●知事
皆さん、おはようございます。昨日出てきた数字(貿易統計速報)として貿易赤字が報告をされたところでございます。我が国がオイルショック以来の貿易黒字から赤字に転落をしたということは、非常にショッキングなニュースとしてアメリカですとか、中国ですとか、海外でも大きく報じられているところであります。本県におきましても県内の大型企業が他企業との系列合併によりまして縮小をしていくようなことがあったり、また、その他にも事業縮小や整理の動きが出てきたりしておりまして、県内の製造業、こうした海外との貿易の関係と無関係ではないと思われます。ぜひ、国においてそうした円高対策ですとか、経済対策しっかりとやっていただく必要があるだろうと思います。
今、国会が24日から開会をされました。野田[佳彦]総理[大臣]が3つの政策課題、調整すべき課題について言っています。東日本大震災からの復旧・復興、また、第2に福島[第一]原[子力]発[電所]事故との戦い、第3番目に日本経済の再生というようなことを挙げておられます。円高ですとか、あるいは景気を上げていく、また、製造拠点を海外に移していかない、そのための施策が緊急に求められていると思います。政策をフル活動して、ぜひこうした動きに歯止めをかけていただきたいと思います。
本県では昨日、[有限会社]ワールドファームさんが進出を明らかにされるなど、一所懸命県内を拠点とした動きを強めようとしております。ただ、なかなかビジネス環境も厳しいもんですから、国の方の施策を強く求めたいと思います。また、同じ野田総理の発言の中で、所信表明演説で今回は明確に[国の]地方の出先機関を全廃していくということを原則とする、そういう法案提出をしていくんだという立場を明らかにされました。こうした地方分権については果断にやっていただきたいというふうに考えているところでございます。
2 「スペース・サイエンス・ワールドinとっとり」の開催
●知事
このあと、中村栄三教授、岡山大学の地球物質科学研究センターの先生と話をさせていただきますけれども、実は岡大の三朝のセンターでは、ここずっと[小惑星]イトカワから持ち帰りました微粒子の分析調査を進めてきました。その結果がだんだんと見えてきているそうでありまして、非常に大きな発見につながるんではないかと我々も期待をしております。鳥取県の中の研究室ですが、こうした大きな事業を手掛けるということは大変に喜びを感じるものであります。鳥取県としては「スペース[・サイエンス]・ワールドinとっとり」を来月のちょうどこれから1ヶ月後ぐらい2月25日あたり、2日間かけてやりますけども、シンポジウムをやったり、それから各種展示をやったりします。中村教授やあるいはJAXA[(宇宙航空研究開発機構)]の皆さんのご理解も得ながら、これはもう本邦初公開ということになると思いますが、イトカワから持ち帰りました微粒子、これを実際に見ていただける、そういう機会を県民の皆さんとか、あるいはご関心を持っていただけるような全国の皆さんにも倉吉未来中心でご提供申し上げようと、今、最終的な調整をさせていただいております。詳しい話は、私も若干門外漢でございまして、これから中村教授が来られましてお話をされると承っております。
●知事
原子力発電所についてでございますが、国の方で現在、閣議決定をしようという動きになってきました。報道が続いておりますが、例えば原子力安全庁という名前のものを原子力規制庁という名前に変えまして、これで今後の規制行政をやっていこうと、安全を考えていこうという体制整備が図られようとしています。こうした原子力規制庁の話と併せて、また原子力災害対策の特別措置法がございまして、原災法[(原子力災害対策特別措置法)]と言われるものでございますが、この原災法についても改正をするという段取りになっておりまして、民主党の中の党内手続きを進めてきておられると承っております。普通、国の方では閣議決定は金曜日とか、火曜日の朝に閣議を開いてやるのが常でございますので、早ければ明日あるかもしれないな、場合によっては来週の火曜日かなというように想定をしているところでございます。この辺は国の動き次第で我々でコントロールできるところではございません。
私たちが注目をしておりますのは、その原災法の中にEPZ[(緊急時計画区域)]と言われる原子力災害に備えるべき地域についての条文が含まれております。これを、改正をしまして関連の周辺都道府県知事という、そういう表現をこれから用いて原発関係の安全対策の範囲について、政府が初めて1つの意思決定をするのではないかと見ております。もちろん、法律だけですべて決まるわけではありませんで、政令ですとか、その他の仕組みと併せて決まると思いますけれども、従来のEPZの枠から飛び出してくるということは、これはもう間違いなく鳥取県も原子力災害対策が求められる地域になる。今までは、国は私たちが地域防災計画を作ることを認めていないという立場だったんですけども、これからは逆に、地域防災計画の中で私たちはそうした安全対策を盛り込んでいかなければならないということになります。立場が180度こう変わる、そういう転機が今訪れようとしております。
