います。私、もちろんいろんな交渉の具合もあるとは思います。たまたまあの日は、前日にソフトバンクホークスが[プロ野球日本シリーズで]優勝した日でありまして、急遽ですね、私の方で、やっぱり優勝お祝いを、ちょっと持っていこうじゃないかと、それで「王秋[(おうしゅう)]」っていう梨がありますね、こんなに大きな、ラクビーボールのような形状の梨でありますけども、この王秋梨を秋王様になりましたということで、孫社長におめでとうございますと持っていきましたら、孫社長は、この王秋はうちの王[貞治ソフトバンクホークス球団取締役]会長と秋山[幸二ソフトバンクホークス]監督ですなあというふうにおっしゃいまして、大変上機嫌でございまして、それで、話し合う中で、じゃあ、今日鳥取の名前を出しましょうというようなやりとりもございまして、いろいろとやっぱりメンタルには、いろんなやりとりの中でソフトバンク側では判断をされたんではないかなあと思います。
ただ、非常にトップの意向の強い、強く働く社風でございますので、孫社長が踏み切られれば、プロジェクトは大きく前進をするということでありまして、鳥取県としてはいいスタートがきれたかなと思っております。
○NHK 月岡信行 記者
要は、鳥取県が早めに、具体的に候補地を挙げたこととか、後は水面下の交渉の中で1つの具体的な何か条件を出すとか、そういうのもやっぱり反映されているんでしょうか。
●知事
要は、「災い転じて福となす」という戦略だったわけですね。[崎津地区は]今まで県政最大のお荷物だったわけです。とにかく1つも売れてないわけですから、今までさぼっていたわけでもないんでしょうけども、ただ、やっぱりいろんな社会情勢、経済情勢の関係で、JRA[日本中央競馬会]の場外馬券売場程度しか売れてないと。それで、あとは何も進展がなかったわけでありますが、逆に言うと、1つのまとまった、かなり広大なまとまった土地、1つ発電所として太陽光発電のように形状が自由な発電ですよね、それで、そういうまとまった土地としては、ソフトバンクが全国で言っている電電プロジェクトみたいな、あちこちの遊休地においてやるということでなくて、非常に効率がいい、スペースが逆に言えば出来たということであると思います。
それを我々としては逆手にとって、売り込みを掛けたわけでありまして、5月の関西広域連合のときに初めて孫社長にテレビ会議で申し入れをしました。橋下[徹前大阪府知事]さんとのバトルが決着したあのときですね、あの後、実はそういうやりとりをしていまして、それで、孫社長の方も、随分まとまった土地があるんですなあと、有力な候補だという、そういうイメージは入ったと思います。そのような土地の持っている1つの優位性があったと思います。あと、我々としても、電力会社との橋渡しに向けまして、先程申しました予備調査といったようなことを働きかけていったり、我々の方で潤滑油としての役割を果たしてきたことも評価してもらえたかなと思います。最後は優勝祝いですかね、そういう面もあるかもしれません。
○日本海新聞 井上昌之 記者
自然エネルギー協議会の記者会見で、孫社長は雇用についても言及されて、地域にとって刺激になるだろうというような見方を示されたようなんですけど、これについて、崎津[地区]にメガソーラーが来ることによって地元の雇用についてはどのようにお考えでしょうか。
●知事
これは経営問題があるので、莫大な人を雇ってということでは必ずしもないと思います。むしろそれを作る過程で、地元の企業を活用してもらうとか、あとのメンテナンスとか、その辺は、ソフトバンク側によく協議をしてまいりたいなと思っております。ソフトバンク側も地元企業の活用ということについて、理解を今までの接触過程では示しておられます。ただ、それだけでなくて、もっと大きいのは、環境エネルギーの聖地のようにして、ここをPRできないかなということであります。ソフトバンクの方に、先般、孫社長に直接、面談させていただきまして、私の方からも申しあげましたのは、エコツーリズム[自然環境観光]のようなそういうかたちで、これは、向こうにとってもメガソーラー発電のPRにもなりますし、我々としても1つの観光資源として捉えていけば、それも魅力、観光地としての魅力のアップになり、地域全体としての雇用にもつながるかなというふうに考えております。そんなような波及効果もいろいろ考えていけば、一定程度の雇用への影響はあろうかなというふうに考えております。
○山陰中央新報 太田満明 記者
さっきのリターンの分ですけど、崎津[地区]に関して、今、県は企業局に借金の利子補てんを確かしていると思うんですが、そのあたりの例えば、借地料が発生するとすれば、そのあたりがチャラになればいいぐらいの発想なんでしょうか。