これから国会の審議などもあるわけでありますが、政府のそういう閣議決定がなされて、法案提出が固まってくるとなりますと、我々の方では具体的に備えるべき時期に入ると考えます。従いまして、その閣議決定のあと、速やかにできるだけ早く庁内の関係部局を集めまして、これから周辺地域として、今までは全く踏み込んでやっていませんでしたけれども、どういうようなことを具体的に我々周辺地域としてやっていかなければならないのか、分析をして、来るべき予算編成、この中に緊急に盛り込んでいかなければなりませんし、また、実際に訓練を2月にやろうとしておりますけども、その訓練の内容、今まではちょっと曖昧なかたちで参加をしてきたのがこれまでの常だったわけでありますが、今回閣議決定も出てくれば、今後は明確に位置付けられるという方向性が固まりますので、我々もきちんとした立場で参画をしていくと、そのためにはどういう訓練の在り方が求められるのかとか、そういう具体論に踏み込んだ動きに転嫁させていきたいと考えております。
そのために、近々そういう閣議決定後のタイミングを捉えて、原子力安全対策のプロジェクトチームを庁内に組織をして、緊急な洗い出しをし、体制転換を図り、新年度以降、おそらく原子力規制庁が国にできるということになります。我々の方ではそうしたプロジェクトチームで練り上げた、今後やるべきこと、これを新年度予算の裏打ちも含めて速やかに実現へと結び付けていきたいと考えております。
現在、予算編成をしながら各種の情勢分析をしているところでございますけれども、モニタリングポストにつきまして、第4次補正[予算]の中で含まれている可能性が見えてきました。これは2月補正という補正予算で今年度提案をすることになりますが、それに境港と米子のサイトを登録していこうというふうに、今、考えております。
こうしますと、さらに2つモニタリングポストを余分に作ることができます。今までの想定ですと境港、米子、さらに大山、日野、それから鳥取県東部、中部には従来から2つありますので、そういう体制を考えていたわけでありますが、プラス2できますので、それを今まで想定していた境港、米子に優先的にまず割り当てまして、さらに2つ余裕ができますので、これを西部地区と中部地区で、もう1ヶ所ずつサイト増設を視野に入れると、そんなことも考えていこうかなと思っております。ただ、なかなか分析してみますと[国の]当初予算の規模でかなり原発安全対策、増やしていますが、本県にどれほど配分されるかというのにやや手薄さを感じるところもございます。今の想定ですと、安全対策交付金だとか、監視交付金だとか、今、国といろいろ情報を取っている段階では2億[円]程度かなと思われるんですね。ただ、私たちのように周辺地域で今から緊急に体制整備を図ろうと思いますと、これではちょっと足り苦しい感じがありまして、政府側の方に予算配分について要請活動をしていかなければならないのかなというふうに考えております。
いずれにせよ着実に前へと進めていく必要がありますので、近々プロジェクトチーム体制を庁内に設置をして、原子力安全体制を図ってまいりたいと思います。これからいろいろとそうした原子力安全のことをやっていきますが、それに絡みまして、トップセミナー[(災害対策専門研修「トップフォーラム」)]を兵庫の震災を契機とした研究センター[(人と防災未来センター)]の方の協力を得ましてやっていこうと思います。このセミナーを来週の[1月]30日にやろうかというふうに考えておりまして、東日本大震災後の初動から含めた防災体制づくり、これを市町村を交えて進めてまいりたいと考えております。
●知事
これからまんがの話もございましたけれども、まんが王国だけでなくて、古事記[編纂]1300年の年にも入りました関係で、私たちの方でも、ぜひそうした動きを強めていきたいと思います。皮切りに、この週末[1月]29日に東京で開催されます古事記を考えるシンポジウムに私も参加をしようと考えております。これは、かねて奈良県さんとか、島根県さんとかと話し合ってきたことでございまして、奈良県さんの方でご配慮いただきまして、私の方にも参加の枠をいただいたものでございます。この3県の他に宮崎県だとか、福井県も関連がございまして、参加をされるんではないかと思いますが、そういう関係県の知事が一堂に会し、私どもも[国際]マンガサミットでお世話になります里中満智子先生も天武天皇と持統天皇という、そういう史上最強のカップルについて話すようなそういうシンポジウムになろうかと思います。
鳥取県の場合、強みなのは、古事記の中でも一番よく知られている「因幡の白兎」の話が鳥取県にあるということがございますし、それ以外にも宇倍神社に武内宿禰が祀られていて、このかたが古事記で名宰相と謳われているとか、また、赤猪岩神社や大石見神社のような大国主命が復活を果たしたサイト[場所]がございますし、スサノオノミコトの娘でいらっしゃいましたスセリビメが唐王神社に最終的にお祭りを申し上げているということなど、非常に神話に関わるサイトも多いです。もちろん大山だとか、弓浜半島、これらも国引きの神話に登場するわけでございまして、神話の昔からのゆかりを訪ね歩く旅としては、鳥取県は島根県とともに山陰一帯として非常に有望なところだというふうに考えておりまして、ぜひ、PRをしていきたいと思っております。