●知事
そこはいろんなアプローチの仕方がありますから、例えば、事業収益に対してどの程度、言えば、コストをコストとして土地代が乗せられるかということも、これはプロジェクト側からもあるでしょうし、私どもの方は、実は今おっしゃったように、新しい利子が発生したりする、そういう何と言いますか、血が止まらないという状態は既に止血をしてありまして、かつては、例えば、住宅団地で言えば、銀行からの借入れでそれに対して、利子が毎年こう発生してどんどん山のように積み重なってきたというのは今までの現状でありますけども、その分は止血済みであります。ただ、今までのいろんな経費も掛かっていますので、全部取り戻すのは正直言って、とても無理な水準になっちゃっていると思いますが、ある程度、年々幾ばくかでも未来に向かってリターンが出てくれば、御の字なのかなというのが正直なところですね、はい。
○山陰中央新報 太田満明 記者
具体的に、だから金額的なものっていうのは、示せるわけ。
●知事
これからの折衝となろうかと思います。プロジェクト自体が動かなくなるような角を矯めて牛を殺すようなことは、それはあんまり得策でもございませんし。
○山陰中央新報 太田満明 記者
1つは、基本的に無償提供ではないということなんですか。
●知事
無償提供は避けたいというのが我々の考え方でありまして、かつていろんな報道がありまして、例えば、固定資産税は払わないようにするとか、いろいろ条件が、報道はされていましたけども、今、我々とソフトバンク側との話でやっておりますのは、そうした固定資産税の支払とか、ある程度そういうものもコストの上にも乗せていくと、そうすると今後は土地代の方はリターンが出る程度のところからスタートをするということになろうかなと思うんですが、今後の折衝だと思っております。
○山陰中央新報 太田満明 記者
プラスだから、売電した分の配分みたいな部分も交渉事となってくるわけですか。
●知事
今度は、今は出資はしないという方向で、調整をしていまして、出資については、SBエナジー側がSPCという民間の出資者を募ってやる、そういう事業体を想定しておられます。ここに県とか市が入るということも一時、確かに報道されていました。その当時で言えば、売電収入の幾ばくかがリターンで入るというスキーム[枠組み]もあったわけでありますが、今それを実は想定していませんで、土地を我々の方で提供して、それに対する対価として幾ばくか賃料のようなかたちで、年々お金が確実に入ってくると、その方が県民にとってリスクは少ないのかなというふうに思っているんです。
○山陰中央新報 太田満明 記者
ということは、県にとっての収入はその土地代の賃料っていうことになるわけですね、多分ね。
●知事
賃料が基本になると思いますね。それ、どういうお金のやり取りということで最終的に詰めていくか、これは今後の協議で決めていくことになると思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
確か、企業局の方で今借入金があると思うんですけれども、まだ未償還の分が残っているんですか。
●知事
ただ、それは県が貸し付けたことになっていますから。
○山陰中央新報 太田満明 記者
そうですね、それは貸しているんですれども。
●知事
つまり、要は一般会計と特別会計とのやり取りのことになっていますので、今はもう、全然これは売れないですから、結局会計としては、このまま過去の負担が乗っかったまんまで終わっていますけども、この負担が少しずつでも年間、下がってくると。それはリターンが若干でも入って、ここでこう下がってくる、そういう姿が出てくれば、今まで投資したものが、全額回収できないにしてもある程度回収できるということになってくると思います。
○山陰中央新報 太田満明 記者
ですから、今、企業局借入金があって、それに対して利子が当然まだ出てきますよね。
●知事
いや。利子は、だから今はもう止めてあるわけです。
○山陰中央新報 太田満明 記者
その分を県が負担していると思っていたんですけども、違いましたか。
●知事
ですから、いっぺん払って止めるということじゃなくて、要は無利子ということで。だから、もう止血済みなんですね。新たにどんどん膨れ上がってくる状態を、今、止めているんですが、ただ、本来はこれが売れなきゃいけないですね。売ってどんどんこれを下げていくわけでありますが、これを年々少しずつでも下げていくというふうにできれば、県民利益にも叶うかなと思います。
○日本海新聞 井上昌之 記者
「王秋」を持参されたとおっしゃっていましたけども、狙ってそれを持って行かれたんですか、秋山監督と王会長。
●知事
いや、それは、僕気がつきませんでした。僕が職員に申し上げたのは、やっぱり日本シリーズを制したんだから、何かそれに相応しい鳥取らしいもの持って行こうと、それで、なかなかちょっとアイデアが出なかったんですけども、私の方で、行く朝に思い立ちましたのは、やっぱり「王秋」だったらば、この秋王様になったでちょうどいいんじゃないだろうかと、見栄えも良いですしね、ラグビーボールのような大きなものでありますし、あと、本当のこと言いますと、あともう1つ、「鷹勇」[(鳥取県の地酒の銘柄)]を持って行きました。これはホークスなんで、「鷹勇」それほど受けなかったです、「王秋」の方が受けていました。
○山陰放送 秦卓史 記者
SPCについてなんですけれども、その会社の規模であるとか、構成する企業の種類、あるいは所在地、例えば地元の企業はこのぐらい入ってほしいとか、そういうような構想というのは、ソフトバンク側から伝わっているんでしょうか。
●知事
そこはまだこれからだと思いますね。もちろん、地元の金融機関が参入することは大歓迎されるんじゃないでしょうか。ただ、そこはソフトバンク側の目論みもいろいろあって、全国レベルでの出資を集めつつあると、その辺の目算を持っておられるようです。
○読売新聞 野口英彦 記者
先週ですね、中国電力と県との協議がありまして、[島根]原発の安全協定の関係です。それで、増設の事前了解については、これは検討させてほしいということ、そして立ち入り調査については、これ現地確認だということで、あちこち変化球を投げてきたような印象もあるんですが、これについて知事はどうお考えでしょうか。
●知事
私は、2つの要請があると思うんです。1つは、今、福島[第一]原発の事故で明らかになったこととして、今の状態のまま置いとくわけにいかないということですね。ある程度の範囲に放射能被害は広がる、それは当然想定しなきゃいけなくなったと。その意味で、我々としては1日も早く中国電力と一定の、我々の法的地位を作らなければいけない。それが安全協定という表現だろうというふうに思っているんです。だから、これを1日でも早く結んで、県民の皆さまにも安心していただける、まずはそういう土台を作る必要があるだろうということであります。これはどっちかと言うと、時間との勝負がありまして、走りながら考えざるを得ないかなというのが正直なところですね。
あと、もう1つの要請としては、どの程度の内容を求めていくかということでございまして、上を言ったらきりがないんですけども、法的にはゼロからのスタートでありまして、我々として立地[県]と結んでおられる協定が1つの目安になろうかなと思っております。ただ、難しいのは意思決定を迅速にしていかなきゃいけないと。何かことが起こったときだとか、いろんなときに、すぐにでも動く必要があります。それから、最終的に重みのある決定を下すということもあろうかと思います。それで、福島[第一]原発の状況を見れば、やっぱり一番立地しているところがリスクがものすごく大きいですし、真剣に考えざるを得ないところでありますし、正直申し上げて土地勘だとか、原子力に対する経験だとかも含めれば立地のところがある程度、やっぱり最終的には重みを持った決定権というのは、仕方がないのかなというふうには思います。ただ、意見も述べられないのかとか、我々が言ったことに対して、切実なことに対しては誠実に答えなければいけないとか、そうした、それに準じるような、要は混乱を巻き起こすことではなくて、当然やるべきことはやってもらおうというところは最低限必要なことなのかなと思うんです。
立ち入り調査もそうでございまして、中に入って調べるということは、我々は、今、できません。この状態を打開することができれば大きく前進をしたことになると思います。そういう意味で、その内容の実質をどれほど取りにいけるかというところだと思います。それで、ともかく安全協定を結んで、その後、今後国の方で原子力安全対策も変わってくるでしょうから、それを睨みながらさらに協議を前進させていくというのが現実的なアプローチかなと思っていまして、今合意できるところは、我々としても地域としてきちんと担保を取らさせていただいて、またその後も情勢の変化に従って協議をしていくというようなことが良い方策かなと県民の立場から言えば、そういうふうに思っております。
今、お尋ねのようなイシュー[論点]がございまして、その2つのイシューについてもそういう考え方で協議を深めていって、願わくばできるだけ早く年内ぐらいを1つの目途にして協議をまとめることができればなと思っております。