●知事
また、来週の火曜日に、湖山池会議をお願いをしております。これは、一昨年の春に、鳥取市の竹内[功]市長と私、それから、もちろん県と市の幹部も同席をして、今後の政策課題を話合った際に、湖山池について、塩分濃度をどうするかということ、その塩分濃度をどうするかと絡んで水の循環が変わってきます。これは湖山池の水質にも係わることでもあります。もちろん水産資源の問題もありますし、そこから水を汲み上げて農業利用している人たちもいる。相矛盾した課題がございまして、なかなかこんがらがってほどけない課題でありました。でも、私の前の片山[善博前知事]さんの時代もそうでありますし、片山さんの時代には100人委員会という組織を設置しましたが、残念ながら解決へ向かってまではいかない。つまり意見が対立して収拾がつかない。そこで、ちょっと距離を置いたという感じになっていまして、それで、このままではいけないんじゃないかと。それで、県と市で主導的に解決策を模索をしていこうと、それに基づいて、湖山池問題を解決をしようじゃないかということで、両県・市の間での湖山池会議を開催をしてまいりました。
その中でアンケート調査をやって、これからの水質、どういうレベルを目指しますかというような話も住民の皆さまなどに問うてまいりました。住民意識からしますと東郷池ぐらいの濃度を目安にしたらどうだろうかというような話が出てまいりました。東郷池ぐらいになりますと、東郷池のことを考えていただければお分かりいただけますように、それをそのまま農業利用することは難しくなります。そうすると農業のあり方も転換をしていかなければならないということになるわけでございまして、西桂見でありますとか、福井とか、そうした関係の集落の、周りの集落の皆さまがたにご理解とご協力をいただかなければならない。農業のあり方を転換をするとか、やり方を変えるとか、そうしたことが必要になってくる。そういう意味で、今まで精力的にさまざまな協議を重ねてまいりました。
その成果を踏まえて、湖山池の将来ビジョンを策定をいたしました。この湖山池将来ビジョンについて、そうした地元の集落のかたにも来ていただき、100人委員会ですとか、湖山池漁協ですとか、お越しを賜りまして、それで、一堂に会して、今後の湖山池について考えようじゃないかと。こういう場を来週設定をすることになりました。ぜひ、多くのかたがたのご協力もいただきながら、今まで非常にほどきがたい問題が重なりあった状況を、この際ほどいていって、未来に向けて湖山池を豊穣の湖山池、あるいは美しい湖山池、人の暮らしと共生していく湖山池に転換をしていきたいというふうに考えております。
●知事
それから、来週は、若干の行事もございまして、酪農者のかたがたとお話合いをするというような場[(伸びのびトーク)]を設けておりますが、非常に、若手の酪農者、苦労をされています。政策へと反映させていく必要があるかなと思いますが、「やらいや酪農プロジェクト」というのを今、県では実施をしています。そうした牛乳を使っていこうじゃないかと。これからバレンタインデーという非常に大切な日がやってきますが、お菓子がもてはやされるわけでございますけども、琴浦グルメストリートでそういう牛乳を使った、スイーツのフェスティバルをやろうと、この試食[(「KOTOURA白バラ牛乳(NEW)スイーツパラダイス」発表試食会)]ですとか、実施が来週ということになってまいります。
●知事
さまざまな行事も予定されてはおりますけれども、心配されますのはインフルエンザでございまして、これにつきましては、定点観測を県の方でやっておりますが、[1定点あたりの報告数が]18人を上回るということになりまして、注意報を発令させていただきました。うがいや手洗い、あるいはマスクエチケットなどでこうしたインフルエンザが広がることを防止していただきたい、ぜひ県民の皆さまにもご協力をいただき、健やかにこの雪の季節を乗り切っていただきたいと考えております。私の方からは以上です。
○朝日新聞 西村圭史 記者(幹事社)
ありがとうございます。それでは、各社さん、よろしくお願いします。
○読売新聞 野口英彦 記者
原発の関係なんですが、昨日島根県の溝口[善兵衛]知事が定例会見で、原発の再稼働の際には、鳥取県、米子市、境港市を含む周辺地域の意見を聞きたいというふうにおっしゃったんですが、それについて知事の受け止めをお願いいたします。
●知事