○朝日新聞 西村圭史 記者
節電についてなんですけれども、中国電力管内では、正直足りてる中で、なぜそういう民間に呼び掛けるということが必要なのかなという思いなんですけれども。
●知事
それは、余剰電力があれば、それは関西電力、非常に足りないですね、そういう関西電力に対する一時的な融通ということにもつながってくると思います。要はピークカットであろうかと思うんですね。ピークの時期の電力について、ある程度マインドとして全国に協力していこうというマインドがあれば、それで全国的な危機の回避にもつながっていくというふうに思います。また、あと、これはそれぞれの事業者もそうですし、家計にとっても言わば無駄なところは省いていきましょうということにもなりますので、そういう意味では家計にもやさしいことにもなるんではないかなと思います。言わば、我々のライフスタイルとして、エネルギーの大切さに対する認識を深めてもらってはどうかなということであります。
先程申しましたように、例えば何パーセント節電しましょうという数値目標を県としても立てるつもりはありません。従いまして、ご家庭の状況とかで、いや、お年寄りがいるのでちょっとこれは無理だなというのは仕方ないことだと思います。関西電力管内はそうはいかないでしょうけれども、我々のところは自然体ではあるけれども、協力していきたいという気持ちを皆で示していくことだと思っております。
○日本海新聞 中村宏 記者
対前年で5%カット目標とおっしゃいましたが、これはもう全県でということですか。県庁サイドだけということですか。
●知事
県庁のことです。事業者だとか、家庭とかいうことではないです。
○日本海新聞 中村宏 記者
県庁と言いますと、西部総合事務所なども含む、県内のすべての施設ということですね。
●知事
そうですね。これを目標ということでありますけども。
○日本海新聞 井上昌之 記者
道路のミッシングリンクの関係なんですけれども、10県知事で要望に行かれたわけなんですが、国の方の感触としてはどういった感じなんでしょうかね。
●知事
微妙ですね。ただ、非常にぎりぎりと言いますか、良いタイミングで我々は要望できたのかなとは思います。輿石[民主党]幹事長もおっしゃっていましたけれども、ちょうど政府与党で話し合いをするタイミングだったので、皆さんのご意見というものを言っていきたいと、こんなようなことになりましたし、これから財務省、国[土]交[通]省の間でかなり協議が続くとは思いますが、財務省の安住大臣は、かつて民主党政権が始まったときに、公共投資厳しく下げたと、それについては考慮の余地はあるんではないかという趣旨のご発言はございました。もっと正確に言いますと、最初、前原[国土交通]大臣のときに真面目にやっちゃったんだよねと、それで、それについては同情を禁じ得ないけれども、これ以上言うなと官僚には言われていると。そういうお話でございまして、ですから、まだ折衝の余地はあるというようなことなのかなという雰囲気はありました。国土交通省側は、もうさすがに切るところまで切っちゃったので、この辺で自然体に戻してもらわないといかんという趣旨が国土交通大臣からは滲み出ておられまして、当然ながらその我々が訴えたことを飲み込んでいきたいということでありました。
あと、与党の政調会の方の桜井[充]政調会長代理は、我々の要請に対しまして、このミッシングリンクについて、前年同額程度は確保すべきでしょうねと、そういう認識はおっしゃっていました。これから政府与党での話し合い、さらには自[民党]公[明党]を含めた話し合いもあるのかもしれませんが、そういう中央での話し合いが深まってくるのではないかと思います。
○時事通信 小出秀 記者
また、節電にちょっと戻るんですが、家庭での20℃以下とか、業務オフィスでの19℃以下というのは今後呼びかけていくものでしょうか。
●知事
それについては、そのライフスタイルの提案として、PRを県としてはしていきたいと思います。
○時事通信 小出秀 記者
どういった形でのPRを考えられていますか。
●知事
広報媒体が中心になろうかと思います。期間としては12月から3月まで、この期間が特に今日本で一番危ない関西にとってのバイタル[活発]な時期でありまして、それに隣接する地域として協力をしていくということであれば12月から3月かなと思っています。
○読売新聞 野口英彦 記者
この12月1日で関西広域連合ができて1年になるんですが、1年終えて知事の評価をお願いしたいと思います。
●知事