これまで溝口[島根県]知事とは信頼関係をしっかりと持ってですね。[ただ、]溝口知事も大変なんです。島根県は立地でありますので、万が一のときには私たち以上に被害を被らなければなりません。もちろん我々も、その場合には影響が出てくるということになります。そういう意味で溝口知事とも今後も胸襟を開いて意見交換をしていければなと思っております。2月にいよいよオフサイトセンター[(緊急事態応急対策拠点施設)]も活用した訓練が実行されるわけでありますが、溝口知事とも、その際、1つの想定として、鳥取と島根の災[害]対[策]本部を結ぶような、電話会議のような、そういうシチュエーションなんかも考えてみようかという話をお互いしているんですけども、これからも協力体制を持ってやっていきたいと思います。
私たちは中国電力と原子力安全協定を締結しました。これ締結する際にも、溝口知事の方には、理解を求めるべく話をさせていただいたこともございます。そういう中で、我々は中国電力から情報の提供を受ける立場になりましたし、意見を申し出る立場にもなりました。このことを踏まえて、溝口知事の方でも、ご発言があったんではないかと思います。ぜひ、さまざまな難しい課題はあろうかと思いますけれども、慎重に原子力発電所の取り扱いについては、溝口知事ご自身でもご判断いただきたいと思いますし、私どものような、私たち周辺地域に意見を聞くということを、ぜひ大切にしていただいて、みんなが安心できるような、そういう運用を図っていただきたいと思います。溝口知事とはまた今週末出会う機会がありますので、私、直接溝口知事からその話を聞いたわけではございませんので、記者会見でおっしゃった趣旨を、今週末、さっきの古事記のイベントで出会いますのでお聞きをしてみたいと思いますし、お互いの意思を確認し合いたいと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
それについてはどう、これは、例えば県の方から何か意見、再稼働の意見が言えないかということを島根県側に申し入れたということがあるかどうかということと、知事ご自身としてはこの再稼働の問題について、鳥取県として発言したいという思いがあるんでしょうか。
●知事
これについては、法的な権限とそれから実体的な問題とはまた別だと思います。法的な権限で再稼働についてものが言えて、それが要は拒否権のようになるかどうかというのは、これは、実は現在の仕組み上、立地と言えどもそこまでの権限はないんですね。それは安全協定の中に再稼働のとこまでは厳密にいうと含まれていないわけです。ただ、事実上の運用として中国電力が、そういう立地[自治体]に対して意見を求めてくると、それを実際上、尊重しながら、物事を進めているというのが現実です。ですから、その中に運用として私たちが入るっていう可能性は十分あるんじゃないかと思います。
我々としては、もちろん再稼働しようというときの状況にもよりますけども、意見を申し上げるべきときには意見を申し上げるというスタンスで、これからも臨んでまいりたいと思います。それとあと、法的権限が、どの程度認められるかというのは、これはまだ、正直別問題だろうと考えております。ただ、そのためにも、我々として、原子力安全の体制づくりを急がなければなりませんので、そういうプロジェクトチームを発足させて準備にかかっていくなど、これから動きを早めてまいりたいと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
そのプロジェクトチームに関連して、今までも県の防災計画には原子力災害[対策]編があったと思うんですが、まだ、不十分な点があるというお考えでしょうか。
●知事
もちろん今までも人形峠のサイト[(環境技術センター)]がありますので、鳥取県の場合は特殊なんですけども、人形峠との関係で、原子力安全について、一定の経験があります。その経験を基にして、今、事実上、計画の中に書いているところがございます。ただ、十分な検証とか、実効性だとか、福島原発事故後を見れば、不十分な点はまだあると思いますので、今避難計画を島根県と協調しながら作り始めたところでありますが、そうしたことなどを前提にして、我々としても改定をせざるを得ないというふうに思っております。これは、ちょっと順番がございまして、我々は独自に、今、作業を始めることにしたいと思うんですけども、国の方で原子力安全についての指針というのを作るんですね。この指針がまたこの度、提案されようとしている閣議決定の中でも法案上、法定化をするというように格上げをすることも定められようとしています。
そういう国としての基本的な方針なども入れていかないと、実効性のある計画にならない面がございますので、我々としては今までの経験、知見でやることをどんどん進めていって、そこに国の方針なども入れさせていただいて、最終的なものを取りまとめたいと思いますが、国のそうした体制がきちんと出てくるのは、原子力規制庁が発足した後のことになると思います。ですから、来年度が原子力安全についての地域防災計画の改定時期ということになろうかと思います。当然ながら、検討期間も必要ですし、いろんなご意見もありましょうから、すぐにということにならないと思いますので、来年度いっぱい、早ければ半年以内とか、そういうタイミングを捉えて決めていくことになればと思います。
○NHK 杉山大樹 記者
プロジェクトチームについてなんですけども、地域防災計画の策定がプロジェクトチームの最終目標っていうふうになるんでしょうか。あともう1点、関係部局それぞれ集めてということでしたけども、危機管理局以外に、例えば、どういった観点で、どういった部署の参加っていうのが想定されるんでしょうか。
●知事
まず、原子力安全の計画を地域防災計画の中で盛り込まなきゃいけませんが、これは1つの目標になります。ただ、それだけじゃなくて、まずは今やっている予算編成、この予算編成の中にできるだけ多くの項目を取り込むべきだと思います。実は庁内の中でも議論を始めさせてもらっているんですけども、部局によってはなかなか進捗しないところもございましたので、そういうところを説得をしながら、今、引っ張り込んでいるという状況でございまして、プロジェクトチームを発足させて、そして、指令系統をしっかりさせて、やるべきことを盛り込んでいくようにしたい。そういう意味で予算編成が当面急がれる課題です。
それから、実際に、例えばモニタリングポスト[(監視測定装置)]の設置であるとか、ヨウ素剤の配置であるとか、そうした具体的なことをしなければなりません。それを速やかに、いきなり立地程度まで持っていくのはなかなか大変でありますけども、できるだけ早く、そうしたシチュエーション[状況]を作っていかなければなりません。そのための執行体制も作るという意味でプロジェクトチームを考えたところでございます。呼びかける参集対象として、例えば生活環境部のようにモニタリングポスト、あるいは大気の測定とか、土壌の測定などを定常的にやっている部局であるとか、また、福祉保健部、これは被曝対策ですね、ヨウ素剤の配置であるとかいうことがございます。また、病院局なども含めて、被曝医療ですね、除染だとか、そういうことを考えていかなきゃなりません。
正直な話を申し上げますと、鳥取県では原子力安全について地域防災計画に、言わば国の了解なく盛り込んでいる状況ではありますけども、現実には被曝医療の医療機関が県内にないという状況であります。医療機関のご協力をいただけてないわけでありまして、これは何とか、そういう医療機関にもぜひ理解をしてもらって、被曝医療の体制を整える必要があると思います。中国地方の場合は、広島大学がありまして、ここは高度な被曝医療ができます。ここがいわゆる三次レベルの被曝医療の体制がございまして、そちらにいざというときは三次レベルの被曝医療を求める体制になっておりますが、一次、二次レベルのものがないということですね。
ですから、県立病院なども含めまして、例えば鳥取大学というような医療機関もございますけれども、そういう被曝医療の体制を作らなければなりません。その意味で福祉保健部だとか、病院局だとか、そうしたところも入る必要があると思います。また、いざというときの広報であるとか、また、輸送のための道路の確保であるとか、いろいろと課題がございますので、結局、全庁的なプロジェクトチーム体制ということになろうかと思います。
○朝日新聞 西村圭史 記者
そのプロジェクトチームに関してなんですけれども、立地県では原発の安全対策を専属にやる課など部門があると思うんですけれども、鳥取として、国の施策としても立地だとか、EPZという枠がこれから取っ払われていくんですが、隣接県として鳥取県もそういう専属的な何か課を作ったり、組織の編成自体まで考えていらっしゃるんでしょうか。
●知事
今、検討を指示しました。原案としては入ってなかったんですけども、私は作るべきだと思います。もちろんその人材の問題はございます。それで、専門人材も登用しながらやっていきたいと思いますが、例えば危機管理局の中に、室レベルでの部局の設置ということは検討すべきではないかと私は思います。今そのプラクティカビィリティ[実行可能性]だとか、可能性について人事当局の方に指示をしております。
○共同通信 中川亘 記者
専門職について関連してお願いします。鳥取県が現在、順次専門知識のある人の採用を進めていますが、その一方で米子市、境港市では現状そういったかたの採用はなかなか難しいという現状があるそうです。それを踏まえて、両市は県との連携を強めるなど対策をとろうとしているんですが、鳥取県としてはそれに何か協力ですとか、そういう専門知識とか、そういった者を採用しにくい米子市、境港市さんに対して、何かこういうことはできるんじゃないかとか、そういったこと、考えはありますか。
●知事