私は、関西広域連合というのは北斗七星のような存在だと思うんですね。7つの府県が集まりまして、これから目指していく方角を示すそういう1つの運動だと思っています。その意味では、地域主権、地方分権の確立について、ラディカル[急進的]とも言える提言を出先機関改革などで行ってくることができましたし、喫緊の課題であった東日本[大]震災に向けては一致して協力をするという、これまでの個別の府県では対応できなかったことに対応できたかなという意味があったと思います。あと、それらを支える意味で、北斗七星の1つ1つの星に当たる各府県の間のコミュニケーションが、今までとは違って、飛躍的に高まったことは事実だと思います。
我々も世界ジオパークネットワークに加盟をした山陰海岸を一体的に高めて、売り出していきましょうということを1つの目標として加入をしているわけでありますけども、これも今までであれば、府県間の交渉で潰えてしまったようなことも、一体性を持って認識されるようになってきたかなと思います。やっぱりコミュニケーションが毎月定期的に取られていることは大きいと思いますし、議会でも1つの議会を7つの府県が構成をしましたので、議会人同士での折衝も簡単に行われるようになったということで評価できると考えております。
○読売新聞 野口英彦 記者
今議会に産業分野での参加を提案されていますけども、産業分野という加盟する理由、これをお願いしたいと思います。
●知事
やはり鳥取県は好む好まざるに関わらず、関西の経済圏の中に大きく取り込まれているのは事実だと思います。よく県西部は違うんだと、県西部は松江だよとおっしゃいますけども、県西部の資本とか、あるいは出荷だとか、そういうことを考えてもやっぱり関西が圧倒的に強いですね。そういう意味で、関西という1つの経済中心、1つの経済圏域の中で、ビジネスマッチングをしていったり、共同で首都圏とかに売り込んでいくと。そこに私ども個別の企業だとか、ビジネスが入ってくることは、大きく産業界の発展にも県内でも寄与するものだと思います。そういう期待を込めまして、今回加盟[参画]をさせていただきたいと考えております。
○読売新聞 野口英彦 記者
議会側からは環境分野を合わせて4分野ではどうかという話があったんですが、これについてはどうでしょうか。
●知事
この辺は今後の検討課題かなと思いますし、とりあえずオブザーバー的に環境分野で参画をしていくということは考えて行きたいと思っております。
○読売新聞 野口英彦 記者
加入分野を増やすということについては、これは、知事は以前から自分自身でお考えになったのか、それとも今回議会から提案があったから加盟しようと思われたのか、どっちなんでしょうか。
●知事
これは鳥取県の広域連携の基本的なあり方に関わることでありますので、広い議論の上で決めて行くべきだと私はずっと思っていました。産業振興はその選択肢だろうなとそういう思いはありましたけれども、直接的には山口[享]議員、福間[裕隆]議員といった広域連合の議会に入っておられる[県議会]議員さんなどから具体的な提言が強く出てきて、そうであればまとめていこうかというようになったわけであります。これは今後もいろんな分野がございますので、そうした分野への加盟についても、今後も引き続き検討をしていくという姿勢で臨みたいと思っております。
○読売新聞 野口英彦 記者
鳥取県と人口規模があまり変わらない徳島県が今回フル参加をされるということで、将来的にはそういうことも考えられるでしょうか。
●知事
まだそこまでの想定は頭にありません。私自身は、これまで中国地方知事会の中では広域連合のような地域主権の受け皿を作るべきだという立論も片方でやってきました。私はドライに考えておりまして、広域連携としてメリットがあること、これには率直に県民利益を考えて加入していけばいいと。そういうコストパフォーマンス[費用対効果]と言いますか、メリット、デメリットを考えた上で判断をしていけばいいのかなと思っております。徳島のようにトータルで完全に関西の中に入ってしまうというところまで、まだ県民の皆さんの意識も進んでないんではないかなと思います。それで、片方で中国地方での広域連合を速やかに立ち上げるべきだというのが私のこれまでの主張でございまして、そちらの方の広域連合との兼ね合いも今後出てくる可能性もありますので、当面、今の3分野、今回加入する産業振興も含めた3分野をきちんとやって、成果を出していくことが急がれると思います。
○山陰中央新報 道下健弘 記者(幹事社)
他の質問はよろしいでしょうか。知事、ありがとうございました。
●知事
はい。ありがとうございました。