それはそれぞれの自治の問題ですから、市の方で必要な人員体制、組織を考えていただくのが本来だと思います。ただ、島根原発の場合、当然ながらその島根県に一定の人材と、それから組織があります。私は、鳥取県でももちろん同じものを作ることもできますけれども、結局は協力関係になると思うんですね。福島原発のときは、福島県庁が全部やらざるを得ないわけであります。要は、全体が1つまるごと福島県の中に入ってしまいましたから、避難の対象者も含めて。それで、鳥取県と島根県との関係で言えば、原発事故が、もし仮に発生すれば、島根県内で起こる。それで、もちろんそのモニタリングだとかは鳥取県のデータもある。そういうところを協力しながら分析をしていくと。また、避難の状況も、島根半島からそして弓浜半島を流れて、鳥取県内の方に来られる。あるいは、さらに岡山県の方へ出ていかれる、そういう動きが想定され得るわけです。
そうしますと、両県の協力というのが、現実のその原子力災害では、当然必要となってくると思うんですよね。それは福島との違いだと思います。ですから、島根県と鳥取県とそれぞれ、なんか競い合うようにして、すべてを例えば鳥取県で人間がいなきゃ駄目だと、松江であるように米子や境港で、もうすべて人それを作んなきゃ駄目だということにするのが果たして合理的なのかどうかというと、福島とちょっとケースが違うかなと思います。従いまして、島根県との協力体制の中で、どういう体制整備を我々の方で考えるか、また県との協力の中で、米子市、境港市がどういう体制を作っていくかというような1つの協力を前提にした組織作りということが考えられていいんではないかなと思います。
私は、こうした問題意識を持っていますが、島根県と鳥取県側で十分その辺の調整ができているわけではございませんで、これから閣議決定がなされて、さらにUPZ[(緊急防護措置計画範囲)]の範囲も政令などで、鳥取県とかがいずれ明記されてくるんだと思いますけども、そういう際には、今後はこういう体制で両県の圏域を一体として考えて体制を組みましょうというようなパッケージを本来は考えるべきだと思っておりまして、今後調整してまいりたいと思います。米子市、境港市には当然ながら県の人材もありますので、きちんと協力もしていきたいと思いますし、同じ県民でありますから、避難対策だとか、県の方でもしっかりとフォローを市の対策に応じてやっていきたいと思います。
○日本海新聞 井上昌之 記者
国家公務員の給与のことについて、昨日、民主と自民と公明の3党が人事院勧告の0.23%引き下げに加えて新たに7.8%上乗せして減額するんだという案で合意したんですけれども、これについての知事の評価をお聞かせいただけませんでしょうか。
●知事
今、国民が求めているのは、原子力災害も含めた東日本大震災の惨状、これから速やかに立ち直っていくことであります。そのための財源として、当然ながら国の組織の中で汗をかくべきだということでございますので、そうした与野党合意が図られるのは、言わば当然のことではないかなと思います。ただ、世上報道されている状況をちょっと拝読させていただいたり、見させていただいておりますが、完全にどうも合意できているのかどうかちょっと自分ではよく分からないところもございます。例えば、これは人勧実施に加えて0.78を加えるというストーリーなんですけども、ただ、労働協約権のことですね、それで、こうしたことの扱い如何によってまた弾けるかもしれませんし、ちょっとまだよく分からないところがあるのかなと思って見ています。
だから、そういう意味で、今、こういう合意が出ているような報道もございますけども、ぜひ、国民本位、国民の問題関心に沿った立場を乗り越えた与野党協議というのを望みたいと思います。あと、自民党さん、公明党さんの方から、自民党さんだと思いますが、地方[自治体]の給与云々という話が出ているようでございますが、これについては、地方側は一様に警戒しているという状況でございます。その理由は、我々鳥取県もそうでありますけども、ラスパイレス[指数(国家公務員を100とした場合の地方公務員の給与水準を表す指数)]が92とか、そういうような水準でございまして、すでにそうした給与是正をした後でございます。その地方側では先行してやっているという状況がございまして、そうした地方の実情をぜひ踏まえた冷静な議論をお願いをしたいなと。これも今後の多分、流動化要素になっているんだと思いますけれども、その辺はぜひ配慮していただきたいと思います。
地方から申し上げれば、国の方こそ、組織定数、それから給与について十分メスが入っていなかったわけでありまして、放置され続けてきた自分たちが是正をするから地方も今、血を流したけれども、もっと大量に血を流せというのは、いささか道を欠く部分があるのではないかなと思います。もちろん、個別の団体の事情だとか、忖度しなきゃならないこともあるのかもしれませんけれども、鳥取県については、かなり今まで職員の協力も得ながら努力をしてきた実情がございます。こうした実情をよくご理解いただきたいなと思います。
○朝日新聞 西村圭史 記者
原発の話にちょっと戻るんですけれども、島根側との協力をこれからという話でしたが、原発自体に対する考え方として、松江市などでは市長がもう廃炉にすべきだと発言されておりまして、原発に対する意識自体が各自治体でそれぞれ違うのかなという思いもあるんですけれども、そういったところもこう、協力する中で揃えていくものなのかというところと、あと、鳥取県としての今後の原発に対するスタンスというのは、どのようにしていくものなのかというのを教えていただけますか。
●知事
我々は、やはり備えるということはやらなきゃいけないんだと思います。これからどういうように事態が推移するか分かりません。少なくともいろんなご意見はあろうかとは思いますが、国が今、描いている青写真、閣議決定の話もございますけども、40年原発は動かすんだと、そしてさらに20年の延長も場合によってはあると、この辺ちょっと私なんかからするとさっぱり意味が分かんないなという感じもあるんですが、やはりきちんと国民に納得できるような基準が必要だと思いますが、そういう前提で動いているわけでありますから、我々としては備えるべきところはやっぱり備えなければならないだろうというふうに思います。
従いまして、体制整備については、これは速やかに今後、法的位置づけが周辺地域変わってくることになりますので、我々としては備えることをせざるを得ないだろうと思います。ただ、あと併せて今後、原子力発電の取り扱いについてどうするかと、溝口島根県知事なり、立地側から率直な話し合いを求められれば、我々としても我々なりの考え方も申し述べていくということではないかなと思います。住民の安全ということを基本に考えなければなりませんので、私たちとしてはやるべきことは速やかに進めていくということでプロジェクトチームを設置したいと思っております。
12 原子力安全対策プロジェクトチームの設置(再質問)
○読売新聞 野口英彦 記者
そのプロジェクトチームなんですけど、予算ということをおっしゃったんですが、来年度の当初予算に計上が間に合うんでしょうか。
●知事
今までも、ネジを巻きながらやっておりますので、ちょっと話はまた聞いてみたいと思いますが、仕上がりになっていればと期待しています。これからはそのプロジェクトチームを開いたら、どういうそれぞれの部局の状況かということを確認したいと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
開く時期はいつ頃になりそうでしょうか。
●知事
これは国の方の意思決定が閣議決定だと思いますので、その閣議決定を見てやりたいと思います。
○NHK 杉山大樹 記者
今日、日本海新聞さんの方で県が出資する第3セクターの県環境管理事業センターと民間企業の間で、産業廃棄物の管理型の最終処分場が建設されるという事業案が合意されたという報道がありましたけど、それについて知事はどのように考えられているんでしょうか。
●知事
これは、今、現在進行中でございまして、例えば、何かがもう決まったとかいうことでは、現時点はございません。事実を申し上げれば、[財団法人鳥取県]環境管理事業センターという県の外郭団体がございます。そこでいろいろと検討をしておりまして、その際に地元の産業廃棄物も取り扱う会社といろんな協議をしております。元々その地権者でもあるというようなこともございまして、その両者でいろんな折衝がなされておりまして、我々県側の方にも相談と言いますか、情報提供がこれまでもきております。その状況からしますと、従来環境管理事業センターが自分で執行して、産業廃棄物処分場を作るという選択肢もあったわけでありますが、それと、あとその地元事業者の方で自分たちがやると。それにセンターが協力をするような形でやる方式と比べていました。
補助金が入るという意味では、国の補助金が入るという意味では、環境管理事業センターがやると、その補助金が入るというメリットはあるんですけれども、その後の運営経費などを算入をしていきますと、その方がかえって高くつくというデータが出てきまして、それで地元の事業者が執行をし、それにセンターが協力をしていくという形での事業運営の方がベターではないかという知見が得られたというところでございます。それで、環境管理事業センターは、意思決定機関が理事会でございますが、この理事会は来月開かれることになっていまして、今日現在ですね、その理事会としての決定がなされているわけではございません。今、その意味でいろんな詰めを、意思決定ありうべしということで詰めをしているということでございます。それで、あと、この事業については、地元が第一でございまして、地元のお考えを踏まえていかなければなりません。そういう地元の皆さまへの協議、ご相談というものが、今まだ進行中でございます。そうした状況をいろいろ精査しながら、最終的にこの産業廃棄物処分場の立地をどうするか、今後詰めに入っていくということではないかと思っております。
○読売新聞 野口英彦 記者
税と社会保障の一体改革の関係でお伺いします。先週の共同通信の中川記者の質問と重なるかもしれませんけども、国は消費税の増税の分は、これは社会保障に使うんだということを言っております。そうすると、その増税分を原資にした地方交付税を、これは使途は社会保障に限られるとお考えなのか、それともそれは一般財源として使えるというお考えなのか、知事はいかがお考えでしょうか。
●知事
これは2つの局面がありまして、結果論からすれば社会保障に使われることになると思います。それは今、オーバーフローしていますので、社会保障に使われている地方のお金が。ですから10%引き上げてその内の1.54%分は、引き上げの内の1.54%分は地方側にいったとしても、その1.54%分ぐらいは当然ながら社会保障に現状でも使われることになると思います。マクロで地方財政全体を見れば、そういうことに充てられている状態になると思います。ただ、先週申し上げましたのは、ただ、ものの考え方、それから地方財源の在り方として、過度の使途目的を付けるということには注意してもらいたいということでございます。あくまでも地方交付税は財源を特定されない一般財源とされています。
これは地方税の身代わり財源だというのが中央側の理解でございまして、本来地方税で徴収してもいいんだけれども、国が徴収をしているので、それを国を通してもらっているんだと。これは地方交付税という存在であります。従いまして、住民税だとか、法人税がそうであるように、これが何かの特定の使途に充てられるということが法律で縛られてしまうというのは如何なものかなというのが、我々の発想でございます。従いまして、マクロで社会保障に使われるということになりますねというのは良いとは思うんですが、ただ法的な意味で、人が限定をされて、それを清算をすると言わんばかりの制度になると、これはいささか、地方と国との関係を乱すことになるのではないかと思っております。これから具体的な制度設計されると思いますので、その中で地方側の意見も聞いてやっていただければと思います。
○読売新聞 野口英彦 記者
関西広域連合なんですが、政令[指定都]市が加盟する方針ということで、今日も連合委員会が開かれたもんですが、そこで議席の取り扱いがちょっと今問題になっておりまして、政令市の議席を新たに増やすのか、あるいは既存の府県内の議席の中で調整するのか、これについては知事は如何お考えでしょうか。
●知事
これは2つありまして、均等割と言われる各県に平等に配分される議席と、それから、あともう1つ人口割と言われるような議席と2つあります。その調整結果として、今、鳥取県には2議席が割り当てられているということであります。これは鳥取県ももちろん関西広域連合にも入っていますけども、総体として2府5県が今の現メンバーでございまして、チャーターメンバー[創設時メンバー]です。そのチャーターメンバーである私たちが政令市を迎え入れるという局面でございますので、当然ながらチャーターメンバーとして、我々2府5県の間での合意が前提になると思います。
それから政令市側の考え方もあろうかと思います。ここはちょっと胸襟を開いた議論をしなきゃいけないだろうと思います。私はイメージとしては、仕事も増えるわけですから、政令市も入りまして、そういう意味で慎重な議論を尽くすということで、議席が総数として増えていくということは、若干は許されるんではないかなと思います。ただ、その際に、構成の府県間のバランスが崩されることがないような、そういう配慮もまた必要ではないかなと思います。例えば、政令市の分だけ単純に、もう1回人口で加算していくんだということになりますと、ダブルカウントの人口が出てきてしまいます。これが果たして妥当なのかどうかというのは、構成府県でおそらく議論が分かれるところではないかと思います。
そういうこともありまして、議会の中でも、連合議会の中でも議員同士で今議論が始まっていますし、そうした議員同士の議論も見ながら、私たち首長同士でも話をしていこうということにいたしておりまして、少々時間がかかるかなというふうに思います。これは、ただ、言わば産みの苦しみだと思いますし、要は調整の範囲内のことを今調整しようとしていることだと思いますので、今後何らかの形で議論が終息することを期待しています。
○読売新聞 野口英彦 記者
政令市が加盟しますと、そういう連合の和が広がるという側面もあるんですが、逆に鳥取県のような周辺部の意見がなかなか反映されにくくなるのではないかという懸念もあるようですが、そのあたり今後の関西広域連合における鳥取県の存在感ですね、これをどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
●知事
それは我が県以上に和歌山県とか、滋賀県だとか、言わば近畿プロパー[(元々ある県)]の自治体の中にも難しさを抱えているところがあると思います。それは鳥取県の場合、中国地方と、言わばオーバーラップしている[(重なっている)]ところがありますけども、そういうプロパー近畿のところは、なお一層危機感を感じるところがあるんではないかなと思います。そうした思いをよく尊重しながら議論をしないと、関西広域連合の今後の運営に影響を及ぼすんではないかなと思いますので、よくここは慎重に話し合いをしてもらいたいなと思います。
○朝日新聞 西村圭史 記者(幹事社)
ほか、ございませんでしょうか。よろしいですか。じゃ、ありがとうございました。
●知事
どうもありがとうございました。